Vol.549「〈戦争省〉が常識なのだ」
(2025.9.16)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…戦後80年の夏、新聞やテレビは「二度と戦争をしてはいけない」という決まり文句に溢れていたが、こんなに虚しい言葉はない。現実には、日本をとりまく国々は戦争の準備を恐ろしい勢いでやっている。そんな中で日本だけが「反戦平和」を唱えていることほど、危険な状況はないのである。今月5日、アメリカのトランプ大統領は国防総省が「戦争省」の名称を使えるようにする大統領令に署名。大統領令にはその意義について、「『戦争省』という名称は、防衛力しか強調しない『国防総省』よりも、備えと決意のほどをより強力に伝える」と記されていた。なぜ、トランプは「国防総省」を「戦争省」に変えようとしているのか?世界の恐ろしい現実を直視せよ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…世に数多ある健康を巡る迷信・妄信、今回は「ブルーベリー」健康食品説を追う!「ブルーベリーは目にいい」という話は、多くの人が一度は聞いたことのあるレベルにまで知られているだろう。現在、流通しているブルーベリーの解説は、科学用語を使って、それらしく説明されているのだが、以前は、イギリス空軍(アメリカ空軍とされたケースも)の夜間パイロットの話がきっかけで、ブルーベリーの効能が注目されるようになった――とされている。ところが、この話の原典にあたろうとすると、完全なデマだったという事実に突き当たるのである!どのようにして「ブルーベリーは目にいい」説は生まれたのか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…氷河期世代も大半の人間が派遣やアルバイトを望んでいなかったのでは?現代のブラック企業と高度経済成長期のモーレツ企業の違いは何?プロレスラーの高山善廣氏がなんと試合の解説をするまでに快復している件をどう思う?クマ被害の激増は、環境を破壊した人間が悪い?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第578回「〈戦争省〉が常識なのだ」
戦後80年の夏、新聞やテレビは「二度と戦争をしてはいけない」という決まり文句に溢れていたが、こんなに虚しい言葉はない。
現実には、日本をとりまく国々は戦争の準備を恐ろしい勢いでやっている。そんな中で日本だけが「反戦平和」を唱えていることほど、危険な状況はないのである。
アメリカのドナルド・トランプ大統領が「国防総省」の名称を「戦争省」に変えるというニュースには、わしはかなり驚いた。
アメリカは初代大統領、ジョージ・ワシントン時代の1789年に「戦争省(Department of War)」を設立。第2次世界大戦終結後の1947年までこの名称を使っていたが、1949年に「国防総省(Department of Defense)」に変更し、現在に至っている。
トランプは「戦争省だった頃には信じられないほどの勝利の歴史があった」と主張している。要するに「戦争省」の時は第1次・第2次世界大戦を始め連戦連勝だったのに、「国防総省」になってからはベトナムでもアフガニスタンでもイラクでも負け続けているから、昔の名前に戻して栄光の歴史を取り戻そうというわけだ。
今月5日、トランプは国防総省が「戦争省」の名称を使えるようにする大統領令に署名。大統領令にはその意義について、「『戦争省』という名称は、防衛力しか強調しない『国防総省』よりも、備えと決意のほどをより強力に伝える」と記されていた。
正式な名称変更には議会での手続きが必要なので、今のところ「戦争省」はあくまでも「副称」に留まるが、この名称は公式文書などにも使用できるという。
そしてトランプは、議会の承認を得て正式に改称することにも意欲を燃やしている。
この大統領令に署名する際、トランプは「戦争省」について「世界が置かれている状況を考えると、よりふさわしい名称だ。われわれは、世界最強の軍隊を持ち、誰も競うことすらできない」と述べた。
さらにトランプは、同席したピート・ヘグセス国防長官に「戦争長官」を名乗るよう指示。ヘグセス戦争長官は、「これは単なる名称変更ではなく復興だ。防ぐだけでなく、攻めに回っていく」「手ぬるい合法性ではなく、最大の殺傷力をもって、政治的な正しさではなく、暴力的な効果を目指す」と述べた。
