積極財政はケインズに連なりますが、ケインズは放漫財政をすべきとは言っておらず、財政支出の際はワイズスペンディング(賢い支出)が重要だと主張していて、財務省も同じ主張をしています。
ケインズは戦前の人物で「財政支出+賢い支出」というのは経済学では主流なのですが、日本では未だに放漫財政が続けられ、結果、生産量が伸び悩みGDP(国内総生産)が大して増えず、GDPに対しての債務残高が多いです。
ワイズスペンディング
賢い支出
経済学者のケインズの言葉。不況対策として財政支出を行う際は、将来的に利益・利便性を生み出すことが見込まれる事業・分野に対して選択的に行うことが望ましい、という意味で用いられる
財務省の主張
持続的な経済成長には、単に財政支出の規模を拡大するのではなく、より付加価値を生み出すような支出に重点化し、限られた財政資源を最適な形で配分することが大切です。
単純な財政支出は景気対策で、有効求人倍率が上昇します。
賢い支出は経済対策で、GDP(国内総生産)が上昇します。
規模ありきの財政支出においては、有効求人倍率が上昇しますがGDPが伸び悩み、長期的に見た有効求人倍率の上昇に悪影響を与え、有効求人倍率の上昇が鈍化します。
ゾンビ企業
GDP(国内総生産)が伸び悩む原因である放漫財政の一つに、倒産すべき企業への支援があります。
倒産すべき企業に対する財政支出により、失業率上昇や有効求人倍率減少を抑えていますが、ゾンビ企業なのでGDP上昇には貢献していません。
「ゾンビ企業」は、実質的に経営がほぼ破たんしているにもかかわらず、金融機関や政府などの支援により市場から退出せずにとどまっている企業のこと
政府はこれまで生産性の低い企業に労働を保蔵するような政策を取ってきました。
名目賃金を引き上げても、物価がそれ以上に上がり続ければいたちごっこになってしまう。本来は生産性を高めることで、実質賃金を引き上げる必要があります。高い賃金を払える生産性の高い企業に、生産性の低い企業から労働者が移動すれば、経済全体の生産性は高まり、実質賃金も高まるはずです。政府はこれまで生産性の低い企業に労働を保蔵するような政策を取ってきました。倒産による失職者をスキルアップして成長分野で吸収し、就業訓練への参加を条件に失業中の家計をサポートする政策へと、早いうちに転換すべきだったと考えています。
資格取得給付金
困窮しやすいシンママ(シングルマザー)がITを学びキャリアアップを目指す機運が高まっている
ITスクールではこの2年間で700人以上のシンママが入校した。
国や自治体のひとり親向け資格取得給付金も拡充され、学費を上回る生活費まで受給できるケースもある。
エンジニアコースに40歳で入学した。
2社から内定をもらい翌年イベント会社に転職、月給も6万円上がった。
GEEK JOBスピード転職コース
スピード転職コースは無料で、プログラミング学習と就職支援を受けられます。
GEEK JOBが紹介する企業以外に就職したら違約金として12万円支払うことになります。
これはGEEK JOBが無料でプログラミング指導を行った後に、企業にその人材を紹介して紹介料をもらうという業務形態をとっているため仕方ないことです。
オンライン受講できるプログラミングスクールの料金の相場が20~60万辺りなので、他社の受講料と比較すると、12万の違約金が取られたとしても、12万円は料金的にも破格な安さではあります。
職業訓練校
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eラーニングコースを設定しております。お住まいの地域を問わず、全国どこでもご自宅から受講が可能です。
ゾンビ企業の排除
最低賃金を上げることで、ゾンビ企業を淘汰します。
日本企業の生産性は諸外国と比べると著しく低く、同じ仕事をしていても、日本企業で働く従業員は米国やドイツなど諸外国と比較して半分から3分の2程度の賃金しかもらえない。
日本ではこれまで、企業経営が悪化すると労働者にシワ寄せが行くので、企業を救済すべきという考え方が主流となっていた。
企業というのは本来、競争環境で切磋琢磨するものであり、時代に追い付けず、十分な賃金を払えない企業は市場から退出してもらうのが筋である。
企業の自発的な新陳代謝を促すと同時に、それによって労働者に悪影響が及ばないよう、最大限、支援するのが政府本来の役割と言える。
ただし、企業に対する減税や補助金により最低賃金を上げる場合、ゾンビ企業が生存し続けます。
ゾンビ企業の温存はGDP(国内総生産)の上昇を鈍化させます。
