side:ルーデウス
───穏やかな空気が流れていた。
宿屋、門の夜明け亭。
そこの一室で、とある親子が向かい合って座っていた。
父パウロと、その息子のルーデウスだ。
転移事件からは1年半が経っていたが、ルーデウスは7歳の頃に村を出ているので、実に4年半ぶりの再会となる。
衝撃的な再会を果たし、今は二人で近況について語り合っている。
パウロを見て、ルーデウスは思う。
多少やつれている気がするが、それ以外は昔とほぼ変わっていない。
髭も剃っているし、目の下の隈もない。目つきは少し鋭くなったか。
しかし、雰囲気が変わった。
軽薄な雰囲気が薄れ、今は……そう、どことなく威厳のある感じがする。
以前の二人は親子というより男友達みたいな接し方をしていたが、今のパウロに対してそういう軽い態度をとるのはちょっと躊躇われた。
「(なんか、悔しいな。前世の俺より年下の若造なのに。しかも前より強くなってるっぽいし)」
ルーデウスは強くなった。
魔力災害によって魔大陸へと転移させられ、妹分であるボレアス家のご令嬢のエリスを守り、フィットア領まで送り届けることを第一に頑張って来た。
そのためには違法なことにも手を染めて来たし、他人を傷つけることも多かったが、間違ったとは思っていない。ルーデウスは自分にとって大切なものを守るためなら、他者を傷つけ、踏みつけにすることも必要だと割り切っている。
ルーデウスは強いが、無敵でもなければ最強でもない。
上には上がゴロゴロいて、今の自分はまだ子供の体だ。出来ることは全てやって、使えるものは全て使う必要があった。
……とはいえ、元々の倫理観が平和ボケしている日本人なこともあり、人どころか魔物を殺すことにすら精神的なストレスを受けているのだが。
とにかく、やれることはすべてやった。
本気で生きて来た。転移する前より強くなったという自信がある。
だが、なぜだろうか。
今のパウロには勝てる気がしなかった。
●〇●〇●〇●〇●
1年半前。
ボレアス家で家庭教師をしていた当時のルーデウスは、教え子であるボレアス家令嬢のエリスと共に、魔大陸に飛ばされた。
魔大陸は主に魔族が住む大陸。
世界地図で言うならば、場所はフィットア領のあるアスラ王国とはほぼ正反対に位置している。
そんな場所へ飛ばされたルーデウスとエリスだったが、二人の状況は客観的に見れば『地獄』であった。
魔大陸は過酷な地だ。
魔物の強さは中央大陸の比ではなく、おまけに数も多い。適当にその辺を歩くだけでCランク以上の魔物がうじゃうじゃ湧いて出る。
比較として、アスラ王国にはターミネートボアという二足歩行、四本腕の猪の魔物がいる。
こいつは単体ではD級扱いとされているが、アスラ王国の魔物の中ではかなり強い方である。
最低でもCランク以上の魔物しか出没せず、しかも数は遥かに多い。
これだけでも魔大陸の危険さがわかるというもの。
その上、土地そのものが過酷だ。
砂や岩ばかりで、まともな食料もなく、旅をするなら魔物を狩って食べなければならない。
おまけに、ルーデウスとエリスが転移したのは魔大陸のビエゴヤ地方であったが、ルーデウスは魔大陸の言語である魔神語は習得しているが、地理に関してはさっぱりわからない。
後ろには守らなければならないお嬢様。
エリスは剣士としては中々に強いが、メンタルも年相応に幼いし、ルーデウスと揃って実戦経験皆無だ。
二人の状況を地球で例えるならば、アフリカとかオーストラリアにある猛獣がうようよしているような危険地帯に、食料も持たずに身一つで放りだされたようなものだ。
自衛手段はあるし、現地民の言葉はわかるものの、そもそも人のいる場所がどこにあるのかわからず、連絡手段も持っていないという絶望的な状況である。
