偽マフティーとなってしまった。   作:連邦士官

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第19話

 空が青いのとは対照的にハサウェイには拳銃を向けられている。回答を間違えたら殺されそうだ。許してくれよ。

「今の俺はマフティーだ。それ以上でもそれ以下でもない。それじゃあ駄目か?」

拳銃を見る。安全装置は外されている。しかも3点バースト付きだから避けるのは一苦労だ。

 

「あぁ、信用ができない。正体は誰なんだ?本当にアムロ大尉か!?」

アムロじゃないって!!天パなら拳銃を向けられる前にあの勘で取り押さえてるだろ。あいつは負けないからな。

 

「アムロではない。シャアでもない。信用とはなんだろうか?君も考えたことが‥‥。」

とりあえず誤魔化そうとする。腰の拳銃はない。ケネスに奪われるのを恐れてドライに預けてしまった。まだだ、まだ終わったわけじゃない!!

 

「誤魔化さないでもらおうか!ロンド・ベルを知っていて、ハサウェイと言う。更にはあの白いMSにAの文字。あの戦い方。間違いなくファンネルを意識しているミサイルによる癖。俺の中ではあの人しか考えられない!だとすればずっと親父やみんなが待っていたんですよ!!何故、今戻ってきたんだ!」

だから天パじゃねーよ!天パな訳はないだろ!ふざけんなよ!天パならこんな事せずに連邦政府から不労所得もらってるわ!お前のプレッシャーにやられたんだぞ。

 

「誰かと勘違いしているようだな。俺はアムロ・レイではないよ。」

カチャッと何かが鳴る。それを確認する。これなら確かに‥。

 

 すっと俺は屈むとハサウェイは銃口をずらす、俺はスーツのサングラスをハサウェイに投げつける。反射的にハサウェイは引き金を引き、銃口から火が吹き空にサングラスの破片が舞う。飛び散っていた瓦礫を蹴り飛ばし、それに対してハサウェイはもう一回銃を放つ。

 

「ッ‥‥!」

俺が木箱の裏に潜り込むと歩哨をしていた兵士の死体が転がっていた。彼の小銃と拳銃を貰い、すぐに小銃の安全装置をイジる。

 

 

「正体を言えと言っただけなのにここまでやるとは!出てこい!」

ハサウェイの声が聞こえる。だが、俺はハサウェイを殺すわけにはいかない。あの逃げていったツヴァイがニュータイプならハサウェイは絶対に必要だ。それに殺せない理由の一番は俺がハサウェイには絶対に勝てないからだ!

 

 あっちは拳銃でこっちは小銃なのに勝てるイメージが一切湧かない。明らかに俺の不利だ。アムロやカミーユよりは勝ち目があるが、ア・バオア・クーでのフェンシングを見るに訓練の差はニュータイプであれば埋められるはずだから話にならない。

 

「しかし出てきたらお前は撃つだろう?ならお互いにちゃんとした話し合いをしようじゃないか。後、俺はアムロじゃない!」

刺さるようなプレッシャーが無くなったが、それでも死にそうだ。

 

 手元の石を投げるとやはり撃ち抜かれる。ニュータイプ、怖っ!何だあいつ!戦闘マシーンかよ。空を見上げると曇ってきた。湿度も上がった気がする。

 

 カチャリと足に何かが当たる。これだ!早速!

「そうやって隠れていても問題は解決しないぞ!隠れてそうするというのはマフティー・エリンを名乗るお前は卑怯なやつなのだな!人に光を見せて逃げたように!」

卑怯で結構だ!ニュータイプめ!

 

「俺を卑怯と言うのならそうやってわざわざ来た、お前も暇だ!」

叫ぶと一拍おいてからハサウェイのほうから声が聞こえてきた。

 

「暇?暇だと?俺は1000年先のことを考えている!暇ではない!」

いや、なんでそんなので滅茶苦茶効いてるんだよ!

 

「1000年先のことを考えているのなら、それは暇がある暇人ってことさ!そこまで言うならやってみせろよ!マフティー!暇じゃないんだろう!」

成功するかどうかはわからない。だが、なんとでもなるはずだ!石を再び投げてから、もう一回投げる。ハサウェイは再び両方を撃ち抜く。閃光が放たれる。

 

「うぅッ…閃光弾だと!」

ニュータイプにはこれだけでは安心できない。たかがメインカメラがやられただけだからな。

 

 石を手に何個も持ち適当にばらまいて投げる。物音にハサウェイが右左と確認をする。

 

「こっちだぞ!」

俺は声を出し銃弾を避けるが、ハサウェイの銃でかぼちゃを撃ち抜かれる。そしてかぼちゃが転がる。

 

