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起こるべくして起きた「令和の米騒動」

昨年から今年にかけてコメの不足が生じた経緯を簡単に整理するとこのようになる。

ここから分かるのは、1年前に生産量の目安を決める政府が、消費回復などの動向を読み誤ったことがコメ不足の根本的な原因だったということだ。

しかし、インバウンド需要などが急速に回復するなかで、将来の消費動向を正確に読み通すことが至難の技だったことも、また事実だろう。筆者も以前から指摘しているように、政府が需給の見通しを立てた上で米価をコントロールするという政策手法は相当な危うさをはらんでおり、「令和の米騒動」はそのリスクが顕在化した出来事であったと言える。

とはいえ、他に有力な代替案がないことも現実だ。石破茂首相は長年の悲願であったコメの増産へと舵を切ろうとしているが、以前に本誌寄稿で指摘した財源の問題や党内合意など、増産路線への切り替えに向けて解決すべきハードルは多い。

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今年の新米も価格が下がる見込みは低い

最後に、気になる今後の米価の見通しを考えたい。

今年3月の本誌寄稿において、筆者は2025年産米の価格もそれほど下がらないという見通しに触れた。その根拠は、農家から米を集荷する農協が、昨年を上回る価格を農家へ提示する準備を進めていることだった。

一般的にコメは各地の農協などが集荷し、米卸などの流通業者がそれを小売などの川下へ流す。農協による集荷の際には、概算金と呼ばれる仮払い金額が農家へ提示され、その価格を了承した農家が農協へコメを出荷する。だが、昨年は農協以外の業者が概算金をはるかに超える金額で農家からコメを買い集めた。

その反省から、2025年産米については、異例とも言える高値の概算金設定が相次いでいる。国内最大の産地である新潟県では、コシヒカリ(1等・60kg)に税込3万円、昨年比で1万3000円高という極めて高い概算金が設定されている。

他の主力産地でも昨年から1万円以上、概算金上げる動きが相次いでおり、これは小売価格へ転嫁される可能性が高い。

コメの増産路線への転換と、“ニューノーマル”な米価の形成が進むなか、引き続きコメをめぐる動向が注目される。

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