さらに言えば、たとえルーデウスの中身が大人だとしても、前世が無職で引き籠り歴20年のおっさんでは年相応の人生経験もない。
ないない尽くしの完全な地獄であった。
転移直後にスペルド族の戦士、ルイジェルドに手助けしてもらわなければ、生きて帰ることは出来なかったであろう。あるいは、出来たとしても心や体に癒えぬ傷を負っていたかもしれない。
●〇●〇●〇●〇●
転移後、ルイジェルドを仲間にしつつ、フィットア領を目指して旅を開始したルーデウス一行。
スペルド族の名誉回復という目的が追加されつつも、可能な限り最速最短の道筋を辿ってルーデウス達はミリス大陸まで来ることが出来た。
ミリス大陸へ着いた後も、大森林で起きた獣族と密輸人達とのいざこざに巻き込まれたりしたが、どうにか人族の領域であるミリス神聖国へとたどり着いた。
1年半もの長い旅路。
あるいは、1年半で済んでよかった、というべきか。
宿を確保し、装備の手入れや食事等を済ます。
その日の夜には冒険者パーティ『デッドエンド』としての作戦会議も終えた。
問題が起きたのはその翌日だ。
一日休みということで、全員がバラバラの別行動をすることとなった。
ルーデウスは、突如いなくなった自分を心配しているであろう、家族へ宛てた手紙を書いていたのだが、偶然にも、不審な幾人かの男達によって子供が連れさられる瞬間を目撃したのである。
人攫いだ。
ボレアス家にいた頃、エリスとルーデウスも経験しているが、この世界では人攫いは珍しいことではない。どこででも行われている。
かつてのルーデウスであれば近寄らない選択肢をとったかもしれないが、今は違う。
ルイジェルドの別名である『デッドエンド』の名で功績を得て、それを広めることでスペルド族の汚名を徐々に晴らしていく。
そして、『子供を見捨てるな』というパーティのおきてを守るため。
ルーデウスは単独で、人攫いから子供を救出すべく行動を開始したのである。
見たところ、人攫い達の中に実力者はいないようだった。
精々、ちょっとした喧嘩自慢のチンピラ程度だろうか。
ルーデウスの尾行にも気づかず、あっさりと拠点らしき建物の中へと入って行った。
「(中は……倉庫になっているのか)」
見た目は廃教会といった風だが、実際は倉庫になっているらしい。
木箱が乱雑に積まれており、その中には布っぽいものがたくさん入っている。
「(む、誰だあいつは?)」
木箱から僅かに頭を出して男達の様子を伺っていると、そこに追加で一人の人物が現れた。
フードを被っているせいで顔は見えないが、体格的に恐らく男だろう。それもかなり鍛えられている。腰には短剣のようなものが二本、長剣が一本差してあるのが見える。
ルーデウスはその男を見て、認識を改めた。
……雰囲気がチンピラのそれとは違う。
人攫い共の切り札か、用心棒だろうか。ドルディア族の村で戦った、密輸業者であり、北聖でもあったガルスという男と似通ったものを感じた。
「(……いや、あいつよりも強そうだ。なんていうか、ルイジェルドに近いものを感じる。これは、一度退いた方がいいか…?)」
ルーデウスは強い。
莫大な魔力量、豊富な魔術、無詠唱、予見眼。
そして、魔大陸からの旅で培った実戦経験。
魔術なしでも上級剣士相手なら接近戦でも勝てるし、魔術ありなら場合によっては聖級以上の相手を一方的に打ち倒すことも出来る。
無詠唱のおかげで攻撃速度も早く、莫大な魔力量のおかげで息切れがほとんどない。
11歳にして、魔術師としては既に上澄み中の上澄みといえる領域にあった。
だが、そんなルーデウスにも弱点がある。
「(ここはマズい。狭すぎる。もしもあいつがガルスと同じ聖級剣士だったら、こんな場所じゃ勝ち目はないぞ)」
ルーデウスは闘気を纏うことが出来ないし、今はまだまだ11歳の子供の体だ。
