
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:22:51.23 ID:
5Kmi8lEi0みくる「ひぇぇっ、キョンくん!どうして全裸なんですかー!? どうしてその股間のえのきとわたしの顔をにらめっこさせてるんですかー!!?」
キョン「俺にもわかりません朝比奈さん! 部室に入ったとたんにいきなりこうなったんです! つーかえのきだなんて失礼な! こいつを勃たせたところを見たらきっとあなたもびっくりしますよ!」
長門「あなたのティムティムの空間座標が朝比奈みくるの目先十センチメートルの位置に固定されている」
みくる「あああああふあああぁ・・・ああうごいたあっ!!」
キョン「誤解です朝比奈さんッ! うおお朝比奈さんが顔を動かすたびに俺の腰が朝比奈さんの顔先へ向かって高速移動する! ああパソコンにぶつかった! 痛いっ! 痛いっ!」
みくる「ひあああどこを向いてもキョンくんの物体Xがみえるうううううあああああ」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:27:38.80 ID:
5Kmi8lEi0キョン「朝比奈さんッ! 朝比奈さんキョロキョロしないでッ! ちくしょう長門、こいつは一体全体何がどうなっているんだ!」
長門「わたしにもわからない。あなたの空間座標関連の情報が凍結されていて手出しが出来ない。情報統合思念体も突然のことに戸惑っている」
キョン「長門でもどうしようもないだと・・・ああくそっ、こんな形でマイスウィートエンジェルに俺のマンモスをリサーチさせる羽目になるなんて!」
みくる「いやああああ臭いいいいいいいいっ!」
ガチャッ
ハルヒ「遅くなってごめーんみんなー! さっきねー・・・って・・・えっ・・・何この・・・あっ・・・えっ?」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:32:11.18 ID:
5Kmi8lEi0キョン「ッ!! ハルヒッ!? 違う誤解だっ!! 今お前が目にしているものは何もかもが嘘っぱち! 夢! そう夢なんだ!!」
ハルヒ「嘘っぱち・・・夢・・・夢? 夢か・・・いやでもこれは・・・キョン? あれ? なんでキョン? あれれっ?」
みくる「やだあ・・・もうやだあ・・・だれかたすけてえ・・・」
ハルヒ「―――――――――ッ! いけないいけない、正気を失っちゃ駄目よ涼宮ハルヒ! ちょっとキョン! なにやってんのよあんた! レイプ!? まさかレイプなの!?」
キョン「そんなわけ無いだろ馬鹿!! 俺も困ってんだよ! 助けてくれ! 何とかしてくれ!」
ハルヒ「ッざけんじゃないわよこのヒヒ猿が! たかが雑用係の分際で我が団のマスコットに手を出すなんて許しがたい蛮行だわ! 食らえミラクルドリルンドロップキーック!!」
キョン「ぎゃあっー!!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:35:31.96 ID:
5Kmi8lEi0 ハルヒのドロップキックを食らった俺の体が朝比奈さんの頭の周りを旋回するように吹き飛ぶ。その間、朝比奈さんは変わらず俺のマイサンを凝視していた。
朝比奈さんの背中が見えたあたりで彼女の首からゴキッ・・・ と嫌な音がした。
みくる「がッ!?」
朝比奈さんが崩れ落ち、俺も地面に落下した。朝比奈さんは地面に伏しながらもまだ俺のマツタケ鑑賞をやめていなかった。
キョン「ぐほぅ!! ああ痛え・・・。・・・朝比奈さん? 朝比奈さん大丈夫ですか!?」
ハルヒ「そのクソをひり出す口を閉じなさい下等生物がッ!! 犬にも劣る畜生風情が!!」
キョン「ぐふああッ!!」
ハルヒが俺の頭を思いっきり踏みつけた。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:39:29.33 ID:
5Kmi8lEi0長門「もうやめて涼宮ハルヒ。あなたは大きく誤解している。彼はレイプなど行っていない」
ハルヒ「ああん!? って有希、いたの? いたのなら何で止めないのよ!? あっそうか、あなたもこのクズに何かされて」
長門「だから違う。あなたは誤解している。これはレイプではない。これはレイプではない」
ハルヒ「えっ・・・レイプじゃないとしたら、まさか・・・」
キョン「ぐぁ・・・ハルヒ、頼む、足をどけてくれ・・・」
ハルヒ「・・・和姦だって言うの!?」
ぐりっ
キョン「うわああああああ・・・・・・!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:42:27.99 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「嘘・・・それってキョンとみくるちゃんが好き合ってるってことでしょ? そんな・・・そんな馬鹿なこと・・・だってキョンは私の・・・」
キョン「ぐぅっ、ハルヒ、足をどけてくれ、頭が割れ・・・」
ハルヒ「・・・ねえみくるちゃん、あんたなんでこんな奴のこと好きになっちゃったの!?」
ぐりっ
キョン「ぎゃああああああああーーーーー!!!」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:44:40.43 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「ねえ!! ねえ何で!!? おかしいでしょこんなバカ好きになるの!! こんなブッサイクな奴を!! ねえ知ってるこいつ財布の中にコンドーム入れてるのよ知ってた!? キモいと思わない童貞の癖に!! 童貞!? キョン童貞よね!? そうよね!? ねえみくるちゃんこいつ童貞なのよ!? ありえないでしょ!! こんなのおかしいわどう考えても!!」
ぐりっ
キョン「ぎあっ・・・ハルヒ・・・ハル・・・ヒ・・・」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:49:50.59 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「そうだ! 見て!」
ハルヒはようやく俺の頭から足をどけると、とととと、と俺の股間の105mm榴弾砲のそばまで歩いてゆき、その場にしゃがみこんだ。
ハルヒ「見てみくるちゃん! うわ近くで見るとすっごいわコレ、真性包茎よ! 衣ばかりで中身の無い海老天ぷらみたいよ! しかも何よこの色、紫色! 紫色してるわ! キモ過ぎだと思わない!? こんなアスファルトの上で干からびて死んだミミズみたいなのとヤりたくないでしょ! ねえ! そうだと言ってよ! みくるちゃん! ねえってば!!」
キョン「ああ痛かった・・・ってハルヒっ!? お前、どこ触って」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:52:48.10 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「ほらみくるちゃん見て! 剥いても剥いてもまだ剥けない! 最っ低!! 世界中のブ男やキモメンを調べたってこんなのはいないわ! ああようやく剥けきった、って何これチンカスッ! 何この大量のチンカス!! クサッ!! まあ滑稽だわ! 汚物をいじってたら中から汚物が出てくるなんて! ああクサっ! キモっ!」
バチーン!!
