「——あ、もう1時間経ったんだ」
ベッドの上に座る皐月が、枕元の時計に目をやって、ふと呟いた。
もちろん、ただ腰を下ろしているわけではない。彼女の尻の下にはずっと守谷の顔面が敷かれ、一度も持ち上げられていない。守谷に巨尻を見せつけてから1時間に渡り、彼女は窒息顔面騎乗放屁呼吸責めを楽しんでいたのだ。
守谷にとってみれば、天国から無間地獄に堕ちたようだった。もっとも、街で出会った女優級美少女が、数時間後に顔面騎乗で超激臭焼肉放屁を嗅がせて悦に浸るような悪魔に変貌するとは想像できるはずもなかったのだが。
彼の一縷の望みは、驚異的なハイペースで放屁を続ける皐月が早くガス欠になることだった。が、全く休みなく放屁責めを続けた挙句、ちょうど1時間になったつい先ほど放たれた
ぶぼぉおぉごおおおおおぉぉーーぉおーーーぉおぉおおおぉおぉおおおおっっっ!!!!!!
という、それまでで最も特大の一発と
「いい音w」
という余裕たっぷりの反応から、皐月の腸内ガスに「ガス欠」というものは存在しないことを悟り、彼に残されていた最後の希望はあっけなく潰えたのだった。
「そろそろ一旦休憩させてあげようかな」
軽く首を傾げながらそう呟き、皐月は、1時間以上ぶりに、ほんの数センチ、尻を持ち上げる。その下から現れたのは——死に物狂いの形相で号泣し、顔面を真っ赤に染めたボロボロの守谷の表情だった。
「ぶはあぁぁああッッ!!!!げほッッ!!!がはッ!!
あッッ、ぐッぐじゃいッッ!!!ぐじゃッ、おッおならッ、ぐじゃいでずッッ!!!!
ぐッ臭ぐでッッ!!!もう——ッッ!!!」
尻肉で完全に封じられ、喋ることも許されていなかった彼の口から、抑え込まれていた言葉が滝のように溢れ出す。常人であれば同情を禁じ得ないであろう、懸命な苦悶の主張。それを受けての皐月の対応は——
むッッすううううぅぅーーーぅううぅぅぅうぅぅーーーーーーーーーーぅうぅうううっっ!!!!!
「うぎゃああぁあぁああぁーーぁあぁぁああぁッッ!?!!?
ずッッずがじっべええぇえぇーーぇえーーぇえぇッッ!!?!?」
——長く熱い、すかしっ屁の噴射だった。
「あっははw ごっめ〜ん、今のスカシくっさそw」
その皐月の面白可笑しがる声からは、良心の呵責や憐憫の感情は、微塵も感じられない。彼女は蹲踞の姿勢をとったまま自分の股の間を手でぱたぱたと扇いでガスの臭いを自分で確認し、
「うわくさw」
などと言ってくすくす笑っている。
「ぉごゲエェェエッッ!!!ごぇッぶッッ!!! ぐッぐじゃぃッッ!!!
ほッほんどにッッ!!おならがッ!!おならがぐじゃずぎでッッ!!!
じッ死ぬッッ!!死んじゃうッッ!!!死んじゃいまずぅうッッ!!!!」
おならが臭すぎて、死ぬ。
普通に考えれば、誰かが不意に放屁してしまったときに冗談で茶化しながら言うような台詞なのだが……。1時間を超える顔面騎乗放屁責めの後、迫真の形相で訴える守谷に、冗談の色は全く見られない。
それでも皐月の方は、余裕の薄ら笑いで、
「大丈夫大丈夫、金払い良さげなおじさんは基本殺さないから」
と軽く言った後、
ぶしゅッッ!!!!