如何に予見眼があろうと、どんな攻撃も回避できるわけではない。結局はルーデウスの処理能力を超える手数、スピードの攻撃は受けてしまうのだ。
一撃でもまともな攻撃を受けたら戦闘不能になりかねない。治癒魔術は無詠唱では使えないし、喉や肺を損傷したらほぼほぼ詰む。
そもそもの話、接近戦では魔術師は剣士に勝てないのが常識だ。広い場所ならともかく、狭い倉庫の中では、いくら無詠唱が使えると言っても大したアドバンテージにはならない。
ミリス大陸は魔大陸に比べれば遥かに安全だ。
その事実に、ルーデウスは無意識に油断していたのかもしれない。
「(一旦外に出て、倉庫ごと攻撃……は、駄目だな。あの子供を巻き込む。それに、どのみち市街地での戦いになったら俺も全力は出せない。ここは引いて、ルイジェルドを呼ぼう)」
聖級剣士という評価はルーデウスの勘違いかもしれないが、実戦をくぐり抜けてきたルーデウスは己の判断に自信がある。
慢心、ダメ絶対。
……僅かな時間だった。
僅かな時間、ルーデウスは目を閉じて考えをまとめた。
その時間で、警戒対象であるフードの男が消えていた。
「(あれ、あいつはどこに───)」
「動くな」
「……えっ?」
首筋に冷やりとした感触。
横から剣を突きつけられていると気付くのに時間はかからなかった。
「途中から尾行して来たのはお前だな」
「(ば、バレテーラ!てか、えっ、いつの間に!?)」
どうやら、このフードの男は相当な腕利きらしい。
ルーデウスが意識を逸らしたほんの数瞬の間に、音もなくこの距離まで接近していたというわけだ。
「(まさか、王級剣士だったりしないよな?はたまた伝説のアサシンか!?)」
「動くな。声を出すな。従わないなら殺す」
チラリと横目に男を見る。
フードから覗く鋭い眼光が、ルーデウスの頭に向けられている。
大ピンチであったが、ルーデウスは不思議と焦らなかった。
「(あれ?この声って……)」
「お、追っ手ですか!?」
「……いや、違うな。追っ手にしては早すぎる。連中はまだ気づいていない筈だ」
チンピラ達が、恐る恐るルーデウスの方へと近づいて来た。
「まだ子供じゃないか」
「いや待て。小人族かもしれない。気を付けろ」
「ゆっくり立て、抵抗はするなよ。俺は剣神流の聖級剣士だ……この距離なら何をどうしようが俺が先にお前を殺せる」
剣神流の聖級剣士……男が剣聖ということに驚きつつも、言うことに従い、両手をあげたままゆっくりと立ち上がる。
「よし、そのままこちらを向け」
ゆっくりと右へ体を向ける。
視界に入るのは、一人の男。
片手の長剣を突きつけつつ、もう片手に短剣が握られている。この距離でもまったく油断していない。さすがにこの距離で聖級相手ではどうしようもないだろう。
そして、男の顔に視線を向ける。
倉庫内が暗いことと、フードを被っていることでよく見えないが……ルーデウスは確信をもって、その男へ声をかけた。
「父、様……?」
「……ルディ?」
少々危うい場面ではあったものの、ここに感動の親子の再会がなされたのである。
●〇●〇●〇●〇●
そして、時間は現在に戻る。
パウロが泊っている門の夜明け亭へ移動し、ルーデウスとパウロは互いの無事を喜びつつも、転移事件のことや互いのこれまでについて話し合っていた。
なお、冒険者ギルドには伝言を残していたらしいが、ルーデウスは不幸にも見ることが出来ていなかった。
とはいえ、伝言の内容は『冒険者ギルドを利用するなどして連絡を送ること。もしくは、余裕があればミリシオンの捜索団本部か、フィットア領の難民キャンプに来ること』だったので、一応は結果オーライと言えるだろう。
「───そうですか。母様も、リーリャとアイシャも……シルフィも見つかっていないんですか?」
