起業家

2025.09.05 14:15

クラゲならヨシダと世界が認知。日本人クラゲ1万匹養殖家、武器は「高参入障壁」

香港在住の日本人起業家・吉田俊広氏

クラゲは起点に過ぎず——

現在はレストランなど商業施設向けクラゲ水槽レンタルのサブスクリプションなど、事業の多角化も進めている。将来的にクラゲでどういった展開を考えているのか尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「クラゲは私にとってスタート地点に過ぎないんです。本当にやりたいのは、地球の水をきれいにすること。水槽という小さな世界を整える技術は、もっと大きなスケールで地球の水環境の改善にも役立てるはずだと思っています」

クラゲの養殖で身につけた知識や技術を、川や海などもっと大きな水の世界にも応用していくため、ろ過装置の開発も進めている。さらに、自分のクラゲ養殖場を「研究の場」として、世界中の研究者が集まれる場所にしたいという。

「今まで自分が好きなこと、楽しいと思うことをやってきただけですし、これからもそれは変わりません。好きなことをし続けた先に、社会に良いインパクトを残せたらと考えています」

こう話す彼の胸には、研究者としての揺るがない探究心と、起業家としての熱い想いがある。クラゲとともに歩み始めた挑戦は、これからも続いていく。




堀江知子(ほりえ・ともこ)◎香港在住のインタビューライター。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。民放キー局で15年以上にわたり、アメリカ政治や国際情勢の取材に携わる。2022年からはアフリカ・タンザニアに拠点を移し、フリーランスとして独立。現在は香港を拠点に、グローバルに活躍する日本人の姿や、現地発のレポートを国内外のメディアに届けている。著書に『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法(Kindle版)』がある。

取材・構成=堀江知子 編集=石井節子

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

2025.03.01 14:15

3大陸36.9万円、ファーストクラスも夢じゃない「世界一周航空券」とは

Getty Images

Getty Images

「世界一周航空券」をご存じだろうか。世界中の航空会社間の連合組織、航空アライアンス(航空連合)の空港圏内で、くるりと世界一周するようにルートを組むことができ、ワンセットで購入すると格安で飛行機に乗ることが可能なチケットのことだ。例えば世界規模の航空連合のひとつ、「ワンワールド」の世界一周航空券の場合、JAL、ブリティッシュエアウェイズ、アメリカン航空などを乗り継ぐことができる。

本稿では、そんな世界一周チケットの魅力について、1級フィナンシャル・プランニング技能士であり、『やってはいけない「ひとりマンション」の買い方』(青春新書)や『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。』(Gakken)など約30冊の書籍を手がける風呂内亜矢氏が、パートナーとの体験・知見を共有してくれた。なお、世界一周航空券を使った旅の様子はYouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」でも公開されている。


世界一周旅行を専門とする旅行会社も


私たち夫婦は2023年5月16日(火)から7月8日(土)の54日間、「世界一周航空券」を使って約2カ月の旅行に出かけました。

世界一周航空券とは、航空会社の連合組織単位で発券している航空券のことで、連合組織内の航空会社を複数組み合わせて世界をぐるっと一周する組み合わせをワンパックで購入する航空券のことです。普段、航空チケットを手配する際、直行便より乗り継ぎ便が安いことがありますが、その発展版でぐるっと世界一周する形で購入すると、格安に飛行機に乗れるというものをイメージしていただくと良いと思います。

大西洋と太平洋を1回ずつ横断すること、大陸レベルでの逆走はできないこと、ある大陸での途中下車は3回までなど、選択する世界一周航空券の種類によるルールや細かな違いがありますが、ルールに則った航路を組み合わせることができれば、かなりお得に飛行機に乗ることができます。

世界一周航空券については世界一周旅行を専門とする旅行会社「世界一周堂」のサイトや、いくつか特化した書籍がでているため、それらも併用してみていただく方が良いかも知れません。

日本に住んでいる人の一般的な選択肢としては、JALが所属するワンワールドの世界一周航空券か、ANAが所属するスターアライアンスの世界一周航空券の大きく2択になります。デルタ航空などが所属するスカイチームも以前は世界一周航空券を発行していましたが、現在は販売していないようです。

