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2025.09.15 10:00

「もうおしまいだ」利下げによるビットコイン高騰予測の中、イーロン・マスクが膨張する米国家債務に警鐘

イーロン・マスク(Allison Robbert-Pool/Getty Images)

イーロン・マスク(Allison Robbert-Pool/Getty Images)

テスラのCEOであり、フォーブスの世界長者番付で少なくとも現時点では首位に立つイーロン・マスクが、ドナルド・トランプ米大統領のホワイトハウスを離れて以来、本業に舞い戻っている。

現在、テスラのバランスシートには13億ドル(約1900億円)相当のビットコインが記載されている。その会社を率いるマスクは、トランプの選挙集会において差し迫った金融危機を警告し、彼の再選を支援した。しかし、政府支出をめぐる対立から政権を去り、みずからビットコイン支持派の新政党を立ち上げると宣言したこともある。

そして今回、マスクは急膨張する米国の37兆ドル(約5463兆円)規模の債務残高に対して再び警鐘を鳴らした。

「結局のところ、我々の国家債務は常軌を逸するほど高額であり、その利払い額は国防総省、いや失礼、戦争省の予算を超え、さらに増加している。もしAIやロボットが我々の国家債務を解決しないなら、我々は終わりだ」と、マスクはオール・イン・サミットでのインタビューで語った

コロナ禍での巨額支出と金利上昇の組み合わせを経て、米国の債務残高は今年37兆ドル(約5463兆円)にまで急増し、米ドルにとって「危機」となり得る状況を生んでいる。

「政府は基本的に修復不可能だ」とマスクは付け加え、その後、ソーシャルメディアのX(旧Twitter)にインタビューの映像を投稿した。

米国の消費者物価指数(CPI)の最新データは、8月の物価上昇圧力が予想どおりであったことを示し、FRBが今週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイントの利下げを行う可能性が非常に高まった。これによりビットコイン価格および暗号資産市場全体が押し上げられている。

前年同月比で2.9%のインフレが示されたことで、9月のFRB利下げはほぼ確実視され、金価格はインフレ調整後の史上最高値を更新、1980年以来の記録を打ち破った。

「資産運用者たちは、財政赤字の水準に正当な懸念を抱く一方、中央銀行が本気でインフレと戦う意思があるのか優先順位を疑問視する局面に入っている」と、マラソン・リソース・アドバイザーズのポートフォリオマネージャーであるロバート・マリンはブルームバーグに語った。

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翻訳=江津拓哉

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2025.08.29 20:00

100年続くブランドの条件 フェラガモ銀座本店で女性リーダーたちが語った経営哲学

第一線で活躍する女性経営者を招いて開かれた「Forbes JAPAN × FERRAGAMO -女性経営者の考える、100年ブランドのつくりかた-」。1927年の創業以来、世界中で愛されてきたフェラガモの歩みに触れながら、女性経営者の視点から100年ブランドのあり方を問い直し、語り合うイベントがフェラガモ銀座本店で開催された。


フェラガモがなぜ、女性経営者イベントを開催するのか──。その背景には、フェラガモを100年ブランドとして発展させた一人の女性の存在がある。

ワンダとサルヴァトーレ・フェラガモ/Courtesy of Ferragamo Museum
ワンダとサルヴァトーレ・フェラガモ/Courtesy of Ferragamo Museum

その女性は、ワンダ・フェラガモ。フェラガモ創業者のサルヴァトーレ・フェラガモの妻だ。サルヴァトーレ亡き後、事業を継承し、家族経営でフェラガモを世界屈指のラグジュアリーブランドへと押し上げた。

フェラガモの誕生は1927年に遡る。創業者サルヴァトーレはアメリカで解剖学を学び、美しさと履き心地を両立させた靴を手がけた。足の甲を見せるレディースシューズは当時のファッションに革命を起こし、ハリウッドスターにも愛されたことから「スターの靴職人」との異名をもつことに。

1960年のサルヴァトーレ死去後、妻ワンダは6人の子どもを育てながら事業を継承する。女性の社会進出がまだ珍しかった時代、彼女とその子どもたちは革新的な経営手法と組織づくりによって、フェラガモを靴だけでなく世界的トータルファッションブランドへと成長させた。この偉業を成し遂げたワンダ・フェラガモはイタリアにおける「女性進出のアイコン」となり、今もなお多くの女性リーダーに勇気を与え続けている。

