衰退するネカフェ業界で…なぜ「快活CLUB」だけが無双?折れずに貫いた“ある戦略”
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漫画喫茶は1970年代に、喫茶店の新たな一業態として始まったと言われる。その後、90年代にはインターネットカフェが登場し、漫画喫茶と融合した「複合カフェ」が登場した。複合カフェは2008年に3000店舗を超え、市場規模は2,450億円となったが、スマホの普及と共に市場規模は縮小し、コロナ禍前の段階で1,500億円を下回った。こうした状況で台頭したのが「快活CLUB」だ。快活CLUBは2003年に1号店を構え、12年に200店舗を、22年3月期に500店舗を突破した。23年3月期には競合の「自遊空間」を傘下に収めている。ネットカフェ衰退期になぜ成長できたのか、快活CLUBの強みを探っていく。 【関連記事】なぜ成長止まらない…? 36年増収増益の「ドン・キホーテ」の“えげつない戦略”とは詳細はこちら
首都圏ではホテル代わりにも使われる快活CLUB
快活CLUBは漫画やパソコンを置いた複合カフェだ。料金や部屋の形態は店舗によるが、レストラン形式のオープンシートや、ブースごとに仕分けされたシート、個室などがある。複数人用の部屋やカラオケ・ダーツ・ビリヤードなどの設備を構える店舗もある。料金は時間制だ。たとえば、新宿東口店の平日利用の場合、「鍵付完全個室」は3時間パックで1,680円、24時間パックで7,020円である(入会金は別途)。 ソフトドリンクが飲み放題であるほか、一部店舗では有料でシャワーやコインランドリーを利用できる。約500店舗中、首都圏の1都3県にあるのは3割にあたる160店舗。北海道から沖縄まで展開し、地方ではロードサイドに店舗を構える。 スパコロ社が実施したアンケートによると、快活CLUBの利用目的は「漫画・雑誌を読みたいとき」が42%と最も多く、26%の仮眠用途、25%のインターネット利用が続く。昨今ではインバウンドの増加で東京・大阪のホテル価格が高騰しており、平日でも1万円以下では泊まれない状況だ。そのため、快活CLUBをホテル代わりに使う客もいる。
業界が衰退の要因は「スマホの普及」だけではなく…?
業界が衰退した理由は冒頭の通り、スマホの普及が関係していると筆者は考えている。2008年にiPhoneが日本で発売されて以降、スマホの普及率は急激に伸びた。10年代からはHuluやNetflixなどの動画配信サービスが日本に進出。家にパソコンがない人でも動画や漫画をスマホで視聴できるようになり、複合カフェに行く必要がなくなった。 加えて、複合カフェの中にはサービスの質を維持しきれない事業者も多かった点も関係しているだろう。たとえば、大規模チェーンであれば、店内の設備や取り扱う漫画などの更新・改善にお金をかけることができる一方、この設備・漫画在庫の更新費用は小規模事業者には大きな負担となる。設備更新などを含め、サービスの質の維持に苦戦する企業も多い業態と言えるのだ。
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