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地域のニュースをより身近に!部署をこえて“令和の街頭録音”に挑む

「給食でご飯7杯おかわりした!」
「めいに赤ちゃんが生まれた!」

何気ない日常生活の中で起きたさまざまな出来事の数々。これまでNHKのニュースで、こうした話題を積極的に取り上げることはまずありませんでした。

しかし、去年11月から北海道・道東エリアのニュースの中で始めた「わたしのなまらスゴい!ニュース」は、まさにそんなほっこりするような、視聴者の皆さんに身近な個人的なニュースを聞くコーナーです。

回を重ねるごとに、徐々に知名度もあがり“名物コーナー”になりつつある手応えを感じています。きょうはこのコーナーを立ち上げた理由や思いを少しお伝え出来ればと思います。

初めまして。郡義之こおり よしゆきと申します。ふだんは、北海道の帯広放送局でニュースデスクをしています。帯広局は、北海道十勝地方にある19の市町村を5人の記者・通報員が日々取材しています。
十勝地方…それ以外の取材は?と、北海道以外にお住いの方は思われるかもしれません。NHKの放送局は各都道府県に1つもしく2つですが、北海道は7つもあります。なぜか。それは北海道がとてつもなく広いからです。
まず帯広局がある十勝地方だけで岐阜県とほぼ同じ面積があります。そして都市間の距離がかなり離れています。札幌市と東側の釧路市の直線距離は東京-名古屋間の直線距離に匹敵します。

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同じ北海道とはいえ、気候や地域の文化などもさまざまです。このため、北海道のNHKは「身近で必要とされる公共メディア」を目指し、放送エリアを「道央」「道南」「道北・オホーツク」「道東」の4つに分け、より地域に密着したニュースを発信していくことを心がけています。
こうした中で、私たちが生み出したコンテンツがあります。それが、「わたしのなまらスゴい!ニュース」です。

半径5メートルの世界

「念願のバイクを購入した!」
「学校の自販機に欲しい飲み物が入った!」
「前歯が伸びすぎて困っている」

これらのニュースは、北海道・道東エリア(十勝地方・釧路地方)で、平日夜6時40分から放送している「ほっとニュースぐるっと道東!」の名物コーナー「わたしのなまらスゴい!ニュース」で取り上げた話題です。ちなみに「なまら」とは、北海道弁で「とても」という意味です。
このコーナーでは、こうしたニュースを月に何度か取り上げています。話題はすべて、日常生活で起きたもので、難しい話はありません。去年11月の放送から、これまでに30回ほど放送し、100人以上を取り上げてきました。

「半径5メートルの世界」。

これは、私が新人記者時代にかつての先輩が教えてくれたことばです。日々の日常生活を送っていると、必ず何かしらの出来事に遭遇するはずです。自身の身の回りにこそ、ニュースはあると思っています。
「わたしのなまらスゴい!ニュース」は、まさにその半径5メートルの世界で起きた喜怒哀楽のニュースを報告してもらうというもので、視聴者から「知っている人が出ていて、番組が身近に感じた」といった声や「肩の力を入れずに楽しく見られる」といった反応をいただいたり、取材先からは「こんな話で良ければどんどん話すよ!」と喜んでもらえたりと、少しずつではありますが、コーナーのファンも増えてきています。

小規模局だからこそできた

私は2023年7月から、帯広局でニュースデスクを務めていますが、業務に携わる中で常に思っていることが1つあります。それは「視聴者のニーズに応えるニュースを出しているか」ということです。
実際、現場の記者たちは地域を駆け回り、ニーズに応えるべく話題を掘り起こしていますが、地元紙などとの取材競争も活発で、なかなか“微に入り細に入り”というところまでは手が届かない現実があります。
ただ、公共メディアを標ぼうし、皆様から受信料をいただいているNHKだからこそ、親近感の持てるもっと垣根を低くしたニュースがあっていいのではないか。地域に暮らす人たちの顔が見える話題を出したい。新聞や匿名性の高いネットではできない、テレビ局ならではのコーナーはできないか。そんなことを思いながら、提案したのがこの「街声」企画でした。

しかし、思い立ったとはいえ、事はそんなに単純ではありません。NHKの中でも小規模な帯広局。簡単に何か新しいことを始められるほどリソースに余裕はありません。
撮影や編集の担当者の負担を増やすこと無く、視聴者のニーズに応えるべく何か新しいことにチャレンジしたい…。最小限の負担で最大の効果を上げるにはどうすればいいか?行き着いたスタイルがこちらです。

取材風景
街声取材中の様子

取材・撮影を全部1人で行うというものです。そして私は、その作業を記者やディレクター以外の、ふだんは総務や広報、イベント、営業などの業務を担当している職員に協力を求めました。公共メディアのコンテンツを作る担い手は記者やディレクターじゃなくてもいいじゃないかというのが、私の思いです。
できない理由を並べるよりも、どうやったら実現できるかを考える。その答えが小規模放送局だからできる風通しの良さを生かした連携でした。帯広局で働く幅広い職種の職員が、今回の経験をそれぞれの仕事に還元できるプロジェクトになるのではないかという期待も込めてスタートしました。