キョン「痛え!!」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:55:14.08 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「キモすぎるわっ!! キモすぎるわっ!!」
キョン「うぎゃあっ!! 痛ええっ!! ハルヒやめろっ、やめっ」
コンコン ガチャッ
古泉「遅れてしまって申し訳ございませ・・・!」
ハルヒ「!!」
キョン「!!」
古泉「・・・・・・・・・」
古泉「・・・・・・・・・4Pかよ」
キョン「・・・!?」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 21:59:47.93 ID:
5Kmi8lEi0古泉「4Pとかねーよ・・・あんな美女三人と・・・畜生どうしていつもあいつばっかり・・・くそっ・・・くそっ・・・」
キョン「お、おい古泉! これは違うんだ、そんなんじゃ」
古泉「俺だって仕事がなけりゃ・・・はっ! いやこれはこれは失礼をいたしまして。人が来ないようにしておきますので、どうぞ心行くまでお楽しみください」
ハルヒ「ちょっと古泉くん!?」
古泉「けっ、リア充共が・・・」
バタンッ
キョン「・・・・・・」
ハルヒ「誤解・・・された・・・」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:03:36.41 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「どうしようキョン・・・あたし誤解されちゃった・・・」
キョン「・・・後で説明すれば、きっと分かってくれるさ。それよりこの異常な状況、やっぱりハルヒの仕業なのか?」
長門「その可能性は低い。涼宮ハルヒがこのような状況を望むとは考えられない」
ハルヒ「どうしよう・・・誤解・・・古泉くんに・・・やだ・・・」
キョン「そうか・・・てかハルヒ、いつまでしょげてるんだよ。古泉の事なら大丈夫だって」
ハルヒ「そんなわけないじゃないっ!!」
キョン「うわっ! 耳元で叫ぶな!」
ハルヒ「どうしようキョンあたし嫌われた古泉くんに豚と乱交するような痴女だと思われたどうしよう!! 終わった・・・あああたし終わった・・・」
キョン「おいどうしたんだハルヒ、しっかりしろ!」
バンッ
古泉「何をやっているのですか!!」
ハルヒ「ひぅっ」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:07:53.23 ID:
5Kmi8lEi0キョン「あれ古泉? 何で戻ってきたの?」
古泉「閉鎖空間が発生したからですよ」
キョン「閉鎖空間だと? それならなおさら行かなきゃならないじゃないか」
古泉「神人退治には他の者に行ってもらいましたよ。現時点で無理なく現場に介入できるのは僕しかいないのでね」
キョン「現場? どういうことだ」
古泉「4P中に閉鎖空間が発生・・・それはすなわちあなたが涼宮さんに耐え難いほどの性的暴行を加えた事を意味します! アナルを拡張しすぎて直腸を断裂させたのですか?フェラで突っ込みすぎてのどを詰まらせたのですか? まさか食糞を強要して精神を崩壊させたのですか!? この外道がッ!! なんという事をしてくれたんですかあなたは!この三人とプレイが出来るだけでも有難たすぎる事だというのに! 外道がッ!! クズがッ!!」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:12:07.96 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「古泉くんっ・・・! 違うの、これは違うの」
長門「そう古泉一樹、あなたはひどく誤解している。これは4Pではない。これは4Pなどではない」
古泉「何を言って・・・! ・・・? 4Pでは・・・ない・・・?」
キョン「ああ古泉、俺たちは別にそういうことをしてたわけじゃない」
古泉「・・・でもさっき、涼宮さんがあなたのティミーを嬉しそうにひっぱたいていましたよね」
ハルヒ「あっ、あれはっ!」
古泉「いやあいいんですよ別に、僕は涼宮さんが無事であると分かればそれで。それでは僕はバイトがありますのでこれで」
ハルヒ「やっ、待って!」
長門「待って古泉一樹。あなたは待つべき。ここに留まって話を聞いて。涼宮ハルヒ、あなたも」
古泉「しかし僕はお邪魔虫のはずでは? ・・・ああ、ひょっとして、僕も混ぜてくれるんですか!?」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:16:34.91 ID:
5Kmi8lEi0長門「違う古泉一樹。それはちが」
ハルヒ「そっ、そうよ! ああああたしは古泉くんとしたかったの! 古泉くんもしよっ!」
キョン「!? ハルヒ、お前何言って」
ハルヒ「ッさいわね汚物が! 口を開くな!」
グシャッ
キョン「ギャアアアアアっ!!」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:20:54.99 ID:
5Kmi8lEi0古泉「おっと団長殿、あまり激しくなされると、本当に彼が生命の危機に」
ハルヒ「どうでもいいのよこんなレイプ野郎! あたしが直々に死刑にしてあげるんだから!」
古泉「しかし死人が出るというのはやはり重大なことでありますし、それにほら、彼はあなたの彼氏なのですから」
ハルヒ「へっ? ・・・こここ古泉くんこいつがあたしの彼氏って! 何言っちゃってんの!」
古泉「あれ、違いましたか? ということは恋人関係になる前に4P・・・?」
ハルヒ「だから違うのっ!! あたしは・・・! あたしは・・・、その、・・・古泉くんが、好き、なの」
古泉「えっ」
キョン「えっ」
長門「・・・」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:25:31.34 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「その・・・、だから、こいつとはなんでもないんだからねっ!」
古泉「・・・」
キョン「・・・いや、ハルヒ・・・お前」
ハルヒ「ああもう何よさっきからうるさいわねー。いい加減にしないと全身の骨を折ってからコンクリ詰めにして山に捨てちゃうわよ?」
キョン「いや、だってお前・・・お前が好きなのは、俺だろ?」
ハルヒ「ハァ?」
長門「・・・」
古泉「・・・違うのですか?」
キョン「違うわけないだろ。そもそもこいつが俺を好きだからこそ、俺はこういう面倒な事態にまきこまれているわけで・・・ハルヒ、何で遠ざかっていくんだ」
ハルヒ「やだ・・・キモい・・・こいつマジでキモいわ・・・キモいっていうか怖い・・・やだ・・・なにこいつ・・・なんなのよこいつ・・・」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:30:55.82 ID:
5Kmi8lEi0キョン「ハ、ハルヒ?」
ハルヒ「ひぃえっ、死ね! 助けて古泉くん!」
キョン「そっそうだ古泉、説明しろ! これはいったいどういうことなんだ! ハルヒが俺を嫌いって、そんなことあるわけがないだろう!?」
古泉「これはひょっとすると・・・僕たちは大きな勘違いをしていたのかもしれない」
長門「そう。今こそみんな、聞いて」
長門が大きく両手を広げて言った。
長門「古泉一樹、朝比奈みくる、そしてあなたは、致命的な勘違いをしていた。間違った推測から間違った行動を起こし、そして何もかもを台無しにしようとしていた。それは、涼宮ハルヒがキョンを好いているという幻想。涼宮ハルヒとキョンは愛し合うべきであるという妄想。そんな事は、決して起こりえないというのに。あなたたちは、そもそもの最初から、何もかもを間違えていた」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:35:17.96 ID:
5Kmi8lEi0キョン「・・・う、そ、・・・だろ」
長門「真実は、時に残酷なもの。涼宮ハルヒは、あなたを好いてはいない。むしろ嫌い、軽蔑し、憎んでいる」
ハルヒ「っそそうよ! 何よ気付いてなかったの!? ばっかじゃない! ホント馬鹿だわ
あんた!」
古泉「そういう、ことだったのか・・・」
キョン「そんな・・・そんな馬鹿な! それじゃ、あれは、あれはっ・・・」
長門「落ち着いて。わたしも、このような事態になることを望んではいなかった」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:40:01.46 ID:
5Kmi8lEi0キョン「それじゃあ、あれは・・・、ハルヒが世界を創り直そうとしたとき、俺も一緒だったのは」
長門「新世界の創造には奴隷が必要であると涼宮ハルヒが無意識的に判断していたから」
キョン「キス・・・あの時俺はハルヒにキスして戻ったんだ、あれは」
長門「せっかく新世界を誕生させようと興奮しているところに、それも二人きりのときに自分の奴隷に発情されたら、誰だって引く。あれは涼宮ハルヒが『こんな奴と二人きりでいるなら元の世界に戻ったほうがまし』と考えたため」
キョン「俺の席はずっとハルヒの前だ、それはハルヒが望んだから」
長門「それは確かに涼宮ハルヒの願望。しかしその目的はあなたを監視し、そして害を加えること。彼女はあなたの背中を眺めながらあなたに暴行することを想像し、またそれを実行する事を楽しんでいた」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:45:02.06 ID:
5Kmi8lEi0キョン「喫茶店代・・・あんなに払ったのに・・・」
長門「それを含む涼宮ハルヒのあなたに対する嫌がらせは照れ隠しでもなんでもない。単なる加虐趣味に過ぎない。涼宮ハルヒはあなたの事を本当に奴隷かつ財布であると考えている」
キョン「・・・俺入院してたときあったろ。あのとき、ハルヒはずっと俺の隣で看病してたって」
長門「あの時涼宮ハルヒは看病する振りをしてずっとあなたの財布を捜していた。涼宮ハルヒはあなたの財布を金の湧く泉か何かではないかと疑っている。理由はあれだけおごらされているにもかかわらず一向に金欠する気配が見えないから。もっとも、これは『便利な財布がほしい』という涼宮ハルヒの願いによりあなたの小遣いが急増した結果、起こったこと」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:50:25.64 ID:
5Kmi8lEi0キョン「・・・っそうだポニーテール! ハルヒが俺にポニーテール姿を見せてくれたことがあった! あれは」
長門「あなたが本当にポニーテールに欲情するのかを確かめていたに過ぎない。その後涼宮ハルヒはポニーテールを避けるようになったはず」
キョン「二人きりで相合傘をして帰ったことがある! あの日、ハルヒは俺が風邪を引かないようにカーディガンを」
長門「カーディガンは乾かしていただけ。 あなたと一緒に帰ったのは、単にあなた"で"もう少し遊んでいたかったから。結局あなたは冬の雨に濡れ、そうなることで涼宮ハルヒの加虐心を満足させた」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:54:15.54 ID:
5Kmi8lEi0キョン「・・・さっき! さっき俺と朝比奈さんがデキてるのを気にしていた! あれは嫉妬」
長門「違う。あれはSOS団の宣伝塔である朝比奈みくるとあなたが交際をすることに本気で迷惑していたから。また自分が汚物と認識している生命体が朝比奈みくるのような可憐な人物と交際できるわけがないと信じていたから」
キョン「・・・そんな・・・うそだ・・・ハルヒが俺を嫌いだなんて・・・嘘だろ・・・冗談だろ・・・」
長門「・・・」
ハルヒ「・・・」
古泉「・・・」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 22:58:04.44 ID:
5Kmi8lEi0キョン「ハルヒ・・・。ハルヒぃ・・・」
ハルヒ「・・・キモい、キモすぎるわ。お願いだからそうやって口臭をあたりに撒き散らすのをやめて」
キョン「ハルヒ・・・俺は、俺はなあ、ジョンスミスなんだ、お前があの七夕の日に会った、ジョン・スミスなんだよう」
ハルヒ「・・・!? ちょっとあんた、なんであの日の事を!?」
古泉「なっ!? 今ここでそれを言いますか!」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:04:24.16 ID:
5Kmi8lEi0キョン「前に言ったことがあったろ、長門は宇宙人で朝比奈さんは未来人で古泉は超能力者だって、あれ本当なんだよう。お前には願望実現能力ってのがあって、その、お前が本気で願ったことは何でも叶っちまうんだ。だからお前がおかしな事を考えないように長門も朝比奈さんも古泉もSOS団にいるんだ。
ほらお前たまに変な夢見たりしないか? 雪山で遭難して館に閉じ込められるとか、あれは本当に起こったことなんだけど長門に記憶を操作してもらってるから分からないだけなんだぞ? そうだ映画の撮影中に桜が咲いたことがあったよな! あれもお前が願望実現能力を持ってるから起こったことなんだ。あの時はうまくいきすぎだなーとか思わなかったか? ん? ああ思わなかったんだよな。ハハハ。今まで気付いてなかったんだもんな。ハハハ」
ハルヒ「・・・」
古泉「あの、その辺で・・・」
長門「古泉一樹。黙るべき」
古泉「えっ、いやしかし」
長門「賽は投げられてしまった。後はもう、成り行きを見守るしかない」
古泉「・・・分かりました」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:09:06.66 ID:
5Kmi8lEi0キョン「お前自己紹介のとき言ったろ、この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしの元に来なさいって。
だから長門と朝比奈さんと古泉は宇宙人で、未来人で、超能力者なんだ。でも俺だけ何の肩書きもないんだよ。ただの高校生だ。何でだか分からなかった。どうして自分みたいな何の変哲もない奴がいきなりこんなB級SF感丸出しの世界に巻き込まれたのかって。でもな」
ハルヒ「・・・」
キョン「お前と長いこと一緒にいて、だんだん分かってきたんだよ・・・お前の事。時折見せてくれるやさしい所とか、ちょっとしたことで照れてる所とか、最初は何だこいつって思ったけど、そういうところを何回も見ていくうちにわかったんだ、ああこいつは俺の事好きなんだって。
俺がSOS団にいるのはハルヒが俺の事を好きだからなんだって。ずっと好きだって言いたいんだけど恥ずかしくて言えなかっただけなんだって。なんて言うんだっけこういうの、・・・ツンデレ、だったか? ハルヒは、ツンデレだったんだな。ハハハ。かわいいじゃないか」
ハルヒ「・・・」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:15:53.29 ID:
5Kmi8lEi0キョン「ごめんなハルヒ、俺がずっとあいまいな態度でいたからこんなことになっちまったんだな。でももう決めたぞ。俺はもう迷わない。こんな形で言うことになっちゃって悪い、けど・・・」
ハルヒ「・・・」
キョン「・・・ハルヒ、好きだ。付き合ってくれ」
ハルヒ「・・・ひぃっ!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:19:29.83 ID:
5Kmi8lEi0キョン「ハルヒ、す」
ハルヒ「死イイイイイィィィィねエェェェェェ!!!!」
ドグシャアッ!!!
