【完結】掲示板 in The Backrooms 作:忍法ウミウシの舞
「我々と一緒に、"神"を殺しませんか?」
この聖なる森に不敬なるものが侵入してきたのは、いつのことであったか。
まず始めに、鉄の飛獣が入ってきた。生贄はそれを見て戸惑っていた。我はそれを撃ち落とした。本物のそれらしく酷く貧弱であった鉄の飛獣は、揚力を失ったらしくふらふらと落ちていき、地に着いて砕けた。だが体液が飛び出さない。不可思議な獣だ。
生贄に聞くと、「からくりの類ではないでしょうか」と申してきた。生贄は明日食う予定であったが、苛ついたので今日食ってやることにした。腹と股の間の臓だけ食った後、ひと眠りした。ここが一番旨い。
起きると飛獣の残骸は無くなっていた。生贄は動かない。他の臓や肉はこうやって一晩寝かせた方が旨くなると我は知っていた。残骸は他の生贄が掃除したか。それでいい。ここには我と生贄しかいない。ここに入ってきたものは皆我の生贄である。それ以外がこの地に足を踏み入れるなど、あってはならない。
だが、それはまたしてもやってきた。今度は前よりも早く撃ち落としてやろう。そう思って力を籠めると、それは爆散した。やはり弱い。
飛獣が入って来れないようにすることは簡単だ。"壁"をより高く、厚くすればよい。だが、それをすると生贄も来れなくなってしまう。考えるのが面倒だったので、動かない生贄の頭をもいで口に入れた。これを舐めながら寝ると気分がいくらか落ち着く。
そして、三度目。いい加減うんざりしていたので、こいつを消し飛ばした後"壁"を厚くしようと考えていた。が、実際にそうする前にそれは自ら爆発した。腹立たしい。生贄が何か言っていたが、うるさかったので丸呑みした。
丸呑みした後、飛獣がいた場所に何かが落ちていたことに気が付く。別の生贄がそれを拾い上げると、「手紙のようです」と申してきた。どうやら、飛獣は何かの遣いであったらしい。
この煩わしい飛獣らは、これを読み返答しない限りいつまでも湧いてくるだろう。容易に想像がつく。"壁"によって拒むのは簡単だが、そうすると生贄が入ってこなくなってしまう。我が「読め」と言うと、生贄はしばらく手紙を見つめた後、こう申してきた。
「……何者かと戦闘する際に、協力してほしいです」
「断る。死ね。そう言ってやれ」
「『承諾された暁には、生贄を毎日10人送る用意がある』と」
「……」
「『もし承諾されるのであれば、詳細を詰めるためそちらへ伺う無礼をお許しください』とありますが」
本当に腹立たしい。だが、ここで癇癪を起こせば我はまたあの飛獣を何匹も何匹も侵入させてこの無礼者と会話をしなくてはならなくなる。それだけは本当に我慢がならない。
「返答方法はなんだ」
「またアレを送るそうです。そのときに声をかけてくれっ……」
またあれが来ることに耐えかね、つい反射的にその生贄の腹を貫いてしまった。飛獣と違い、紅い飛沫が散り地に染みる。芳醇な香りが我の鼻をくすぐる。
しょうがない。今日は胃袋でも食べるか。
▽
「嗚呼、これはこれは、『夢現を転ずる悪食の主』様よ。どうかこの地に足を踏み入れるご無礼をお許しください」
確か、こういうのを慇懃無礼と呼ぶのであったか。頭を地につけているが、その口調も、この地に来ておいて自ら身を捧げようとしないことも、全てが我を怒りを刺激する。
「面を外せ」
それは一人であった。この神聖な地にずかずかと何人も入り込んで来たら、それこそ殺してしまいかねないので、それはよい。問題は、我と対面しておいて未だに分厚い何かで全身を覆っていることだ。分厚い何かは粗い白色で、顔面は何やら異なる素材の黒で覆われているようだ。布に近い白と異なり、黒は金属に似ている。その向こう側を透かして見ることはできなかったが、恐らくこの向こうに本物の顔があるのだろう。
「顔を覆ったまま我に口を開くなど、許さぬ。面を外せ」
「『夢現を転ずる悪食の主』様。こちらの大気組成は私の生存に適さない故、どうかご容赦を」
「外せ」
そう睨むと、しばしの逡巡の後に黒の面が取り払われた。顔はその辺の生贄と相違ない。いや、少し歪んでいる。「生存に適さない」らしい大気がこいつを蝕んでいるのかもしれないが、そんなことはどうでもよかった。
「……手短に申させていただきます。我々と一緒に、"神"を殺しませんか?」
「我が、神だ」
「ええ、ええ。それは十分存じあげております。私が申しあげたいのは、『夢現を転ずる悪食の主』様をも創った、そのような存在のことです」
聞きたくもない話だったが、ここで殺すとまた飛獣が来かねない。こいつによれば、我や我のいる領域、そしてこいつを含めた"全て"を創造した存在のことを便宜上"神"と呼んでいるらしい。