「そうだ。すまん、俺がもっとちゃんと探していれば……」
そう言って項垂れるパウロだったが、ルーデウスは内心で大きなショックを受けていた。
理由はたくさんある。
どうして、転移したのが自分達だけだと思ったのか。
ヒトガミから大規模な魔力災害と聞いていたのに。他の人々や、家族が巻き込まれている可能性を考慮しなかったのか。
確かにここまでの旅は過酷なものだったが、余裕がなかったと言えば嘘になる。
ルイジェルドは強く、魔大陸で生き抜く知識を豊富に持っていた。エリスは自衛が出来るくらいに強く、彼女とのえっちなスキンシップは楽しかったし、ルーデウス自身も多くの魔術が使えるので生活にはあまり困らなかった。
元々引き籠りで経験の浅いルーデウスは、未知の体験の連続であったここまでの旅を楽しんでいたのだ。辛いと思う感情よりも、楽しいと思う感情の方が圧倒的に上だったのである。
「(もしかしたら、俺達以外にも魔大陸に転移した人がいたのかもしれない。その中にシルフィや俺の家族がいたとしたら……くそっ、何が冒険だ!のんきに観光気分でやってる場合じゃないだろ!)」
今更言っても仕方がない。
余裕があったと言っても、戦えない難民を抱えてここまで来れたかというと、恐らくそれは難しかっただろう。
それはわかっているが、それでもルーデウスは己を恥じた。
それに、先ほどはここまでの冒険を面白おかしく語ったばかりだ。
パウロは静かに聞いて、時に相槌を打ってくれたが……どんな気分だっただろうか。
「すみませんでした。皆が大変な時に、僕だけ……」
そう言って頭を下げるルーデウス。
そんな息子の頭に手を置き、昔のように撫でながらパウロは語った。
「いや、いいんだ。お前は悪くない。無事に帰って来てくれただけで、父さんは嬉しいんだ」
パウロは怒らなかった。
ただ純粋に、息子が生きて帰って来たことを喜んでいる。その姿は、かつての『父親になろうとしている若者』の姿ではない。
父親だ。
皮肉にも、転移事件による一家離散という経験が、パウロを本当の意味での父親へと成長させたのだろう。
……ルーデウスは心の中で思った。
もう、パウロを見下すのはやめよう。
まだ純粋に慕うのは難しいが、今のパウロは尊敬と敬意をもって接するべき相手だ、と。
「……それにしても良かったです。二人は父様と一緒だったんですね」
先ほどの情報交換の中で、双子の姉のリディスと、妹であるノルンがパウロと一緒にここで暮らしているということは聞いた。
今は散歩に出かけているらしく、しばらくすれば戻ってくるという。
「(……ん?あれ、なんかひっかかるな)」
ふと、ルーデウスは気づいた。
先ほどの話の中で、確かにパウロはリディスとノルンがここで暮らしていると言った。
だが、最初の話でパウロはこう言っていた。
『───俺とノルンは、アスラ王国南部に転移したんだ』と。
……リディスの名前を出さなかったのはなぜだ?
「あの、父様はノルンと一緒に転移したんですよね?」
「………ん?ああ、そうだが」
「姉様は一緒じゃな「ルディ、その前にちょっと聞きたいことがある」は、はい。なんですか?」
話を遮られたことに少し驚きつつも、神妙な顔をしたパウロの話を聞く。
「さっきは、随分と楽しそうに冒険譚を聞かせてくれたじゃないか」
「…はい」
心配させないように気をつかった結果とはいえ、聞かされたパウロとしては面白くなかっただろう。さっきは特に何の反応もなかったが、やはり怒っているのだろうか?
パウロの威厳が増したせいか、緊張して自然と背筋が伸びてしまったルーデウス。
だが、次にパウロの口から出た言葉は、予想していたものとは違った。
「それだけか?」
「……は、はい?」
「楽しく冒険していたのはわかった。だが、本当にそれだけなのか?」
……どういう意味だ?