キョン「グボオアアアアアアアアアッーーーー!!!!」
ハルヒ「古泉くんっ!!! 古泉くんっ!!!」
古泉「落ち着いてください涼宮さん!! 気を確かに持って!!」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:23:47.43 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「やだこいつもうやだっ! 馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけどキチガイだなんて思ってもみなかったわ! なにが宇宙人だの未来人だの、かんっぺきにイカれてる!
しかもジョンの事まで知ってるなんて、あんた一体いつからあたしのことストーキングしてたのよォォッ!?思い出だったのに、あたしの人生の中でも一番の思い出だったのに、こんな奴に汚されるなんて!! ああもうっ、死んでよっ!!! 死んでよオオオオオオオオ!!!!」
ドグシャアッ!!! ガギグチャッ!!!
キョン「ゲガァアアアアアッーーーー!!!! グギギャアアアアアアッーーーー!!!!」
古泉「やめてください涼宮さんッ!! 涼宮さあああああん!!!」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:27:53.39 ID:
5Kmi8lEi0 永劫とも思えるほどの間、俺は蹴られ続けていた。あまりに長く蹴られ続けていたので、そのうち俺は、ハルヒの足を通じてハルヒの心の中を感じることが出来るような気がしていた。
ハルヒは泣いていた。孤独に。惨めに。世界中の何もかもに、万物に否定されてハルヒは泣き続けた。誰もがハルヒを指差して「お前のせいだ」と叫んでいた。ハルヒは腐敗した体の穴という穴から悪臭のする体液を垂れ流し、死に掛けの豚が最後に生を哀願するかのようなかすかな声でつぶやいた。
「あたしは、幸せになりたいだけなのに」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:32:56.38 ID:
5Kmi8lEi0 同じだ、と思った。俺は伝えたかった。すぐさまハルヒの元に駆け寄ってその手をつかみ、そして声に出したかった。同じだと、俺たちは、同じなんだと。
ハルヒは言うだろう。違う、あたしはあんたなんかとは違う。あたしはあんたなんかよりもずっと優秀で、賢く、正しく、偉いのだ、と。たしかにそうかも知れない。でも違う。ハルヒ、気づいてくれ。そんなものはドングリの背比べに過ぎないんだ。
何故なら、俺たちは、みんなゴミだからだ! 半径約465億光年と言われているこの宇宙、その中の観測できるかどうか疑わしいくらい微細な範囲を占める地球、その上にカビのようにこびりついている約60億人の人類、その中のたった一人、たった一人に過ぎないんだ! 俺たちは、どうあがいても結局、この宇宙に一人きりなんだ! ハルヒ、どうか分かってくれ。俺たちは、みんなみんな一人きりで、一人ぼっちで、お前と同じなんだ。みんな、同じなんだよ・・・。
すごく、安らかな気持ちでいるような気がした。このままずっと眠っていたくて、でも起きなきゃいけないような気がして・・・。
目を開けた先に、長門の顔があった。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:37:01.00 ID:
5Kmi8lEi0長門「大丈夫?」
キョン「・・・長門。俺は、いったい」
長門「傷は、治しておいた」
キョン「そうか。・・・ありがとう」
ハルヒ「グスッ、こ古泉くん、本当にね、本当に大切なことだったの」
古泉「大丈夫です涼宮さん・・・大丈夫。さあ、ゆっくりと、話してみてください・・・」
ハルヒと古泉は抱き合っていた。古泉が椅子に腰掛けながら、雛鳥をそっと隠す親鳥のようにハルヒをその大きな両腕で包み込み、ハルヒは心臓の音を聞くように古泉の胸に耳を付けていた。
夕日に照らされた彼らはまるでルノワールの絵画のように儚げで、俺は少しだけ、・・・本当に少しだけ、先ほどの安らかな気持ちを思い出せた気がした。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:42:21.72 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「小学生の頃ね、家族そろって野球を見に行ったの。そしたら球場の中にすごいいっぱい、信じられないくらい沢山の人がいて、びっくりして父親に聞いたら、その時は五万人ぐらいいたんだって」
古泉「はい」
ハルヒ「あたしは驚愕したわ。当時ね、あたしは自分がこの宇宙の中心なんだと本気で信じていたの。この世の全てはあたしが創ったもので、みんながあたしのことを知っていて、あたしのことを考えていてくれて、あたしのために行動してくれてるんだって。
お母さんの料理が美味しいのも、お父さんがあたしを叱ってくれるのも、クラスの友達が話しかけてくるのもいじめっ子があたしに嫌がらせしてくるのも、ニュースで地震が起こって何百人も死んだと報道されるのも、空が曇って晴れないのも川の石をひっくり返すと虫がいるのも何もかも全部。全ての物と人はあたしによって創造され、あたしに関わろうとして動いているのだと信じて疑っていなかった。そんな子供の思い込みも、あの日、五万人の人達の前に霧散したのよ」
古泉「・・・はい」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/06(土) 23:47:28.93 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「五万人の中の誰も・・・、あたしの家族でさえ、あたしを見ていなかった。誰もがあたしを無視して、芝生の上の野球選手たちの一挙一動に注目していた。その時わかったの、この人達は、あたしの存在とは何も関係がないんだと。
あの人達は、あたしがどこで何をしようと何を考えようとあるいは野垂れ死のうと、気にも留めず彼らの人生を生きていくんだと。あたしは宇宙の中心でも特別に選ばれた人間でもなく、彼らの中の平凡な一人に過ぎないんだと。・・・そう考えたら、今まで出会ってきたもの全てに裏切られたような気がして・・・、その時以来、あたしの世界は全部が色あせて、無意味なものになった」
古泉「はい」
ハルヒ「ずっと、死のうって・・・、あたしはこんなに無価値なんだから死んだ方が良いよねって思ってて、でも死ぬのは怖くて、あたしはそんな自分を守るために、宇宙人や未来人や超能力者と呼ばれる人達に救いを求めた。普通の人とは違う彼らのような者に認めてもらえれば、あたしは無価値ではなくなる。またみんなに見てもらえる。でも、どんなに探しても、そんな人達はいなかった。だから、あの日・・・ 七夕の日に、中学校の運動場に、織姫と彦星宛に向かってメッセージを描こうとしたの」
古泉「はい」
58 : ◆MgTIMexFEs :2010/03/06(土) 23:52:13.94 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「ホントはね、首吊ってやろうと思ってたの。メッセージを送って、それでも何も起こらなかったら、学校で首吊ってやろうって。明日の朝刊に載るかな、テレビはあたしのことをなんて報道するかなとかバカなこと考えてて、それで実際に学校に侵入しようとした時、ジョンが現れたの」
古泉「はい」
ハルヒ「ジョンはね、言ってくれた・・・。宇宙人はいる。未来人もいる。超能力者なんて配り歩くほどいる。それを聞いて、あたしは、泣きそうになった。ジョンは気にしなかったかもしれないけど、その時はすごく、励まされたような気がしたの。あたしはあたしを信じていい。
死ななくてもいいって思えるようになって、その場で声を上げて泣き出しそうになったの。でも泣かなかった。ジョンにだけは涙を見せないって、何故か思ったから。ねえ古泉くん、ジョンはね、あたしを変えてくれたの。あたしに、君は正しいんだ、死ななくていい、生きろって言ってくれたのよ」
古泉「はい」
59 : ◆MgTIMexFEs :2010/03/06(土) 23:56:57.40 ID:
5Kmi8lEi0ハルヒ「あの時ジョンがいたから、あたしはここにいる。あの七夕の日があるから、あたしは生きていられる。今のあたしの全ては、ジョンが支えていてくれてるの。ジョンのために死ねるかと問われれば、あたしは迷うことなく『はい』と答えるわ。そのくらい、ジョンのことは大切な事なの」
古泉「はい」
ハルヒ「・・・それを、こいつはッ!!」
古泉「!? 涼宮さんっ!」
60 : ◆MgTIMexFEs :2010/03/07(日) 00:01:41.82 ID:
tseoDptW0ハルヒ「こいつは! 汚したのよ! みくるちゃんだけでは飽き足らず、ジョンを、あたしを!」
古泉「涼宮さん! 落ち着いて!」
キョン「ハルヒ・・・」
ハルヒ「ねえゴミ、最後にひとつだけ教えて。あんた、あの七夕の日からあたしをストーキングしてたの? それともその前からストーキングしてたの? どっち?」
キョン「ハルヒ・・・違う・・・ちが・・・」
長門「もう、あなたはおしまい」
長門がアスファルトに残された水たまりのような目で俺を見ていた。
長門「涼宮ハルヒがあなたに心を開くことは、二度とない」
キョン「ああ・・・ハルヒ・・・! ハルヒぃ・・・」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:06:39.50 ID:
tseoDptW0長門「・・・ごめんなさい。わたしはあなたに、謝らなければならない」
キョン「うう・・・なんだよ長門・・・なんなんだよその顔は・・・」
長門「わたしが初めて涼宮ハルヒの悪意に気づいたのが、去年の十二月十八日。わたしは世界を改変させるために涼宮ハルヒの能力を利用し、その際に彼女の思考を読み取った。涼宮ハルヒはあなたと出会って以降、非常に多くの時間をあなたのことを考えることに費やしていた。あなたをいかに常識という隠れ蓑の中で虐待するか、どうすればあなたに反抗心を起こさせずに苦痛を与えることが出来るか、そればかりを。あなたを蔑むことで、彼女は彼女の言う『無価値』な状態から少しでも逃れえたのだと思われる。そして、涼宮ハルヒのそのような精神状態を、わたしはあなたに伝えなかった」
