フィリピン事業への投資話 SDHは、なぜ460億円ものお金を集められたのか 被害に遭わないために #エキスパートトピ
フィリピンで行う事業へのウソの投資話で勧誘して金銭をだましとったとして、警視庁は詐欺容疑で「S DIVISION HOLDINGS(SDH)」の実質的な経営者である須見一被告ら3人を再逮捕しました。集めた出資金の総額は460億円といわれます。世の中を騒がせた事件に「西山ファーム」をめぐる投資詐欺がありました。東南アジアに逃亡していた元代表取締役が2024年にようやく逮捕されましたが、この事件では約133億円が集められたとされています。それをはるかにしのぐ金額です。どのような手口でお金を集めたのでしょうか。
ココがポイント
外国社債購入を国に無登録で勧誘したとして、警視庁生活経済課は金融商品取引法違反(無登録営業)の疑い(中略)男女9人を逮捕
出典:産経新聞:産経ニュース 2025/8/8(金)
須見容疑者らは国内の代理店を通じてSDH社債などを販売。2016~24年に約460億円を集めたとみられる。
出典:時事ドットコム 2025/8/27(水)
SDH社債の償還および利息の支払い能力に問題がない」と話していましたが実際には年に数千万円から1億円以上の赤字の状態
出典:日テレNEWS NNN 2025/8/27(水)
証券取引等監視委員会は28日(中略)男性に対し、金融商品取引法に違反する業務の禁止と停止を命じるよう大阪地裁に申し立てた
出典:日本経済新聞 2023/6/28(水)
エキスパートの補足・見解
取材をした3000万円以上の被害に遭った50代女性は誘われたセミナーで、電子マネーや暗号資産など時勢に合わせた投資話もされて、最初に2000万円を出しています。年利15%記載の契約書は英文で内容をよく理解させないまま契約をさせたものと思われます。
巧妙なのは、出資者を現地の視察ツアーに連れて行き、運営がうまくいっているように見せかけている点です。当時被害女性が撮った写真も順調な経営がなされているように思えるものばかりですが、実際にはエキストラを使って演出をしたといいます。アフターケアーも万全だったため、多くの人が詐欺に気づかずお金を出し続けて460億もの金額になっています。
SDHはポンジスキームの形で自転車操業的にお金を回して、出資者への配当を出していたと考えられますが、これは新規の出資者がいて成り立つものです。実際の運営は赤字で、証券取引等監視委員会の申立てによる停止命令により、勧誘ができず資金状況が窮して、詐欺が発覚したと思われます。
被害に遭わないために、多額のお金を出す時には一人で決めず必ず誰かに相談する。そして金融庁に登録されているかを確認し、無登録の業者の場合絶対にお金を出さないようにして下さい。