と短い一発を放って守谷に
「ぎゃひぃいッッ!!?」
という悲鳴を上げさせて翻弄する。そして、しゃがんでいた姿勢から身体をやや前傾させ、両手の指をパンティの脇にかけた。
守谷の顔の上で尻を真横に突き出した体勢をとったまま、彼女は尻肉を手のひらで押し潰すようにしながら、
「よいしょ」
とパンティを脱ぐ。尻が大きすぎるが故、小さいサイズのセクシーなランジェリーを脱ぎ着するときは、こうして尻肉をコントロールしなければならないのだ。
突然、目の前で下半身を露出し始めた皐月に、守谷は驚き、言葉を失う。だがそれは、興奮ではなく、恐怖の感情が表れ出たものだった。
「んふっ、街でナンパしたJKがその日のうちに目の前でパンツ脱いでくれるなんて幸せだね。はい、これプレゼントw」
そう言って皐月は、脱いで片手に持ったパンティを、わざわざ裏返しにしてから、あんぐりと開けた守谷の口の中、奥深くに突っ込んだ。
「オゲッッ!?!? ぉごげエエェェエェーーーェェエエッッ!!?!?」
あまりに当たり前のように行われた残虐な仕打ちに、守谷は抵抗もできなかった。つい先ほどまで、割れ目に完全に食い込むようにして彼女の巨尻を包んでいたパンティ。当然、あの臭すぎる数多のガスを、最も近い場所で吸着していた布地でもある。それを口に突っ込まれたら、並大抵ではない味と臭いが襲いかかることは想像に難くない。
その激臭パンティを喉元近くまで強引に突っ込まれたがために、自力で吐き出すもできず、目を白黒させて苦しむ守谷。その彼に、皐月は、天使のように微笑みながら、これから行われる悪魔の所業を告げる——
「はい、休憩終わり。じゃ、次は生尻ガンキ、いってみよっか♪ 」
「はがッッ!!?」
「他の奴隷に言わせると、窒息のみっちりレベルとか、鼻穴にお尻の穴密着する感触とか、ガスの直噴射具合とか、生尻はパンツ履いてる時よりも10倍くらいキツイらしいけど、ま、がんばってね〜w」
「はがげッッ!?ぁがッッ!!!んがぁぁあーーぁああッッ!!!!」
パンティで塞がれた口の奥から懸命に大声を出し、号泣しながら、自分の苦しみを訴えて許しを懇願する守谷。さっきまでの窒息顔面騎乗放屁責めもあんなに辛かったのに、その10倍の地獄が始まる……? 到底、耐えられるとは思えない。
もっとも、皐月が彼の必死の懇願に聞く耳を持つことなどあるはずがない。むしろ、こうして泣き喚いている男の顔を生尻で潰すのが一番楽しい、とワクワクしているくらいだ。彼女は、両手で尻肉をぐわぁっっと広げると——そのまま躊躇なく守谷の顔を敷き潰し、手を離して、その豊満すぎる生の巨尻で彼の顔面全体を僅かな隙間も作らせないように、密閉した。
「んむぅうぅぅうぅーーーぅーーーぅううぅううううッッ!!!!」
「苦しい? はい、酸素w」
ぶぼっっぼぉおおぉぉぉーーーぉぉおぉおーーぉおおぉおおおぉおおおっっ!!!!!
「んんぐがッッぁぁぁあぁぁあーぁあーぁぁあああッッッ!?!!!」
共に『異常放屁体質』を持つ安奈と皐月が出会い、親友となったのは、必然だったのだろうか。
この体質が発現し、同時におなら責めに倒錯的快感を見出すようになったのは、2人ともに、性が芽生えた中学生の頃だった。
当時から、同級生の中でも群を抜いた可愛さと、年齢離れした発育の良い胸元の膨らみを誇っていた安奈は、クラスの男子をたぶらかし、思春期の初心な恋心を弄んで、一人残らず全員を“堕とし”、そのままおならで完全屈服させ奴隷にしていた。さらにそればかりか、彼女は大人すら魅了し、担任、学年主任、生徒指導といった要所の教師達をも“堕とし”て、同様におなら奴隷として飼い慣らすことで、恋愛感情とおならへの恐怖という二重の支配により、学校内で何をやっても許される絶対的な地位を確立していた。
一方の皐月は、中高一貫の女子校に通っていて学内に男性が少なかったこともあり、彼女のターゲットはもっぱら学外の一般の大人であった。年齢以上に世知賢く、世間慣れしていた彼女は、早いうちから裏社会の大人達とも繋がりを持つようになっていた。というよりも、裏社会のやくざ者達さえ、臭すぎるおならを使って力により服従させていたのだ。そのコネクションを使い、彼女は「遊び相手」を度を超したおならで臭殺してしまった場合でも、その「処理」をさせることが可能だった。そのバックアップがあることで、彼女の中で、度を超してしまうことへの抵抗も次第に薄れ、やがて消え去ったのだった。
