【民泊のルール見直しへ──267名の署名に基づく請願、わずか2票差で不採択に】
民泊の適正な運営を求めて──267名の区民の声に応え、「請願」への賛成討論を行いました
こんにちは。渋谷区議会議員のくわずるゆき子(国民民主党)です。
6月の第2回定例会にて、私たち立憲・国民 渋谷議員団は、
**請願受理番号 第15号「住宅宿泊事業(民泊)の適正な運営に関する請願」**に「賛成」の立場から討論を行いました。
この請願は、広尾・幡ヶ谷・本町などを中心に、267名の区民の署名を伴って提出されたもの。
会派を代表し、増田ひろのり議員が討論に立ちました。
❓ この請願は、なぜ出されたのか?
渋谷区では2018年に独自の民泊条例を定め、生活環境の保全と文化交流の両立を掲げてきました。けれども制度開始から7年、特にコロナ5類移行後のここ1〜2年で、民泊の数が急増し、地域では以下のような問題が多発しています。
💥 よく聞かれる声(実例)
ゴミを分別せずに路上へ → 近隣住民が片付ける羽目に
登録外の10人が深夜に騒ぎ → 近所から警察に通報
管理者が誰かも分からず → 苦情を伝える手段なし
民泊の場所が知らされていない → 周囲が事実に気づかない
こうした問題の多くは「家主不在型」の施設で起きています。地域の方の安心が、いま静かに壊されつつある──それが実情です。
📝 請願の中身:求めていたのはこの3つ
簡単に言えば、「民泊をやめてくれ」ではなく、
民泊を続けるなら、地域ときちんと共存できるよう、ルールを見直してほしい
という、とても現実的で、まっとうな提案です。
① 家主が住んでいる家に限って民泊を認めてほしい
→ 住居専用地域で、日常的に他人が出入りすることの不安。
→ 千代田区や大田区ではすでに「家主居住型限定」を導入済み。
② 苦情・相談窓口を復活、多言語対応を
→ かつて存在していた「民泊コールセンター」はコロナ禍で閉鎖。
→ 民泊施設数は昨年度だけで+34%、苦情件数も増加中。
→ 今こそ、誰でも・いつでも連絡できる体制が必要です。
③ ルールを守らない事業者に厳正な対応を
→ 善良な事業者を守るためにも、「線引き」は必要。
→ 管理体制・苦情対応履歴の確認、是正指導、公表措置などを求めています。
📉 そして、結果は──
私たち以外の会派からも「賛成」の討論があり、
「今回は採択されるかもしれない」という空気も、確かにありました。
しかし、結果はこうでした。
✅ 採択:15票
❌ 不採択:17票
→ わずか2票差で不採択
正直、非常に悔しいです。
🌏 民泊を否定しているのではありません
誤解のないよう強調したいのですが、今回の請願は「民泊を全面的に禁止してくれ」という主張ではありません。
文化交流も大事。けれど、そこに暮らす人の平穏も同じくらい大切。
それをどう両立させるかを真剣に考える──それが、この請願の本質です。
現行の条例にも、ちゃんとこう書かれています。
『子どもが安心して安全に生活できる環境の確保』と
『観光旅客との文化交流を促進すること』の両立を目的とする
今回の請願は、その原点に立ち返るものでもありました。
🔁 だから、この議論は終わりにしません
267名の署名。
そのひとつひとつに、日々の不安や暮らしの願いが込められていました。
不採択という結果ではありましたが、請願は記録に残り、議場で議論され、声が届いたこと自体が前進です。
私たちは、以下の点を引き続き粘り強く提案していきます。
家主居住型の導入
苦情対応の窓口の復活
違反事業者への厳正な対応
📝 さいごに
「渋谷に住み続けたい」──
その願いを守るのが、私たち議員の責任だと思っています。
地域で起きている課題を、議場へ届け、制度につなげる。
今回の結果に悔しさは残りますが、次につなげる決意を新たにしています。
引き続き、地域の声を届けてまいります。
ご意見・ご感想、いつでもお寄せください。
📄【増田ひろのり議員による賛成討論の全文はこちら】
ただいま議題となりました、
請願受理番号 第15号「渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する請願」につきまして、立憲・国民渋谷議員団を代表して、採択に賛成する立場から討論を行います。
本請願は「渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」および規則の一部見直しと厳格な運用を求めるものであり、267筆の署名を伴って提出されました。
請願者がお住まいの広尾地区をはじめ、幡ヶ谷、本町など区北部地域の多くの区民の署名も伴うものです。
討論にあたりまず、改めて、現行条例の目的を確認します。
第1条に『区民の生活環境への悪影響の防止及び子どもが安心して安全に生活できる環境の確保を図るとともに、住宅宿泊事業を通じて、区民及び事業者と国内外からの観光旅客との文化交流を促進し、もって良好な地域社会の維持及び形成に資することを目的とする。』
と記されています。
文化交流を通じて地域社会の維持形成を図ることと、子どもを含む住民の安心・安全な生活環境を守ることは、いずれも条例の目的であり、両立を目指すことが渋谷区の民泊政策のあり方です。
しかしながら、条例施行から7年が経過し、特にコロナ5類以降後のここ1〜2年で民泊事業の数が大きく増加するに連れ、民泊宿泊客による迷惑行為も絶えず報告されるようになってきました。
地域の安心安全な住環境が損なわれ始めており、行政としての対応強化が急務となっています。
