「参政党さんから学ぶことは、非常に多い」玉木雄一郎氏が見据えるこれからの政治とは?
参政党さんから学ぶことは、非常に多い
玉木:おっしゃるとおり、そこも一つの課題ですね。参政党さんが支持を集めた理由の一つは外国人問題だと分析していますが、ウチも以前から取り組んでいた政策ではある。国民民主党は’23年から外国人の土地取得を規制するべきだと訴えてきましたから。ウチがロジックで攻めていったのに対して、向こうはエモーショナルに訴えかけていたというかね。50代以上の人は経済がよかった時代も知っているので、「どうしてこんなに没落したのか」という気持ちが強い。経済成長できていないことが原因なんですが、そこに「外国人が悪い」という訴えが刺さったのかなと。けど、参政党さんから学ぶことは非常に多い。 ──具体的にどんなこと? 玉木:主に3つの手法についてですね。1つ目は(※6)党員のサブスク化。参政党は他党よりも高い党費を党員から毎月もらっているじゃないですか。党幹部に声を直接届けられるイベントといったメリットを提示しているから多くの党員を獲得できているわけですが、党費を納めることで党員にも「自分たちで参政党を大きくしよう」という政治意識が働くようになっている。これに関連するのが2つ目の「BtoC」。支援組織ももちろん大事ですが、個人と直接的に関係を構築していく重要性が増しているので、個人へのアプローチを強化する必要がある。3つ目が「サードパーティ化」。今回の参院選ではYouTubeにおける選挙関連の動画の再生回数は計17億回だったのですが、政党が出すオリジナル動画の再生数はそのうちの1割程度しかなかった。約9割は“切り抜き動画”だったんです。切り抜いて拡散してくれる人たちをサードパーティと位置づけ、「切り抜きたくなる」ような発信を心がけていかないといけない。 ──玉木さんは政治家のなかでは(※7)チャンネル登録者数の多いYouTuberですね。 玉木:選挙ではよく「地盤、看板、カバン」が必要だと言われます。この地盤というのは通常、自分の選挙区のことをいうわけですが、今ではバーチャル空間の「ネット地盤」も加わっている。そのためには自分のチャンネルが必要。一定の登録者がいないと、有名なYouTuberなどとコラボできないんだから。今回の参院選でも「ReHacQ」や中田敦彦さんのYouTubeに出演したことで、山尾志桜里さんなどの候補者選定問題で衰えた風が再び強まった。「いろいろあったけど、政策を語らせたら玉木、やるなぁ」という声もいただきました(笑)。 ──それだけ頑張って、議席を伸ばしたのなら、自分にご褒美をあげてもよさそう。 玉木:いやいや、皆さんからの支持が一番のご褒美ですよ(笑)。 ──ご家族からねぎらいの言葉は? 昨年はプライベートな問題もありましたが……。 玉木:もちろん、家族が一番ですからね! ──話を変えましょうか……。短期的には「103万円の壁」の引き上げで手取りは増えそうですが、もっと増やしてほしい。 玉木:もちろん、控除枠の引き上げは党を挙げて進めます。与党が進めた年収に応じた引き上げでは、現役世代の手取りの増加はわずかなものですから。ただ、それ以上に経済成長戦略が大事。日本人の給料が上がらない最大の原因は日本が経済成長しなくなったから。ところが、500兆円台をうろうろしてきた名目GDPが、ここ数年で620兆円に増えてきた。理由は新型コロナのときに100兆円の財政出動をしたから。それで5年連続で過去最高税収を記録するようになったんです。