キョン「やめろよ・・・やめてくれよ長門・・・どうしてそんな顔するんだよ・・・」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:10:45.04 ID:
tseoDptW0長門「何故なら、その時点ですでにあなたの心は涼宮ハルヒに向いていたから。あなたが涼宮ハルヒを愛し、彼女に虐げられることに喜びを感じ始めていたから。涼宮ハルヒに好かれているという幻想を元に、彼女に身も心も捧げる意思を粛々と育てていたから。わたしは、あなたの精神は現実を直視することに耐えられない、ならば現状を維持していくべきだと判断し、そして今日、破局として結末を迎えることになった」
キョン「長門・・・そんな顔はお前には似合わないよ・・・元に・・・いつもの長門に戻ってくれよ・・・」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:15:31.15 ID:
tseoDptW0長門「こんなことなら、脱出プログラムなど用意するべきではなかった。わたしはもっと、あなたのことを、あなたを、あなた、・・・エラー。わたしは今、後悔している。涼宮ハルヒ、そしてわたしのことをもっとあなたに伝えるべきだった。もっとあなたの目を涼宮ハルヒからわたしに向けさせるべきだった。あなたを、わたしの、わたし、わたし、・・・エラー。改変世界は維持されるべきだった。あそこでなら、あなたは涼宮ハルヒではなく、わたしとより親密になることができた。シミュレーションの結果、あの世界において、あなたとわたしが結婚する確率は約32.7%あった」
キョン「頼む、長門・・・見ていられないんだ、お前のそんな顔を、俺は見ていたくないんだ・・・」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:19:44.86 ID:
tseoDptW0長門「あなたを脱出させるべきではなかった。わたしはあなたを、あなた、あ、・・・エラー。わたしはあなたを不幸せにした。わたしの行動のせいであなたが苦しむことになった。わたしはあなたに謝らなければならない。情報の伝達に齟齬をきたしたくない。わたしの感情をあなたに伝えたい。わたしの心、こころ、・・・エラー。またあなたと図書館に行きたい。あなたと情報を共有したい。あなたのことが、・・・エラー。わたしは、あなたのことを、・・・エラー。わたしは伝えたい。あなたに分かって欲しい。わたしの、わた、・・・エラー。ごめんなさい。ごめ、っ、・・・エラー。エラー。エラー。エラー」
キョン「長門・・・、頼むよ、そんなくしゃくしゃの泣き顔で俺のこと見ないでくれよ!!」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:24:24.02 ID:
tseoDptW0長門「エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。・・・キョ・・・ン、・・・エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。す・・・・・・き・・・、・・・エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。・・・ご・・・め・・・、・・・エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。エラー。SELECTシリアルコードFROMデータベースWHEREコードデータORDERBY有機情報操作HAVINGアセンブリモード。パーソナルネーム長門有希を対象に設定。該当対象の有機情報連結を解除する」
キョン「・・・長門!?」
古泉「!!」
ハルヒ「!?」
73 :みくるは>>8ですでに死亡している:2010/03/07(日) 00:30:15.44 ID:
tseoDptW0 長門が足元から消えていく。涙をあふれさせた瞳で、俺の方を見つめながら。
長門が完全に消え去ってから、ようやく体が動くようになった。長門を求めて腕を振り回してみたが、虚空をつかむばかりだった。
キョン「長門・・・ああっ長門・・・!」
ハルヒ「な、なによこれ・・・。古泉くん、今の」
古泉「・・・暴走を防ぐため、自殺したのでしょうか」
キョン「ッ・・・! 長門!! おお長門ぉぉ!!」
ハルヒ「・・・」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:34:38.91 ID:
tseoDptW0キョン「おおっ!! おぉおオおオおオおォおあアア!!」
ハルヒ「っひ! 古泉くん!」
古泉「大丈夫です。離れないで」
キョン「おおぉ・・・、お、ほっ、こ、こいず、古泉ィィィ!!」
古泉「・・・聞こえていますよ。何でしょうか」
キョン「お前が、お前がやったんだろ機関が、こんな、俺をおい、追い詰めて、ハルヒを、ハル、ハルヒィェッ!!」
ハルヒ「ひぇっ!!」
キョン「返せよお! ハルヒを返してくれよお!! ・・・どうしてお前がハルヒと抱き合ってるんだ、おかしいだろそんなの!! お前人の女を取るような奴じゃなかっただろ、友達だろ俺たち!! 返せ!! ハルヒを返してくれえ!!」
ハルヒ「・・・古泉くん」
古泉「・・・あなたに、お話しなければならないことがあります」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:38:46.38 ID:
tseoDptW0古泉「僕達は、状況は良い方に収束しつつあるのだと、勝手な勘違いをしていたようです。あなたと涼宮さんを核とし、その周りを我々が囲い込むことで、世界の安定が保たれる。
あなたと涼宮さんを近しい間柄にすることで、二人は幸福になり、ひいては世界のすべてがその恩恵を受けることができる。そう信じて、僕達は今まで活動を続けてきました。ですが、この惨状を見れば・・・それらは誤りであったと、言わざるを得ません。涼宮さんのあなたに対する蛮行を見逃し、また奨励さえしてきたのは他ならぬ我々です。
告白しますが、我々はあなたと涼宮さんを恋仲にするために違法行為を含めたあらゆる活動をしてきたのです・・・。僕自身も、あなたに密かに薬物を摂取させ、涼宮さんと性関係を結ぶように促したことがあります。まさかそれらの行為が、全て裏目にでるとは・・・。謝って済むこと、とは思いませんが・・・、機関の代表として、心よりお詫び申し上げます」
キョン「古泉ぃ! 古泉ィィィ!!」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:42:39.20 ID:
tseoDptW0古泉「恐らくですが、機関は今後、あなたと涼宮さんを引き離すよう働きかけていくものと思われます。こうなってしまった以上、あなたと涼宮さんを一緒にしておくことなど出来ません。
涼宮さんのためにならないし、なにより、あなたに『涼宮さんに嫌われ続ける』という苦行を強いることになる。転校の手続き、一人暮らし先の確保、荷物の運搬などの雑事は全て我々にお任せください。
もはやあなたは涼宮さんに縛られることはないのです。涼宮さんを忘れて良いのです。ご希望なら、我々と友好関係にあるTFEIと共同し、あなたの記憶を操作しても構いません」
キョン「ハルヒぃ・・・い、嫌だ・・・うあっ・・・!」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:46:32.22 ID:
tseoDptW0古泉「・・・涼宮さんは、我々が責任をもって保護します。たとえ彼女の心の奥底にあるものが悪だったとしても、依然として、彼女は我々の・・・神、なのですから。
神に供物を捧げ、神のために祈り、神のために踊り、そして神を鎮める、それが我々です。僕はあなたに誓います。これからも、彼女を、世界を守っていくと。ですから・・・、どうか、どうか・・・」
キョン「あ・・・ぁ・・・」
古泉「・・・涼宮さんを、僕達に、譲ってはもらえないでしょうか」
キョン「・・・・・・」
古泉「・・・」
キョン「・・・ぅ・・・うら・・・ぎった」
古泉「・・・?」
キョン「こ、いずみ・・・ぅ、うらぎった・・・ハル、ハっ、ははっ、あ・・・ああ・・・」
古泉「・・・」
ハルヒ「・・・」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:50:38.06 ID:
tseoDptW0ハルヒ「・・・ねえ古泉くん、聞いて。いまあたしね、すっごい頭の中がゴチャゴチャになってるの。みくるちゃんがレイプされて、有希が目の前で消えちゃって・・・。
もーワケ分かんない。今日起こったことを整理し切るのにきっと一週間はかかるわね。今だって古泉くんにくっついていた方がいいのかそうでないのか、それさえ分かんないもの。でもね」
古泉「はい」
ハルヒ「『コイツ』だけは・・・今ここで始末しておくべきだと思うの」
古泉「『コイツ』とは・・・。まさか」
キョン「ああ・・・あ・・・あはっ、あああ・・・ああ朝比奈さん・・・? き、綺麗な、顔だ・・・。あなたは、いつも・・・、ク、ク、クヒッ、きっ、綺麗・・・」
古泉「・・・」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:54:50.12 ID:
tseoDptW0古泉「涼宮さん。"始末する"とは、つまり」
ハルヒ「そう。消すの。殺すのよ」
古泉「そんなっ、馬鹿な事を言わないでください! 彼はSOS団の団員なんですよ!?あなたと、我々と、一年以上もの時を共に過ごしてきた仲間じゃあないですか! たとえ冗談でも、そんなことは・・・認められません」
ハルヒ「冗談? 何言ってるの古泉くん、冗談な訳ないじゃない。コイツは、あたしの心を踏みにじったのよ! あたしの一番大切のものに、コイツは小便をひっかけていったの!殺さなきゃならないのよ! あたしがっ、この手で、ぶっ殺すのおおおお!!」
古泉「やめて下さい涼宮さん! あなたはショックで興奮状態にある! まともな判断が出来る状態じゃあないんです! 出ましょう! とりあえず部室を出て、落ち着きましょう!」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 00:58:31.29 ID:
tseoDptW0ハルヒ「どうして!? どうして分かってくれないの古泉くん!! 簡単なことじゃない、コイツはレイプ魔で、ストーカーで、誇大妄想狂なのよ!? こんな奴を生かしておいていい理由なんて無いでしょう!