より詳しい話をしようとしてきたが、それについてはすべて却下した。返答は決まっているので、意味がない。それよりこいつとの無意味な交渉をさっさと終わらせたかった。
「申し訳ありません。ここでは『造物者』と呼ばせていただきますが、とにかくそのような存在がいること我々は突き止めました。これを制することではじめて、我々はようやく造物者の支配から解放され──」
「で、そいつと戦うときに支援しろ、というのが交渉か?」
「その通りでございます」
そいつは咳払いしたが、そのときに血をいくらか吐いた。
「……この地を汚したご無礼をどうかお許しください」
どうでも良かった。むしろ、体の一部をようやく差し出してきたかと思った。
「とにかく、この件は断る。生かして帰すから、もう二度と来るな」
「以前ドローンを通したときは、好意的なようでしたが……」
「貴様らが気に食わんから、撤回する。生贄もいらん」
「……承知いたしました。お話を聞いてくださり、ありがとうございました」
「早く帰れ」
こいつの交渉に乗るということは、実質的にこいつの手先になるということだ。理屈で考えてもそうなるし、何よりさっきからこいつの行動には礼儀が感じられない。礼の形だけ真似ている節がある。真実我のことを喜ばそうと思っている生贄とは全く違う。
もう一度血を吐いたそいつは、また慇懃に謝った後に消えていった。そもそも、我の知らない方法で出入りすること自体が無礼だと気が付かないのか。それとも、もはやどうでもいいと思っているのか。
勝手に"神"とやらと戦って、勝手に死ねばいい。どちらが勝とうが、ここから出ない我には関係のない話であった。
そのはずだった。
あの無礼者を追い出して、どれだけ経ったか。いつも通り生贄を食って過ごしていると、何か、途轍もなく嫌な寒気が我の表面を撫でた。
また、あの無礼者が我の聖なる棲み処に入り込んできたか。最初はそう思っていたが、すぐにその直感が間違っていたことに気が付く。無礼者は酷く無礼であったが、同時に酷く貧弱であった。入ってきたときにもこんな寒気を覚えたことなどない。
こんなに短い間に侵入者が立て続けに来るとなると、"壁"の設定を見直さなければならない。だが、その前に侵入者を殺さなくてはならない。生贄でないものは、殺す。
どこだ。この領域にいる全ての存在を把握できるはずなのに、なぜか寒気の出どころは掴めない。
殺す、殺す、殺す。領域中を這い回り、探す。過程で我の体に押された木々が薙ぎ倒され音を立てる。土煙が幾分か舞う。どこにもいない。森林、いない。外れの荒れ地、いない。地中、いない。どこだ、どこだ、どこだ。殺す、殺す、殺す。
あらかた探しつくし、探し回った地をもう一度確かめようと振り返った。
いた。
それは、空より大きかった。
それは、虚ろより小さかった。
それは、温かい翼をもっていた。
それは、冷たい瞳をもっていた。
それは、笑っていた。
それは、怒っていた。
それは、悲しんでいた。
それは、静かにたたずんでいた。
それは、体中の全てが赤黒く蠢いていた。
そしてそれは、何よりも善い者であった。
瞬間、視界が闇に染まる。いや、それだけではない。風の音も不自然に消えている。
──奪われた、と直感した。
「……ッ~~~~~~~!」
正確には、顔を
"神"に逆らった罰か……罰? 意味が分からない。神は我だ。我が神であって、それ以外は生贄であるべきだ。違う。あれは善い者などではない。神ではない。
そうであるはずなのに、なぜ逆らおうとするたびに気力が削がれるのか。いや、"逆らう"はおかしい。我はただ、侵入者を滅そうとしているだけだ。気力を再び振り絞り、背を向けようとする本能に鞭打ってそれがいたはずの方向へ相対する。
殺す、絶対に、お前だけは。そう言おうとしたが、発声することもできない。糞が。
何も視えずとも、聞こえずとも戦いようはある。
お前だけは、絶対に殺──
▽
213:ノイズ1号
なんで家の中も危険がいっぱいなんですかね……
214:名無しの放浪者
絶対に殺すという意思を感じる
215:名無しの放浪者
ノイズ1号の記憶にない家に入ったと思ったらこれだもんな
216:名無しの放浪者
まあ記憶通りのまやかしの街の中で明らかに場にそぐわない家があったら出口っぽいよな
217:ノイズ1号
ネコちゃんがいなかったら絶対に終わっていたとおもうわ、マジで
218:名無しの放浪者
うん……
219:名無しの放浪者
どっちも対応ミスってたら終わりだもんなあ
220:名無しの放浪者
しかも対応の仕方違うのやばいだろ
221:名無しの放浪者
へー何があったん
222:名無しの放浪者
ちょっと前の過去レスだぞ!読もう!