そんな疑問が顔に出ていたのか、パウロは神妙な顔で語った。
「たとえば、だな。その……何かこう、トラウマになるようなこととか」
「トラウマ、ですか?」
「そうだ。ほら、あー………悪党に捕まって、ご、拷問されたりとか…」
「拷問……」
「いやいや!言いたくないなら言わなくてもいいんだぞ!体は無事みたいだし、お前が何も思ってないならそれで……」
急に慌て始めた父親の姿を見て、ルーデウスは納得した。
つまりは、ルーデウスのことが心配なのだ。
楽しい思い出ばかりを語ったのが裏目に出たらしい。実は何か酷い目に遭ったりしたんじゃないかと心配になり、しかし踏み込んでいいことなのか、ちょっと自信がなくてこんな態度になったのだろう。
「(なんだよ。すっかり父親じゃねぇか……)」
怒っているように見えたのは、ただ緊張していただけなのだ。
そう思うと、ルーデウスは不思議と気が楽になった。知らず知らずのうちに肩に力が入っていたみたいで、何だか緊張していた自分が馬鹿みたいだと思った。
「大丈夫ですよ。そりゃあ、怪我したり、酷い目に遭うこともありましたけど」
「そ、そうなのか!?じゃあ……」
「でも大丈夫です。頼れる仲間がいましたから。全然、楽勝でしたよ」
「……楽勝か。そうか。それならいいんだ」
いつの間にか立ち上がっていたパウロは、あからさまにほっとした様子を見せながらも、そのままルーデウスを抱きしめた。
「今まで、よく頑張ったな。ルディ」
「……はい。僕も、会えて嬉しいです」
「生きててくれて、本当によかった……本当に」
「はい……」
●〇●〇●〇●〇●
少しして、二人は一旦宿を出て隣の酒場へ移動していた。
酒場には捜索団のメンバーが待機しており、二人が再会出来たことを祝福してくれている。
「(……そういえば、何か聞くことがあったような?えぇっと、なんだっけか)」
パウロと同じテーブルで寛いでいたルーデウス。
少し頭を悩ませると、あっ、と思いついたように口を開いた。
「そういえば父様、剣聖になったんですね。驚きましたよ」
「あ?そういやそんなこと言ったな」
「凄いですね。どんな修行をされたんですか?」
そう、倉庫でパウロは己を剣聖と言っていた。
上級でも十分達人と言えるが、聖級剣士はさらにその上を行く。
剣士の階級に置いて七階級のうち真ん中が聖級になる。
そう聞くと微妙に聞こえる。が、かつてギレーヌからチラっと聞いた限り、王級と帝級は数が非常に少なく、神級に至っては剣神流は剣神その人だけだ。
上には上がまだあるとはいえ、聖級はある種の到達点と言えるだろう。
しかし、パウロは酒を僅かに口に含むと、苦笑いしながら答えた。
「ありゃただのはったりだよ」
「え、そうなんですか!?」
「そうだよ。確かに、ここ1年くらいは鍛え直しちゃいるが、聖級にはまだ届かないな。光の太刀もたまーにしか使えねぇし。北神流ならちょっと自信はあるんだが───」
………パウロの話によると、今は北神流をメインに使っているらしい。
奴隷にされた難民を強引に奪還することもあるのだが、捜索団の戦力はお世辞にも強いとは言えない。可能な限り団員の消耗を抑えるため、パウロが単独で潜入したり、相手の警備や護衛を暗殺することもあるのだそうだ。
すると、当然ながら臨機応変な対応が求められる。
剣神流も水神流も鍛えてはいるそうだが、いつの間にか北神流の使い方が前より遥かに上手くなったらしい。何でもありの戦い、特に屋内での戦いなら各流派の聖級相手にも負けない自信があるそうだ。
正式な認可は降りていないが、今のパウロは北神流聖級、剣神流は聖級まであと一歩、水神流は上級のままということになるのだろう。
北聖のガルスより強いと感じたルーデウスの感覚は間違っていなかったらしい。
「お前こそ、あの尾行は中々うまかったぞ」
「そうですかね?バレちゃいましたけど」
「いや、正直気づけたのは偶々だ。クエストで鍛えられたのか?」
「そうですね───」
その後、リディスとノルンが帰って来るまで、二人は団員達に見守られながら和やかに談笑したのであった。