女性Ｒ様から「ちゃんとしなきゃと、ちゃんとなんてできないの狭間でもがいているから助けてください」とご連絡をいただいた。坂爪さんみたいな人といる時間は自由になれるし解放される。だけど、一人になると「本当に大丈夫かな」と不安になって、ちゃんとしなくちゃと焦って面接を受けてみたりラインをちゃんと返信しようと思うのだけれどうまくいかず、不義理を重ねてしまう。来年は絶対スペインに行くと決めた。スペイン巡礼をするのだ。イタリアで愛する壇珠さんにもお会いしたい。Ｒ様は、そのようなことを言った。

私は、Ｒ様が五年前から似たことを言っている様を見ている。明日から頑張るが口癖で、毎日だらけていることを知っている。そんなＲ様は愛らしい人間だが、本当に変わりたいなら「明日から」とか「来年には」とか言っている場合ではない。我々のような人間にとって、来年の希望は希望ではない。来年が来る前に死ぬ。やる気を起こしたければ、来年ではなく来月。毎年一回海外に行くのではなく、毎月一回海外に行くくらいの無茶振りを己にする。それでようやく、私たちは元気になるのだ。日本に長居すると、日本に殺される。

と言う訳で来月一緒に海外に行くことになった。即決断。即行動。海外行きが決まった途端、Ｒ様は露骨に元気になった。何年も海外に行っていないと、旅の勘が鈍る。まずは勘所を取り戻そう。お金に困ったら言ってねと言ったら、あれだけふにゃふにゃしていたＲ様が「なめてもらっちゃ困るぜ」と強気に出た。希望があれば頑張れるタイプのＲ様は、来年のためには頑張れないけど来月のためになら頑張れると鼻息を荒くした。家に帰るまでが遠足なら、航空券を取ってからが海外旅行である。パスポートを用意したり、現地のことを調べたり、やることが一気に増える。海外旅行は緊張もするが、この緊張感が美の秘訣である。

私には金がない。だから、自費では海外に行けない。しかし、私にはプリティーな脳味噌と陽気なボディある。ボディガードや通訳や運転手を務める代わりに、旅費をいただきあなたの旅をサポートする。去年はハワイに、一昨年はクロアチアに行った。毎年一回海外に行きたいと言うＲ様を悔しがらせるために「それなら俺は月に一回海外に行く」と決めた。即決断。即行動。読者の皆様、私と海外に行きませんか。私をある種のペットとして、海外に連れて行ってみませんか。海外在住の方は、私を招待してみませんか。人生の思い出にどうだい。日本に潰される前に、愛の逃避行をしませんか。一緒にどうでもよくなりませんか。現地集合、現地解散、ＯＫ。だらだらするためだけに行くのもＯＫ。安い時期ならタイや台湾やベトナムなら往復三万円。スリランカやトルコは六万円。モロッコもメキシコも往復十万円程度だ。航空券やホテルの手配が苦手なら、私がすべてやりましょう。あとはもう、やる気の問題である。

現地の風を浴びる。現地のものを食べる。現地の人々の暮らしを見る。それだけで元気になる。一泊二日でも構わない。海外旅行を特別視しない。コンビニに行くように、ふわっと海外に行く。荷物は少ない方がいい。俺の荷物を見よ。ポシェット一つだ。着替えなんてない。現地調達である。日本にいても元気が出ない諸君。海を越えよう。日本をうろちょろしててもしかたがない。俺を見よ。魂の化け物。生命燃焼の鬼。アーユルヴェーダの三要素すべてを併せ持つ男。どこに行っても独座大雄峰。ヒーリングの嵐。素晴らしい人間とは、素晴らしい見た目や素晴らしい才能を持った人間のことではない。世界の素晴らしさを感じ取ることのできる人間を、素晴らしい人間と言うのである。さあ、屁理屈ばかりの近代合理主義者をぶん殴ろう。希望があれば元気になる。恥も外聞もかなぐり捨ててゴー。これから名古屋に行く。