『m7』解説

チャス!お疲れっす!

暇なんで楽曲解説します。
楽曲は、kanzakigawa.epに収録されている、サブスク限定の音源『m7』です。

この『m7』は、ヤマトさんとにしけんが活動してた前身バンドであるトラッシュノイズ時代の楽曲『この部屋がマイナーセブンに埋まる頃』を元に作られてる曲です。この曲は割とキーも低めで転調もなく、割とシンプルなアレンジだったんですが、PK版は大きくテイストを変えて、一癖も二癖もあるアレンジに仕上げてます。中でもこの曲は変更点が多く、原曲はBメロにあたるものがあったりもします。なんかヤマトさんここ最近「Bメロなんか、売れ線の曲につけるもんや」と言い張ってるんですよね。なんやアイツ。ほな解説、始めます。


キーはA#です。

イントロのストロークはA#→A#sus4。
PKにしては珍しく、シンプルな展開をしてます。
このギターストロークはにしけんが考えたらしいです。トラッシュ時代からある曲ですからね。

続いて、Aメロ。7thコードがバンバン出てきます。
数年前のある日、ヤマトさんが居酒屋で喧嘩して小指を骨折、指が大きく外側に曲がってしまいました。その激痛を紛らわすために酒をガブ飲みしていたものの、逆に飲み過ぎが祟って病院に行くことができない日々が続き、小指は曲がった状態のまま治癒してしまったらしいです。

勿論小指がまともに機能しない中でコードを抑えるのは容易なことではないので、大体の押さえ方で普通のコードより使う指が一本少ない7thコードを押さえまくってみたところ、そのままめちゃくちゃ気に入ってしまったらしく、以降何かに取り憑かれたように7thコードを多用してます。アホが。見てられん。

この曲も終始7thまみれですね。特に注目すべきは D7です。ヤマトさんの作る曲にはよくこのD7、ディグリーで言うとIII7が出てきます。これは一応セカンダリードミナントって技法です。本来Dm7のところを、D7にするって事なんですが・・・これについて説明すると長くなるので、気になる方は調べてみてください。パパッと掻い摘んで説明すると、悲しさみたいな雰囲気を演出するものだと思ってよくて、所謂丸サ進行、two of us進行とか呼ばれてるものにも使われてて(IV△7→III7→VIm7)、これを導入して上手くメロディに絡めると、一気に楽曲に味が出ます。歌詞で言うと「水性ペンの走り書きのような」の「書」部分、音程で言うとF#がこれに絡んでる形になります。


あと、後半のボーカルメロディとバッキングコードの変化がめちゃくちゃポップで、マジ最高です。
このノリノリ部分のことを、俺達は勝手に「ジャクソン5」と読んでます。レコーディング中も、この部分ずっと踊ってました。真面目にやれ。


さて、下はサビの前半部分のコードです。

D#M7→Dm7→Cm7(→F7-9→E7-9→D#on F)→Gm→ Em7-5
D#→Gm・maj7→Gm7 9→Em7-5→Cm→ D#on F→ D7

上のコードとも厳密には違いがあります。これに関しては、ギターがアホみたいな本数入ってるんで俺も聴き取れません。分かる範囲で上に書きました。ヤマトさん本人に聞いたところ「俺もわからん、へへっ」と言ってました。何笑っとんねん。というかコード進行変わりすぎやろ。同じ進行二度と出てこんやんけ。めんどくさ。キモオタ特有のこだわり、見てられん・・・面倒なんで後半は書きません。疲れました。

サビのボーカルに関しては、ヤマトさんの強い希望で、エフェクターを使って凄まじい数のハーモナイザーをかけてます。合計6本くらいかかってるんじゃないかな。不協和音に近いものまで鳴ってます。

その後の間奏で1小節食って入るギターソロは、後ろのコードにそんなに動きがないので、俺はめちゃくちゃ動いてみました。むずい。後半のトレモロフレーズは、6拍で切り替わるポリリズム風にしてます。

大サビのコードは1サビと同じです。
前半の静かな部分、「月のメロディが〜」のアルペジオをよく聴いてもらいたいんですが、こんな静かなところですら何本もギターを重ねています。普通のアルペジオ、ボイシングを変えた高音のアルペジオ、音量は大きくないですが全く別のコードさえも重ねてます。

大サビ2回し目、再度バンドインしてからは1サビと大きな変化はないですが、「また出会うよ」部分のボーカルメロディに変化があって、これで大詰め感の演出をしてます。曲作りにおいて、こういうテンション管理はめっちゃくちゃ大事ですよね。aikoとか、どの曲聴いてもこういうところ徹底してますよね。あの人、aiko好きですから。

その後はドヤ顔ギターソロ。むずいです。このソロ弾き切った時と、カズキさんの無駄にデカいドラムセット、通称「鏖(みなごろし)」を機材車に上手く収納できた時は、心から生きてて良かったと感じます。

そして大詰め、Cメロで短3度転調してますね。要はA#メジャーのキーから、A#マイナーのキーに転調してます。この短3度転調って、皆さんが気付いてないだけで世の中の転調の大半を占めてます。例としてはかの有名な星のカービィの『はるかぜとともに(CメジャーからCマイナー)』嵐の『One love(GメジャーからGマイナー)』などなど、挙げればキリがありません。
僕らの曲もちらほら転調しますが、その多くは短3度転調です。前述の通りクライマックス感、大詰め感を出す為のアプローチとして、非常に効果的なんですよね。自然かつ大胆にカラーリングを変えてくれます。

あと、根本のコードも少しだけ変わります。キーは違えど、神崎川と同じ進行ですね。Tシャツに書いてあるんでチェックしてください。

歌メロの後ろで弾いてるリードは、キーを変えたイントロのフレーズです。転調感を助長したいので、転調前のキーで弾いてたギターフレーズを持ってきた感じですね。ここは特に、ボーカルのメロディも初出のものなんで、こういうやり方にしました。

あとここ結構重要なんですけど、最後の10秒くらいのセクションは、わざわざ7で拍子を取ってます。当然、『m7』の7とかけてるわけですね。


【まとめ】
ギター何本入れとんねん。

〜おわり〜

曲のリンク貼っときます。いや、最初に貼れや。

ツアーもよろしく。


https://w.pia.jp/t/pkshampoo/


オフィシャル先行、もうすぐ終わりっす

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『m7』解説|福島カイト
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