【完結】掲示板 in The Backrooms 作:忍法ウミウシの舞
"狼人前線基地"、と呼称されるそのエリア。無限に広がっていると思わせるほどの草原に、畑、そしてまばらに倉庫らしき建造物が散在している空間で、一人の狼人間が室内でなにやら作業をしていた。
執務室、であろうか。書類に目を通したり、何かを書き込んでいたり、判のようなものを押していたりする。
作業をしているのは先の演説をしていた狼人間である。この奇妙な空間の中で、彼がリーダーあるいは隊長なのであろうか。それにしては部屋の内装は質素なもので、実務に最低限必要なものしか見当たらない。
こんこんこん、と音がドアの外から聞こえる。
「入れ」
隊長が促すと、「失礼します」と声がした後ドアが開いた。別の狼人間だ。部下であろうか。
「足跡の正体が判明いたしました」
「続けろ」
「不特定多数の人型実体です」
隊長の眼は変わらず書類を捉えていたが、狼としてふさわしいであろうその耳はしっかり報告者を向いていた。
「毛の少ない実体であり、形状はN-588やK-144と類似しています。実体に細かな違いはありますが、どれも非武装である点や、顔に巨大な傷があり視覚的な識別が困難な点が共通しています。これら実体には管理番号T-089を割り当て、特徴から"
顔に傷がある、との言を聞いた隊長の耳が動いた。
「対処法は?」
「まず、似通った臭いを持っているので我々の嗅覚なら探知が容易です。また、一般的な人型と同等もしくはそれ以下の耐久力しか持っていないので、銃器や刃物、爪や牙で対処可能です。活動不能になった個体は衣服や装備ごと消失します」
「そうか。出現レベルと発生源は?」
「レベルを逆進して調査したところ、出現が確認されているレベルはPB-001783・001892・152280・205731・234698の5つです。が、実体の発生源は確認されていませんでした」
「ふむ……」
報告を耳に入れ、しばし考えこむ。
逆に言えば、その"向こう側"に実体の発生源があったとして、より上位の存在に保護されている可能性がある。あるいは、より遠くのレベルから実体を飛ばすような技術が存在するか。いずれにせよ、油断ならない相手である。隊長はそう考えた。
「他に留意すべき点は?」
「基本的に単独で出現することが確認されています。稀に複数個体が遭遇する場合も、コミュニケーション等をしている素振りは確認されていません」
「わかった。PB-001892や234698に出現する実体は最優先で処理しろ。何らかの情報を持ち帰ることが目的かもしれない」
「はっ」
情報が集まれば、それを書にまとめて上に報告するのが隊長の仕事である。特に今回の件は敵の正体や出所が不明であるため、非常に重要度が高い。
作業のため報告を完了した部下を下がらせようとしたとき、その目が彼の腕を捉えた。包帯が巻かれており、血が痛々しく滲んでいる。
「……負傷したか」
「申し訳ございません。反撃する個体が出た時に、やられまして」
「我々はまだ日が浅い。未だ訓練量が不足しているのは理解している。だが、敵はそれを待ってくれない。心して励むように」
最後に「下がれ」と加えると、部下は礼をした後に部屋を退出する。
言葉の通り、隊長は彼の負傷を責める気はなかった。かろうじて武装はしているが、戦闘や訓練の設備やノウハウがほとんど無いのが現状である。だから、非武装実体に暴れられただけでも被害が出てしまうことがある。
天井をふと見上げる。壁紙すらない、簡素な天井だ。どうしてこんなことになっているのか。どうして、このような僻地とも呼べる世界で警護をしているのか。突如現れた実体は……もし、
「忌々しい先祖共のツケを、我々が支払うことになるとはな」
隊長の恨み言は、か細く消えていくだけであった。
▽
145:名無しの放浪者
狼人間はクソ
146:名無しの放浪者
わかる
147:名無しの放浪者
ゴミ、カス、遠くから銃で引き撃ちするだけの軟弱者
148:名無しの放浪者
”漢”ならよォ!正々堂々と殴り合いだよなァ!?
149:名無しの放浪者
なに急に不良漫画みたいなノリになってんだよ
150:名無しの放浪者
そもそも殴り合いしても膂力や牙や爪の関係で不利ですよね……?
