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中核支援としての親の会〜なぜ親の会は必要なのか〜

不登校支援を「届くもの」にするために現場からの声を受け取って、立ち止まり、考え直します。

先日、「不登校ビジネス」に関するNOTEを公開しました。「支援はある。でも届かない」という構造的な問題について、現場で感じてきたことを自分なりに整理した内容です。

その投稿に対して、さまざまな立場の方から反応をいただきました。
中でも、当フリースクールがある長崎県大村市よりも二歩も三歩も先に進んでいる地域の実践者の方々から寄せられた声は、とてもありがたく、学びの多いものでした。

今回はその声を受けて、自分の視点を改めて整理し直しながら、「支援情報の届け方」について、より現実的な視点で再構築するためのメモとして、書き残しておきたいと思います。

「紹介」とは何か──地域によって異なる問いの出発点

いたばし不登校・ホームエデュケーション保護者会さんからは、こんなフィードバックをいただきました。

行政によるある種の選別の上で「紹介」することに意味をもたせるなら、その選別の適正さがこちらの考えるそれとおおいに食い違っていた」ということですので、恐らく、学校や教育委員会からある程度の情報は与えられるけれども、そこで提供される情報が「なぜそこを?」(「なぜあそこは入ってないの?)と感じることが少なくなかったということなのではないでしょうか。

行政による情報提供が、保護者にとって適切とは感じられない形で行われていた状況をうけて、「いたホム」さんたちは、ご自身たちで「網羅的な情報発信」を進められたそうです。

承認・認可をめぐって起こる民間団体のトラブル

また「いちご大福」さんからは、別の観点からのフィードバックをいただきました。

これも僕があまり想定していなかった内容でしたが、ここでの論点は、次の三つぐらいに整理できそうです。

「行政に紹介される/されない」団体間の対立
②「認可=安全」ではない
③「補助金支出」後の自治体の監督不全

①「行政に紹介される/されない」団体間の対立について
行政がある団体を「公式に紹介」すると、されなかった団体に「不公正」あるいは「不利益」と受け取られやすいのは容易に想像できます。特に、民間団体は資金的に苦しい中で運営されていることも多く、行政の紹介・認可の可否が、嫉妬・不信・内部告発的な動きへとつながる可能性があります。

それが本当に問題のある告発であれば必要なものですが、「足を引っ張る」ための攻撃にもなりえます。行政による「紹介・認可の可否」自体が対立と不信を生む火種になってしまうかも、ということですね。うーむ。

②「認可=安全・良質」を意味するわけではない
次に「認可」とその団体の運営の質がイコールではないことも、言われてみれば確かにうなずけます。これまで高齢福祉分野においても、あるいは「放課後等デイサービス」や「認可保育園」などでも見られてきたことですが、その団体が認可要件を満たしていても、必ずしも運営実態までが良質であるとは言えません。

少し前に、信州型のフリースクール認証制度が話題になりました。考えられる動きとして、今後、そうした例にならって、不登校支援施設や地域の居場所に関しても「認証制度」を導入する地域がでてくることです。そして、長野のように熱量をもって(先行して)認証制度をつくった地域とは違い、それを「前例」として模倣し、教育行政が自らの体裁のためにアリバイ的に制度化した地域においては、この「認可・認証」と「運営の質」が乖離する可能性は高くなることが予想されます。重要な論点ですね。

③「補助金支出」後の監督不全
次に②にも関わることですが、仮に行政が助成金など出しても、その後の細かい監督や実態把握は非常に難しい。実際、放課後等デイサービスや保育園でも、人手不足、ノウハウ不足から、行政的な改善指導が持続的な実効力を持たない場合も少なくありません。

以前、鳥取県の公費助成の成立プロセスを直接鳥取県の職員さんにインタビューしたことがありましたが、その収録後の雑談の際に「今後の課題は、公費助成の基準です。子どもたちに自由に過ごさせている、と言いつつ、実際には単に放置していて、教育的な活動を何もしていない、という団体などに果たして公費助成すべきなのか。。」と話されていました。

