マーティン・ブライアント (オーストラリア)
【1967~ 】
子供時代のブライアントはIQも低く、自閉症であった。
小学校の時、家族旅行中に父親が自殺するという悲劇を目の当たりする。
自閉症の子供が目の当たりにするには、これ以上酷なことはないだろう。
多分、この一件でブライアントの精神は正常ではなくなってしまったと思われる。
成長したブライアントは、父親の友人で変人で有名な大金持ちの夫人が、ブライアントのパトロンになって生活を助けてもらっていた。
夫人が死亡すると、ブライアントはこの夫人から多額の遺産、不動産などを相続している。
1996年4月28日、銃で武装したブライアントはタスマニア島の観光地、ポート・アーサーのとあるコテージにやってきた。
コテージの持ち主夫婦はブライアントと知り合いだった為、ブライアントをコテージ内に招き入れると、ブライアントは何の躊躇いもなく、夫婦2人を射殺。
その後、ブライアントはポート・アーサーにある、ブロード・アロー・カフェに黄色いボルボで向かった。
ブライアントは車を駐車場に停め、オープン・カフェのテーブルでランチを注文すると、ゆっくりと食事していた。
食事が終わると、ブライアントは店の客に対して
「今日は白人ばかりだ、ジャップは少ないな」
と呟き、おもむろにカフェの店内に歩いて行った。
そして、持っていたスポーツバッグからアサルト・ライフルを取り出し、乱射し始めた。
約90秒で20人が死亡、12人が負傷した。
ブライアントは地獄絵図と化したカフェから出ると、店の出入口付近から駐車場に停まっていた観光バスに向かって銃撃。
バスの運転手と観光客2人が死亡した。
それからブライアントはボルボに乗り、車を発車させると、運転しながら通りすがりの人々に向かってライフルを発砲する。
走行しながらの射撃で次々と通行人を射殺した。
ブライアントは途中、BMWに乗った3人の男性を射殺し、そのBMWに乗り換える。
そして、そのBMWでガソリンスタンドに入ると、偶然そこにいたカップルの女性を射殺。
男性を拉致し、持ち主夫婦を殺したコテージに戻り、男性を人質にして立て籠った。
警官隊とマスコミがコテージを包囲したが、ブライアントが殺したコテージの持ち主は、銃器類のコレクターで、建物の中は銃と弾薬だらけであることが判明する。
この段階では、コテージの持ち主夫婦も健在で、人質になっていると思われていた上、犯人がそれらふんだんな武器を使って何をするかわからない可能性があるので、警察は慎重になり、一夜が経った。
翌日の朝、コテージから火の手が上がり、ブライアントが外に飛び出して来て、あっさり逮捕されてしまう。
人質として拉致されたカップルの男性は殺されていた。
結局、この事件で35人が死亡、15人の重軽傷者が出た。
ブライアントは自閉症で、知能テストも平均以下であったが、現場の下見、複数の銃を用意していた為、計画的犯行とされ、また精神鑑定で責任能力ありとされ、仮釈放なしの35回の終身刑という判決が下された (オーストラリアでは死刑がない) 。
逮捕されたブライアントは、はっきりとした動機を話さないので、今をもってその動機は不明のままである。
2002年2月未明、ブライアントは刑務所内で自殺を試みるも未遂で終わり、現在も服役中である。
オーストラリアでは、ブライアントの事件以前にも1987年8月と12月にはメルボルン市内で7~8人の犠牲者を出す事件が相次いで発生。
また1990年にはシドニーで5人、7人が無差別発砲の犠牲となっている。
このため市民団体などが銃規制を強化するため、連邦政府による銃保有強化法を制定し、州によって異なる銃規制の一本化を主張している。
∽ 総評 ∽
このブライアントの起こした事件は『ポート・アーサー銃乱射事件』と呼ばれ、瞬間大量殺人としては歴代4位の記録を誇る。
※追伸※
2016年6月12日、アメリカで発生したゲイバーでの銃乱射事件により、ブライアントの記録は5位になっている。
