作:擬人化カイオーガちゃんはいいぞ
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▼EP“おはなし、したいな”
「ポケナビ貸してくれてありがと、助かったよ」
「別に大丈夫だよ。それでメール送れたんだよね?」
「うん。とりあえず“いつもの大雨で船から投げ出されたけど、無事に着いた”って。あとで電話もしなきゃなぁ」
「あはは……。えーっと、カイトくんって“あまごい”使えるの?」
「使いたくて使ってるわけじゃないよ??」
あかいこと、かいとがずっとおしゃべりしながらあるいてる。しらないばしょをあるくのって、たのしいんだっていっぱいきょろきょろしてみる。
とげとげしてるこや、ちっちゃいもふもふしたこ、あとぐにぐにってうごくこたちが、はっぱとかきのところにいる。
かいとにもみてほしくて、とんとんってしてみるけど。
「なら特性かなぁ」
「というか、オレはポケモンじゃないって!」
ずっと、あかいことおはなししてる。……なんだろ、まえのときとはちがう“むかむか”がむねのなかにぐわーってくる。
うれしくない、む〜ってする。なんだろうなって、なんだろうなって。なんだか、くらいきもちでかんがえてみる。
かいとがあかいことたのしそうにしてるのが、そのこばっかりみてるのが、どーしてかわからないけど“いや”だった。
「
「あれ、カイオーガちゃんが不満そうだよ?」
「む? どしたのさ」
わたしのかおをみてふしぎそうにするかいとに、なんだか“むっ”としてくっついてるうでをぎゅーってしてみる。でも、もっとふしぎそうなかおをするだけで。
つたわらない、わたしはこえがだせないから。わかってくれない、あなたはわかろうとしてくれるけど。
きっとむりなものだとおもう。でも、むっとしたきもちはおさえられなくて、うでからはなれてせなかにどーんってしてみる。
「
「のわぁ!?」
「わっ……ガバって行ったね」
かいとのせなかにだきついて、かたにあたまをのっける。
わたしよりかいとはおっきいから、のってもそのままつれてってくれる。
ずっとあかいことしゃべってるかいとにかまってほしくて、ほっぺたをぐりぐりってしてみる。
「むぐ……な、なにすんのさ……?」
「ふふ、構って欲しいんじゃないかな」
「──、────……」
「そ、そうなのかな。むっちゃぐりぐりしてくるんだけど」
「カイトくんのほっぺたとカイオーガちゃんのほっぺた、くっついちゃいそうだね?」
「この子、やたらほっぺたがふにふになんだよなぁ」
つんつんってほっぺをつつかれてくすぐったい。でも、かいとにさわられるのすきだから、てをつかまえてきゅってする。
「ほら、甘えてるんじゃない? 可愛いなぁ」
「……見た目が女の子だから恥ずかしいんだけどね」
「えへへ、男の子だ」
また、あかいことたのしそーにしてる。いいな、いいなって。ずるいな、ずるいなって。
さみしくなってきて、うらやましくて、この“くらい”のがなにかなってかんがえて。
「
これがなにかってやっとわかった。かいととあかいこみたいにわたしは、わたしも。
「
▼
「カイオーガ、カイオーガ……あの」
「────……」
「耳でペシペシするのやめて?」
耳なのかはたまたエラなのか。顔の横についた青い部分で何度もテシっと頬を叩いてくるカイオーガ。
後ろからオレの首に手を回して、顎を肩に乗っけたままずーっと何かを主張するようにパシパシしている。
身長差もあって完全に乗っかられているが、あまり重さは感じない。なんなら軽すぎるぐらいなのだが、問題はそこではなくもうひとりの視線。
「すっごく懐いてるんだね!」
「そうかな……。そうかも……」
ニコニコと笑って微笑ましそうにしている出会ったばかりの少女・ハルカの視線。そして、カイオーガに“こう”されている自分を客観的に見てしまったオレ自身。