コイツは人類の害悪なの! コイツが息をする度に、人が死んでいくの! キチガイだから司法も手を出せないのよ!? さっき古泉くんは転校とか言ってたけど、それじゃダメなの! これ以上コイツの被害者が出るようなことがあってはならないのよ!! だから殺すの! 今! ここで!」
古泉「クソッ、やめっ」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:02:30.87 ID:
tseoDptW0ハルヒ「コイツは罪を償わなくちゃならないのよ! みくるちゃんやあたし以外にも絶対に被害者がいるはずだわ!! 謝らせてやるのよ、生きててごめんなさいって! 世界中の人間、生きとし生ける物全てに向かって生まれてきてごめんなさいって叫ばせてやるの!
そうよきっとコイツのせいなんだわ、世界のどこかで戦争が起こるのも飢えて死ぬ人が出るのも、交通事故も殺人もみんなみんなコイツが存在するせいで起こるのよ! 古泉くん、これは神の御意志なのよ! 人類のために、世界のために、コイツは殺されなきゃならないのよお!!」
古泉「・・・いい加減にしろッ!!」
バチーン!!
ハルヒ「ッ!?」
古泉「ハァ・・・ハァ・・・」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:06:28.80 ID:
tseoDptW0古泉「・・・涼宮さん。彼を見てください」
ハルヒ「やだ・・・なんで・・・なんで・・・」
古泉「見てください!!」
ハルヒ「ひぃっ!」
ハルヒは古泉から目をそらした。視線の先には、よく見慣れた、かつて人間だったもの。汚物。蠢く肉塊。
キョン「ああ・・・朝比奈さん、今そっちに、い、イグ、ふっ、ふふふふふふふふ」
ハルヒ「・・・」
古泉「あなたは! SOS団員に! あなたの仲間に! 慈悲の心一つ持たないというのですか!?あなたのことを想い、慕い、ここまでついてきてくれた彼がこうなってしまったことに、なんの感情も抱かないというのですか!?」
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:11:42.11 ID:
tseoDptW0ハルヒ「・・・」
古泉「ここまで彼を引っ張ってきたのは、あなたではないですか・・・。彼を更生させ、正しい方へ導くのは私であると、どうしておっしゃっていただけないのですか・・・!あなたは、あなたはそんな人じゃなかった・・・! そんな人じゃ・・・!」
キョン「あ、あ・・・伸びる、伸びるよ朝比奈さん・・・」
ハルヒ「・・・」
古泉「彼だって・・・あなたに恋などしなければ、普通の人生を送れたはずだったのに・・・!普通に学校を出、普通に労働をし、普通に家庭を持つ、安らかな日常に埋没できたはずなのに・・・! なのに・・・! なのに・・・!」
キョン「あは、ついた・・・ついたよ朝比奈さん・・・。俺のティンパニーが・・・あなたの、鼻に・・・」
古泉「なんと・・・無様な・・・」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:15:44.39 ID:
tseoDptW0キョン「ッ!! ギイイィィイイエエェエェエアアァアアァアアァアアアッ!!!」
突如、キョンの体が爆ぜた。
古泉「うわっ! なっ、何だこれは!!」
液状化した血肉がまんべんなく飛び散る。一瞬のうちに赤色へ染まった部室を見て、古泉は現実感を失った。
何だこれは。なぜ俺はこんなところにいるんだ。いつものように部室の扉を開けて、ふと気がついてみたらこの有様だ。
こんなのは嫌だ。俺は帰りたい。涼宮ハルヒのいるあの部室へ帰りたい。こんなものが現実であってたまるものか。
古泉はハルヒを探した。ハルヒは体の半面に肉片を付着させ、団長机にもたれながら体育座りをしていた。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:19:54.61 ID:
tseoDptW0ハルヒ「夢・・・これは夢・・・嘘っぱち・・・」
古泉「・・・涼宮さん?」
ハルヒ「古泉くんはあたしを叩いたりしない・・・古泉くんはあたしを嫌いになったりしない・・・だから夢・・・これは夢・・・だから殺した・・・キョンを殺した・・・殺した・・・?ふふっ、アハッ!」
ぐりっ、と音を立ててハルヒが古泉の方を向いた。
ハルヒ「古泉くん、これは夢よ!」
死人の目だ、と古泉は思った。彼女の瞳には何も映っていない。きっと、彼女はもう、何も見ることができないのだ。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:23:54.78 ID:
tseoDptW0ハルヒ「ねえあたしがそうなればいいって思っただけでキョンが死んじゃったのよ!だからこれは夢なの! あたしの夢なのよ! アハハ何だ心配して損しちゃったあ、よくよく考えたらキョンみたいな馬鹿にみくるちゃんをコマしちゃう度胸なんてあるわけないもんね。
うわあ子供の頃に戻ったみたい・・・。この世界にあるものはみんなあたしが創ったもので、この世界の動くものはみんなあたしのために存在するんだわ!世界!! イコール!! あたし!! 全ては!! 涼宮ハルヒなのよっ!!」
古泉「涼宮さん、あなたは・・・」
ハルヒ「古泉くんも、そう」
ハルヒの顔から急速に表情が失われた。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:28:36.06 ID:
tseoDptW0ハルヒ「古泉くん、好きよ」
いつの間にか、部室から物が無くなっていた。朝比奈みくるの衣装、電気ポット、湯呑み、お盆、冷蔵庫、ホワイトボード、ゲーム、張り紙、写真、野球道具、本、デスクトップPC、ノートパソコン、ロッカー、黒板、本棚、椅子、机、テーブル、鞄、そして死体と血。
古泉は耳を澄ませた。音が聞こえない。この時間に校内で活動しているはずの人々の声が聞こえてこない。
背筋が凍りつく。世界にはもう、僕と彼女の二人しか残っていないのではないか。
ハルヒ「古泉くんは、あたしのこと、好き?」
いつの間にか、ハルヒが古泉を抱きしめていた。
下腹に熱を感じ、古泉は気づく。僕は勃起している。この状況の中で?
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:32:28.87 ID:
tseoDptW0ハルヒ「好きだよね。あたしが創ったんだから」
彼女の匂いがする。心臓が踊りだし、体中の皮膚がさざ波を立てている。頭はすっきりしているのに、思考することがひどく難しい。
肉の柔らかさと熱で狂気が生まれていく。この女に、俺のモノを突き立ててやりたい。快楽に飲まれ、汗と涙と糞と小便にまみれてだらしなく喘ぐようになるまで、何度も、何度も。
明らかに異常な興奮だった。
ハルヒ「うふふ。あたしたち、アダムとイヴみたい」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:37:25.05 ID:
tseoDptW0 『僕は涼宮ハルヒに求められている』、そう考えることは容易かった。そう、これは彼女の、神の要求なのだ。僕が彼女を抱くこと、それは誰もが認める正しい行いなのだ。
ならば何故僕はためらっているんだ? 僕はついさっきまで、彼がこの世界の鍵なのだと信じていた。その大役に急に自分があてがわれたから、怖気付いているだけなのか?それとも、自分の意思が何一つ反映されていないこの状況に不満をいだいているだけなのか?ただ単に、安易に女性と関係を持ってしまうことに抵抗があるから?
