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2025.09.15 10:00

「もうおしまいだ」利下げによるビットコイン高騰予測の中、イーロン・マスクが膨張する米国家債務に警鐘

イーロン・マスク(Allison Robbert-Pool/Getty Images)

今年に入り金価格は40%上昇し、ビットコインや株価指数を大きく引き離している。しかし、FRBの金融緩和により、「デジタルゴールド」としても見られるビットコインの価格も、今後数カ月でその動きに追随するとの見方もある。

「この環境下でビットコインは独自の価値を提供する。FRBが来週25か50ベーシスポイント利下げしようと、インフレが再加速しようと、景気が一段と減速しようと、ビットコインは複数のシナリオに対するヘッジとして資金を引き付け続ける」と、ザポバンクの投資マネージャーであるガディ・チャイトはEメールで述べた。さらに、米国時間9月10日に7億5700万ドル(約1118億円)という「大規模な」ビットコインETFへの資金流入があり、これは今年7月以来の最高額であると指摘した。

「現在、金と米国の株価指数がいずれも史上最高値にあるが、それはまさに紙幣印刷機が再び稼働しようとしているからだ。しかしビットコインは依然として史上最高値から10%下の位置にある」と、ニュースレター『Wealth Mastery』の著者ラーク・デイビスはEメールで書き、「この環境下ではビットコインこそ最も非対称な上昇余地を持つ」と付け加えた。

トランプ政権から劇的に離脱した後、マスクは自身の新政党「アメリカ党」がビットコインを採用する可能性があるという噂を認め、Xユーザーから寄せられた、「アメリカ党はビットコインを受け入れるのか?」という質問にこう答えた。

「法定通貨は絶望的だ。だから、その通りだ」とマスクは書き込み、これがビットコイン価格を押し上げた。ここで言う法定通貨とは、金本位制を放棄する以前の、資産に裏付けられたドルとは異なり、政府によって発行される通貨のことを指している。

6月、マスクは米国政府の制御不能な支出削減を訴えるキャンペーンを再開し、ビットコインが米ドルに代わって世界の基軸通貨となり得るとの見方を支持した。これにより、約3兆ドル(約443兆円)を債務残高に上乗せすると見込まれるトランプの看板法案「Big Beautiful Bill」を公に非難することとなった。

「有権者が議会に対して赤字削減と債務返済を求めなければ、ビットコインが基軸通貨に取って代わるだろう」と、暗号資産取引所コインベースのCEOであるブライアン・アームストロングは、マスクがシェアしたXへの投稿で述べた。

一方で、ますます制御困難となる国家債務は、米国政府が「世界を犠牲に自国の巨額債務を帳消しにし、金融システムを自国有利にリセットするのではないか」という過激な憶測を呼んでいる。

「米国は今、金と暗号資産市場のルールを書き換えようとしている。彼らの債務規模を思い出してほしい。35兆ドル(約5168兆円)だ。これら2つの分野は、本質的に従来の国際通貨システムの代替である」と、プーチン大統領の上級顧問アントン・コビヤコフは東方経済フォーラムで述べ、ロシア・ダイレクトによって翻訳されXに投稿された。

昨年の選挙キャンペーン中、トランプは米国の35兆ドル(約5168兆円)の債務をビットコインで返済する可能性に言及し、フォックス・ビジネスに「我々の35兆ドル(約5168兆円)を返済する際、少し暗号資産の小切手を渡すかもしれない」と語った。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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2025.08.29 11:00

航空業界に挑むBAKUNE——疲労回復パジャマが切り拓く移動新時代

分刻みのスケジュールで挑戦を続けるビジネスエグゼクティブは、世界各地への移動が日常だ。時間価値を最重視するトップ層にとって、長距離移動による疲労は大きな課題となっている。その概念を根本から覆すチャレンジが、ANAビジネスジェットが手配するプライベートジェットの機内で始まっている。 

到着地で最大のパフォーマンスを発揮するために、移動時間を貴重な「回復のゴールデンタイム」に変える。その革新的な体験のサポートをするのが、いま注目を集める疲労回復パジャマ「BAKUNE」だ。


プライベートジェットは、欧米に追随する形で日本でも利用が拡大している。主な顧客層は企業トップなどのビジネス客、政府要人、富裕層ファミリーなどだ。プライベートジェットは希望する時間に専用ターミナルから出発できるため、特に分刻みのスケジュールで動くビジネス客にとっては、効率的な都市間移動を可能にする。