151:名無しの放浪者
いや、いける
現に俺は奴らの腕をめちゃめちゃ噛み千切ったから
152:名無しの放浪者
野蛮すぎるだろ
153:名無しの放浪者
この掲示板にバケモンいるけど
154:名無しの放浪者
ていうかなるべく逃げるみたいな話だったやん……
155:名無しの放浪者
だってショッピングモールとか橋エリアとかにも出てきて見つけ次第問答無用で撃ってくるしさー
全面戦争しかなくね?という
156:名無しの放浪者
おかげでリス地の黄色い空間に引きこもるしかなくなったからな
157:名無しの放浪者
たまに散策に出る奴いるけど大抵すぐ殺されちゃうよね
なぜか黄色い空間にまでは出てこないのが救いかな
158:名無しの放浪者
研究所の犬とかショッピングモールのダクトとか使えばある程度粘れるらしいけど探索できるほど猶予があるわけじゃないし
159:名無しの放浪者
あの犬って狼人間の仲間とかではないんだな
160:名無しの放浪者
MPKできるの草
161:名無しの放浪者
それより狼人間の腕噛み千切れるんだな
162:名無しの放浪者
あいつら突撃すると意外とビビるよ
弾もあんまり当たんないし
まあすぐ取り押さえられて射殺されたけど
163:名無しの放浪者
それはそう
164:名無しの放浪者
確かに撃たれてる割には当たらないよな
まあ死ぬほど撃たれるからそのうち死ぬんですが
165:名無しの放浪者
死ぬほど撃たれているので死ぬ←道理過ぎる
166:名無しの放浪者
結局なあ武器とかの差で負けてるし
向こうも対策してくるだろうからあんま暴れても活路は無さそう
167:名無しの放浪者
ぐえー
168:名無しの放浪者
壁抜けはどうなったっけ
あんま見てないんだけど
169:名無しの放浪者
一番効率いいのが18手で壁に5mm埋まる儀式
一番埋まれたのが73手で壁に8mm埋まる儀式
170:名無しの放浪者
うーん……
171:名無しの放浪者
しかも埋まるだけで別エリアは行けないんか
172:名無しの放浪者
「埋まれた」って表現初めて見た
173:名無しの放浪者
現実世界で壁に埋まるなんてバグ技みたいなことできないからここまで解析が進んだのはマジですごいんだけど
8mmかぁ……
174:名無しの放浪者
8mm測れた奴もすごい
175:名無しの放浪者
管理者さんの解析が無かったらここまでは行けなかったのでマジで感謝しかないぜ
176:名無しの放浪者
管理者Uさんってすごい
俺は改めてそう思った
177:名無しの放浪者
あとはそうだな
床抜けに関しても成果がある
むしろこっちの方がデカい
178:名無しの放浪者
なにそれ
179:名無しの放浪者
ショッピングモールや研究所に行けた奴と全然行けなかった奴がいただろ?
あれはリスポーンの階層が違うからっぽい
簡単に言うと
2F:リス地候補。何もない
1F:リス地候補。ショッピングモールや研究所、あと暗闇湖に行ける
B1F:リス地ではない。橋エリアに行ける
って感じ
180:名無しの放浪者
おー
これはデカいな
181:名無しの放浪者
つまり2Fの人たちは毎回骨折しながら落ちないと探索できないってこと?
182:名無しの放浪者
床抜けは比較的安定した安全な手法あるからwiki見て
183:名無しの放浪者
thanks
見てみるわ
184:名無しの放浪者
もう骨折しなくても橋エリアで食欲を満たせるってことですか!やったー!
185:名無しの放浪者
まあ今は狼人間のせいで行けないんですけどね初見さん
186:名無しの放浪者
やだー!
187:名無しの放浪者
やはり狼人間はクソ……
188:名無しの放浪者
黄色い空間の探索進めてたけど2Fだったっぽいな
俺も壁抜けに協力しようかな
189:名無しの放浪者
それがいいかも
190:名無しの放浪者
狼人間をすり抜けながら既存エリアを探索する班もいるぞ
君も入らないか?
191:名無しの放浪者
そっちは修羅すぎる
192:名無しの放浪者
銃で撃たれること前提の探索かあ……
193:名無しの放浪者
もうすでに敵対してるからってすげーな
194:名無しの放浪者
【速報】壁抜けに成功した猛者現る
195:名無しの放浪者
マジ?