「捉えたか?」

転がるかぼちゃに近付くハサウェイ。閃光から視界が戻り始めると、かぼちゃが転がっている。額のマフティーのマークが正確に撃ち抜かれている。そのかぼちゃには身体がなかった。ツヴァイの捨てたかぼちゃのマスクだ。

 

「興奮しすぎたな、ハサウェイ。」

俺はハサウェイの頭に銃を押し付ける。こいつマジでやばいよ。明らかに殺す気が無かったからこうなったがこっちを殺す気なら俺が死んでた。

 

「身構えている時には死神は来ないものさ。」

いきなり何を?待て!CQCに飛び腕挫十字固!何だこいつ!?しかし!

 

「甘い!」

腕ひしぎ十字固めが完全に入る前にコンクリートに叩きつけた。

 

「ッ‥!」

痛そうにするハサウェイだが、そうするとハサウェイは蟹挟みに変えて投げ飛ばそうとする。俺はなんとか耐えたが頭が下がって前のめりになる。

 

「あぁぁ!」

ハサウェイはそのまま俺を巴投げして、俺はコンクリートに叩きつけられ肺から空気が抜ける。痛え。お前投げっぱなしの巴投げが許されるのは芝生の上だけだぞ!下手したら死んでたがマスクがあったから助かった。マスクがなければ即死だった。

 

「酷いことをする!?」

お前はパイロットスーツだからぶん投げられても多少は大丈夫かもしれないが、俺はスーツなんだぞ!?お前コンクリートに投げ技はよせよ。ベルトを緩める。

 

「手癖と足癖の悪さは大尉、貴方から覚えました!」

だから天パ扱いするんじゃないよ!落ちていた小銃をハサウェイが拾い、俺の目の前に突きつけている。俺はベルトを引き抜き、ハサウェイの腕に巻きつけて引っ張る。

 

 前のめりになったハサウェイが引き金を引くが弾は出ない。安全装置をかけていたんだよ。そのままハサウェイの頭を捕まえると叩きつけるように動かす。変形フランケンシュタイナーだ。

 

「痛いだろう!」

背中から落ちたハサウェイに安全装置を外した小銃を突き付けた。しかしハサウェイが俺が持っていた拳銃を俺に突き付けていた。ふざけんなよ!ここまでしてもハサウェイに負けてる。しかしだ。車の音が聞こえる。

 

「マフティー、遊びは終わりのようだ。」

装甲車がどんどんやってきてこちらに向かってくる。

 

「終わりなら最後に教えてくれ。貴方はアムロ・レイなのか?」

ハサウェイ君さ、だからアムロじゃねーって何回も言ってるだろ!!ふざけんなよ。

 

「アムロではない。シャアでもない。何者でもないから強いて言うならマフティーだ。」

マジでアムロじゃないから許してくれよ。チラチラとハサウェイがこっちを見ている。何回も天パじゃないと言ったぞお前!会話のドッジボールしてるんじゃないから聞け!

 

「今はマフティーで良いです。」

今はってなんだ!今はって!アムロなわけ無いだろ。誰がどう見たってアムロじゃないわ!

 

「これからもマフティーでアムロではない。銃を捨てろ。満足しただろう?これ以上の運動は身体にこたえる。」

明日とかどうなるんだろうか?バンバン人をコンクリートに叩きつけてくれやがって。しかも蟹挟みは禁止技だぞ。

 

「わかりましたよ。」

銃を向こうが手放したのを確認してこっちも手放そうとするが、ふとハサウェイが言った「身構えている時には死神は来ないものさ」がリフレインする。そういえば…再び銃を構えてハサウェイに突き付けた。

 

「まだ最初に持っていた銃があるだろう?油断も隙もないとはこの事だな。思いきりがいい。」

マジでニュータイプは恐ろしいわ。俺がそう言うとハサウェイが胸から銃を出して置いた。

 

「なかなかやりますね。」

お前おかしいよ。コーディネーターでもこんなにしないわ。ニュータイプこっわ。近寄らないで欲しいわ。

 

「背中に隠したナイフも出せ。MSパイロットよりもゲリラ屋の戦い方だぞ、それ。」

怒涛のハサウェイの反撃の為の動きにため息が出る。こいつ、マジで何だよ。やる気スイッチと天パスイッチ入ってるよ。やめてよ。

 

「お見通しか。」

ゆっくりとナイフを出したので蹴って横にずらす隙を付いて、ハサウェイが足を掴んでこっちを投げた。しつこいぞ!ハサウェイ!だからアムロじゃないって!

