那覇市有地の所有権を巡る贈収賄事件で、前那覇市議会議長の久高友弘被告(77)=収賄罪で起訴=に5千万円を渡したとする贈賄罪に問われた、元総会屋の被告(82)の被告人質問が8日、那覇地裁(小畑和彦裁判長)であった。検察側は、被告から久高被告に送ったとされる議会対策に関する資料を新たな証拠として示し、「議会追及に役立ててもらおうと思ったのではないか」として被告の認識をただした。
現金の賄賂性を否定して無罪を主張する被告は、久高被告による議会対策への関与を否定しており、検察側が示した資料についての被告の証言の信用性が地裁の判断に影響を与えそうだ。
被告人質問によると、検察側が示したのは、久高被告の自宅から押収された資料。2022年3月に被告が作成し、久高被告に郵送で送ったものとみられる。当時、議長だった久高被告に対して「議会追及に間に合わせるべく頑張りました」「途中まで仕上がったものをお送りします」などと手書きのメモを添え、被告が土地の所有権の帰属問題に関する百条委員会設置に向けた議会での対応を久高被告側に指南するような内容だった。
被告は、被告人質問で、久高被告側に渡した5千万円の使途を、市議会での百条委設置などに向けた「議会対策」のためとする検察側の指摘を「そういうことでは全然ない」などと否定。現金の使途は市有地売却のための「手付金」などとして、賄賂性を否定する主張を繰り返した。