前回は、私が民泊を始めたきっかけと、不動産投資家に民泊事業を勧める理由についてお伝えしました。第2回目は民泊の人気エリア、そして民泊向け物件の仕入れや転貸の相場等についてお話しします。
■政府の年間訪日外客数の目標は2050年までに1億人
私が行っている民泊ビジネスは主に外国人を顧客ターゲットにしています。理由はいくつかありますが、日本が構造的に円安であり、インフレ率も低いため、国内よりもインバウンドを対象にした方が単価の面で有利ということが大きいです。
インバウンドの勢いは皆さんもご存じと思いますが、2024年の年間訪日外客数は36,869,900人で、前年比では47.1%増となり、2025年も去年の数字を上回って推移しています。このままいくと、恐らく2025年は4,000万人を突破するでしょう。
政府の目標は2030年までに6,000万人、2050年までに1億人とされていますが、この数字も現実的になってきました。オーバーツーリズム等の課題はありますが、人口減少が止まらない日本にとってインバウンドは頼みの綱であり、今後も政府の後押しは続くことが想定されます。
※観光庁宿泊旅行統計調査
ただし、私は、今後は日本人を対象にすることも考えています。将来的に円高になる可能性もありますし、この10年で民泊が日本人にも浸透したことで、日本人の利用者の増加も期待できるからです。また、インバウンドの伸びはいつかは止まると考えているということもあります。
国内の宿泊数は全体の延べ人数で5億9,275万人泊であり、このうち日本人は4億7,842万人泊。外国人の延べ宿泊者数は1億1,434万人泊ですから、日本の人口が減少する今でも、国内の宿泊数の方が圧倒的に多いのです。
現在でも、都心やニセコなどの一部の観光地ではホテルやレストランの単価が上がり、日本人が利用しにくくなっています。今後、ホテルより割安の民泊を選ぶ日本人はより増えていくことが予想されます。
國分さんが運営する民泊物件
■大都市は人気だが競争も激しい
民泊が人気のエリアはどこでしょうか。
「民泊=インバウンド」という考えでいくと、インバウンドに人気のエリアとなり、必然的に東京、大阪、千葉、京都、福岡などの大都市となります。
しかし、どこで民泊をやるべきか?という視点で考えると、答えは単純ではありません。
他のビジネスと同様、民泊の宿泊単価も需要と供給で決まるため、どんなに需要が多くても、供給がそれ以上に多いエリアでは、単価が下がります。
そして、都会では民泊の供給数がかなりのペースで増えています。大切なのは、需要と供給のバランスということです。
例えば東京都は宿泊者数5,904万人泊に対して民泊の部屋数は13,909件で、大阪は3,052万人泊に対して4,896件です。
大阪の方が少ないように見えますが、大阪は特区民泊(国家戦略特別法に基づく民泊)の対象であり、特区を合わせると施設数は9,000件近くあります。
また、東京は民泊ができない(又は日数制限などの上乗せ条例がある)「住居専用地域」が多いのに対し、大阪は大阪市の大部分で特区民泊が可能なため、構造的に供給が増えやすく、需給バランスが崩れやすい環境にあるため、民泊激戦区となっています。
東京都内(23区)でみても、インバウンド人気が高い「渋谷、新宿、浅草、上野、秋葉原」は当然、民泊をやりたい人も多いのですが、例えば渋谷の住宅宿泊事業の届出件数は、約1,500件なのに対して新宿は3,000件以上となっており、先ほどの需給のバランスでいうと渋谷の方が利益を出しやすいエリアとなります。
これも同じく用途地域の問題で、渋谷区は住居専用地域が多く、新宿は少ない為です。
※特区民泊(国家戦略特別法に基づく民泊)
産業の国際競争力や国の成長戦略推進を目的として、特例として国から認められたエリアにおいて認定を受けたうえで、営業を行うことが可能となる民泊を指す。
年間の営業日数に下限はないので、年間180日の上限が決められている住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊よりも大きな収益を見込むことも可能。
また、1泊2日の短期滞在者の宿泊は認められておらず、最低でも2泊3日を下限とした宿泊日数が必要となる。
Beds24より
■民泊向け物件の仕入れについて
私は主に東京都内(23区)で民泊を運営してきました。
物件情報が多く入ってくること、需給のバランスが崩れにくい環境にあること、立地により差はあるものの都内全域で民泊の需要があることなどが理由です。
同じ理由で、都内は初心者でも取り組みやすく、失敗しにくいと感じます。
私がどうやって物件を探しているかというと、ほとんどが民泊可能物件を紹介してくれる専門の不動産業者さんか、一度借りて付き合いのあるオーナーさんからの紹介、サロンの仲間からの紹介等です。
都内では転貸物件は競争が激しく、家賃相場も上がっており、良い物件を探すことの難易度が上がっています。
個人でネットを検索して地道に探す方法もありますが、プロの業者さんが血眼になって探しているため、簡単ではないのは明白です。
他方、地方の観光地周辺の物件は超有名な場所でない限り、まだまだ物件が見つかりやすく、個人で見つけることも十分可能です。また、不動産の価格が比較的安価なため、購入して運営される方も多くいます。
ただし、地方の観光地で成功している物件や、民泊ホストさんの管理のレベルは都心の民泊よりも高いように思います。地方では建物自体のグレードや内装、運営方法などに力をいれないと簡単には儲からないということです。
と言いつつ、民泊の需要はあるけど供給はまだ少ないような穴場的な場所もありますし、そういった場所はライバルも少ない為、物件のレベルがそれほど高くなくても密かに儲かっているというケースも耳にします。
その他に、買い側としてM&Aの仲介サイトを利用する方法もあります。民泊ビジネスを開業したものの、様々な理由で事業を売却したいという方がいらっしゃいます。赤字のものもありますが、きちんと利益が出ているものもあります。
見極めは必要ですが、0から物件を探して家具や家電も一通り揃った状態から始められるというメリットは小さくないでしょう。良い物件に出会って、すぐに初期費用を回収できたというケースもあるので、選択肢の一つとしてはアリだと思います。
■月額売上の目安は「建物の延べ床面積×0.7~1.5倍」程度
東京都内の民泊物件の賃料相場(転貸可能物件をオーナーから借りる時の家賃)ですが、一般賃貸のおよそ1.2倍程度から、立地が良いと2倍程度になります。
民泊では、家賃の3倍の売上があれば安定的に利益が出ると言われます。立地によりますが、一般的に「建物の延べ床面積×0.7~1.5倍程度」の月額の売上が見込めます。
例えば100㎡の建物でm売上が100万円/月出ていて、通常の家賃が33万円以下ならば、利益が出やすい物件といえます。
ただ、渋谷のような人気の場所では「家賃=㎡数」近くになることもあります(100㎡で家賃100万円)。それでも、立地が良ければ売上が200~300万円/月になることも珍しくなく、そういうパターンで十分利益が出ることもあります。
次回の3話目では、民泊の運営方法について解説・紹介します。