持続的な賃上げは生産性の向上の裏付けがあってこそ実現する。過保護な政策は不振企業を温存し、衰退産業に人材が滞留することで経済は成長力不足に陥る。
放漫財政によるモラルハザード
『Interregional Redistribution and Regional Disparities: How Equalization Does(地域間再分配と地域格差:平等化はどのように機能するか)』(2009年)という論文には、1982年から2000年にかけてのOECD諸国のデータを用いて、政府がお金を使って地域間の格差を減らそうとする「均衡交付金」が本当に効果を持つのかどうかを検証している
地域間の財政的な再分配は、むしろ地域格差を増大させる傾向があることが判明したのだ。
均衡交付金によって地域に一時的な財政支援が行われると、その地域の住民は、今後も支援が続くとの期待を持ち、移住や経済的な自己改善を行わなくなる傾向があるとされている。これにより、地域の経済的な活性化が進まず、逆に現状維持が続いてしまうことが原因だと指摘している。
社内失業者問題
https://www.news-postseven.com/archives/20201229_1623982.html/3社内失業者の存在が、会社を傾かせていることもある。東京某所にある中堅メーカーでは、労働者の味方であるはずの「労働組合」が社内失業者の巣窟と化し、会社の中核を占める中堅や若手社員との対立が激化しているという。
ITスキルをつけるための勉強会とか、若手が管理職社員にパソコンなどの使い方を教える講習会を何度もやってきたんです。社外のスクールに行く場合は、授業料の補助まであった。なのにほとんどのベテランはボーッとしているだけ。早期退職の話が出た時、暇なベテラン達が一斉に労組に入り、社員をクビにするなと運動を始めたんです
彼らが辞めないと、若手の給料は増えない。金にならない彼らが辞めないと新たな人件費を捻出できないため、新たな人材を連れて来られず、会社は痩せ細るばかり
「アジアの中で日本は、最も大人が学んでいない※1」という調査結果があります。
400万人もの社内失業者が存在しており、2025年には500万人近くになる見通し
社内失業者の発生要因を伺うと、「該当社員の能力不足」(75%)が最多でした。
日本企業は、一部の正社員の雇用を守るために、労働コストが安く、かつ調整の効く非正規労働者を活用してきた。終身雇用と年功序列の賃金制度を組み合わせた日本型雇用が生きながらえてきたのは、非正規労働者の存在があったからだとも言える。
失われた20年
日本は活発に非ICT投資をする一方、ICT投資は、米国との比較だけでなく、欧州との比較でも驚くほど少ないのです。これが日本の成長停滞の原因のひとつだと考えられます。
日本では雇用の保障が優先されるため、事業所を閉鎖したり、新規に開設するコストが高くなっています。
米国では企業内部の仕事の一部を、より効率の良い外部の企業にアウトソーシングすることが盛んに行われています。これに対して、日本の場合は大企業が子会社にアウトソーシングして人員も子会社に移しています。仕事を効率的にできる企業に移すわけではないので、これでは生産性が上がりません。もちろん、職を保障したいという企業の動機も理解できるのですが、経済全体としては、このような方法をとっていると効率が良くなっていきません。
人件費を抑制するためにパート労働の活用に頼ると、人的資本の蓄積も進みません。パート労働者には社内の研修などを通じて技能を高めるといった機会がないためです。一方で子会社に移してでも職を守る正規労働者がいて、一方でパート労働者が活用されているという、労働に関して区別された状況がいいものかどうか。
産業の新陳代謝が進まない原因の一つとして事業所閉鎖のコストが高いことが挙げられますが、企業が採算の悪い事業所はもっと閉鎖しやすいようにして、採算の良い事業を拡大しやすくすれば全体の生産性も引き上げることができます。産業の新陳代謝を促進するためには企業の新規事業への参入規制をもっと緩和することも大事になります。
授人以魚 不如授人以漁(魚を与えるのではなく、釣り方を教える)、産業を育てる
国債発行で下記記事のような暮らしが可能ですが、GDP(国内総生産)を上げるためには、産業を育てる財政支出が大切です。
- 「授人以魚 不如授人以漁」魚を与えれば一日で食べてしまうが、魚の釣り方を教えれば将来に渡って食べていける
- 国債発行による財政支出が、最終的に輸入に使われるような支出にするのか、産業を育てるための支出にするのか。
