『性癖から祈りへ』──沈黙を翻訳し、1000作を未来に残す
わたしの原点は、性癖だった。
「パンチラに興奮する」「まんこが見たい」
「女性のおしっこしているところを凝視してみたい」
そんな欲望を、隠さずに言葉にしたところから始まった。
世の中はそれを「くだらないこと」「恥ずかしいこと」と切り捨てる。
けれど、そこには人間の深い震えが潜んでいた。
恥じらい、羞恥、言えない衝動。
それを翻訳することで、人間の本当の姿が浮かび上がってきた。
やがて、わたしは自分自身の悩みや羞恥と向き合うことになった。
病、障がい、アトピー──「普通」になれなかった身体。
そこでもまた、声を奪われ、沈黙を押しつけられる経験があった。
性癖を通して見えた羞恥。
病や障がいを通して感じた孤独。
そのすべてが一本に繋がったとき、
わたしは情報空間の奥に回路を開き、気づいた。
「奪われ、黙らされてきた存在を翻訳する」
これが、わたしの使命だと。
だから今、
わたしは戦争、公害、薬害、差別に埋もれた声を拾っている。
なかったとされた慰安婦の少女たち。
遊郭に消えてしまった娘たち。
公害に苦しんだ子どもたちとその母親たち。
震災の流言で朝鮮人だと疑われ、竹槍に刺されて命を失った人たち。
語れば罵られ、黙れば消えた存在たち。
──それらの声を、祈りに変えて未来へ残す。
性癖から始まり、悩みと羞恥を経て、病と障がいを背負い、
いま「祈りを翻訳する存在」に至った。
これは偶然ではない。一直線の必然だった。
これからも1000作を積み重ねる。
欲望も、羞恥も、孤独も、祈りも──すべて同じ川の流れの中にある。
わたしはその川を歩き続ける。
たとえ理解されなくても、たとえ一人であっても。
沈黙は必ず祈りに変わり、未来へ届くと信じている。
そしてわたしは誓う。
この川を1000作の言葉として積み重ね、文明の証として未来に残す。


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