安奈からひとしきりの責めが済み、ターンは皐月へ移る。
濱田の胸の上にのしっと載り、尻を向けていた安奈は、彼の身体から下りて、ホテルの冷蔵庫から瓶コーラを取り出している。ただ、皐月は安奈と同じようにポジションを取ることはせずに、ベッド上で仰向けになっている濱田の顔の上に、ベッドのサイドから、彼女の清楚感あるルックスからはいささか派手すぎる豹柄Tバックに包まれた巨尻を、横向きになるように、どずむッ、と下ろした。
「ふむぎゅッッ!!!」
という濱田の声を無視して、彼女は
「安奈〜、私にもペプシおねが〜い」
と片手を上げ、ベッドに腰掛けたスタイルのまま長い生脚を組む。
「はいよー」
「サンキュ」
安奈が放り投げたジュースのペットボトルをキャッチした皐月は、キャップを開け、炭酸が少し吹き出して溢れるのを抑えるように、ブランド物のリップを塗った瑞々しい唇をボトルの口につける。
ぶぢゅううぅうぅうーーーーーぅううーーーーぅううううぅうううううっっ!!!!!
「ふむッッんぎゅううぅあぁあぁぁーーーーぁああぁーーーぁあああッッ!!!!!」
コクッ、コクッ、と喉を鳴らす小気味の良い音に続いて放たれた、耳を突き刺すような湿った放屁と、濱田の絶叫。それでも皐月は、横幅のボリュームがある巨尻をぴくりとも動かさない。
同じ『異常放屁体質』のおなら嗅がせ加虐性癖を持つ安奈と皐月だが、その責め嗜好は微妙に異なる。とにかく自分にゾッコンの状態に堕とした上で、嗅がせたときの反応を楽しむための奴隷に仕立て上げるのが好きな安奈に対して、皐月は男をおならを吸わせる家具、金を搾り取るATMとしか思わず、人権無視の征服感を味わえる顔面騎乗を好む。
今の皐月は、見た目はクールに振る舞ってはいるが、尻の下に男の顔面を敷いて座布団扱いし、屁まで吸わせているということに内心ゾクゾクした快感を抱いているということを、それを傍から見る安奈だけは知っていた。
脚を組んだその美しい座り姿勢だけを見れば、尻の下に男の顔を敷いているとは思えない皐月は、ペットボトルを置き、何でもないように安奈に声を掛ける。
「そうだ、さっき買ってきたご飯食べようよ」
彼女達はホテルに入る前に、コンビニで弁当やお菓子を買い込んできたのだ(もちろん濱田に払わせた)。食料の入ったビニール袋はソファの上に置いてある。安奈はそれを取りに行くが、同時に皐月の方を振り返り、
「えー。さっきの皐月の握りっ屁のせいで食欲さげぽよなんだけどー」
と不平をこぼす。が、それでも皐月はケロッとして答える。
「それは安奈の大根ガス2発もモロに食らったこっちも同じだってーの! でも食欲は別腹でしょ。私は小腹すいちゃった」
「まーね。はい」
「ん、ありがと」
そうして安奈から弁当を受け取った皐月は、尻は全く動かさず、自分の膝の上で弁当を開封し、割り箸を割る。安奈の方は、皐月と正対する場所に椅子とテーブルを持ってきて、ポテチの封を開けた。
「ぐぐぐ………ッッ、む、むぅぅう………ッッ!!!むぐぎゅうぅぅぅう………ッッ!!!!」
その一方で、皐月の尻の下で呻いて苦しむ濱田。
安奈はポテチをぱくつきながらそれを見て、クスクスと笑う。
「ねぇめっちゃ指先ぴくぴくさせてんだけどw」
彼女の言う通り、濱田は両手両足とも、指先をぴくぴくと力なく動かしている。だが皐月の対応は厳しい。
「え〜?この座り方ならまだ隙間あって窒息までいかないし、そんな苦しくないでしょ」
「でもその苦しみ方は絶対皐月のお尻が重くて悶えてるって!」
「マジか〜。痩せないとな〜」
その皐月の言葉に、安奈は「アッハハハ!」と大きな笑い声を上げた。
「心にもないことを言わないの! 痩せようと思ってる人が『特盛ガーリック醤油W焼肉丼』は選ばないでしょw」
