もし。黄瀬涼太が転生して、前世の記憶を持っていたら……。
彼はやっぱり、憧れのあの男を探すのでしょうね。
またまた青黄ちゃんです。
一応腐向けです。
輪廻転生しています。
短いのですぐに読み終わると思います。
甘々です。しょっぱいものを片手に読んで下さい。
私は小金井くん推しです。
それでは、最後まで読んで下さったら嬉しいです。
青峰っち、次の体育バスケしたいッス。
「あぁ?サッカーやる話だろ」
でも……次はバスケがやりたい。
「お前ってバスケ出来きんのか」
一応、中学の初めはバスケ部だったんスよ。すぐ辞めちゃったけど。
「何で辞めたんだ?」
…………。
「黄瀬?」
憧れていた人が……いたんス。
その人は凄く強くて、カッコ良くて、ちょっとていうかかなりバカで、傲慢で、ワガママで、誰よりもバスケのこと好きで。
俺は大体何でも出来るけど、いくら努力してもあの人に勝てなかった。
だからこそ、憧れた。
あの人に勝ちたい。それだけで生活してた。
放課後が楽しみで、部活が近づく度に胸がどきどきした。
キラキラした物が目の前にあって、掴めそうで届かなくて。もどかしいけど見てるだけで嬉しくて……。
1度でもいいからあの人に勝って、『ざまぁみろ。アンタに勝てるのはアンタだけじゃない』って、言いたかった。
けど、あの人はいなかった。
バスケをやってれば会えるって思ってたけど、あの人はバスケをやってなかったんだ。
大きな大会でも片っ端の学校を探した。でも、見つからなかった。
だからショックで、辞めちゃった。
「……そいつのこと、好きだったんだな」
うん。大好きだった。
「そんなに好きなら、また探せばいいじゃねーか」
そう、かな。もう正直見つからないって諦めてるッス。
「おいおいお前らしくねーな」
いいんス。“ここ”にはいないって分かったから。それに、今は青峰っちが好きだし。
「またそれかよ。もう笑えねーっつーの」
えー?いーじゃん。青峰っちだって俺のこと好きでしょ?
「あー?好きなわけあるか」
……むっ。じゃあ嫌い?
「嫌いじゃ、ねーけどさ……って、何言わせんだこの黄瀬野郎がっ‼」
えへへ。青峰っちだーい好き。
「引っ付くな‼」
そう、“ここ”にはあの青峰大輝は存在しない。どうやら、俺だけまた黄瀬涼太をやっているらしい。
最初、その事実に直面した時は寂しくなった。
所謂、前世の記憶という物が俺の脳みそを巣食っていると自覚したのは4歳くらいだった。それまでもそれからも、気味の悪い子どもとして見られてきたけど、青峰っちに会えると思うとそれだけで生きて来れた。
どうして、青峰っちに会えるって思い込んでいたんだろう。結果は悲惨なものだった。ぬか喜び程辛いものはない。
でも、『青峰大輝』は存在していた。
高校でその名前を見た時は、嬉しくて泣いてしまった。胸をぎゅっと掴まれて、どうしてかそれが心地よくて。
青峰大輝はサッカーで名前を轟かせていた。どこに行っても、根本的には変わっていない。
でもさすがに、バスケをやっていないことには愕然とした。
あの頃の青峰っちはもういない。
でも、1つだけ分かったことがある。
俺はバスケをやってる青峰っちが好きだって思い込んでいた。
違う、バスケをしていようがサッカーをしていようが関係ない。
俺はやっぱりどうしようもなく、青峰大輝が好きなんだ。
2回目の人生で、やっと気付いた。
だからいつか必ず、アンタに伝えるよ。
この俺の、情けない程の恋愛感情を。
「青峰っち‼」
俺は少し先の青峰っち言う。
今はまだ、この距離でいい。
冗談として受けてもらっても構わない。
でもいつか、必ず。
「ん?」
青峰っちが振り返る。相変わらず気怠そうだ。ちょっと笑ってしまった。
必ず、伝えるよ。
「大好き」
短い中で濃い内容が書けるようになりたいです。
切実に。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。