スペイン首相、イスラエルの国際スポーツ大会出場禁止を呼び掛け ロシアと同じ措置必要と

スペインのマラガで開催された与党・社会労働党のイベントで、両手を広げて演壇で話すペドロ・サンチェス首相。演壇には「アンダルシア・変化」と書かれ、ハートのマークがついている。サンチェス氏の背後には、聴衆が座っている

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画像説明, スペインのペドロ・サンチェス首相

スペインのペドロ・サンチェス首相は15日、パレスチナ・ガザ地区でのイスラエルの行動を理由に、イスラエルを国際スポーツ大会から除外するよう求めた。

サンチェス首相は自ら率いる社会労働党の選出議員らに対し、「イスラエルが自国のイメージを粉飾するため、国際的なプラットフォームを利用し続けることは認められない」と述べた。

サンチェス首相はイスラエルについて、2022年にウクライナへの全面侵攻を開始したロシアと同様に扱われるべきだと主張している。ロシアは全面侵攻以降、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめとする国際スポーツ大会から資格停止処分を受けている。

スペインでは14日、自転車ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の最終ステージが、首都マドリードでの大規模な親パレスチナ抗議行動のために中止になった。

これを受けてイスラエルのギドン・サール外相は14日、スペインのサンチェス首相を「恥さらし」と呼び、マドリードでの親パレスチナ派抗議は首相が扇動したものだと非難していた。

サンチェス首相は14日、3週間かけて行われた「ブエルタ・ア・エスパーニャ」期間中の一連の抗議活動が、ガザ問題についてスペインが「誇りを持って模範として輝く」存在だと知らしめたと発言した。

スペイン政府の複数の閣僚も、最終ステージで行われた抗議活動を称賛している。公式発表によると、この抗議活動には約10万人が参加した。

オスカル・ロペス・デジタル変革担当相は、「何千、何万もの人が、あのジェノサイドに反対して動いた。そのことに、私は安心した。あれはジェノサイドで、他の呼び方は存在しないからだ」と述べた。

イスラエル政府は、ガザ地区での自国の行動がジェノサイドに該当するとの批判を一貫して否定。一連の行動は自衛のために正当化されると主張している。

スペインのエルネスト・ウルタスン文化相は、ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の歌合戦「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」にイスラエルは参加すべきではないと、今年初めにサンチェス首相が行った発言を繰り返した。

アイルランドとオランダの公共放送はすでに、ガザ地区での「悲惨」で「深刻」な人命の損失と人道的苦しみを理由に、イスラエルがコンテストに参加する場合は自国は参加しないと表明している。

イスラエルとスペインの関係は、2023年後半にサンチェス首相がガザ地区での民間人の死傷に懸念を示し、当時のスペイン政府の一部閣僚が外交関係の断絶を求めたことをきっかけに、不安定な状態が続いている。

スペインは2024年、ノルウェーおよびアイルランドと共にパレスチナ国家を承認した。サンチェス首相は先週にも、イスラエルをジェノサイド(集団虐殺)で非難し、武器禁輸を含む一連の措置を発表している。

イスラエルのサール外相は、サンチェス政権を「反ユダヤ主義」だと非難。「野蛮で憎悪に満ちたレトリック」を用いていると述べた。

スペインのシンクタンク「エルカノ王立研究所」が最近実施した世論調査によると、スペイン国民の少なくとも82%が、ガザでジェノサイドが行われていると考えていることが明らかになっている。

サンチェス首相がイスラエルに対する措置を発表してから2日後、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧州連合(EU)各国にイスラエルとの自由貿易および二国間支援の停止を求めた。フォン・デア・ライエン委員長は、ガザで発生している「人為的な飢饉(ききん)」に言及した。

フォン・デア・ライエン委員長はまた、イスラエルの行動に適切な対応を見出せないヨーロッパの無力ぶりは「つらい」と嘆いた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザで飢餓が発生しているという主張を繰り返し否定。飢餓が存在するなら、それは援助機関およびガザのイスラム組織ハマスの責任だと述べている。

イスラエル政府は、国連などの国際援助機関がガザとの境界で待機している援助物資を受け取っていないと非難しており、何百台ものトラックが手つかずのまま放置されていると指摘している。

国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は8月、ガザの一部地域で飢饉が発生していると確認した。イスラエルが、食料および医療援助の流入に対する継続的な制限により、飢饉を引き起こしていると非難している。

イスラエルは、ガザ地区へのすべてのを検問所管理しており、占領国として国際法の下で民間人の生命を保護する責任を負っている。この責任には、飢餓の防止も含まれる。

イスラエルは、2023年10月7日にハマス主導によるイスラエル南部への攻撃を受けて、ガザでの戦争を開始した。この攻撃では約1200人が殺され、251人が人質として連れ去られた。

ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、それ以降、イスラエルによるガザへの攻撃で少なくとも6万4871人が殺害されている。