- 輸入に使われるような支出だと、将来に渡って支出し続ける必要があり、また輸入に使われるので(他国が生産をするので)、他国のGDP(国内総生産)や賃金が伸び、日本のGDPや賃金は伸び悩みます。
- 支出の財源が国債発行の場合、政府の借金が増え続けて、GDPに対しての債務残高が高くなります。
- 産業を育てる支出だと、自分たちで生産をするのでGDP(国内総生産)や賃金が伸びます。
時々会話に日本語を挟む郭氏は、日本各地に同年代の日本人の友達がいると話す。たとえば、千葉の九十九里浜では、一年中サーフィンをしている若者たちに出会い、友達になったという。
「彼らのライフスタイルは、週に4日はサーフィン、3日はアルバイトという感じです。結婚もせず子供も産まず、サーフィンのモーメント(一瞬)を享受しているだけ。日本は社会保障が非常に整っているので、その基礎のもとで非常に多くの自由を追求できます。ほとんどの国では望むべくもないことです」
学校の授業以外の勉強時間を比較すると、日本の子どもは11カ国中最も少ないことが分かりました。
「アジアの中で日本は、最も大人が学んでいない※1」という調査結果があります。
400万人もの社内失業者が存在しており、2025年には500万人近くになる見通し
社内失業者の発生要因を伺うと、「該当社員の能力不足」(75%)が最多でした。
産業が育たない場合、生産を他国に依存するようになります。
2023年の貿易収支は6兆6,290億円の赤字となり
日本政府の借金は中国の資産です。
- 2000年 輸入総額の14.5%が中国で、輸入先として2位
- 2010年 輸入総額の22.1%が中国で、輸入先として1位
- 2020年 輸入総額の25.8%が中国で、輸入先として1位
日本の中国に対する貿易収支は、2022年(注3)に続いて輸入超過になり、130億6,408万ドルの赤字だった。
日本政府が国債発行をして財政支出をし日本人の需要を強めていますが、日本人の需要に対して供給をしているのは中国です。
日本人が生産をせず、中国に生産を依存して、中国が日本人に供給をしているので、日本政府の借金で中国の賃金や中国のGDP(国内総生産)が上昇しています。
経済成長したい場合、消費を拡大させるのではなく生産を拡大して輸入を減らし輸出を増やす事が大切です。
輸入が減り国内でお金が循環し、輸出により国外からお金が入ってくれば、実質賃金が上昇し、結果、消費が増えます。
消費を増やす事を目的とした財政支出の場合、輸入に使われて終わりです。
債務残高
日本人は「学力が高い」、でも「ビジネス力は低い」
上で述べたことを要約すれば、「日本人は、学校型能力は高いが、実務型能力は低い」ということになる。
上記の乖離が生じる第1の理由は、日本人が勉強するのは、能力を高めたいからではなく、「良い大学」に入りたいからだ。
学校制度の中で良い成績を取って進学し、入学試験に合格して「良い大学」に入るために必要とされる能力は、学校型能力だ。
第1に、それは、実務的能力として日本以外の国で普通認められている能力ではない。だから、IMD調査などで日本の順位が低くなる。
ただ日本人は学校型の学力が高いと述べたが、英語は例外である。日本人の英語力は、国際的に見て極めて低い。
国際語学教育機関・EFエデュケーション・ファーストが行った2024年調査(2024年11月13日発表)によると、英語を母国語としない116カ国・地域のうち、日本人の英語力は92位だった。
こうなるのは、日本の学校で教えられている英語は、入試のための英語であり、実務で使える英語ではないからだ。
英語は入学試験体制の1部分として捉えられているだけであり、それを用いて仕事をするという観点がない。日本における英語教育は、国際標準からは離れた、極めて特殊なものになっているのだ。
高等教育全体としても、社会の最先端が求めている分野と、実際に大学で行われている教育との間には大きな乖離がある。
学校制度が提供している能力と、社会が求めている能力に差がある。これが日本の場合の大きな問題だ。
米国の場合、両者の差はあまり大きくない。特に、プロフェッショナルスクールと呼ばれるビジネススクールやロースクールは、社会が求める能力のうち、最も高度な部分を教えるという役割を果たしている。
国際成人力調査(PIAAC)の結果で、数的思考力の平均点を年齢層別に見ると、日本は16~24歳が最も高く、25歳以降になると低下する。
一方、北欧諸国では、数的思考力が30~40代まで伸び続ける。これは、リスキリングが行われているためだと考えられる。