なぜ、人々は「利下げ」を待ち望むのか?
こちらはBusiness Insiderのニュースレター(無料)に掲載されたコラムです。このニュースレターでは、日替わりで編集部員がコラムを執筆しています。Money Insiderのマネーコラムは、毎週水曜日17時以降に配信しています。 ニュースレター(無料)に登録する>> “利下げ期待が高まる”──。 最近、多くの経済ニュースで、このフレーズが頻出しています。実際、Money Insiderでも、ことあるごとに、このフレーズを利用してきました。 しかし、「利下げ」することで、どんな「期待が高まる」のでしょうか? 今回のコラムでは、そこを少し解説していきましょう。 まず、今回話題になっている利下げとは、「アメリカの”政策金利”が引き下げられること」を意味します。日本の政策金利には別の事情があるので、ご注意ください。 なお、政策金利とは、各国の中央銀行が物価を安定させる”調整弁”のようなもの。インフレ時には”利上げ”で経済過熱を防ぎ、デフレ時には”利下げ”で経済活性化を促します。 実際、アメリカではコロナ禍以降に過度なインフレが進み、昨年まで5.5%という高金利が維持されていました。それがこの9月、約10カ月ぶりに「利下げが実行される可能性が高い」と目されているのです。 では、なぜそこまで「利下げ」が求められているのか? それは先述したとおり利下げが行われると、市中銀行が企業や個人に貸し出す金利が下がり経済活動が盛んになるから。すると株価が上がり、投資家が儲かるわけです。 ただ、気を付けたいのが、その要因。 というのも、この10カ月間、アメリカの中央銀行・FRBは、利下げを踏みとどまっていました。トランプ関税で物価が再上昇すると予想していたからです。 ところが実際には、消費者物価指数(CPI)は抑制的で、雇用統計も下振れていました。そこで、ついに利下げに踏み切ると……。 つまり、アメリカ経済の現状は、活況といえる状況になく、雇用も悪化しているんですね。そんななか、ただ利下げするというだけで喜んでいいのかどうか。 ちなみに現状、この利下げを見込んで、各種株価指数は史上最高値を更新中。しかしJPモルガンなどは、来週のFOMC(政策金利決定会合)でFRBが利下げを決めれば利確が進み、株価下落が起こる可能性があると指摘しています。 さて、どうなることやら? ※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
長田 真[Money Insider編集長]