ブライアントがなぜそこまでの凶気に至ったか詳しくわからないが、通常このような大量殺人を起こした人物は、最後は自らも銃で撃ち死ぬのが定番だが、ブライアントは珍しく普通に捕まっている。
子供の頃に父親が自殺した姿を見させられれば、誰だってまともな精神ではいられないだろう。
銃社会の国では、このような大量殺人が頻繁に起きている。
日本の場合、あってもナイフや包丁できったり刺すのが精一杯で、多くて2008年に起きた『秋葉原通り魔事件』の7人くらいが限界である。
斬ったり刺したりするのは、やる方も体力が必要であるし、何より道具自体がすぐダメになってしまう。
それに比べ銃は弾薬さえあれば、簡単に撃てるし (それなりに練習は必要だが) 、何より体力をそれほど必要としない。
それだけ銃というのは危険なのである。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★★☆
・残虐度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・殺人数 35人 (重軽傷者15人)
《犯行期間:1996年4月28日》
コメント
コメント一覧 (15)
両親の愛情不足と言われた時代もありましたが、現在では関係ないと言われています。
誤解で困る人がいますので、訂正をお願いします。
そのようですね。
勉強不足で申し訳ございません。
早速、訂正させて頂きました。
と呟き
と、ありますが、なんでここで唐突に
日本人が出てくるのですか?
ジャップは少ないな、と呟いた、とあるから
その後、日本人を殺したのかと思ったのに
そうではないし
恐らく、読まれた資料の一つに、この犯人が
こういうことを言った、とあったのでしょうが
ここでなんの脈絡もなくいきなり、日本人が出てきた理由はなんですか?
それが本人が語らないので不明なんですよね。
発言から日本人を嫌って狙おうとしていたようですが、その後の凶行では結局日本人を誰も殺害していませんし、よくわからないです。
ドイツの事件で子供も学校で銃乱射をし17人(?)やってますし
やはりFPSは悪影響をもたらすのですね。
そういった方法で銃の腕前を鍛えられるというのは本当に恐ろしい限りです。
残虐な内容のゲームが影響を及ぼす事よりもそちらの方の影響の方が怖いですね。
5人は凶悪な組織の「バイキー」の一つの「フィンクス」の構成員で、脱退した男を監禁、刃物で刺す、熱湯を男にかけるなどの拷問を行ったとされています。
男は耳が聞こえなくなる、頭蓋骨を折るなどの重傷を負いました。
5人は強姦、恐喝などの容疑で逮捕されたということです。
衝撃的な事件ですね。
今度調べてみます。
多分もっと沢山アボリジニを瞬間大量殺人した奴がいるかと
確かにそうですね。
あくまでも近代における確実に判明している犯行に限ってです。
日本人向けの団体ツアーだと大概ツアー日程に入ってる
だから、それを狙ってたんじゃないかって言われてる
ただ、たまたまその日は日本人の団体客がいなかったってだけ
なるほど、そういう事だったんですね。
最近は、凶悪事件を題材にした映画を見ると、こちらではどう扱われているのか調べさせてもらっています
そしてこちらのコメントも、皆さんのいき過ぎた御意見もチラホラとあり、とても面白いです笑
頑張ってください!!
(願わくば、個人的に特に楽しみな韓国・中国・台湾の凶悪犯を紹介してもらいたいです)
☆今回の主人公ですが、22.3.25より映画化されました
https://www.youtube.com/watch?v=DCyZbr-7SG0
Japが少ない発言は、より多くの人数を殺したかったから観光スポットを狙ったのに団体客が当日いなかった故の発言です。彼の中では東洋からの観光客=Jap、実際日本人が多く訪れていた場所ですから。特にアジア系を意図的に狙ったという訳ではないですね。
ちゃんと大人になってからですね。