機内は応接間のような空間とベッドルーム、ギャレーを備え、機内食やドリンクは航空法の範囲内で利用客の要望に応じてカスタマイズされる。ANAビジネスジェット(以下、ABJ)社長の世継崇は、「移動する時間価値の最大化を目指して、サービスを提供しています。利用客は忙しく活躍される方ばかりなので、広い機内空間でリラックスしていただきたい」と語る。

ABJがTENTIAL(以下テンシャル)との協業を始めたのは、2023年のことだ。TENTIALは創業者・中西裕太郎が高校時代の心臓疾患でサッカー選手の夢を断念した経験を原点に、2018年に設立されたコンディショニング企業だ。スポーツ科学の知見を活かしてアパレルや寝具、インソールなど健康を支えるアイテムをBtoC展開している。

社名は「ポテンシャル」に由来し、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションを掲げる。健康は医学と密接に関係することから科学的根拠を重視した製品開発にこだわり、複数のプロアスリートを共創パートナーとして支援している。そのテンシャルがABJと協業し、プライベートジェット利用客に疲労回復パジャマ「BAKUNE」の提供を始めた。

ANAビジネスジェット機内で提供されている「BAKUNE」 ※機材はフジビジネスジェット(株)のFalcon
ANAビジネスジェット機内で提供されている「BAKUNE」 ※機材はフジビジネスジェット(株)のFalcon

「挑戦する人を応援する」思いをともに

当時、研究機関により科学的効果の証明は進んでいたものの、BAKUNEの認知度はまだ低く、世界の第一線で活躍する挑戦者への認知拡大が課題だった。「限られた時間で最大限のパフォーマンスを発揮する必要性は、アスリートもビジネスパーソンも同じです。多忙なエグゼクティブにこそ、移動中に疲れる前に身体のコンディションを整えていただきたいと考えました」と、中西がABJに協業を提案した背景を振り返る。

話を受けた世継は、偶然にも友人からBAKUNEをプレゼントされた経験があった。ショートスリーパーの世継だが、BAKUNEを着て寝ることで、睡眠環境を大事にするようになり、コンディショニングを意識しはじめたのだという。

「自分が気に入ったように、効果を試したいという方も多いでしょうが、個人購入には価格面のハードルがある。それは、プライベートジェット利用客も同様でしょう。であれば、まずお試しいただけるようプレゼントしよう」と協業を決断した。「挑戦する人を応援する」——ABJとテンシャルの想いが重なった瞬間だった。

利用客のあらゆる要望に応えるプライベートジェット。その中で、BAKUNEは利用客の想定を超える、ABJとテンシャルからの「移動時間=コンディショニングの時間」という新たな価値提案だ。

多忙な挑戦者が抱える健康課題にアプローチ

TENTIAL 代表取締役CEO 中西 裕太郎
TENTIAL 代表取締役CEO 中西 裕太郎

飛行機移動は気圧変動により身体にも負担をかける。加えて長時間の同一姿勢により血流が滞り、筋肉の緊張や疲労が蓄積される。これは特に、過密スケジュールで緊張状態が続くエグゼクティブ層にとって深刻な課題だ。

この課題にアプローチできるのが、疲労回復パジャマのBAKUNEだ。核となるのは特殊繊維「SELFLAME®」の技術である。この繊維は身体から発せられる遠赤外線を吸収し、再び身体に輻射(熱エネルギーを放射)することで血行を促進する。血行促進により筋肉のコリ等の改善、疲労回復が促される仕組みだ。科学的根拠に基づいて開発されたBAKUNEは、家庭用遠赤外線血行促進衣自主基準をクリアし、一般医療機器として届出を完了している。※1

※1:届出年:2023年 医療機器製造販売届出番号:13B1X10360000026(ABJにて提供しているBAKUNEに関する届出)

2024年4月に開始されたプライベートジェットでのBAKUNE提供は、利用客から好評を博している。

「各界のエグゼクティブから、ポジティブな感想を多数いただいています。ある富裕層ファミリーは、全員がBAKUNEを着用したまま到着地で機内から降りてこられました。よほど着心地が良かったのでしょう」(世継)

この話を聞いた中西は、「当社単独ではアプローチできなかった層に、我々の価値が届いていることを実感します」と手応えを語る。

「フライトコンディショニング」という新たな文化を創る

ANAビジネスジェット 代表取締役 世継 崇
ANAビジネスジェット 代表取締役 世継 崇

デジタル化の進展により、移動時間の意味は大きく変化した。かつて「移動」そのものが目的だった時代から、交通機関でもインターネット接続が当たり前となり、移動時間も「仕事時間」に変わった。移動による身体負担に仕事負荷が加わり、疲労度は飛躍的に増大している。