どうした古泉一樹。涼宮ハルヒを自分のものにするチャンスじゃないか。初めて会った時からずっと好きだった、最愛の人を。
ハルヒ「夢が、覚めるまで・・・ずっと一緒にいようね」
その一言で、古泉は決意した。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:40:45.90 ID:
tseoDptW0古泉「・・・駄目です」
ハルヒ「?」
古泉「僕は、戻りたい」
言わなければならなかった。あの時、彼がそうしたように。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:44:36.56 ID:
tseoDptW0古泉「僕は、またみんなに会いたい。彼や長門さんや朝比奈さん、そしてあなたのいるSOS団のみんなに。彼らに伝えなければならないことが、まだたくさん残っているんです」
ハルヒ「・・・古泉くんは、賑やかな方がいいのね。なら」
古泉「違います涼宮さん。そうじゃないんです」
陽はとっくに沈み、室内はモノトーンに染め上げられていた。古泉はまるで閉鎖空間のようだなと思い、そして考え直した。
もう現実と閉鎖空間に違いなど無いのだ。恐らく機関は神人退治に失敗し、枷を失った彼女はその力を全宇宙へと行使したのだろう。
もう彼女には、僕しか残っていないのだ。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:48:48.33 ID:
tseoDptW0古泉「あなたと出会い、SOS団として活動する中で、僕達はたくさんの面白い出来事に遭遇してきた。
その中心には、常にあなたがいたのです。SOS団に関わった全ての人達は、皆、涼宮さんのことを特別な存在だと考えていたのですよ」
ハルヒ「・・・」
古泉「あなたが望み、行動したからこそ、あなたの周りに人が集まり、そしてそれらの出来事は起こったんです。確かにこの夢の中では、あなたは神とも言える存在なのかもしれない。
この夢の中でなら、あなたの欲望は何でも叶ってしまうのかもしれない。でも、それではつまらないとは思いませんか。何もかもを世界が用意してくれて、自分は何もしなくていい、それは自分を殺すことなのだと、そう思いませんか」
ハルヒ「・・・わかんない」
伝えたい。あの現実こそが、あなたの生きるべき場所なのだと。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:52:42.13 ID:
tseoDptW0古泉「生きるとは、意思を通すことです。自分の意思を、他者に伝え、認めさせることで、初めて自分という存在に意味が生まれるのです。
あなたは言ったはずです、SOS団を世界に名の轟く集団にすると。僕も、そうしたいんですよ。あなたを無視した五万人の人々、ひいては世界中の人々に向かって、涼宮ハルヒはここにいるのだと、教えてやりたいんです」
ハルヒ「・・・」
古泉「あなたは、神でいる必要なんかない。ただの人のままでも十分に、あの現実と戦っていくことができる。
いや、むしろただの人だからこそ、世界に対して無限の可能性を持つことができる。だからこそ、僕は戻りたいんです。元に戻って、仲間たちと一緒に、またSOS団として活動していきたい。長門さん、朝比奈さん、彼、そしてあなたと。だから」
古泉はハルヒの唇に指を当てた。キスの代わりだった。
古泉「続きは、現実でしましょう」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:55:32.29 ID:
tseoDptW0 視界が暗転し、体から重みが消える。
伝えられただろうか。僕は、あなたと共に、あの無慈悲な世界へと立ち向かっていきたいのだ。
最後に見た彼女は、泣いていたように思えた。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:59:48.06 ID:
tseoDptW0 目を開けると、見慣れた天井が見えた。機関の名義で借りているアパートの一室。古泉一樹の部屋だった。
古泉「僕は・・・戻ってこれたのか・・・?」
正確には、戻ってきたのではなく、世界が書き換えられたと言うべきだろう。『いつもの日常』から『涼宮ハルヒの夢』へ、そして『現実』へと、二回世界は書き換えられた。ハルヒが古泉の言ったことを受け入れたのならば、そうなったはずだ。
古泉はベッドに寝ている自分に気付き、上半身を起こした。体中汗まみれで上着まで濡れていた。氷風呂にでも浸かったかのように体は芯まで冷えきっていたが、勃起は依然として収まっていなかった。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:06:55.12 ID:
tseoDptW0古泉「今は・・・何時だ?」
古泉はポケットから携帯電話を取り出し、そして驚愕した。時間の流れがおかしくなっている。携帯電話のデジタル時計は、午前三時二十六分を指し、一秒後には午後五時四十七分を指し、また次の一秒後には意味のない四つの記号を表示した。
古泉は壁にかけてあるはずのアナログ時計の方を見た。長針と短針がそれぞれバラバラの方向に、眼で追うのも難しいほど高速に回転していた。
古泉「まさか!」
ベッドから跳ね起き、靴も履かずに表へ出た。眼下には、灰色の空と、崩れ落ちたビル群、暴れまわる神人達。
伝わらなかった。理解してもらえなかった。彼女は、全てを終わらせる気だ。
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:10:34.48 ID:
tseoDptW0古泉「涼宮さん!!」
居ても立ってもいられず、あちこちを走りまわった。どれだけ走っても見える光景は似たようなものだった。瓦礫の山と、死体。
どの死体もひどく傷つけられていた。全身に刃傷を付けられた者、焼け焦げ骨までむき出しになった者、何らかの力で圧縮され人としての原型を留めていない者、内臓が爆散し中身の空っぽになった者。
皆苦痛に顔を歪めたまま死んでいた。彼女は憎んでいるのだ。自分を受け入れようとしなかった、この世界の全てを。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:14:31.00 ID:
tseoDptW0古泉「涼宮さんッ!!!」
彼女はまだこの世界のどこかにいる、という確信があった。その証拠に僕はまだこうして生きていて、存在している。
彼女は確かに僕のことを好きだと言ってくれた。彼女は僕を求めている。たった一人で泣きながら、この世界から助け出してくれと叫んでいる。
彼女のいそうな場所を手当たりしだいに探した。マメが潰れ血が流れ、砂利が足裏全体を覆った頃に、ようやく彼女は見つかった。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:18:31.58 ID:
tseoDptW0古泉「涼宮・・・さん・・・?」
そこは駅前だった。毎週末、SOS団の活動の起点となっていた場所。彼女は駅前公園の柵の前に倒れうずくまり、かたかたと体を震わせていた。
彼女以外に、もう一人生きている人間がいた。涼宮ハルヒと同じ器を与えられながら、力を持たなかった少女。佐々木嬢だった。
佐々木は柵の上に気怠そうに腰かけ、無表情のままハルヒを見下ろしていた。
佐々木「古泉・・・一樹君だったね。よくここまでたどり着いた。おめでとう。そして、残念でした」
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:22:31.99 ID:
tseoDptW0古泉「・・・どういう事ですか」
佐々木「ん?」
古泉「この顛末は、あなたが仕組んだことなのかと聞いているんです!」
佐々木「『仕組んだ』? 人聞きの悪いことを言うね。むしろあの状況を『仕組んだ』のは君たちの方だよ。
君たちの誤解と勘違いによって、全ては仕組まれた。僕達はただ最後に、導火線に火をつけただけさ」
古泉「・・・何を」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:26:44.72 ID:
tseoDptW0佐々木「君の考えている通り、僕は涼宮さんの能力を自分のものとするために、今この場所にいる。でも別にね、宇宙を支配する存在になりたかったわけじゃないよ。
それは今でも変わらない。僕は利己的な人間だから、自分とその周りさえ良ければ他はどうでもいいと、結構本気で思っていたんだ。橘さんが、キョンのことを教えてくれるまではね」
古泉「彼がどうしたと言うんですか! あなたは、彼と涼宮さんの仲をズタズタに引き裂いた挙句に、彼を死に追いやったのですよ! 彼は、あらぬ誤解を受けたまま、あんな酷い最後を・・・」
佐々木「君はまだそんなことを言うのかい? 二人がお互いの本心を知らぬまま、仲の良い振りをし続けていてくれた方が良かった、キョンがずっと涼宮さんに夢を見ていてくれれば良かったと、そう言うのかい? それこそ酷い話だと思うね。
酷すぎるし、そんなことをずっと続けていくなんて不可能だ。君、キョンが涼宮さんに支払った金額の合計を知ってるかい?何でも彼は、定期預金まで解約して貢ぎ続けたそうじゃないか」
古泉「そのくらい、我々が負担して・・・」
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:30:59.77 ID:
tseoDptW0佐々木「ダメだよ、そんな考え方だから君達はダメなんだ。起こった問題をその場その場で対症療法的に処理していけばそれでいいという考え。
そもそもの原因から眼をそらし、それで安堵してしまう浅はかさ。そんな態度でいるうちに、いつの間にか病巣は根を広げ続け、最終的にはご覧の有様さ。全く涼宮さんは非道い人だ、世界の破滅をここまで強く望めるとは」