公費助成を行っている団体に、行政職員が毎週調査にいくわけにもいきません。「いちご大福」さんがおっしゃる様に「自治体の見回りが行き届ききらず、補助金は渡したものの実際は無法地帯」ということも、現実的に起こってきそうです。

行政による民間団体評価の根本的な限界

また「川越不登校親の会」さんからは、こんなこんなフィードバックをいただきました。

ここでは、行政が民間支援団体を「適切に」評価することが、行政という性格上、根本的に難しいのでは?という問いが投げかけられたのだ、と僕は理解しました。行政が担えるのは、その地域にあるフリースクール等を網羅し、できたとしても、その設立年や職員数、費用といった形式的な情報のリスト化くらい。「どんな子どもに合うのか」「支援の質はどうか」までを評価し、公の情報にすることはできません。いわば民間施設をミシュランのレストランのように星をつけて評価するような、そんなことは行政にはできないし、そもそも、すべきでもありません。

さらに同じポストの中で、親の会が、この民間団体の実質を評価する役割を持っていることが語られています。

親の会のようなインフォーマルな場には、当事者である保護者たちが体験を持ち寄りながら、支援内容の質を評価し、時には子どもと施設の提供するサービスのマッチングを考えたりするという、非常に重要な役割があります。これは、単なる情報の交換ではなく、「我が子に合った場を見つけたい」という切実な願いから生まれる実践的な知の蓄積であり、リストやパンフレットでは伝わらない質の判断がそこで行われています。

行政の「公式」であるがゆえに形式的な「支援情報」を具体的に意味のある情報として保護者に届ける存在として、親の会がある。形式を実質化する役割です。

多くの地域が未来で直面する課題

みなさんの反応から僕が感じたのは「なるほど。教育支援センターの情報さえ保護者に伝えられているか不確かな当地とは、直面している課題がずいぶんと違っているなぁ」ということでした。

僕自身は、様々な懸念点があったとしても、制度や仕組みを少しでも前に進める立場ではありますが、今回のやりとりを通して、制度や仕組みをつくることが内在的に持たざるをえない課題にもっと慎重であらねばならないと気づかされました。色々な反応をいただいたことに本当に感謝しております。

今回の記事内容は、今後、様々な地域が直面する課題でもあると思います。日本全体でみれば、フィードバックをくださったみなさんの地域よりも、僕らの現状に近い地域が多いはずです。ですので、今回の記事が各地で不登校対策が進んでいく時に注意しておかなくてはいけないポイントを示唆するものになっていればと思います。

最後に「親の会」の役割を改めて考えさせられたので、その点について書いて終わりにします。

親の会は中「核」支援である

上に書いたように、民間施設の質と適合性の評価は、公的な情報発信では扱いきれません。しかし、保護者が本当に欲しいのは「わが子に合う場所はどこにあるのか」という、まさに「質」にかかわる情報のはずです。

そこで必要なのが、情報を質的に翻訳し、媒介し、つなぐ存在です。これは「中間支援」と呼ばれることもあると思いますが、親の会の場合は、子どもたちを本当に必要な場所につなげ、支援の実質を担保するという意味で、むしろ、そこも支援の一つの「核」であると感じています。そうした理由から、ここでは「中核支援」という表現をあてています。

地域の支援者、第三者的な立場の実践者がフォーマルな制度情報と実際の経験知を保有し、保護者が安心して判断できる情報環境を整えている場所。それが親の会です。そして、この中核支援としての親の会は、支援構造の補助輪ではなく、子どもに支援が正しく届くための、まさに核となる働きをしています。(もちろん、保護者にとっては、親の会が支援そのものでもあります。)

行政が発信する情報を地図だとすれば、その地図を頼りに、どこに行けばいいか、何を避けた方がいいかは、道を知る人との対話の中でしか見えてこないでしょう。そのナビゲーター的な存在が親の会の主催者さんたちになります。

制度としての支援情報はもちろん重要です。 しかし、それは、いわば(単なる)地図記号です。フォーマルな情報発信と、それを実質化する親の会や当事者の会。この両者をあわせて設計していくことで、ようやく「支援がある社会」から「支援が届く社会」へと歩みを進められるのだと思います。

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