伝統を守り、革新を続ける100年ブランド

社会をけん引する女性経営者たちを招いて行われたトークセッションでは、司会を務めたForbes JAPAN Web編集長の谷本有香、登壇者である一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ理事で前ポーラ代表取締役社長の及川美紀、能作5代目代表取締役社長の能作千春、ファッション・ジャーナリスト&ディレクターの塚本香がそれぞれ、自ら選んだフェラガモの靴で登場。フェラガモの最新アイテムが並ぶ会場に、さらなる華やかさを添えた。

最初のトークテーマは、「ブランドとは何か」。谷本の問いかけに対し、100年ブランドであるポーラを率いた経験のある及川は「実現したい世界観を持った存在」だと答える。

「私が以前関わっていたポーラは、チャレンジする女性たちを応援するために、自己肯定感を高める製品づくりに注力してきました。忙しい女性に自分を慈しむ時間をもってもらうために、香りや質感にこだわった最高の商品を提供しています。祖業の思いを受け継ぎ、その理念が商品に込められることで、ブランドとしての価値が築かれてきたのです」

富山県高岡市で大正時代に創業し、鋳物業で拡大してきた能作。その5代目社長である能作千春は、伝統を守りながら革新を続ける経営手腕が注目される女性経営者だ。

「能作は、職人たちの確かな技術と実直なものづくりが評価され、お客様からブランドとして認識されるようになりました。私の入社当時は従業員20人ほどの下請けメーカーでしたが、卓越した技術とその思いを伝えるために、無料の工場見学や 体験工房、100人規模のカフェを併設することで、今では年間13万人以上の来場者を迎えています。職人自らお客様とコミュニケーションする場面も増え、自社の歴史と技術に誇りをもって商品の魅力を伝えています。その結果として、能作はブランドとして認めていただけるようになりました」

いま、求められているのは表面的なマーケティングやPRだけではない。ブランドがブランドたる所以は、伝統や根本的な価値といった「本質」を守りつつ、変革していくことだ。時を越えて愛されるファッションブランドを数多く見てきた塚本は、フェラガモを例に挙げながら、あるべきブランドの姿を語る。

「フェラガモは『靴は自分の人生を歩むための道具である』という哲学をもち、優れた革製品の歴史をもつフィレンツェに拠点を構えるとともに、職人へのリスペクトを受け継いでいます。この姿勢こそがオンリーワンのブランドの根幹となるのです」

ポーラや能作、そしてフェラガモのように100年にわたり続くブランドを維持するには、伝統と革新の両立が不可欠だ。及川は、「100年ブランドは、常にチャレンジャーなのです」と語った。

世代を超えて、ブランドの哲学を受け継ぐ

能作 5代目代表取締役社長 能作千春
能作 5代目代表取締役社長 能作千春

女性経営者たちは、自社ブランドをどう守り、変革し、育ててきたのか──。トークイベントのテーマは、強いブランドを築く「組織づくり」に移った。

技術を軸に、時代に合わせて新たな商品を作り続ける能作。男性中心の職人の世界で、女性経営者がトップを務めるハードルは計り知れない。5代目社長の能作は、ブランドの価値を発信することで組織を変えてきた。「魅力的なプロダクトをつくって伝えることで、能作に惹かれた若者が徐々に集まり、現在では職人の平均年齢が30歳代まで下がりました」と、組織に及ぼした好影響を紹介する。

現在は、ブランドを発信する手段を増やすべく、飲食や旅行、ウェディングなど事業を多角化。社員の76%が女性になり、男性育休取得率は100%だという。職人気質あふれる集団から、多様な働き方ができる組織へと変貌を遂げているのだ。

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ理事/前ポーラ代表取締役社長 及川美紀
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ理事/前ポーラ代表取締役社長 及川美紀

大企業のポーラを率いた経験のある及川は、理念の浸透に力を入れていたという。「創業の精神を全社員に理解してもらい、『これだけは譲らない』というコアを組織内で確認し続けていました。創業精神や理念が脈々と受け継がれることで、ものづくりだけでなく物流や人事、最終的にはお客様にポーラの価値が伝わっていくと思うのです」と、女性としての生き方をサポートするブランドを守り、育てた経験を振り返る。