もはや国際法などクソ食らえで、「力が全て」の世界に回帰するということを堂々と宣言したのだ。
この動き、日本人には全く理解できないだろう。日本なんか「専守防衛」で、「戦力」とも認められない「自衛隊」しかなくて、これを「自衛軍」にすることすらできない。ましてや「防衛省」を「戦争省」にしようなんてことは、思いもよらない発想だ。
本来なら軍事力の目的とは、たとえアメリカであろうと「国防」や「防衛」とまでしか言えないはずだ。それを「国防」では生ぬるい、攻めに出るんだ、「戦争省」だ!と堂々と宣言してしまうのだから、これはとてもついていけない感覚である。
アメリカが国防総省を「戦争省」に改称すると発表したのは、中国が軍事パレードを大々的に行ってから間もないタイミングとなった。
9月3日、中国の習近平は終戦80年の記念式典にロシアのプーチンや北朝鮮の金正恩ら26カ国の国家元首や政府首脳を招き、大規模な軍事パレードを披露した。
この式典は「中国の抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利80周年」を謳っていたが、そもそも実際に「抗日戦争」を行っていたのは中国共産党ではなく国民党だし、独裁政権である中国・ロシア・北朝鮮の首脳が「反ファシスト戦争勝利」を祝うなんて、悪い冗談としか言いようがない。
だが、名目なんかどうでもいいのだ。軍事パレードの実質的な目的がアメリカに対する牽制にあったことは明白で、登場した兵器も極超音速ミサイル、長距離弾道ミサイル、無人システムなど、米軍や台湾海域への脅威を強調する最新軍備が目立っていた。
そして習近平がプーチン、金正恩と親密な様子をアピールすることで、我々はいつだって戦争をする準備万端だぞと、アメリカおよびその同盟国に対して明確なメッセージを放ったのである。
それでトランプは、「上等だ! 受けて立とうじゃないか!」となる。それどころか、もはや「受けて立つ」という「守り」の姿勢では生ぬるい、こっちから攻めてやる! ということで、「国防総省」じゃなくて「戦争省」だ!となるわけだ。
戦争は決してなくならない。国家がある限り戦争は必ずある。これからも我がアメリカはずっと戦争をしていく、という認識が当たり前の前提としてあるからこそ、「戦争省」という名称も浮上してくるのである。
もちろんロシアも中国も北朝鮮も、これからも我々はずっと戦争するぞという意欲満々であり、常にその姿勢を誇示してくる。それが世界の常識というものなのだ。
ところがそんな中でただ一国だけ「我が国はもう二度と戦争をしません」と言っている、異常な国がある。
いつでも攻め込んで来れる隣国に中国があり、ロシアがあり、北朝鮮があって、軍事侵攻する準備はできているとアピールしているのに、その中で日本だけは、絶対に戦争をしませんというアピールをひたすらやっているのだ。
こんな滑稽な話があるだろうか!?
ここから先は

小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


よしりん先生、漫画は50年坊主で描いてきて、今回自転車🚲を6日坊主でやり、ようやく世界陸上選手の才能に気付きましたね〜㊗️嬉しいぶぁい。
あと、省庁改名の話が出たついでに言うと、宮内庁も速やかに「宮内省」に改名して、できれば内閣から独立した機関にグレードアップしたいものです。 政権の意向よりも、ちゃんと「天皇の意志」を忖度できて、尚且つ不当な政治利用やバッシングから皇族を守れる叩き上げの官僚を、大量に育成できるよ…
ブルーベリーの視力回復はウソだったとは・・・!(泣) じゃあ一体、何喰ったらメガネいらんようになるんじゃ~!? あと、国防総省をドストライクに「戦争省」に改名したアメリカとは真逆で、日本の自衛隊はとかく「言葉のゴマカシ」が多すぎるのが情けないと思いました。 「一佐」「三尉」み…
配信、ありがとうございます。 木蓮さんのブルーベリーの話に衝撃を受けました。 まず、洗脳を解いてくれてありがとうございます。 これからも、ずっと騙され続けていくところでした。 若いころなんて目を良くするため、歯が青くなるくらい食べたり、栄養剤を飲んだり… なんて馬鹿だったんだ。 …