むず痒い感覚をなんとか隠して何でもないような顔でハルカと話す。けど、顔が暑いのはわかっているのできっと赤くもなっている。
「……ふふ」
「なんだよ、その目」
「なーんでも! それよりもほら、あたしじゃなくって、ね?」
「?」
頬をかいて呆れた顔で指をさした方向はオレの真横。ふに、ふにっとした感触を覚えたままそっちに視線だけを動かせば。
「───〜〜……(ぷく〜〜)」
ジトーっとした目で、不機嫌そうにオレを見つめる黄色の瞳と視線がぶつかった。あまりの近さにドキッとしたのは秘密。
こちらの視線に気づいたのか、よりじっとりした視線で何かを訴えてくるカイオーガにどうしたものかな、と考えてハルカの言った懐いているというワードから。
「えっと……よしよし」
「? ……〜〜──」
肩の上に乗っているカイオーガの頭を丁寧に優しく撫でてみる。サラッとした髪の感触と、ほんのりの体温が手のひらを通じて感じられる。
やっぱり女の子みたいだな、とか考えて、むず痒い気持ちが溢れてきて。けど、気持ちよさそうな顔で嬉しそうに笑っているカイオーガを見て、こっちも悪い気はしない。
「寂しかったのかな。えと、ごめん」
「────、──」
「んっ、ぐ……わかったから、そんなすりすりしないでくれよ」
「────……」
“仕方ない”という顔ですりつき攻撃をやめてくれるご機嫌なカイオーガは、そのまま背中にくっついたままニコニコとしている。
改めて懐かれているなぁ、と思う困り顔のオレとそれを見て笑っているハルカ。なんとも、穏やか。
昨日と今日の違いっぷりに風邪引きそうだね、と前を向いてまた足を進めようとして。
「たっ……助けてくれーっ!!」
「──?」
「んお?」
「へ?」
どこからか男性の悲鳴が聞こえた。割としっかりテンパっているガチの悲鳴。
カイオーガ、ハルカと一度顔を見合わせたあとに、なんだなんだ声のした少し遠くの草むらの方に小走りで向かってみる。
木々を抜けて草むらが広がった場所で、紺色のシャツに白衣を羽織り、ハーフパンツにサンダルをはいた男性が汗をダラダラと流しながら、必死の形相でぐるぐると走っている。
「えっと、どうしたんだろう」
「うーん? あっ、ジグザグマに追いかけられてる! 襲われてるのかな」
ハルカの指した方向には1匹のジグザグマが“ぎゅぎゅーん!”と鳴きながらすごいスピードで男の人を追いかけている。野生のポケモンが人を襲っているのかな、と一瞬思ったけど。
「────?」
「うん、なんかジグザグマの方は楽しそうだよね」
「そ、そうかなぁ……?」
カイオーガが“あそんでるのかな”と不思議そうな顔をしていて、確かにとオレも思う。男性はもう無理と必死に走っているが、ジグザグマは遊んでもらっていると勘違いしているのか、なんかスキップするみたいに走ってるし。
って、呑気にそんなことを考えている場合じゃない! いくらポケモンの方がそうでも、人間からすればたまったものではない。
「ハルカ、あの人のこと」
「うん、助けなきゃ!」
どうやら考えは一致していたようで、きゅっと握った拳を胸の前まで持ってきて“頑張ろう!”みたいなポーズをしたハルカと頷きあう。
そのタイミングで走っていた男性もこっちに気づいたようで、オレたちを見つけた彼の表情は藁にもすがるような表情。そんな顔をしながら大声で。
「おーい! そこのキミたち!! 助けておくれーっ!!」
「はいっ! えっと……」
「そこにあるカバンにモンスターボールが入ってる! それで頼むー!!」
走りながら示された方向に目を向けれると、草むらで乱雑に投げ捨てられた茶色の鞄があった。
ハルカは瞬時にその鞄を開けて中を確認する。オレも慌ててあとを追いかけ、後ろから中身を見るとそこには数多くの書類や文房具、そして3つのモンスターボールが。
中に入っているのは確か、キモリ・アチャモ・ミズゴロウって名前の子たち。その中からハルカはパッとアチャモをとって、ジグザグマの方にボールを投げる。
