ここから先は、私の憶測やら妄想やらがまとまった「駄文」です。

恐らく、多くの敵を作りかねない内容になると思いますので、そういう物が嫌であれば、この先を読まなくても構いません。


































ニッカはいつから凋落したのか

昨今のブラックニッカの主要原材料が「グレーンスピリッツ」だったということで騒然としているニッカウヰスキーですが、いつから凋落をしたのかと考察していきます。

完全な名誉職となったマスターブレンダー

ウイスキーを商品として出す上でブレンドを決めるのがブレンダーです。
サントリーやニッカでは、ブレンダーのトップにいるのがマスターブレンダーで、その下にチーフブレンダーが居ます。

ニッカのマスターブレンダーに於いては、初代が竹鶴政孝、二代目が政孝の養子である竹鶴威、三代目が佐藤茂生が務めていて、いずれもブレンドの最高責任者として務めてきました。

しかし、2010年から務めている4代目のマスターブレンダーの山下弘はブレンダーとしての職歴がなく、完全な名誉職になってしまったようです。
サントリーは3代目のマスターブレンダーとして鳥井信吾氏が2001年から就任していますが、現在も最終的なブレンドの責任者として務めていることを考えると、雲泥の差です。

実質的なチーフブレンダーに於いては、2025年から井関潤治氏が務めていますが、彼はニッカウヰスキーの所属ではなく親会社のアサヒビールの所属であり、出向としてニッカウヰスキーに籍を置いている身です。

そう言ったところから見ると、人を育てるという点でもニッカはどんどん疎かにしているように思えます。

失われた販売メソッド

アサヒビールは1954年にニッカに資本参加し、その後子会社化して今に至ります。

資本参加の際に営業担当として派遣された弥谷醇平から、ウイスキーの原価率を落としても売り上げが伸びればトータルの利益が上がり、黒字化できるというアドバイスを受け、それ以降、コストパフォーマンスに優れるウイスキーを製造、販売するようになりました。

しかし2010年頃になると、製品自体の質は徐々に落ち始め、コストパフォーマンスを追求するよりも価格を下げようという動きの方が強くなったように感じます。

元々、弥谷氏のアドバイスの裏には、原酒を多く製造して大量に販売することがあったわけですが、近年のニッカは販売が上がってもそれに合わせて増産をする気配がなく、むしろ枯渇しかねない原酒に対して何の策を講じていないように思えました。

浮上するグレーンスピリッツによる水増し疑惑

その中で、今年に入って浮上した、ブラックニッカの各銘柄における主要原材料がグレーンスピリッツだったことは、消費者には大きなショックになったはずです。

2025年時点でニッカウイスキーのラインナップで「ジャパニーズウイスキー」を標榜するのは、竹鶴ピュアモルト、余市、宮城峡の3種類だけで、それ以外は海外の原酒を入れて造っていると思われていました。

それだけに、原酒以外を使っていたことはガッカリした人は多かったでしょう。

もっとも、穀物原料でないスピリッツは原材料に明記しないといけないのに対し、穀物原料のグレーンスピリッツは表記しなくてもいいという「法律の穴」があり、サントリーでもトリスはグレーンスピリッツを使っています。

しかしもっとひどいのは、原産地表記の義務化が2022年であったのに対して、ニッカは3年もその義務を履行していなかったことも私にとって怒りを覚えるポイントです。
サントリーはちゃんとそれを履行して3年前から表記していたのとは別です。
その点でもニッカは消費者のみならず、国に対しても誠意を見せていないと言えるのではないでしょうか。

竹鶴親子もこの不誠実な行為に怒りをぶつけていたでしょう。

ニッカは原点に還れ

最近のラインナップにしても、限定品を乱発し、さらには免税店限定ボトルなど、海外に偏重したような売り方をしているのも気になります。

様々な要因を考察していくうちに、ニッカは堕落したのだと思うようになりました。

もちろん、蒸溜所の現場でちゃんとしたウイスキーを作りたいと頑張る従業員がいることは確かですが、上層部が腐っていくことで、ニッカ自体が存続の危機に立たされるのは時間の問題に思えます。

個人的には、ニッカ自体がアサヒビールから脱退し、ウイスキーに造詣の深い海外の投資ファンドが買収し、きちんとした製造、販売戦略を立てて貰うのが一番ではないかと思います。

今や世界で唯一と言ってもいい、石炭による直火蒸溜を行うメーカーとしても、もう一度原点に還ってコストパフォーマンスの高いウイスキーを作ってほしいと願うばかりです。