こんにちは。ライターのペンギンです。
皆さんは、『渡る世間は鬼ばかり』というドラマをご存知でしょうか?
稀代の脚本家・橋田壽賀子さんの代表作として知られ、分厚い人間ドラマが人気を博した作品です。
(制作:TBSエンタテインメント/TBSテレビ)
初回放送が1990年1月。
連続ドラマとしては2011年まで断続的に20年以上にわたって放映され、それ以降も2019年までは毎年2時間スペシャルを放映。
つまり約30年にわたって、とある一族やその周囲の人生を丹念に描き続けてきたということです。
<『渡る世間は鬼ばかり』を観たことがなくても知られていがちな場面例>
・泉ピン子が姑(赤木春恵)にえげつないイビリを受けている
・角野卓造がチャーハンを炒めている
・えなりかずきが「こんとんじょのいこ」と言っている
※以下、役者さんの名前も敬称略でお送りします。「志村」みたいなものなので
第1シリーズでは6歳だったえなり君でしたが、
最終的には大学に入って結婚して子どもまで産まれます。
一方の母・ピン子は、最初は若い嫁として姑にイビられていたのが、息子のえなり夫婦に対しては姑側にまわります。
若い頃には子育てや仕事関係の騒動が多く、年老いてからは介護や相続の問題に。
そして子育てや仕事の問題は、子~孫世代に形を変えて受け継がれていく。
このように、役者の加齢に合わせて物語が本当に経年していくので、ただのドラマでは片づけられないレベルの分厚さを演出してくれるわけです。
そんなドラマ、『渡る世間は鬼ばかり』最大の特徴の一つが、
みんな、すんごいしゃべる。
ずっっっっとしゃべってる。
主役級の人たちだけ長いとか、役柄的にお喋りとかじゃないんです。
全員。
そして、常に。
マジの全員が、常に、すんごい量を一気にしゃべるんです。
普通ならこれくらいのセリフのところが、
これくらいは余裕でしゃべります。
それに対して、
返事でもすごいしゃべる。
ほとんどラップバトルのような会話が続きます。
とにかく、お互いすごいしゃべる。
すごいしゃべるので、ストーリーを覚えてなくても、何なら観たことがなくても一瞬で、「だいたい今どんな状況なのか」「各々がどんな性格・どんな家族構成のキャラクターなのか」がわかります。
これが『渡る世間』のすごいところです。
いつでも途中参加OK。
これだけよくしゃべるなら、
劇中の誰かがしゃべっている間は息を止める、というチャレンジも成立するのではないだろうか!?
かといって、「息を止める」というのはズルをしやすい曖昧なルールなので、
顔を水に浸けましょう。
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テレビの前に、水をためた洗面器をセットしました。
これで準備完了です。
(TBS公式サイト『渡る世間は鬼ばかり』より。
写真右下が五月)
今回は、『渡る世間』全編を通して実質的な主役と目される小島五月(泉ピン子)をターゲットにします。
五月(泉ピン子)がしゃべっている間、顔を水に浸けます。
ただそれだけの事。
渡鬼30年の歴史の中には、ほとんど五月が登場しない場面も多々あります。
そのため、何となくあらすじを眺めて五月の出番が多そうな回をチョイスしました。
どうやら、五月(ピン子)の息子・眞(えなり)が、結婚してから実家にほとんど顔を見せなくなり、心配になった五月が眞の家に押しかけるが・・・というストーリーのようです。
これは五月の長ゼリフも期待できそうだ。
やるぞ!
五月(ピン子)がしゃべっている間だけ、顔を水に浸けるチャレンジ
チャレンジ開始!
あらすじは何となく読んだものの、いつ五月が出てくるか予測できないのでドキドキします。
「ほんとに大丈夫なの!?」
うおお!!もう出てきた!
急げ!!
ズボッ!!!
ボゴゴォォッッ!!(水中)
まったく心の準備ができていないうちに反射的にダイブしたため、呼吸が変なことに。
急に息できなくなるのってこんなにヤバいのか。
「でもあんたもたまにはウチに顔出しなさいよみんなだって心配してんだk
まだしゃべんのか!???
怖い!死ぬ!!!
ゴォエェッ!ゲーーェフェッ!!!
なんとか耐えました。
五月、開幕いきなり20秒くらい喋ってます。
20秒という時間は、息止めとしては大したことないはずですが、いつセリフが終わるかわからない恐怖がデカすぎる。
ちなみに最初の20秒で、
・五月の電話の相手が眞(えなり)であること
・眞が結婚相手のお父さん(つまり義父)と同居していること
・眞が実家にほとんど顔を出していないこと
・そのことを五月は不満に思っていること
・五月の心配を、眞はうっとうしく思っていること(電話をガチャ切りしたので)
が一気にわかりました。
五月がひとりで喋ってるだけなのに。
あまりにもムダのない脚本、すごすぎる。
それが顔を水に浸けている状態でもわかるというのもすごい。
もはやラジオドラマです。
「だって今しか
え!?