彼女の言う通り、皐月が食べようとしているのは、肉体労働をしている成人男性をターゲットにしたガッツリ系高ボリュームのコンビニ弁当だった。しかも、これは「夕食」ではない。彼女達2人は、それぞれ授業を終えた放課後に落ち合うと、まず近頃SNSで話題になっているパンケーキ店で鬼のような量の生クリームがデコレーショントッピングしてあるスペシャルパンケーキをSNS映え用の写真を撮った後にぺろりと平らげ、さらにその足で「夕食」として串カツ店に行って串置きの筒がいっぱいになるまで食べ尽くした帰り道だったのである。つまり今皐月が食べようとしている『特盛ガーリック醤油W焼肉丼』は、彼女にとっては小腹を満たすための「夜食」。この驚異的な食欲を一切セーブしようとせず、欲求に忠実に食べまくる彼女達が、「ダイエット」など考えているはずもなかった。
安奈からのツッコミに、皐月も頬を緩める。
「フフッ、バレたかw ダイエットとか体に毒だからね〜。伸び盛りなら食べないと」
「皐月も私も、ダイエット不要の整いわがままボディだからね」
「そうそう。脂肪は全部おっぱいとお尻に回って、あとは全部ガスとエネルギーになるからいいのいいの」
「まったく、罪なカラダですなーw」
いくら食べても太らない、むしろバストとヒップが増強されていく、という女性なら誰もが羨む夢の体質を生まれながらして持っているというのも、この2人の共通点のひとつである。……というような会話を彼女達がしている最中、皐月の尻割れから、
ぷすーーーーーぅううぅうぅうぅうーーぅうぅうーーーーぅううーーーぅうう………っっ!!!!!
と、深部体温ほどの熱いガスが、音もなく噴き出していた。
「ッッぐぶぅぅぅうぅぅうッッ!!?!?
んむぐッッ!!!!ふんッッむぐぅぅううぅぅーーーぅうーーーぅぅぅぅうううッッ!!!!!」
そのガスはもちろん、濱田の鼻に直撃する。生クリーム、串カツ、焼肉……。日頃から超高カロリーな食生活を続けて慢性的極悪状態にある皐月のガスは、並大抵のものではなかった。
ベッドの上の濱田のその反応、そして漂ってくる隠しきれない極悪腐臭っ屁に、安奈はまた笑う。
「こらっ、喋りながらさりげなくスカさないのw」
皐月もこれには堪えきれずプッと吹き出して、
「これもバレたかw」
と言って笑いながら、気にする様子もなく焼肉丼弁当をぱくぱくと食べ始めた。
「ふぐむッッ!!!!んぐむううぅぅううーーーぅぅぅううッッ!!!!」
「ねぇちょっとうっさい。黙ってて」
ぶりッッ!!!ぶッ!!!ぶッしゅううぅぅうーーーーーぅうぅーーーぅうううううっっ!!!!!
「んんふんッッぐうぅぅええぇえぇえーーーぇええーぇえええええッッ!!!!!」
皐月に容赦はない。尻下の顔は、ただのクッションなのだ。遠慮など必要ないと言わんばかりの態度である。
「てかさ、私たち食事中なんだけど。なんか超臭いし、こっちにニオイ上がってこないように全部吸引して消臭してよ」
「アハハッ!皐月、自分で出しといてそれ言う?w」
「仕方ないじゃ〜ん、生理現象だしw 女の子が不快な思いしないように体張るのが男の役目でしょ? ほら、全吸引ね、ガンバw」
ぶりゅりッぶすうううぅうぅううーーーーぅううーーーぅうぅううぅうううっっ!!!!!
「ほんむぎゅうぅぅぁぁぁあーーぁあーーあぁあぁああああああッッ!!!!!」
誰がどう考えても絶対に不可能な無理難題からの、明らかにキャパオーバーな一発。
「キャハハッ!それはヤバいてw鬼かww」
と盛り上がる安奈に、したり顔の皐月。
皐月が満足するまでけして顔面騎乗の尻を持ち上げることがない性格であることを知っている安奈は、尻の下にいる濱田に若干同情しつつも、それ以上にこの状況を共に楽しむ気持ちが遥かに上回り、笑いを堪えきれずクスクスと息を漏らし続けていた。
皐月がようやく立ち上がったのは、『特盛ガーリック醤油W焼肉丼』を米粒ひとつ残さず綺麗に完食し、ペプシを1本飲み干し、唐揚げ、コロッケ、肉まん、アメリカンドッグ、ポテチなどなど、大量に買い込んできた食料を安奈と2人で完全に食べ尽くしてからだった。
皐月の分厚い尻肉が取り払われたとき、そこに敷かれていた濱田は当然のように気絶していた。しかし、安奈の
「はい起きてー!」
という掛け声と共に、両手で広げた尻を距離2センチまで近づけて放たれた
ぶふひゅううぅうぅーーーーーぅううーーーぅうぅううッッ!!!!!