“視聴者目線”を大事にする

「わたしのなまらスゴい!ニュース」の取材の様子をちょっとご紹介します。

ふだんはさまざまな業務を担当しているこちらのメンバー。

・郡  (ニュースデスク   入局15年目/元新聞記者)
・橋本 (営業担当デスク   入局22年目)
・五十嵐(企画編成担当デスク 入局8年目)
・石谷 (営業担当      入局4年目)
・小山 (企画編成担当    入局4年目)
・倉谷 (営業担当      入局2年目/元民放)

前職など含め取材経験があるのは、郡と五十嵐、倉谷の3人だけ。あとは未経験という具合です。しかし、取材未経験の若手メンバーも、そこはスマホ世代。動画を撮影し、アプリで編集するということには慣れていました。

実際に使っている取材道具はこちらです。

取材道具

取材の“相棒”
・業務用スマートフォン
・収音マイク
・スマホホルダー(ハンドグリップ)

この3点セットがあれば、どこでも取材が可能です。相手は老若男女、地域のすべての人が対象。つぶさに声をかけながら、お話を伺って撮影をしています。

「取材時に特に気を付けていることは、なるべく皆さんの身近で起きた出来事を楽しく語っていただくこと。これまで道東各地でさまざまなお話を伺ってきましたが、皆さんの日常にはたくさんのおもしろい出来事が起きているのだなと感じています。“日常の世界に共感して、視聴者と共に作る番組”。テレビ離れが叫ばれる今だからこそ、視聴者が日常で見ているものを大事にすることで、そこからNHKを身近に感じてもらえるのではないかと考えています」

営業担当・橋本大志職員
取材風景
街声取材中の様子(複数で取材出来る日も)

とはいえ、日々の取材はそんなに甘くはありません。たかがインタビュー、されどインタビュー。慣れないメンバーたちは悪戦苦闘します。話が続かずに、互いに黙ってしまったり、質問のテーマがあちらこちらに飛んでしまって、話が深まらなかったり…。
ただ回数を重ねてくると、ふだん受信料に関する視聴者対応などの業務に従事しているベテラン営業職員の橋本大志職員は、これまでの経験で培ったトーク力を生かして、相手の懐に飛び込み、話題の引き出しを次々と開けていきます。さらに定期的にメンバーでインタビュー取材の練習会を開くなど、
トライアンドエラーで進んでいきました。

いろいろ“気づき”を得ました

小山職員
小山真澄職員

このコーナーを通じて自分の隠れた才能に気づいたと言う人も。それが、入局4年目の小山真澄職員です。去年、大阪局から帯広局に転勤。これまでは、管理業務を担当しており、放送コンテンツ作りは全くの初めてでした。しかし、インタビュー取材して編集するまでの作業について、「驚きました。コンテンツ作り未経験の自分でもやればできるんだと。今担当している事業の仕事でもコーナーと連動させることで、深みが増したと思います」と振り返ります。
例えば、イベントをただ開催するだけではなく、こうした放送との連動も視野に入れることで、よりNHKらしいイベントの提案を相手先にできるようになったといいます。

もう1人、気づきを得た人物は入局2年目の営業担当、倉谷洋平職員。以前は、10年余り民放に勤務していた筋金入りのテレビマンです。民放時代もカメラを手にインタビュー取材をやっていた経験から、今回のコーナーは「全く違和感がなかった」といいます。それでも、今回の経験を通して、あらためて自分が「放送人」であることを自覚したといいます。
「取材を通じて、視聴者の皆さんの生の声をたくさん聞き、放送したものに対して多くのリアクションがあることにとてもやりがいを感じました。取材をして思ったことは、ご本人やご家族がテレビに映ることは今も昔もやっぱりうれしいものなんだなと。さらに普段やり取りをしている郵便局や不動産会社の方との会話でこのコーナーのことが話題になることもあり、これまでより円滑にコミュニケーションを取れている気がします。NHKというメディアを身近に感じてもらえるだけではなく、受信料制度への理解促進につながれば嬉しいです」

“令和の街頭録音”に

団結写真
チームのメンバー(筆者は右から2人目)

放送を開始して、ことしで100年の節目。
主たるメディアはラジオからテレビ、そして、インターネットと多様になりましたが、時代を経ても変わらないのは、「一人ひとりに寄り添ったメディアであり続けること」だと思います。
私はNHKに入る前、地方紙の記者でした。そこで培った「地域に暮らす一人ひとりに寄り添い、身近な話題をあまねく発信していく姿勢」がこのコーナーの原動力になっています。
古い話になりますが、終戦直後の昭和20年に、「街頭にて」というラジオ放送がありました。アナウンサーが街頭に立ち、道行く市民にインタビューをするという番組です。それはのちに、「街頭録音」と名前を変え、当時の人気番組となりました。NHKの根幹は、皆様の受信料で成り立っているということ。だからこそ、日々見るテレビは、一人ひとりに身近であるものであってほしいと思うのです。
私たちが発信する「わたしのなまらスゴい!ニュース」。シンプルだけど、奥深い。シンプルがゆえに、難しいこともたくさんある。この“令和の街頭録音”は、放送100年の節目の年に、取材する側、される側にいろいろな気づきを与えてくれる貴重な機会だと思っています。そして、このコーナーを通じて、地域とNHKとのつながりをこれからも、もっと深めていきたいと考えています。

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