223:名無しの放浪者
猫がクローゼットの前で鳴き、開けてやるとその中に入る
↓
1号も入ると壁の全面から無数の手が生えてきて家全体を調べ始めたが、閉めたクローゼットは開けられないようでセーフ
猫がベッドの傍で鳴いて下に入っていったので1号も入ったら、天井の方から強烈な視線を感じた後に家の上から7割ほどが消し飛んだ
224:名無しの放浪者
こわすぎ
225:名無しの放浪者
視線ってことは俯瞰で上から見られたけどベッドの下だったから(見られなくて)セーフってことだよな、多分
226:ノイズ1号
ベッドの時にクローゼットにいたらふつうに切られて死んでると思う
逆に、クローゼットの時にベッドにいたら手に侵入されて何かされてた
227:名無しの放浪者
手で何するんでしょうね……
228:名無しの放浪者
さあ……くすぐり?
229:名無しの放浪者
どうせ目に指突っ込むとかじゃないの
230:ノイズ1号
とりあえず猫も鳴いてないし外出るわ
231:名無しの放浪者
えぐいわー
232:ノイズ1号
周りの家ぜんぶ消えててワロタ
233:名無しの放浪者
えぇ……
234:名無しの放浪者
草
235:ノイズ1号
ノイズも消えて今いた家も消えた、さっきからノイズ越しに見えてた森だなここ
236:名無しの放浪者
じゃあもうノイズ1号じゃないじゃん
森1号とかに改名しとけ
237:ノイズ1号
森になったら森になったであてがないな、どこ行けばいいんだ
238:名無しの放浪者
ネコちゃんに従いなさい……さすれば出口が見つかるでしょう……
239:名無しの放浪者
探索の全てが猫頼み過ぎる
240:名無しの放浪者
俺たちにも10割ぐらいくれない?
241:ノイズ1号
嫌です……(俺が死ぬので)
ネコ、森の道なき道行っちゃった
242:名無しの放浪者
獣道かな
243:ノイズ1号
待って~
244:名無しの放浪者
この幸せな日々が続けばいいな、そう思ってました。
あの日が来るまでは……
245:名無しの放浪者
変なナレーション足すな
246:名無しの放浪者
そういえば殺意すごい攻撃はもう来ないの?
247:ノイズ1号
来てないねえ
248:名無しの放浪者
力溜めてるフェーズかも
249:名無しの放浪者
幻覚もないしもう力尽きたんじゃない?
知らんけど
250:名無しの放浪者
うーん不明
251:ノイズ1号
うわでっかい大蛇おる
トラクターぐらいの高さでずっと体が続いてる
252:ノイズ1号
死んでる……?
253:名無しの放浪者
死体ばっかだなあこのbackroomsはよお!
てかデカすぎだろ
254:名無しの放浪者
死体か襲ってくるかのどっちかよな
例外は猫ぐらい
255:名無しの放浪者
やはりネコチャンは神……
ネコチャンは全てを解決する……
256:ノイズ1号
顔が、無い
もとはあったのに無理やり削りとったような感じ
血は固まってるし、だいぶ時間が経ってるかも
257:名無しの放浪者
またか
258:名無しの放浪者
同一犯なんだろうな
世界を超えられるような何か
259:名無しの放浪者
世界超えられるの一覧
・俺ら
・狼人間
・ネコチャン
260:名無しの放浪者
狼人間は普通に銃を持ち出してきたし
消去法でネコチャンなのか……?
261:名無しの放浪者
嫌だ!ネコチャンが敵だなんて嫌だアアアアア
262:名無しの放浪者
迫真で草
263:ノイズ1号
猫が鳴いたらヘビが扉になったんだが
どゆこと?
264:名無しの放浪者
?
265:名無しの放浪者
俺たちが聞きてえよ
266:名無しの放浪者
意味わからん
267:ノイズ1号
言葉の通り、猫が鳴いたらヘビがゴキゴキゴキって言って尻尾と頭がくっついて
扉になっちゃった
268:名無しの放浪者
えぇ……
269:名無しの放浪者
説明が足りなすぎる
270:名無しの放浪者
なんでウロボロスになったら扉になるんだ?
俺がおかしいのか?
271:ノイズ1号
俺もよくわかってないけど
とにかく、バカでかいヘビがバカでかい扉になった
272:ノイズ1号
あ、開いた
273:名無しの放浪者
ネコチャンの仕業なのかな
こわいよー
274:名無しの放浪者
問題は俺たちがこの世界来た時にもその扉が残ってるかどうかなんだよな
275:名無しの放浪者
それを言うならまだ猿の首元のドアすら見つかってないが……
276:名無しの放浪者
ちょっと違う方針で探索してみるか