「お願い! アチャモ!」
見事なフォームで投げられたモンスターボールが、地面にぶつかる直前にパカッと開き、中からはオレンジ色の小さな鳥型のポケモン。
ぴょんっと跳ねるように飛び出したアチャモは、そのままハルカの方を見てキリッとした表情で。
「アチャ!」
「うん、よろしくね!」
頷き合うハルカとアチャモを見て、なんとなく相性がいいのだろうと感じる。そして、すぐに指示を出し始めた姿を見て、オレも残ったモンスターボールからひとつ選んで参戦しようと動く。
えっと、どうしようかなと手を伸ばして。
「────っ」
「わっぷ!」
後ろからキューっと引っ張られて、前のめりになっていた体制から後ろに倒れ込みそうになる。けどお尻から地面に落ちることなく、オレの肩を引いたカイオーガの胸に抱き止められた。
え、なに? なんで? 彼女の胸元に頭を預けたまま見上げる体制でカイオーガの顔を見れば、右の手のヒレで“わたし!”と自己主張する頬を膨らませた怒り顔が飛び込んできた。
「か、カイオーガを使えってこと?」
「──、──」
確かに最初のポケモンはカイオーガだけど、この場でさっきのような技を使ってはあのジグザグマはひとたまりもない。
だから、あのアチャモのように他の子を借りようとしている。だから、それをカイオーガに伝えてみたが。
「でも技の威力が凄すぎて大変なことになっちゃうんじゃ……」
「……
しょぼんとした顔で“わたしがかいとのなのに?”みたいな目線の見つめられて、思わずうっとなってしまう。
確かに捕まえたばかりのカイオーガを放っておき、他のポケモンを使うのは彼女からしたら悲しいかもしれない。どうしようかと迷っていると。
「アチャモ、避けて!」
「アチャ!?」
「ぎゅうん!」
ハルカとアチャモのタッグが、すばしっこいジグザグマに苦戦している姿が目に入る。野生のポケモンを相手なら、と思うかもしれないがきっとハルカはこれが初めてのポケモンバトル。
しかも急なバトルなら慌ててしまうのも無理はない。ならオレも助けたいけど、カイオーガで下手な技は使えない。
どうしたものか、一瞬の思考。オレだってまともな戦闘の経験はないし、何をすればいいかわからない。
だから、今もオレを抱き止めてしょぼくれているカイオーガにお願いしてみることにした。
「カイオーガ、あのジグザグマの動きを止めたりできる? こう、痛くしないで」
「─────?」
「うん、できるのか?」
「──」
「じゃあ頼む!」
“そんなことでいいの?”と驚いた顔で問いかけてくるカイオーガに、お願いしてみてば、あっさりとこくんってひとつ頷いて、オレの目に両方の手を当てて塞いでくる。
「え、なに?」
真っ暗になった視界。でも後ろでカイオーガがモゾモゾと動いているのがわかる。何をするんだろうか、と思った矢先に。
「っ?」
ぞくり、と冷たいものが背筋に走る。大荒れした波、人を飲み込む自然の脅威をイメージさせる根源的な恐怖を、感覚だけで確かに感じ取る。
一瞬だけ溺れるように呼吸ができなくなる錯覚を覚えるが、すぐにパッと手を開かれて目に入ったのは。
「
ニコニコと笑っている可愛らしい青の少女の顔。ポカンとして、それからバトルが起きている方向をみれば。
「あ、あれ……ジグザグマ?」
「アチャ?」
「ぎゅ、ぎゅうーん……」
「今のは“こわいかお”……?」
ハルカとアチャモが苦しめられていたジグザグマが怯んだようにブルブルと震えて、じーっとこちら……いや、オレの背後にいるカイオーガを見つめている。その姿は怯えきっており、まともに動けそうにない。
急なジグザグマの変化にハルカたちは困惑するように顔を見合わせて、追われていた男性は難しい顔でこちらを見ていた。
「えっと、何したの……?」
「───♪」
腕をオレの腋の間に通してからお腹に回して抱きしめ、自分の頭を左右に揺らして楽しげに笑うカイオーガ。なんだ、何したの、ほんとに? ……って、そうだ!