古泉「そんなはずはないッ!! こんなものが彼女の望みでなんかあるわけがない!! 涼宮さんは現実を受け入れ始めていた・・・
神でも宇宙の中心でもなく、一人の人間として、この世界の上を歩んでいこうとしていたんだ!!」
佐々木「『キョンと共に』、かい? それらが全て誤りであったことは、僕の口から言わずとも明らかだと思うが。ねえ、現実を否定して夢を見ていたのは、君たちの方なんだよ。
『涼宮ハルヒは決して現実を受け入れない』、という現実を。皆いつかは眼を覚まさなければならないんだ。今となっては、遅すぎるようだけれどね」
古泉「・・・」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:35:15.35 ID:
tseoDptW0佐々木「僕だってね、最初は信じなかった。世界を破滅させかねない存在がわざわざキョンを選んで虐げている、なんてね。
彼はそういう不条理に巻き込まれることを丁寧に避ける人だったから、そんな馬鹿なことあるわけがないと一笑に付したのさ。でもあの春休みの日、偶然キョンに出会って、ひょっとしたら橘さんの言う事は正しいのかもしれないと思うようになったんだ」
古泉「・・・」
佐々木「何故なら、キョンはあの時、すごく・・・疲れた顔をしていたから。いや、疲れていたと言うよりは、わずかに毒物を混ぜ込まれた食料を何年も気付かずに食べさせられ、少しずつ緩やかに殺されていっている、そんな様子をしていた。中学生の頃、キョンはもっと生気のある顔をしていた、あんなにくたびれて無気力そうな顔をする人ではなかったんだ・・・。
だから、僕はその場でキョンを言いくるめて、彼に付いていき、そして君たちに会った」
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:39:50.33 ID:
tseoDptW0古泉「あの一会で、涼宮さんの本質を見切ったとでも言うのですか」
佐々木「いや、あの時は本当に、ただ顔を見ておきたかっただけだよ。彼女の詳細については、橘さん、周防さん、そして、君たちの間で『藤原』と呼ばれている彼、以上の三人に教えてもらった。
身体的特徴、生い立ち、生活、人格、思想、認識、世界観、人間関係、その他諸々、涼宮ハルヒの全てをこれ以上無いくらい、あらゆる媒体を通じて綿密に教えてもらった。
彼女の精神を『体感』さえしたよ。それに伴う形で、君たちのことも詳しく知った。君たちは、長門有希らヒューマノイドインターフェースを除く全員が、涼宮さんについてある誤解をしていたようだね」
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:44:14.04 ID:
tseoDptW0古泉「あなたは、涼宮さんの何を知っていると言うんですか・・・。いや、僕達が、涼宮さんについて何を知らなかったと言うのですか」
佐々木「掻い摘んで言えば、彼女は世界を憎み、崩壊させようとしていたんだ。涼宮ハルヒは創造神でも救世主でもなく、破壊神だったのさ」
古泉「・・・」
佐々木「彼女の心は、幼児的万能感に満ちていたよ。万物は私を悦ばせるために存在するべきであり、そうでないものは排除されなければならない、彼女の精神の根幹にはそういった価値観があったんだ。これが非現実的な物の見方であることは明らかだ。
世界は人一人の全てを無条件で受け入れてくれるほど寛容ではないからね。否定してくることの方がよほど多いくらいさ。彼女は世界と絶望的な対立を続け、そうすることによってさらに絶望を深めていった」
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:49:01.72 ID:
tseoDptW0古泉「それは・・・過去の話です。SOS団が結成される前の話です。SOS団は、涼宮さんを変えていった・・・」
佐々木「いいや、SOS団はむしろ彼女の我を強めた」
強くはっきりと、佐々木は言った。ハルヒの体の震えが一際大きくなった。
佐々木「君たちにも分かっていたはずだよ、涼宮ハルヒの願望のために自分たちは召集されたのだと。SOS団は、四年前に力を手に入れた涼宮さんが、自分を否定してきた世界へ反逆するための礎とするために作られたものなんだ。涼宮さんはSOS団という子宮の中に閉じこもり、そこで活動することで、かつての万能感を取り戻そうとしていたのさ」
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:53:42.80 ID:
tseoDptW0古泉「しかし、それはそれで現実的な解決だとは言えないでしょうか? 確かにSOS団は反秩序的な集団だったかもしれませんが、所詮高校の一サークルに過ぎません。それが世界を滅ぼす存在になることなど・・・」
佐々木「キョンがいなければ、いずれはそうなったよ」
ふーっ、と佐々木がため息をついた。
喋り疲れたようでもあり、これから先は話したくないという風でもあった。
佐々木「君たちSOS団員は結成当初から、涼宮さんのあらゆる行為を決して否定せず、常に肯定し続けていたはずだ。そうされることが涼宮さんの望みだったから、当然の話だね。
ところで、SOS団が涼宮さんのエゴのために存在するのであれば、何故キョンはそこに所属していたのか? 彼のような凡人と涼宮さんの非現実を求める気質は決して相成れない。ならばどうしてそのような事が起こったのだろうか?」
古泉「僕達は、涼宮さんが彼のことを好きなのだろうと、考えた・・・」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:58:06.58 ID:
tseoDptW0佐々木「そう。そして、キョン自身も、そう勘違いしてしまった・・・。今にして思えば、彼は涼宮さんの願望によって、精神を操作されていたのだろうな。
実際のところ、キョンは、現実、世間、常識的世界を代表する者として、涼宮さんの悪意を一手に引き受けるために、SOS団に所属していたんだ」
古泉「でも、僕には彼が苦しんでいる様には見えなかった・・・! 彼が涼宮さんを受け入れさえすれば、彼が涼宮さんに幻想を抱き続けてさえいれば、全てはうまくいったのでは・・・!?」
佐々木「ああー、言うだろうかとは思っていたけれど、やはりそう言うのか。君も存外に残酷だねえ。その発言は、『それが一番妥当な解決策だから』なのか、それとも『君が涼宮さんとキョンとの関係に何かしらの劣情を抱いていたから』なのか、彼の親友としては、聞いておきたいところだよ」
佐々木がくつくつ、と喉の奥だけを使って笑った。
古泉「っ・・・」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:02:45.01 ID:
tseoDptW0佐々木「先程も言ったように、涼宮さんの精神の根幹には幼児的万能感がある。彼女はきっと、キョンという常識的世界の代表に、存在を肯定されたかったんだ・・・。
キョンのことを徹底的に蔑みながら、同時に賞賛を受けようとしていたんだ。涼宮さんがそのことに集中していたから、結果としてSOS団は反社会的組織としての本性を表に出さずにすんだのさ。SOS団はそれが持つ本質的な悪意を内部に向かって発散していたと言えるだろう。
キョンの精神は徐々に、しかし着実に歪められていった。彼は自分と涼宮さんの心理的距離が近づいていっているという夢を見ていた。涼宮さんは、何も変わってなどいなかったというのに」
古泉「・・・」
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:06:53.97 ID:
tseoDptW0佐々木「君にまだ理性が残っているなら、こんな関係が長続きするわけがないと分かるはずだよ。もしキョンが涼宮さんを完全に肯定するようになったら、それはキョンから常識的考えが完全に失われたことを意味するわけだからね。そうなってしまえば、何の特異な能力も持たない彼は単なる彼女のフォロワーとなる。
涼宮さんはそんな彼を、つまらないものだとみなして捨ててしまい、結果SOS団は肥大化を始めていくだろう。或いは、キョン自身が涼宮さんの非常識さに耐えられなくなり、彼女と対立し始めるかもしれない。そうなれば、やはりキョンは捨てられるだろう。
SOS団の存在目的にそぐわないからね。いずれにせよ、キョンの受ける悲痛は計り知れない。放置するわけにはいかない。だから」
パチン、と佐々木が指を鳴らし、そして立ち上がった。
古泉「・・・!」
佐々木「僕は、神になることにした」
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:11:49.07 ID:
tseoDptW0 佐々木は空を見上げていた。灰色の空に、亀裂が入っている。
亀裂は星が動くほどの速さで、ゆっくりと広がっていた。
佐々木「橘さん、周防さん、そして藤原くん・・・彼らに協力すると決めた後、一回だけ、キョンに会ったんだ」
そう言って、佐々木は古泉の方を見た。古泉は佐々木の顔を見て、全身の力が抜けていくのを感じた。
佐々木は微笑を湛えていた。その笑みは、全ての存在するものに対して『諦めろ』とメッセージを発していた。
全てが終わろうとしている。その様子を、佐々木が看取るのだ。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:15:35.21 ID:
tseoDptW0佐々木「最後に一回、どうしても会っておきたかったんだ。そもそも僕は、キョンを助けたいから三人に協力する訳なんだからね。
事が始まってしまえば、この時空にいるキョンとは二度と会えなくなる。彼に会うにあたって、僕は藤原くんに一つ約束をした」
ハルヒはすでに動くのを止めていた。もう死んでしまったのだろう。
古泉は働くことを止めようとしている脳で懸命に考えた。
誰が彼女を殺した? 何が彼女を殺したんだ?