という一発で強制的に叩き起こされて、これから、彼への第三の拷問が始まる。
「あ、忘れてたけど、そういえばどうする? これ」
安奈はそう言って、深い胸の谷間に差し込んで収納していた、濱田のバイト代を取り出す。
「ん、普通に2人で等分でもいいけど〜……」
「でもそれじゃつまんなくない? ね、じゃあさ、奴隷クンに決めてもらおうよw 私と皐月、どっちのおならが臭かったか訊いて、臭かった方が総取りってことで♪」
ニコニコ笑いながら、悪魔のような提案をする安奈。もちろん皐月の方も、それにノらないほどノリは悪くない。
「ふふっw いいけど、今日の安奈の大根地獄ガスに勝てるかなぁ」
「いやいや、さっきの皐月の握りっ屁もヤバかったって!皐月、便秘何日目?」
「んーと、4日、かな」
「じゃあ私も3日目だから、ほぼ互角の条件ってことで、決まり!」
そんな会話の末に、安奈と皐月は、濱田が仰向けに横たわるベッドに、両側から歩み寄る。左側から安奈、右側から皐月。それぞれが半身になり、彼の耳に向けるような姿勢で、のしっ、のしっ、と尻を枕元に載せる。
「ひいぃいッッ!!!」
怯える濱田に、まず皐月がにやつきながら話しかける。
「ってわけで、これからお前には、私と安奈のおなら嗅ぎ比べしてもらうからw」
「審判は公平にジャッジするために、2人のおならを嗅ぎ漏らさずに吸うこと、はい、宣誓してw」
「ひぎッッやッあッあのッッ」
「いいから早く誓え」
ぶりゅッッぶすううぅうぅーーーーーぅうううッッ!!!!!
「はぎゃいぎぃぃぃいいぃぃぃぃーーぃぃいぃぃいッッ!!!!!
ぢッッ誓いまずッッ!!!誓いまずぅぅぅぅぅぅうぅぅッッ!!!!!」
皐月の苛立った声色からの一発に、彼は絶叫して全てを受け入れるしかない。
それを見て安奈は笑いながら、
「ねー皐月、ぶっ壊さないようにだけ気をつけてよ? この子は共用奴隷として大事に育ててくんだから」
と釘を刺す。皐月は、
「分かってる分かってる。ちゃんと一線は越えないようにするって」
と手をひらひら振ってそれに応じた。
そして、安奈と皐月、2人がかりのおなら責めが始まる。
「んじゃまず私のお尻見て♪」
ぶぶばふぁあぁぁあぁーーーぁああぁああーーーぁあぁあああぁああッッ!!!!!
「ふぐぎゃぁあああぁッッ!!!ぐぜああぁぁぁああぁああッッ!!!!!」
「は〜い、次は私ねw」
ぶぼふぉおぶぼおおおおぉぉおーーーーぉおおおぉーーぉおぉおおっっ!!!!!
「やぎゃッッ!!!ぐじゃッッ!!!ぐッじゃびぎぃぃいぃいぃぃいッッ!!!!!」
「アハッ!皐月の風圧すごwこっちまで来たんだけどw」
「いや安奈の生暖かい風もばっちり来てるからね」
「えー、じゃあ挟まれてる奴隷クン超かわいそーw はい、今度こっち向いてね♪」
可哀想などとは砂粒ほども思っていない安奈の声に、完全服従させられている濱田は左を振り向く。が、そこにずどおぉんと鎮座しているピンクのパンティに包まれたドデカ桃尻に怯み、次の瞬間には放たれるであろう大量の特濃大根腐卵ガスをイメージしてしまい、意に逆らって逆に反対側に首を向けてしまった。
しかし、反対側を向いても、そこにどむうぅッとあるのは、豹柄Tバックに包まれたドデカ餅尻である。
「どした〜?私の方が好き?w」
ぼぼごっふぉおおおぉぉおおぉおおーーぉおーーぉおおおおぉおっっ!!!!!
「ああぁあッッがぎゃあぁぁーーーぁあーーぁあああぁああああッッ!!!!!」
左を向けど右を向けどダブル巨尻地獄。
気が狂う寸前のところでパスを出し合うように弄ばれる濱田は目を血走らせて絶叫する。
しかし不満顔なのは安奈だ。
「あーちょっと皐月、順番は守ってよー」
「んふふっ、しょうがないじゃん、こいつが安奈は嫌だって言うんだから。やっぱ安奈の大根はエグすぎるんだってw あ、でもそれじゃ私負けちゃうじゃん。いや、ま、いっかw」
「でも皐月ばっか嗅がせたら皐月が勝っちゃうじゃーん。ねぇ奴隷クン、ちゃんと私のも嗅いで!」
安奈はそう言って片手を伸ばし、濱田の頭を掴んで、ぐりんッ、と力づくで自分の方に振り向かせる。
「ふんっ」
ぶッッぼぼごふぉおおおおぉぉおーーぉおーおぉおおぉおおおおッッッ!!!!!!
