『ぼざろ』『虎に翼』の脚本家 吉田恵里香が語る、アニメと表現の“加害性” - KAI-YOU
上記の記事が注目をあつめてさまざまな反応を引き起こしているが、単語洗濯などからは下記エントリでまとめたことを思い出した。
アニメを見る時に、女体のエロティックな表現がノイズになったりならなかったりするという話題 - 法華狼の日記
文字や挿絵で必要な時だけ想像させる小説と、モノクロで描かれることが多い漫画と、カラーが基本のアニメとで、同じような印象をつくるには逆に適切な改変が必要になることがある。
WEB連載からTVアニメ化を果たした『姫様“拷問”の時間です』や『ダンダダン』が序盤の客引きにエロティックな描写を採用したことも思い出す。
上記の記事やエントリは、現在のインターネットで選択的に改変が拒絶されがちな女性の性的描写*1に注目しているが、もちろんそれ以外の描写が改変されないわけではない。
時にはメディアミックス作品になじんでいる立場から、原作に近づくことへの反発が生まれることすらある。
たとえば『ドラえもん』は、20年前にTVアニメの制作体制を全面リニューアルした時、瞳の中心に白いハイライトを入れたりヒロインの髪色を黒くするデザイン変更が反発された。
また、現行のアニメシリーズよりも以前に日本テレビでTVアニメ化された時があり、ドラえもんのライバルとしてガチャ子なるキャラクターが登場していた。
原作にも数話のみ登場していたが、原作者の生前には単行本に収録されず、原作者の全作品を収録する大全集でようやく一般的に入手できるようになった。
アニメ化は原作のあらゆる描写をひきうつすべきという立場からすると、原作者が削ったキャラクターが確認できる日本テレビ版こそが比較的に原作に忠実なアニメとなるのかもしれない。
もちろん『ドラえもん』は過去のアニメ化でも現行のアニメ化でも原作からさまざまな改変がおこなわれているし、成功と思うこともあれば失敗と思うこともある。しかし媒体を変えて客層も異なることを意識するならば、何らかの改変そのものは必須になるだろう。
*1:AFEEの政治家に対するアンケートが性的描写に偏っており、他の表現の自由を侵害する動きは無視されていたことが記憶に新しい。AFEEの参院選アンケートへの回答や反応を見ていると、そこで語られる「表現の自由」が極めて限定されたものとしか思えない - 法華狼の日記