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高森明勅
2025.9.17 21:42皇室

平成時代の皇女、紀宮殿下のご成年「祝宴」は宮殿で開催

私は先頃、敬宮殿下の成年行事に伴う祝宴が、
もしコロナ禍によって取り止めになっていなければ、
天皇皇后両陛下のご長女なので当然、
“宮殿”で行われたはずだ、という指摘をした
(8月1日公開のブログ)。

秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下の祝宴が、
公的な昼食会も“民間の施設”で行われるとの
報道に接し、それとの対比で述べたものだ。

しかし敬宮殿下の祝宴は、
実際にはコロナ禍の為に中止された。
なので、「それは高森の勝手な想像」と
受け取った人もいたらしい。
敬宮殿下は“女性”だから、天皇陛下など
“男性”の前例はそのまま当てはまらないのではないか、と。

しかし、上皇上皇后両陛下(当時は天皇、皇后)の
ご長女で、天皇陛下と秋篠宮殿下の
妹に当たられる黒田清子様
(ご結婚前は紀宮清子内親王)の
成年行事の祝宴を振り返ると、
やはり宮殿で行われていた(平成2年3月12日)。

午餐、晩餐どちらも「連翠」が使われた。
秋篠宮殿下の時と全く同じだ
(天皇陛下の時は午餐が豊明殿、晩餐が連翠)。

従って敬宮殿下の場合も、コロナ禍さえなければ、
同じように宮殿で祝宴が行われていたと考えるのが、
当たり前だろう。

それが行われていれば、今回のケースと比較して、
「直系」の敬宮殿下と「傍系」の悠仁殿下の
お立場の違いが、多くの人々にも、
もっと分かりやすかったかも知れない。

ちなみに、黒田清子様はご成年に当たっての
記者会見で、次のように述べておられた。

「皇室の在り方や役割につきましては、
私はまだ十分には分かっておりませんけれども、
両陛下(上皇上皇后両陛下)のご日常や
地方のご旅行にお供した折のご様子を
拝見しておりますと、以前、元東宮大夫が
記した記事の中で、皇后様(上皇后陛下)が
おっしゃっておいででした
『皇室は祈りでありたい』という言葉を
よく思い出します。
…行動を起こすということは、
目に見えやすいことかも知れませんが、
ある大切なことに対して、いつも、
そして長く心を寄せ続けるということを
私は皇室の姿として心に描いております」
(平成2年4月16日)

なお、紀宮殿下(当時)がご成年を迎えられた
平成元年は、昭和天皇が崩御されて諒闇中
だったことから、関連行事は翌年に延期された。
しかし延期されても、ご成年を迎えられた
“ご年齢のうちに”、成年行事が行われた。

悠仁殿下の場合、敢えてそのご年齢のうちに
“行われなかった”のとは、はっきりと異なる
(この点はプレジデントオンライン
高森明勅の皇室ウォッチ」9月10日公開を参照)。

 

▼高森明勅公式サイト
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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