世界一周航空券自身は新しい商品ではなく、私も20年くらい前に知人が利用したこともあり、その存在を知っていました。人によってはいったん中断して帰国して、また別のタイミングで続きの旅を楽しむという人もいるそうです。このチケットは1年以内に戻ってくる行程を組まないといけないため、例えば、夏休みに東京からアジア諸国を周遊して、いったん帰国(この時の帰国便と中断したアジアの都市に戻る便は別途手配)。年末年始のお休みで中断したアジアの都市に戻って、ヨーロッパ、アメリカと巡って帰国するという形などで利用する人もいるようです。

SEE
ALSO

ライフスタイル > 旅

マックス16回乗れる、空旅の新常識「世界一周航空券」

次ページ > 想像以上に安く便利なことが分かって、実際に買ってみた

文=風呂内亜矢 編集=石井節子

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

サイエンス

2025.09.01 14:15

1万1000年前の肉と石を貫いた「声」。アナトリア新石器時代のボディピアス発見

Getty Images(写真はイメージ)

Getty Images(写真はイメージ)

西アジア、トルコ共和国アナトリア南東部の大地。時の流れが塵と静寂の奥深く沈められた、その地中から新たな発見が得られた。

マルディン県ダルゲチト地区の険しい地形に抱かれた新石器時代の集落、ボンジュクル・タルラ。そこで考古学者たちが掘り当てたのは、ただの遺物ではなかった。石、黒曜石、大理石、そして自然銅で作られた唇や耳のピアスなど、1万1000年以上も前に人の身体を飾っていた装飾品だ。そしてそこには、アイデンティティ、通過儀礼、儀式、そして共同体への帰属といった物語が刻まれていた。

身体に綴られた文明

紀元前1万300年から紀元前7100年頃まで、不断に人が住みついていたボンジュクル・タルラは、その地の建築遺構や膨大な装飾品群によって考古学的注目を集めてきた。2012年以降に発掘されたビーズやペンダント、そして装飾品は10万点を超える。

だが近年、成人の埋葬遺構から発見されたラブレット(唇用装飾)や耳飾り状の遺物は、この発見の連鎖に新章を加えた。多くは下顎骨や側頭骨付近——まさに装着されていたであろう位置——で見つかった。さらに下前歯の微細な摩耗痕は、唇の装飾が長い間日常的に用いられていただろうことを示している。そこには、石だけでなく、歯のエナメル質と肉体に嘗ての身体文化の痕跡が刻まれていた。

「存在を刻む」装飾

現代ファッションにおける装飾の意味とは異なり、ボンジュクル・タルラのピアスは、シンボルとしての役割を大いに果たしていたようだ。子どもの埋葬には見られず、大人にのみ付けられている事実は、無垢から責任への移行、匿名から社会的存在への変容といった通過儀礼を示唆している。

人間の身体は単なる生物的存在ではなく、儀式と装飾によって意味が刻まれる神聖な「画布」であった。ピアスは単なる美的欲求を満たすものではなく、宇宙論における信念の具現化であり、自己と共同体、生者と祖先、可視と不可視を結びつける役割を果たしていた可能性がある。

沈黙と象徴の間に

文字のない世界では、意味は身振り、石、そしてリズムを通して巡り、身体そのものがテキストとなった。これらの装飾は、性別、地位、年齢、さらには霊的権威までも語った。他者から見られ、覚えられる存在であることの証だった。いわば、皮膚と魂に刻まれた宣言だ。そこから垣間見えるのは、遠く離れていながらもどこか親しい文明の姿。都市や帝国の時代以前にも、人々はすでに「自分は何者であり、何を信じるのか」を示すことを望み、生を運び、死へと導くその身体に印を刻んでいた。

ボンジュクル・タルラのピアス装飾は、人類の装飾史をさかのぼらせるだけではない。初期新石器時代の思想、美意識、社会構造に対する我々の理解を更新する。それは、アイデンティティは古代から存在する欲求であることを再確認させ、人類初期の集落においても、身体はすでに表現と儀式、そして意味の器だったのだ。

※本稿は「PopularArchaeology」からの翻訳である。

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事