大町町のふるさと納税事業を巡る贈収賄事件で、便宜を図った見返りに業者から現金を受け取ったとして加重収賄罪に問われた町副課長の古賀壯被告(60)=同町=は9日、佐賀地裁(山田直之裁判長)の初公判で「お金をもらったことは間違いない」と起訴内容を大筋で認めた。検察側は懲役1年6月、追徴金10万円を求刑、弁護側は執行猶予付きの判決を求め、即日結審した。判決は10月28日。

 贈賄罪に問われた業者側の被告(67)=江北町=は、「黙秘する」と述べた。弁護人は「被告人質問の前には、具体的に認否を述べたい」とした。審理は分離され、米原被告は退廷した。

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 起訴状によると、ふるさと納税事業の業務委託の公募型プロポーザルに関し、企画政策課長だった古賀被告は22年12月13~15日ごろ、参加業者の「オフィスPDC」代表の被告に、他の事業者の企画提案書を提供し、翌23年1月19日~2月2日ごろに業者側の被告から10万円を受け取ったとしている。

 被告人質問で、古賀被告は動機に関して「町にとってふるさと納税の寄付金は貴重な財源で、議会からも注目されていて、常にプレッシャーを感じていた。他の業者が採用されれば、寄付金の大きな割合を占めていた返礼品の業者が撤退すると考えた」と述べた。受け取った金額については「数えていないので分からない」と答えた。

 検察側は、古賀被告が役場内で提案書をスマートフォンで撮影し、同社にメールで送っていた経緯を明らかにした。その上で「他の事業者が手間暇をかけて準備した企画提案書を一方だけに提供する、極めて不公平、不公正な行為」と非難した。

 弁護側は、企画提案書の提供がプロポーザルの結果を左右する決定的要因ではないことなどを理由に、執行猶予付きの判決を求めた。