そんな2人は、偶然か必然か、出会ってしまった。同い年の、同じくらい魅力を持った女子が、ガスを嗅がせた相手を絶命させてしまうほどの同じ『異常放屁体質』持っている、と知り、2人の交友関係はすぐに深まっていった。安奈は公立共学校、皐月は私立女子校と通う学校こそ違ったものの、彼女達は親友となり、一緒に「遊ぶ」ことも多くなった。
そして、安奈は皐月に、男の「堕とし方」を、皐月は安奈に、相手を臭殺してしまった際の「処理」の仕方を教え合った。2人が出会ったことで、この世で最も残虐な
場面をホテルの一室に戻そう。
皐月の生尻が守谷の顔面を蹂躙してから、既に1時間半が経過していた。
守谷は、彼女の言った「生尻は10倍キツイ」というのは、脅しや誇張ではなかったことを思い知った。パンティを履いていたときも窒息死の危機を感じていたが、布地のしわと滑りがあったときはまだ「隙間」に助けられていたことが、今ではよく分かる。そこからパンティの布地が取り払われ、皐月の柔らかすぎる爆盛りの尻肉が顔面の凹凸に合わせて、むんにゅう……っっ、と顔を覆い尽くす。そこに彼女の全体重が載せられたら、もはや「隙間」は“ゼロ”だ。
皐月が放屁しなければ確実に息が続かず死んでしまうという恐怖。そして100%放屁ガスだけで呼吸しなければならないという絶望。
口をパンティで塞がれた守谷は喉が裂けんばかりの勢いで絶叫し、両目から涙を大量に垂れ流していたが、その大声も、涙も、「隙間」ゼロの完全窒息顔面騎乗からはほとんど漏れ出さず、くぐもった低音となり、両者の肌を濡らすだけの結果しか生むことはなかった。
「ん」
ぶゔしゅうううぅぅうぅううぅーーーーぅうぅううーーぅううぅうぅうぅうううっっ!!!!!
「むぐッぎょぉおおぉぉおーーーぉおぉーーぉおぉおおぉおッッ!!!?!?
ぉごッッ、ご……げへ……………ッッッ」
軽い息み声から放たれた長い噴射。肛門の振動音から始まり、スカシ気味にフィニッシュしたその一発は、その息み声の軽さとは対照的に、ヘビー級ボクサーの一撃のように守谷に重いダメージを与えた。
叫んだ後、一転して静まり返り、ぶる、ぶる、と痙攣し始める守谷。
「あ、今のもしかしてヤバかった?w ほら、伸びてないで、しっかりw」
ぶずぶぶふうぅううぅうっっ!!!!
「————んふんごおおぉぉおぉぉおおッッ!!?!?
おぉぉおごおゔぉおおぉおおおーーぉおーーぉおぉおおおッッ!!!!!」
だがこうなっても、皐月の気付けの一発で当然のように目覚めさせられる。その無限ループが、もう1時間半以上、最初から累計すれば3時間近く続いている。
これだけの長時間を経ても、皐月に疲労や限界は一切見られない。それどころか、お昼に大食いした焼肉がちょうどよく消化され、お腹がこなれてきてガスの調子が上がってきたかな、と思ってすらいるくらいだ。
「あ〜、また出る」
「んむぐッッ!!!?」
ぶりゅぶりゅりぃいぃいっっ!!!!
「んもがぎゃあぁぁぁぁええぇぇーーーぇぇぇええッッ!!!!!」
「ん、もう一発」
ぶずずぢゅううぅぅーーーーーーぅうぅううううぅううぅうっっ!!!!!
「んぐぅぅうぅうぅッッ!!!ふぐッッ!!!んむぐぅぅぅううッッ!!!!」
「んふっ、まだ出そうw なんか超出る〜w」
ぶぶゔぉッふぉおおおぉぉおぉおーーぉおおーーーぉおぉおおおおおおぉおっっ!!!!!
「んむぅうぅううぐぅうううッッ!!!!
むごげぇえぇッッ!!!んむッぅぅうぅううッッ!!!!!」
調子づいてきた皐月の、肩を震わせて笑いながらの情け容赦皆無な連続放屁——
人間を確実に超越したこの地獄責めに、守谷の反応の方も、ついに常軌を逸した。
もげてしまいそうなくらいに両腕を力任せに振り回し、実際、ガクンッ、と左肩が脱臼してしまった瞬間、彼の両腕をベッドに縛り付けていた拘束が、ブヂブヂッ、と千切れた。当然、普通の人間の腕力ではこんなことは不可能だ。肉体的にも精神的にも限界以上に追い込まれ、人間が人間を超える力を発揮したときだけ起こり得る火事場の馬鹿力。それが起こってしまうところまで来ていた守谷の、最後の足掻きだった。
「んむぎゅぐぅぅうぅぅううッッ!!!!!」
守谷にはもう訳が分かっていなかった。
フリーになった両腕を、激臭の苦しみの中、滅茶苦茶に振り回す。そして、手がついたところを掴み、もがく。……掴んだのがちょうど、やや前屈み気味の姿勢になっていた皐月の、ロケット型に張り出した乳房だとも知らずに——
彼のその発狂にも近い馬鹿力は、皐月にも想定外だっただろう。そして彼の手が急に胸を掴んでくることも。
それまで責めに興じて緩んでいた彼女の表情が、一瞬で険しく一変した。
「ッ、おい勝手に触んな!」
ぶぶゔぉごぉおおおぉぉおぉおぉーーーーぉおぉおおぉおおッッッ!!!!!