もう!???
ちょっと待ってまだ息継ぎが
ガボボボボボボボボボ
マジの水責めと同じすぎる。
ないでしょうちへ電話掛けたって大井のお父さんや貴子さんに遠慮しなきゃなんないんd
五月も五月で、息継ぎすらせず一気にしゃべっています。
僕も五月も、呼吸をロクにしていないという点においては似たもの同士ですね。
ッパカアァァツ!!!
ひとしきりしゃべり終わったようです。
五月は一息ついてお茶飲んでます。そのままずっと飲んでてくれ。
幸いにも、冒頭シーンは五月と愛(五月の娘)の掛け合いで、愛もえげつない長ゼリフだったため、次第に呼吸が整ってきました。
親子の会話っていう尺じゃない。
へぇ~、愛は「子どもの家庭に干渉するな」派かあ。
お父さん(角野卓造)の立場ムズイな~。
うわっ、五月がしゃべった!
油断してた!
ズボッ!
ンモモ!ンモモモモッ!
モモワッッッ!!!
痛い痛い痛い!!!!
鼻に水入った!!!
ストーリーと水が交互に身体に侵入してきます。
とにかく、自分の意思で息をコントロールできないのがキツすぎる。
そうこうしているうちに、五月がお出かけしました。
五月不在確定(=息ができる!!)シーンのため、ゆっくりドラマを堪能できます。
ゆっくり呼吸しながら観るドラマ、面白ぇ~!
その反面、
五月の姿が見えたらめちゃくちゃ身構えます。
おのずと前傾姿勢になり、心臓の鼓動も速くなる。
……しゃべるぞ!
ハァァァアッ!!!
ズボッ!
「どうしたのその恰…
五月がしゃべり始める直前に息を吸い溜めることに成功しました。
だんだん慣れてきたぞ、このゲーム。
「ギョーザ焼いてきたのよお母さんほらイチゴも買ってきたから
しゃべりすぎしゃべりすぎ!!
玄関で用件を話し切らないでくれ!!!!
バアアッ!!
どうにか耐えた!
ここで一旦呼吸を……
ダメだ!
またしゃべり始めた!!!
ゥンブッッッ!!
バッッ!!!
わああまたしゃべり出したあああ!!!!
段々、ドラマどころじゃなくなってきました。
当たり前ですが、掛け合いのシーンだと細切れに五月がしゃべり続けることになるので息継ぎがめちゃくちゃになります。
せっかく眞がおもしろいエプロンをしているのに、全然落ち着いて見れない。
どうやら、五月は眞の家に夜ノンアポで押しかけて、眞の奥さんが十分な家事をしていない様子を目撃してイラだっているようです。
共働きというライフスタイルを夫婦で選んだのだから口出ししないでほしい、と怒り返す眞。
だったらもっと私を頼ってくれ、と不満が収まらない五月。
どっちの言い分もわからなくはないなあ。ヒューマンドラマだ。
ドラマを観て泣いているのではありません。
顔を拭かせてください。
場面変わって、夜も更けてこちらは五月の父が営む料亭。
どうやら眞宅を訪れた帰りに、眞夫婦に対する不満を五月の父(宇津井健)に相談しにきた模様。
絶対セリフ長いじゃん……
近い将来確実に訪れる水責めに、ストーリーと関係なく恐怖します。
父「何があったんだ?」
くるぞ!
五月父からの完璧な前フリ!
ハアアアアアッッ
「今夜ね
よし!タイミングはバッチリだ!
ん?
「今夜ね」!??
まさかさっきのくだりを全部説明する気か!??
「貴子さんがバイト出てて……眞がエプロンかけて夕飯の支度してて……あたしが手伝おうとしたら……
全部言ってる!!!観た観た観たって!
それさっき全部観ました!!!
「持つんなら娘よね、男の子なんて結婚したらさっさと
あらすじ説明から、流れるように感想戦へ突入!
ヤバい!!
「嫁さんの尻に敷かれて情けないやら悔しいやら
無理無理無理無理!!!!
ギブアップ!!!!!
「もあたしのことなんか何も考えてくr
まだしゃべってる。鉄人だ。
ゲーム、クリアならずでした。
あとで測ってみたら、五月の今のセリフは53秒でした。
最初から53秒とわかっていれば、まあいけなくはない長さだった。
しかしスタート時点で何秒なのか読みづらいのが、このゲーム攻略の壁といえるでしょう。
何秒であろうと耐える精神力を鍛えて、出直すことにします。
それと、『渡る世間』は顔を水に浸けていても楽しめるドラマだったという新しい発見もありました。
ちなみに、チャレンジ失敗後は顔を拭いて普通に鑑賞しました。
『渡る世間』は、顔を水に浸けないまま観ても面白い。
皆さんも、好きなドラマを顔を水に浸けながら鑑賞してみてはいかがでしょうか?
(おしまい)