私たちが、区内各地域の住民の方々から話を伺い、捉えている民泊の課題は大きく2点です。
1点目は、宿泊客の違法行為、迷惑行為です。
例えば、宿泊客がごみを分別せずに路上に放置したと見られ、付近の住民が回収、分別した上で収集日に出したケースを把握しています。
また、予約した宿泊登録者以外の者10名程度が施設に入室し、住宅地において深夜まで大きな声で騒いだケースを把握しています。民泊施設を文化交流のための宿泊施設ではなくパーティールーム代わりに使おうとする悪質な典型例だと思います。
これらの例は、一義的には、宿泊客の違反行為ではありますが、施設の管理者がすぐ近くにいれば事業者側で対応できたケースだと考えられます。
2点目は、どこで民泊が行われているのか、そして誰に苦情や対応を求めれば良いのか、住民の方にはわからないという課題です。
本区では民泊事業を届け出る際の周辺住民への事前周知は、10m以内の家に書面1枚を配布すればよく、多くの住民は民泊営業が始まる事実も場所も知る機会がありません。また民泊事業者の連絡先も民泊施設その場所に貼られた標識を見る以外に知る手段がなく、苦情や問い合わせ先が分かりません。
また民泊宿泊客だと思われる外国人観光客の迷惑行為を見ても、言葉の壁から直接コミュニケーションを取りにくいという課題も現実に存在しています。
これらの状況が、自宅付近で問題に直面している住民に、我慢と負担を強いています。
本請願には、以上の実態を踏まえた、また区民の実感に即した、実効性のある対策が、切実な要望として記されています。
請願事項の1は、条例第7条に定められる制限区域において家主居住型に限リ住宅宿泊業を認めることを、求めるものです。
本区が制限区域と定めているのは4種類の住居専用地域および2種類の文京地区で、営業期間を、事実上学校の長期休暇中に限る日数規制が盛り込まれています。特例規定もありますが、この制限が、子どもが安心安全に生活できる環境の確保を目指したものであることは明らかです。
制限区域において、家主不在のまま不特定多数の宿泊客が出入りする状態が、条例趣旨と整合しないのではないかという請願者の指摘は、真っ当なものです。
同様の懸念は、条例制定前に行われた「渋谷区民泊のあり方検討会」でも表明されておりました。当時、地域の業界団体、まちづくり協議会の代表などから、家主不在型民泊による騒音や衛生管理、防犯上の不安が指摘され、家主居住型に限るべきとの意見が出された経緯があります。
他区を見れば、千代田区、大田区で住居専用地域においては家主居住型に限って民泊を認め、中野区、杉並区で家主不在型の厳しい営業日制限を設けています。
静穏な住環境を守るという考え方に基づき、法の認める上乗せ規制として、家主不在型を制限することは十分に可能です。
本区でも、特に制限区域で生活している多くの住民の思いを重く受け止め、検討を進めるべきです。
次に請願事項の2は、区民が常時利用できる民泊専用苦情相談窓口を設けることと、事業者や宿泊客に対し多言語で対応できる体制を整えることを、求めるものです。
7年前の条例制定当時、本区には渋谷区民泊コールセンターが設置され、住民からの相談をワンストップで受け付けていました。民泊に関する困りごとがあった時にはコールセンターに連絡すれば良いという分かりやすさは、区民に安心感と納得感をもたらします。
ただこのコールセンターはコロナ禍を経て閉鎖されています。一方で、昨年度の1年間に登録された民泊施設数は、年度末時点での本区の登録件数1096件の34%に上る378件。今年度に入ってもペースは収まらず急増しています。(アドリブ→)苦情件数もこれに伴って増えているのは先日の一般質問の通りです。
今こそ、民泊をめぐる環境が著しく変化している今こそ、民泊専用の苦情相談窓口を設置することが必要です。
また常時対応の窓口は、民泊の適正な運営に取り組む事業者をフォローすることにもつながります。
民泊事業者には個人や小規模事業者が多く、緊急連絡先に代表者の携帯電話を設定して24時間受け付ているケースが存在します。責任感を持って受け付けられていても常時対応に限界があることは否定できません。公のコールセンターと常時連携して迷惑行為に対処できる体制づくりは事業者にとっても有用ではないでしょうか。
請願事項の3、4、5は、区規則を遵守しない事業者に対する区からの指導を強化し、運用の厳格化を求めるものです。
管理体制や苦情対応記録の確認強化、違反事業者への指導や公表措置の導入など、現行制度の運用を補完しうる現実的な施策ばかりです。
以上のような制度・運用の見直しには、現行制度の状況、事業者への影響、施行に向けた準備など、多くの論点が伴います。
しかしながら、地域での課題や住民の不安が確実に蓄積している以上、これは先送りする課題ではありません。今こそ議会と行政が向き合い、検討を始めるべき時期に来ています。
私たちは民泊事業そのものを否定する立場にはありません。
むしろ、多様性を尊重し、国際交流を推進する渋谷において、民泊の存在は意義を持つと理解しています。しかしそれは、地域住民の理解と協力のもとに成り立つものであり、特に住宅地においては、平穏な暮らしとの両立。これを守り続けなければなりません。
住み続けたいまち、住み続けられるまち、渋谷。 その実現のためにも、文化交流と生活環境保全の両立を改めて基軸に据え、制度の見直しと運用の再検討を、早急に進めるべきだと訴え、本請願の採択に賛成する討論といたします。
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