だからこそ、「移動時間=コンディショニングの時間」という提案が秘める価値は大きい。ANAグループでは、より多くの利用客にこの革新的な価値を提供するために、羽田―ニューヨーク、および羽田―サンフランシスコの国際線ファーストクラスでもBAKUNEのテスト導入をスタートした。

また、シフト勤務が多く身体的負担の大きいANAグループ社員向けにも、TENTIALによる睡眠セミナーを実施するなど健康経営にも注力している。

中西は「ANAグループのような日本を代表する企業との協業は、TENTIALブランドの信頼性向上にも寄与します。グローバルで活躍する挑戦者にBAKUNEを体験いただくことを足がかりに、海外進出も視野に入れています」と将来構想を描く。日本のものづくり産業は、世界でシェアを拡大してきた歴史をもつ。TENTIALもその一翼となり、日本発のコンディショニングブランドとして世界でシェアを獲得していくストーリーを構想しているのだ。

両者が掲げるキーワードは「フライトコンディショニング」。移動が多い時代における、新しい文化を醸成したいという思いを込めている。

「どれほど多忙でも、飛行機の移動時間は短縮できません。機内という限られた空間で自由に動き回ることもできない。だからこそ、着用するだけで疲労回復にアプローチできることの意義は大きい。それをANAグループが最初に実現することに、挑戦者としての価値があります」と世継は語る。この取り組みにおいて、挑戦者を応援するABJやTENTIALもまた、挑戦者なのだ。

中西も、「移動など余白の時間で健康維持のためにできることは、まだまだあります」とさらなる展望を示す。

高齢化社会における医療費抑制の観点からも、予防・コンディショニングの重要性は増している。移動時間での疲労回復という新しい発想が秘める可能性は無限大だ。


ABJで導入しているBAKUNEの詳細はこちら


通気性を高めた、夏・秋におすすめしたいBAKUNE Dry


TENTIAL

Promoted by TENTIAL / text by Takako Miyo / photographs by Shuji Goto / edited by Mao Takeda

暗号資産

2025.09.09 09:30

FRBの独立性懸念で揺らぐドル 強まる金騰勢、ビットコインも新たな「安全資産」狙う

Shutterstock.com

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代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今年急騰し、8月には1BTC(ビットコインの単位)12万4000ドルを超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)をめぐる危機が広がり、それが意外な展開(編集注:ここでは主に米当局が経済統計をブロックチェーン上に直接配信し始めたことを指す)を見せていることも背景のひとつとなっている。

足元のビットコイン価格は1年前のおよそ2倍に高騰していて、一部では84兆ドル(約1京2400兆円)規模の衝撃(編集注:2045年までに米国のベビーブーム世代からより若い世代へ84兆ドルの資産が移転されると見込まれ、一部がビットコインへの投資に振り向けられるとみられている)が迫っているとの予測も出ている。仮想通貨市場全体の時価総額を4兆ドル(約590兆円)あまり膨らませた最近の相場上昇に乗り遅れまいと、世界のセレブリティーらも相次いで仮想通貨の購入に走っている。

最新の仮想通貨版ゴールドラッシュで新たな「ロックフェラー」や「ロスチャイルド」が生まれるかもしれないとも言われるなか、米ゴールドマン・サックスは、米ドルの基軸通貨としての地位は金(ゴールド)によって侵食されかねないと警鐘を鳴らしている。同時に、ビットコインも安全資産の王座の地位をうかがっている。

ブルームバーグ通信によると、ゴールドマン・サックスのアナリスト、サマンサ・ダートらのチームは「FRBの独立性が損なわれるシナリオでは、インフレ率の上昇、株価と長期国債価格の下落、ドルの基軸通貨としての地位低下につながる可能性が高い」と顧客向けメモに記している。「対照的に、金は制度への信頼に依存しない価値保存手段だ」とも言及している。

ドナルド・トランプ米大統領は今年、FRBに対する「口撃」を激化させ、ジェローム・パウエル議長を繰り返しやり玉に挙げている。一方、経済学者らは、迫り来るドル危機の可能性について警告している。

トランプはパウエルを解任すると脅してきたほか、現在はリサ・クック理事の排除を試みており、FRBがホワイトハウスから独立性を保てるのかどうか懸念が広がっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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