196:名無しの放浪者
うおおおおおおお
197:名無しの放浪者
壁抜けスレ見るか……
マジじゃん……
198:名無しの放浪者
壁抜けした瞬間にねじ切られて死んだらしいな
199:名無しの放浪者
布モンスターの外周の挙動と同じだな
200:名無しの放浪者
再現性あるっぽいな
137手で行けるっぽい
201:名無しの放浪者
お疲れ様ですとしか言いようがない
202:名無しの放浪者
手順の桁が違うんだけど
203:名無しの放浪者
8mmからだいぶ進んだな
204:名無しの放浪者
そういえば8mmでも5mmでもいいけど埋まったらどうなるの
よくわからないけど
205:名無しの放浪者
そりゃ壁と同化して動かせなくなるから死ぬしかないよ
206:名無しの放浪者
えぇ……
207:名無しの放浪者
wikiの壁埋まり手順見たら複雑すぎてウケる
「右回転しながら右ひじを壁に上向きにこすりつけつつ体全体を下げながら踵に体重をかける」ってなんだよ
208:名無しの放浪者
これは管理者の解析無いと無理ゲー
209:名無しの放浪者
具体的には管理者って何してたの
210:管理者U
この空間や壁抜け手順のデータから、最も壁内に侵入しやすい手順の候補を算出いたしました。
211:名無しの放浪者
それ計算とかできるもんなんだ
212:名無しの放浪者
すげ~
213:名無しの放浪者
これでいつでもねじ切られて死ぬことができるよ!やったね!
214:名無しの放浪者
まあ、新規エリアに行けたわけではないんだよな
215:名無しの放浪者
でも布モンスターエリアの外周と同じ挙動で死ぬってことは多分何かが同じだよな
やっぱり虚無空間的なサムシングじゃない?
216:名無しの放浪者
じゃあ違うエリアで試すか?
狼人間が徘徊しているところで137手かかる謎儀式を?
217:名無しの放浪者
別にそれぐらいなら全然行けるけどね
問題はエリアごとに壁抜けの手順が違った場合よ
218:名無しの放浪者
さすがに壁抜け手順の調査をするほどの時間は無さそうだしなあ
219:名無しの放浪者
あいつらこの無限に広そうな空間でもすぐ来るから嫌い
220:名無しの放浪者
とりあえず安全な橋エリアとショッピングモールで試したらしいけどダメだったって
その後射殺されたって
221:名無しの放浪者
やっぱりエリアごとに手順が違うやつ?
222:名無しの放浪者
安全とは……
223:名無しの放浪者
射殺以外の脅威が無いので、安全
224:名無しの放浪者
射殺されました。
急に治安が悪くなったので、最悪。☆1です。
もう二度と行きません。
225:名無しの放浪者
何ログ?
226:名無しの放浪者
新規エリアは開拓できそうにないし、詰みかこれ
227:名無しの放浪者
望みは薄いが既知エリアでまた狼人間から逃げながら探索するしかないかあ
228:管理者U
力が足らず、申し訳ありません。エリアについての探査情報がもう少し集まれば、他の援助ができるような気がするのですが。
229:名無しの放浪者
(それ結局俺たちの探査不足を責めてない?)
230:名無しの放浪者
いや、まだできることはある
この最初のエリアには階層があるんだから、例えば下のB1Fで壁抜けをするとか
他の階層を探すために床抜けや天井抜けをするとか
231:名無しの放浪者
それなら狼人間に殺されずに作業できるな
232:名無しの放浪者
いや~狼人間にリスキルされなくて良かった~
233:名無しの放浪者
なんで狼人間はこっちまで来れないんだろ
エリア逆走っぽいことはできてるのに
知ってる?管理者
234:管理者U
要望を受理します。
・このエリアについての探査が一定段階を超えた時点で可能になったので、"リスキル"を防止するための防御壁を張りました。
・この防御壁によってあなた方の探索が阻害されることはありません。
235:名無しの放浪者
有能
236:名無しの放浪者
管理者ちゃんはいっつも有能だなあ!
237:名無しの放浪者
で、それいつ張ったの?
238:管理者U
ついさっきです。
239:名無しの放浪者
……え?