発達障害就労者、大卒でも年収200万円台が一生続く?本人や親の悩みは…
■障害者枠で働く発達障害者の年収は平均258万円
発達障害者の就労を支援する株式会社Kaienが筑波大学の佐々木銀河准教授との共同研究として、2022年から2023年にかけて行った調査では、発達障害の診断や傾向がある18歳以上の人、約1100人からの回答を集計した結果、障害者枠で働く場合の年収は平均258万3500円、一般枠では平均346万4700円だったということです。
(出典:「発達障害就業実態調査 2022年度版(筑波大学・株式会社Kaien)」https://www.kaien-lab.com/staffblog/jittai2023/)
一方、国税庁によると2023年、日本の給与所得者の平均給与は460万円です。上記の調査を行った筑波大学佐々木銀河准教授はこうコメントします。
「まず、収入の低さに関して、業務能力と紐付けて議論されることもあるかと思います。障害の有無にかかわらず、雇用主の方針や、職種、業務内容等のさまざまな違いにより給与体系が決められているかと思います。しかし、障害者であることを理由に給与体系を分けている、ないしは、賃金を低く設定しているとしたら、それは障害者雇用促進法を踏まえると、不当な差別的取扱いです。また、障害者求人枠は、職種や業務内容が限定されている場合が、一般採用枠と比べて多く、雇用主側において障害者にできることを狭く考えている可能性も懸念されます。職種や業務内容を限定することが、賃金の低さとも関係すると考えられますので、さまざまな障害者がいることを念頭に、障害者求人枠における職種や業務範囲の拡張が期待されます」
前述の男性は、今後の仕事について「漫然と業務に取り組む以外に、業務のマニュアルを改訂したり、新人教育に携わったり、いろいろな形で会社に貢献したい」と意欲を示しています。
■彼らが働き続けていることへの後押しをして欲しい
「発達障害就労者の親の会」のメンバーは、「昇給があまりないのが本当に問題。大企業の初任給の大幅アップのニュースを聞くと、障害者枠の従業員の大幅賃上げもあるんですかと問いたくなります。」と話します。
さらに「発達障害というと、いわゆる”ギフテッド”といった、ある分野に優れた能力がある子を思い浮かべるかもしれませんが、そのような子ばかりではない。人と関わるのが苦手で、生きづらさを抱えているが、それが外からは見えにくい。自助努力しろといわれるが、彼らはまじめにコツコツ努力している。今回、経済的な支援を、と要請したのは、彼らが働き続けていることへの後押しをして欲しいということなんです」と切実な声をあげています。
現在、経済的な支援は、非課税世帯などには手厚い一方で、それより少しだけ収入が多い層は様々な支援制度の対象外となり、物価高の中、ますます生活が苦しくなっています。
発達障害の特性がある人たちが”誇りある就労者、納税者”として社会に貢献していることを認め、それをどう支えるか、また人手不足が深刻な中、多様な人材の活用は、企業や社会の維持のためにも必要です。
なお、国立精神・神経医療研究センターは「自閉スペクトラム症は、人生早期から認められる脳の働き方の違いによって起こるもので、親の子育てが原因となるわけではありません」と解説しています。