ぶぼぉおぉッッ!!!ぶむずッッ!!!ぶッふぉあぁああッッ!!!!
ぶずぶりゅぶッしゅううぅーーぅうーーーーーぅううぅううううッッッ!!!!!!
「はぁああなぎゃああああぁぁあぁぁあああッッ!!!?!?
んぐぐぐげへえぇぇぇぇーーーぇえぇええぇええッッ!!!!!!
ごぎゃああぁあぁあーーぁあーーぁあぁああああッ!!!!!!」
ホテルの一室に、化け物が現れた瞬間だった。
苛立ちを隠さない皐月の巨尻が、怪物クラスの超重低爆音を轟かせ、それと同時に守谷の首から下が、陸に打ち上げられたばかりの魚のようにベッドの上で大きく跳ね上がる。
だがそれだけ暴れようとも、皐月の巨尻は守谷の顔面を逃さなかった。頭部がベッドに釘で打ち付けられたかのように動かない守谷は、柔らかい皐月の胸を掴んでいた手も離し、10本の指を空中で開いて痙攣させる。——結果的に皐月の巨乳が、守谷にとって最期に触れたものになってしまったのだった。
「——って、あれ? うっそ、これやっちゃった?」
怒りの特大超連発放屁の後、昂っていた感情がクールダウンした皐月は、はっと気を取り直してそう呟く。
その時にはもう、守谷は静かになっていた。いや、静かすぎる。もはや彼は、痙攣さえしていない。
そこで皐月はようやく尻を持ち上げる。下から現れた守谷の、涙でグッチャグチャに歪んだ顔。見開かれた目は白目ではなく、両方の眼球は左右の異なる方向を向く奇妙な黒目の位置で固まって動かない。その表情からは、生気というものが全く感じられなかった。
皐月は右手で尻肉の片側を開き、肛門を露出させた状態で守谷の鼻先に近づけると、
ぷっっすうううぅうぅーーーーーーーぅううーーーーぅううぅううぅうぅううっっ!!!!!
と熱いすかしっ屁を吹きかける。
その濃度は、規格外。生物であればたとえどんな昏睡状態に陥っていても目覚めないはずがない、最強の焼肉すかしっ屁だった。が、それでも守谷は、僅かな反応も見せることはなかった。
「はぁ〜………」
皐月はこの確認作業で確信した。守谷はもう、絶命していた。
彼女はため息をついた後、再び、もう息を引き取っている守谷の顔面に、どかッ、と生尻を下ろす。
「あー……殺っちゃったか……。めんっどいなぁ。また処理させないと……。はぁ」
だるそうに独り言を呟く皐月。彼女からは、臭すぎるおならによって一人の男を殺めてしまったことへの反省などは少し見受けられない。ただあるのは、彼女の言葉の通り、「めんどい」という感情だけ。裏社会にコネクションを持つ奴隷を利用して亡骸を処理することは容易いのだが、彼女にしてみれば、ただただ「めんどい」のである。
ぐったりとして動かない守谷の顔の上に座りながら、スマホを取り出し、メッセージアプリを起動する皐月。相手は、“処理班”……ではなく、安奈である。
……そんなやりとりをしながらも、皐月は、
ぶふうううぅううぅうーーーーーーぅうううっっ!!!!ぶりゅっっ!!!
と豪快に放屁した。もちろん、守谷は動かない。
もう彼を窒息させるための顔面騎乗ではないため、彼女は脚を組んでリラックスした座り方をしている。そこでの放屁も、もう責めではない。ただ、出したくなったから出したただのおならに過ぎない。死者への冒涜も甚だしいが、もう彼女にとって守谷は興味の対象から外れた、ただの座布団でしかなくなっていた。
それから彼女は、“処理班”に電話をかけながら替えのパンティを履き替えた後、平然としてすたすたとホテルの一室を後にする。そして駅近くで安奈と合流し、何事もなかったかのように、今日二度目の焼肉を食べに向かうのである。