 

「形勢逆転ってやつだな!顔を見せてもらうぞ!マフティー・エリン!」

お前やめろ!二人でドタバタとやっていると装甲車が来てハサウェイは拘束された。攻撃してきたMSはハサウェイのやつだからな。

 

 本当に疲れた。なんでこんな目に遭うの?そして生身強すぎるわ、ハサウェイ。イラッとしただけでハイジャック犯を叩きのめすだけはある。マジで痛い。殺す気はないんだろうが人をボコボコ殴りやがって。俺の体はモビルファイターでも無いから痛いんだぞ。

 

「待て、彼は客人だから手荒にするな。ちゃんと客人として持て成せ。」

これ以上のニュータイプムーヴされたら手に負えないぞ。瞬間湯沸かし器じゃないんだからさ。雪山でビームサーベルで湯沸かしじゃ無いんだよ。本当に、本当に。

 

「客人としてならあの携帯食は出さないでくれ。」

あぁアレをハサウェイが食べていたのはラー・カイラム時代だからクェスを思い出すんだろうな。外すよ、それぐらい。

 

「当然だ。俺もあれのフルーツが嫌いでね。食べていると嫌な気分になる。」

不味くて不味くてしょうがないからな、フルーツ味。自称謎のフルーツの砂糖漬がふんだんに入っていて、きゅうりやセロリにトマトにパイナップルの海外みやげのようなものが口の中で暴れてくる。ひどい目にあった。

 

「しかし、彼の乗ってきたMSが暴れたなら彼は拘束すべきですが。」

それができるならしてみろ。ハサウェイだぞ。できる訳もない。それにしてもだ。

 

「普通、生体認証があると思うが何故あのガンダムは動いた?」

謎に思ったことを聞いてみる。

 

「我々のマフティーのスポンサーが渡してきた生体認証データをインストールしたんだ。貴方のデータだと聞いて、データベースを調べたらアムロ・レイと出てきたからインストールした。」

クワック・サルヴァーがアナザー(Another)ジェネレーション(Generation)エフェクト(Effect)【A.G.E.】のスポンサーなのか?だとすれば説明がつく。何故、宇宙派と言われたロナ爺とかの議員が早期に辞めたのかも。

 

 木星とブッホとジャックを通じて火星ジオンとネオ・マフティーを繋げて、地球連邦軍内の反乱勢力までそこに合流させる。すると軍人や政府の力が下がる。おそらくはクワック・サルヴァーは高級官僚なのだろう。

 

 政府と軍が弱まれば統治機構としての役人の力が上がる。アナハイム・エレクトロニクスとのつながりも考えると財務官僚あたりなのか?

 

 今気づいたがクワック・サルヴァーはドイツ語で、俺達の組織も名前がドイツ数字、ジャックの資金源は広告収入だと思っていたが違う。あの組織も全てクワック・サルヴァーが仕組んだものだったんだろう。

 

「もしかして相手はマフティーダンスについてなにか言っていたか?」

俺の予想が正しかったのなら、多分‥‥。

 

「あぁ、忌々しい活動だと言ってた。反省を促されるべきは地球でしかものを考えれない人間たちだと。」

反省を促すダンスで一番ダメージを受けたのは官僚機構の筈だ。若い議員が大臣になって官僚機構として支配できるはずが、軍人などがなってしまったせいで多種多様な無茶振りをされたと。

 

 だとすれば確かにマフティー動乱で議員や軍の権威の失墜をすれば役人の春は来る。それをマフティーによって邪魔されたから怒るだろう。地球連邦軍の役人共だとわかると議会への不信感を植え付けるテレビ番組も頻繁にやっていた。

 

 マフティーのマフティーなんちゃらに隠れて地球連邦を乗っ取ろうと画策していたのが、地球連邦そのものだったとはな!ケネスが政治家を探しても正体が分からないはずだ。

 

 問題は次に何をしてくるかだ。

柔らかくなって邪魔になったハサウェイはクスィーガンダムを奪って大人しくした。

 

 オエンベリの格納庫を焼くだけでは済まない気がする。嫌な予感程当たるものだろう。サイレンがけたたましくなった。

 

「どうしたと言うんだ!?」

俺は近くの兵士に聞く。

 

「キンバレーが約束を破り、ガルダ3機でやってきているようです!」

その言葉に俺は確信した。ヤブ医者の正体は官僚だろうと。市民を食い物にして金を取る姿は正しくヤブ医者ではあろうなと思った。

 

 ヤブ医者はダブルミーニングだ。詐欺師的な意味と改革、つまりする手術は間違えるが金をもらうというね。

 

 ならば簡単だ。連邦政府に反省を促してヤブ医者の処方箋のA.G.E.を破壊して正体を白日に晒してやる。

 

 

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