コメ価格4000円台逆戻りの理由:農協でなく商系業者価格吊り上げ、収穫安定すれば価格落ち着くか #エキスパートトピ
農林水産省は9月12日、全国のコメ5キロ当たりの平均価格(9月1日~7日販売分)が4155円となり、前週より264円上昇し13週ぶりに4000円台になったと発表した。その理由には、高値の早場米の新米の販売が広がったこと、割安な備蓄米の割合が減ったことが指摘されている。備蓄米を含む複数銘柄米のブレンド米の値上がり幅が大きく前週より440円上昇した。一方、銘柄米の平均価格は4344円で、前週より72円の上昇となった。
ココがポイント
現状ではコメの値段が下がる見込みはないので、ことしは販売できないのではないかと不安です
出典:NHK 2025/9/8(月)
小泉大臣は、今年は去年より収穫量が50万トン増えることが予想されるため、相当量が市場に出回れば、価格が落ち着くという考え
出典:テレビ朝日系(ANN) 2025/9/7(日)
「総合的にみて需給は緩む方向にあり、依然暴落リスクがある」とも見方もくすぶる。
出典:JAcom 農業協同組合新聞 2025/9/4(木)
Q どうして値上がりしたの?A 高値がついた早場米の新米販売が広がり、安い備蓄米の割合が減ったことが主な理由です。
出典:毎日新聞 2025/9/13(土)
エキスパートの補足・見解
新米価格高騰は、農協等のコメの集荷業者と卸業者が集荷競争を繰り広げているためである。そこではメディアで問題視されている農協の農家への仮払金である概算金の高騰ではなく商系業者が高値を提示してコメを集め回っていることが大きな要因となっている。実際、農協の概算金の額が60キロ約3万円(各農協によって異なる)である一方で商系業者はおおよそ3.5万円を提示しているとされている。
農水省は増産の見通しを変えていないが、現場では不足感が依然として続いていることが集荷競争の背景にあると考えられる。バイヤーはコメがある内に購入して在庫を確保に走っているが、増産後は今後高値で仕入れたコメが高く売れ続けるかはわからないことも予想される。秋に入り収穫が安定的に進めば、年末にかけて価格も落ち着いていく可能性もあるためだ。今後の動向は、まもなく最盛期を迎える新米の収穫に左右されると言えるだろう。