「んんむもごッッほごぇええぇぇええぇぇええええッッ!!!!!!
あがッッはッ臭ッッ!!!!ぐッじゃッッ!!!!!
ぐッッぜええぇえへええぇええぇーーーぇええええええッッッ!!!!!!」
そして安奈がやや息み気味で放った一発は、ホテルの一室を震撼させた。
「え、やば」
そう口走る安奈。そして皐月は、呆れた顔で、はぁ、と小さく溜息をついた。
一瞬にして部屋に立ち込める大根腐卵臭。安奈色に染まった室内。そしてそれを間近でモロに受けた濱田は、ぐりんッ、と充血しきった眼球を上に回し、白目を向いて、失神した。呼吸こそ止まってはいなかったが、彼が限界を超過していることは明らかだった。
「……ねぇちょっとズルいんだけどぉ。もうこれ以上嗅がせたら確実に死ぬから終わりじゃん」
濱田の悲鳴が鳴り止み、静かになったところで、皐月はそう言って、ひょい、と腰掛けていたベッドから立ち上がる。
それに続いて安奈も腰を上げ、皐月の方を向いて両手をぱちんと合わせた。
「ごめ!出し過ぎたw」
「いや量もだけど、濃度! うぷ……ッ、これ、マジでくッさ……!便秘3日目でこれって腸内環境終わり過ぎでしょホントに」
「いやーごめんてー。焼肉奢るから!」
「ん、許す」
安奈の謝罪に、皐月が一言そう返した後、2人はタイミングを揃えたように、同時にぷっと吹き出し、顔を綻ばせた。
「これじゃ当分目覚さないからジャッジは聞けないけど、ま、これは明らかに安奈の勝ちかなぁ」
「いやー、悪いねぇw」
「まぁいいわ。そのお金持って週末焼肉奢ってもらおっと」
「うそぉ!それじゃこのお金2時間で皐月の胃袋に消えちゃうじゃんw」
「いや1時間で消えるね。でも安奈が奢るって言ったんだからね、んふふっw」
「まぁ今日は私がやっちゃったし、しゃーないかー」
そんなことを軽快に話しながら、2人は下着を履き替え、臭いが染み付いて二度と使い物にならなくなったピンクと豹柄のパンティを、ぱさっ、ぱさっ、と濱田の顔の上に落として、ホテルの一室から立ち去って行った。
その翌日。
1人目を覚ました濱田は、全く回復しない体調でふらつきながら何とか一人暮らしのアパートまで辿り着いた。
そして自室に戻った、ちょうどそのとき、彼のスマホが鳴った。
「ッッ!?」
怯えながら、電話に出る濱田。見覚えのないその番号の相手は——安奈だった。
「やっほー。起きてた?」
「ひッ!!ぁがッッ、は、はひ……ッッ」
叫びすぎてしゃがれた声を裏返して、濱田はなんとか返事をする。
「アハッ、死んじゃってなかったならよかったw 奴隷クンにあっさり死なれたら結構萎えるからね♪」
当然のように明るくそう言った安奈は、こう続ける。
「一応確認のために電話しとこうかと思って。これから私と皐月の共用奴隷にしてあげるから、来月、15万よろしくね♪」
「ぃえぎッッ!!? やッ、うッ、嘘ッ、あッあのッ、じゅ、じゅう、にまんえんじゃ——」
ぶッッばああぁぁああああぁぁーーーぁぁああーーぁああああッッ!!!!!
「ひッッひいいぃぃいいぃいーーーーぃぃぃぃいいいいッッ!!?!?」
電話口から突然、スピーカーがバリバリと音割れを起こすほどの音量で鳴り響いた大爆音。
電話では臭いまでは伝わらない。しかし、その音だけで、彼の脳裏に、迫りくる2人の巨尻、そして最後に嗅がされた大根地獄をフラッシュバックさせるには十分だった。
「わかったかな?」
「はッはひぃッッわがりまぢだぁぁあぁぁあぁあッッ!!!!!」
「それでよし♪ んじゃ、バイバーイw」
ブツッ。ツー、ツー、ツー………