「ハルカ! 今チャンス!」
「え、あ……うん! アチャモ、ひっかく!」
「チャモ!」
せっかく怯んでいるのに、ぼーっとしていればまた苦しませられるとハルカに声をかける。オレの意図が通じたのか、すぐに思考を切り替えた彼女は、アチャモに攻撃技の指示を出した。
小さい足で駆けていくアチャモ。もうジグザグマの目の前まで接近したタイミングで、向こうもようやく動けるようになったのか、回避しようとするが。
「ぎゅ!?」
アチャモのひっかくが綺麗に決まり、目をぐるぐるにしたジグザグマ。パタンと倒れた後にすぐ立ち上がって、逃げるように草むらの影へと走っていった。
とりあえず一難は去ったようで、ほっと一息。ハルカも初バトル、初勝利を収めて嬉しかったようで、アチャモを抱きしめて喜び合っていた。
「カイオーガ、ありがと。なんとかしてくれたんだよね?」
「───」
「ん……はいはい、ありがと」
「〜〜っ!」
こちらの手を取って、自分の頭にオレの手を置いたカイオーガがしてほしいことはすぐにわかった。
ぽんぽんと撫でれば、よりご機嫌になったカイオーガにオレも笑みが溢れる。サポートみたいなものだし、何もしていないけれど一応オレも初バトルだったな、とか考えて。
「すまないね、キミたち。助かったよ」
声をかけられてそちらを向けば、ジグザグマに追いかけられていたおじさんが、面目なさそうな顔で笑いながらお礼を伝えてきた。
「いやぁ、野生のポケモンを調査しようと草むらに入ったら、突然ポケモンに襲われてなぁ。とにかく助かったよ、ありがとう!」
「ああ、いえ……」
「平気です! おじさんも大丈夫ですか?」
「はは、平気だよ。うん、アチャモもありがとう」
「アチャ!」
陽気そうな笑顔でお礼を伝えてくるこの人。今ポケモンの調査って言ってたし、さっきのバッグの中身から予想するに。
「私はオダマキ。いやぁ、ほんとに助かったよ」
やっぱり、オレたちが探していた人物であるオダマキ博士のようだ。彼はひとしきりお礼を伝えた後で、ハルカの顔を見つめて何かに気づいたように声を上げる。
「おや、キミはセンリさんのところのハルカちゃんじゃないか」
「あ、パパのこと知ってるんですね」
「ああ! いやぁ、すっかり大きくなったなあ!」
どうやら知り合いのようで和気藹々と会話が始まった。あれ、というか今しれっと出たセンリって名前、どこかで聞いた覚えがあるような、ないような……?
う〜ん? と唸っていると、オダマキ博士がオレの方に歩み寄ってくるのに気づいてパッと立ち上がる。先ほどまでのハルカに向けていた陽気な笑顔のまま、口を開いた博士は。
「キミもありがとう! 助かったよ」
「えっと、特に何もしてないですけど……」
「いやいや、駆けつけてくれてありがとう。それに……」
一瞬だけ目が細くなり、その視線がオレの後ろにいるカイオーガに向けられる。あ、これもうバレてる?