ファッション・ジャーナリスト&ディレクター 塚本香
ファッション・ジャーナリスト&ディレクター 塚本香

「フェラガモは、ファミリービジネスであり続けたことがブランド発展に寄与している」と塚本はいう。ワンダ・フェラガモが継承した後も家族が経営に携わり、ファミリーの皆が創業者の哲学や理念を自然と継承している。これこそが、大手資本が関与するブランドとの差別化となっているのだ。

ブランドを通して、輝く自分を表現する

Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香
Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香

ブランドとは、そのブランドを愛する人が商品を身につけることで、ありたい自分を表現し、自分を好きにさせてくれるものだ。常に輝いている自分でありたい女性リーダーが100年ブランドのアイテムをもつことで、得られるものは何だろうか。最後に、塚本は女性経営者にとってファッションがもつ意味合いを語った。

「ファッションは、個人の内面やその日の気持ち、職場でのリーダーシップを表現する大切な要素であり、自分の味方になってくれるものです。たとえばフェラガモのような歴史あるブランドのアイテムを取り入れることは、自分が輝いている女性リーダーでありたいことを示す具体的な手段になるでしょう」

トークセッション終了後は、参加した女性経営者たちを交えてネットワーキングが行われた。フェラガモファミリーが所有するワイナリーであるイル・ボッロのスパークリングワイン「ソルシ」やフィンガーフードを堪能しながら、希望に応じてストアスタッフが店内を案内。女性リーダーを応援する100年ブランドであるフェラガモの世界観を存分に味わい尽くす時間となった。


フェラガモ

https://www.ferragamo.com/

フェラガモ 公式LINE
https://lin.ee/wuPUPqL

Promoted by FERRAGAMO / text by Takako Miyo / photograph by Natsuki Hamamura / edited by Mao Takeda

暗号資産

2025.09.09 09:30

FRBの独立性懸念で揺らぐドル 強まる金騰勢、ビットコインも新たな「安全資産」狙う

Shutterstock.com

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代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今年急騰し、8月には1BTC(ビットコインの単位)12万4000ドルを超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)をめぐる危機が広がり、それが意外な展開(編集注:ここでは主に米当局が経済統計をブロックチェーン上に直接配信し始めたことを指す)を見せていることも背景のひとつとなっている。

足元のビットコイン価格は1年前のおよそ2倍に高騰していて、一部では84兆ドル(約1京2400兆円)規模の衝撃(編集注:2045年までに米国のベビーブーム世代からより若い世代へ84兆ドルの資産が移転されると見込まれ、一部がビットコインへの投資に振り向けられるとみられている)が迫っているとの予測も出ている。仮想通貨市場全体の時価総額を4兆ドル(約590兆円)あまり膨らませた最近の相場上昇に乗り遅れまいと、世界のセレブリティーらも相次いで仮想通貨の購入に走っている。

最新の仮想通貨版ゴールドラッシュで新たな「ロックフェラー」や「ロスチャイルド」が生まれるかもしれないとも言われるなか、米ゴールドマン・サックスは、米ドルの基軸通貨としての地位は金(ゴールド)によって侵食されかねないと警鐘を鳴らしている。同時に、ビットコインも安全資産の王座の地位をうかがっている。

ブルームバーグ通信によると、ゴールドマン・サックスのアナリスト、サマンサ・ダートらのチームは「FRBの独立性が損なわれるシナリオでは、インフレ率の上昇、株価と長期国債価格の下落、ドルの基軸通貨としての地位低下につながる可能性が高い」と顧客向けメモに記している。「対照的に、金は制度への信頼に依存しない価値保存手段だ」とも言及している。

ドナルド・トランプ米大統領は今年、FRBに対する「口撃」を激化させ、ジェローム・パウエル議長を繰り返しやり玉に挙げている。一方、経済学者らは、迫り来るドル危機の可能性について警告している。

トランプはパウエルを解任すると脅してきたほか、現在はリサ・クック理事の排除を試みており、FRBがホワイトハウスから独立性を保てるのかどうか懸念が広がっている。

次ページ > 米国債からの資金シフトで金価格は5000ドルに迫るシナリオも

翻訳・編集=江戸伸禎

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