「あのジグザグマを”こわいかお”で止めてくれたようだからね」
「えーっと……ははは」
博士はすぐに元の笑みに戻ったが、明らかに何かを疑うような視線と、それから探究心的なものを感じて少し後ずさる。カイオーガは“どうしたの?”という顔をしていたが、オダマキ博士を見てこそっとオレの背中に隠れた。
「さて……キミの後ろにいる子だけど。その子はポケモンかい?」
「う……はい」
「……ふむ」
隠しきれないし、最初からオダマキ博士には相談をしようと思っていた。だから素直に頷いたが、なんとも険しい顔でオレとカイオーガをじっと見つめてくる姿にまた腰が引ける。
「えっと……カイトくん、大丈夫かな?」
「チャモ?」
アチャモを抱いて不安そうにこちらの様子を見つめているハルカに、なんとかSOSを出したい気分だが。ジーーーっと観察するように見つめてくるオダマキ博士の視線から逃げられないオレは冷や汗を流すことしかできない。
そうして数分、じっと見られた後で流石に限界が来たオレが口をひらくと同時。
「あ、あの——」
「見たことがない!!」
「はい!?」
「────!?」
「人と類似したポケモン!? しかも新種かもしれない!」
めちゃくちゃ笑顔でそう叫んだオダマキ博士の顔は少年のようで、キラキラと輝いた目で何かを早口で語り出した。
あまりにも大きな声で叫ばれたせいか、服の背中側をちょんと摘んでいたカイオーガがビクッとした後に抱きついてくるレベル。いやあれはこわいよなぁ。
やたら何かをぶつぶつと言った後にハッとした博士は、頭をかきながらごめんごめんと謝ってくる。
「すまない! ついね。それで……っとそうだ。こんな所ではなんだから、私の研究所まで来てくれないかい?」
「え、と……」
「あたしもですか?」
「うん、ふたりともさ」
いつの間にやら横にいたハルカと一度顔を合わせて、同時にオダマキ博士の方に向き直り、ふたりで頷く。
「いいですけど……」
「あたしもいいですよ」
「うん! なら行こうか……っとと、そうだった」
オレたちの返事を聞いた博士が草むらに放りっぱなしになっていたカバンを肩にかけて、先に歩き出そうとした時。何かを思い出したようにこちらに振り返る。
「キミの名前を教えてくれないか? ああ、改めてだが私はオダマキ。ミシロタウンでポケモンの研究をしているんだ」
「あ、はい。オレはカイトです、キナギタウンから来ました」
「ずいぶん遠くから来たね……って、カイトって言ったかい?」
「? はい」
「もしかしてだが──」
驚いた顔をした博士の口から出てきた名前は確かに知っているもので、こくりと頷く。
「はい、オレの母さんです」
「そうか! ……無事だったようで安心したよ。お母さんには伝えたかい?」
「さっきメールで送りました。その、よければ後で電話もしたくって」
「もちろんさ、うちのを使いなさい」
どうやら博士と母さんは知り合いだったようで、トレーナー時代のことを少しだけ教えてくれた。
そんなことを軽く話しつつ、ミシロタウンへと歩いていく道中で昨日の水難事故の話題に。
「ずいぶんとひどい嵐だったらしいね。カイトくん、よく無事だった。それでどうやってここまで? ずいぶんと離れているが」
「あー、えーっと……」
「──?」
思わずハルカに目を向ければ苦笑いを返された。
うーん、長い話になるんだよな、とカイオーガを見て悩んでいれば“?”と呑気そうに頭にハテナを浮かべる姿が。人ごとじゃないぞ、と呆れた顔になっているオレにハルカが声をかけてくる。
「あはは……。カイトくん、あたしに教えてくれたし、博士にも言ったら?」
「話すつもりだったしね……」
「どうしたんだい?」
謎の目配せをしていたオレとハルカを見て疑問を浮かべる博士。信じてもらえるかな、と不安はありつつも簡単に昨日から今日にかけての話を語っていく。
話が進むにつれて博士は難しい顔になったり、苦い顔になっていたのだけれど、洞窟の辺りから目を輝かせ、この子との出会いまで行けば。
「ほほぅ! なんともそれは!」
と、ずいぶんと興奮したような感想をくれた。でも問題がここからで。
「それで、あー……そのポケモンなんだが」
「は、はい」
「あくまで私の知識の範囲でだが。その子の特徴と合致するポケモンは一匹しか思いつかなくてだね」
「……は、はは」
「まさかとは思うが……」
少しだけ冷や汗を垂らしたオダマキ博士がごくりと生唾を飲み込んだ後に迫真の顔で尋ねてくる。
「カイオーガ、かな?」
「っぽい、です」
「!!!!!!!」
肯定の言葉を投げた瞬間、オダマキ博士は目をこれでもかと見開いて、歓喜にも思える叫び声をあげた。
未知のポケモン……しかも伝説なんて言われているカイオーガ(しかも人型)を生で見たポケモンの研究者ならこうなるかも、とは予想していたけど。
予想の数十倍くらいの声を上げるとは思わなかった。