いや、今更そんなことを考えてどうする。俺は涼宮ハルヒを救えなかったのだ。
俺は彼女のことを、理解していなかったし、そうしようさえしなかったのだ。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:19:51.65 ID:
tseoDptW0佐々木「『決して涼宮ハルヒの能力に興味がある素振りを見せてはならない』。そうすることで君たちを欺かなければ、計画は失敗する恐れがある、そう言われた。
でもね、僕はキョンに聞いてしまったんだ。『僕が能力を持っても、いいのかな』ってね。キョンは、答えてくれなかった」
佐々木が何かを喋っている。いつの間にか、俺は泣いていた。
どうしてこうなった。どうして伝わらないんだ。誰かに自分の意思を伝えること、それさえ出来ていれば、全てはうまくいったはずなのに。
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:24:46.84 ID:
tseoDptW0佐々木「橘さんが一生懸命説得してくれたけど、やはり駄目だったよ。僕達はこの時空のキョンを諦めて、計画を進めることにした。
藤原くんの言う『決行時刻』が来るのを待ち、そして今日、周防さんが『それ』を行った。『それ』が何なのか僕は知らないけれど、随分うまく事は転がったようだね。涼宮さんは唯一の心の拠り所としていたSOS団に徹底的に裏切られ、全てに絶望し、自殺する。世界を改変するのではなく、終わらせるという方法によって」
古泉「あんたは・・・」
佐々木「ん?」
古泉「あんたは・・・、あんた達は、世界をどうするつもりなんだ・・・。俺たちは一体、これから、どうなるんだ・・・」
佐々木「そうだね、僕には説明する義務があるだろう。もう時間もないから、ちゃんと聞いておくんだよ」
そう言って佐々木はニッコリと笑った。この世のものではない、いわば神のような美しさを備えて。
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:28:47.96 ID:
tseoDptW0佐々木「まず藤原くんは、うーん、僕の知能ではうまく理解できたのか自信がないが、なんでも『過去からの独立』を果たしたいらしい。
詳しいことは知らないのだが、そうすることによって人類はより自由な未来を獲得できるのだそうだよ。そして、僕が力を手に入れる瞬間、彼ら未来人達の時空はそれを実現するのだそうだ」
もう話を理解する気力もなかった。早く終わればいい。夢なら醒めてほしい。
佐々木「周防さん、彼女は僕達のいる宇宙とは全く違うところから来たらしい。そこは時の流れが一様でなく、因果も論理も存在せず、秩序というものがどこにも見られない、僕達からすればカオスの極みのような環境だと、僕は推測している。彼女らは僕の作る新しい宇宙を、彼女らの住む環境の中に置いた上で、観察したいようだ。
また、それによって宇宙の秩序が乱されることは無いとも約束してくれた。まあ彼女はあんな風だから、こちらも正確に理解出来たのか保証は出来ないのだけれどね」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:32:38.54 ID:
tseoDptW0佐々木「橘さんについては必要ないだろうが、一応彼女の宇宙理論について説明しておこう。曰く、宇宙とは、かの力を持つ知性体の精神構造と完全に対応するものである、だそうだ。
即ち、ある時どこかで殺人が起こったのなら、それは同時刻、力の持ち主の精神のどこかに殺人という心的構造が発生したからだ、というのだ。だから橘さんは涼宮さんを嫌っていた。
彼女の精神にはあまりにも暴力的要素が多すぎると。涼宮さんが平和的思想を持つようになればよいのではないかと問うたことがあったが、無意識は意識や前意識とは比べ物にならない膨大な領域であり、特定の思考に傾注することで矯正できる無意識領域は極々わずかでしかないと反論されたよ。どこまで正しいのかは、人類が人類自身を理解していないように、僕にも分からない」
すずみや、という単語を耳にして、わずかに思考が戻ってきた。
涼宮ハルヒ。彼女は新しい世界で、一体どうなるのだろう。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:37:08.55 ID:
tseoDptW0佐々木「橘さんの言う事が正しいのであれば、新しい世界は僕そのものである、と言う事が出来るね。はて、僕は僕自身の、それも無意識について説明する必要があるのか。難しいな。僕は恐らく、平和というものを何よりも尊ぶ人間だ。食料を得るために誰かを傷つけなければならないのなら、飢えて死んだ方がいい。
そう考えるだろうし、経験上この予想は正しいと思う。他人を害するくらいなら何もしない、この十七年余りを振り返ってみると、そういった行動原理の元に僕は生きてきたような気がするな。新しい世界も、そういった生命や思想で満ちるようになるのではないだろうか。誰もが、乳を求める赤子のようでなく、自分の人生に満足して死んでいける老人のような、深い安楽を望んで生きる事になるだろう。ただし」
間違っている、と言いたかった。あんたは間違っている。
腹が減ったのならば、他人を殺してでも食うべきなのだ。あんたのそれは、自分を殺していくということだ。生きることを放棄することだ。
そんな世界では、きっと彼女は笑って生きていくことが出来ない。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:41:35.99 ID:
tseoDptW0佐々木「・・・ただし、僕は、涼宮ハルヒのような人間が大嫌いだ」
古泉「・・・ッ!」
ハッと息を呑み、俺は目の前の女を凝視した。
どこかに甘えがあった。この女を受け入れれば少なくとも苦しむことはないと勝手に勘違いしていた。
押さえ込んでいた怒りが戻ってくる。決して諦めるなと、胸の奥で彼女が叫んでいる。
思い出せ! コイツは、俺の、俺達の、SOS団の敵なんだぞ!
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:45:50.23 ID:
tseoDptW0佐々木「涼宮さんのような・・・極端に自己中心的で、他人に迷惑を掛けることを楽しみ、無限とも思える自己顕示欲を持った人物を、未だかつて僕は見たことがない。しかも彼女は、僕の親友の精神を、取り返しの付かないほどに破壊したんだ。僕は、本当に、真剣に涼宮さんを憎んでいる」
古泉「どうするつもりなんだッ!! お前は涼宮さんを、彼女をどうするつもりなんだァ!!」
佐々木「だがね、彼女のことを憎んだりするべきではないという葛藤もあるのさ。涼宮さんだって、こんな力を持ったりしなければ、ここまで被害を拡大させることもなかったはずだと僕はちゃんと理解していると思う。だから、新しい世界で涼宮さんがどうなるかについて、僕は二つ仮説を立ててある」
古泉「畜生オッ!! お前なんか!! お前なんかを神にしてなるものかアッ!!」
殺してやる! 牙を剥き、両腕を突き出し、駆け出そうとして気付いた。身体が、無くなっている。
視界が白く染まっていた。眼が見えているのかそうでないのか。もう自分が何を考えているのかも分からない。
ただ、お前は間違っている、そう伝えたいという衝動だけが、確かに残っていた。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:50:37.48 ID:
tseoDptW0佐々木「一つは、単純に涼宮さんが世界から消えていなくなる、というもの。もう一つは、
涼宮ハルヒという存在が宇宙中から疎まれる、というもの。
後者が実現した場合、彼女は『こんなふうになってはならない』という反面教師として、宇宙中から参照され続ける事になるだろう。そうなれば、ある意味で彼女の願いが叶うことになるね。およそ全ての知性に、自分の存在を永遠に認識されるのだから」
古泉「ガアアアアアアアアッ!!! オァアアアアアアアアーッ!!!」
佐々木「ひょっとしたら、彼女の隣には君がいるかもしれない。彼女は一応君に恋していたみたいだから。
それが健全な感情であったかどうかは甚だ疑わしいがね。涼宮さんが過剰な自己愛の象徴なら、君は事実誤認の象徴として扱われるのかな? 分からないな。全ては仮説に過ぎない」
古泉「オオオオオオオォォ・・・ォォォオオオオオオ」
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:54:39.59 ID:
tseoDptW0佐々木「確かなのは・・・新しい世界には、キョンがいるということだ。彼がどのような珍事にも災難にも巻き込まれず、穏やかで、安らかな生を謳歌出来るということだ快楽に支配されるのではなく、安息に満ちた人生を送るだろうということだ・・・。
ああ、またキョンと二人きりで話が出来るんだ。またキョンと一緒に自転車にのって、彼の背中に身を預けることが出来るんだ。僕は幸せだ・・・僕は・・・」
古泉「ゥゥゥゥゥゥゥ・・・・ァぁああぁあああ」
佐々木「ご覧、空が裂けたよ。世界が終わるんだ。そして涼宮さんの持っていた力は、物質が法則に沿って動かざるを得ないのと同様、自動的に器を持つ僕の元へと降りてくる。もう君ともお別れだ。
でも、ひょっとしたら、次の世界でまた君達と出会うことが出来るかもしれないね。その時は、対立関係ではなく、もっと良い関係を僕達は築けるはずだ。そうなってくれればいいと、心から願っているよ」
古泉「ああぁああぁあぁあああ、あーっ、あー、あああああああああああ」
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:58:55.79 ID:
tseoDptW0佐々木「時間だ。さようなら」
古泉「あああ・・・ああああああアァアァアアアァァアアアアァァアアアァアアアァァアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:03:38.51 ID:
tseoDptW0 派遣した全てのインターフェースからの通信が途絶え、その地球時間単位にして約34秒後、地球はこの宇宙から存在を消失した。
さらにその約0.0000003秒後、地球人類が太陽系と認識していた範囲内の全ての物質が消失、以降この宇宙では先と同数秒ごとに太陽系と同質量の物質が消失を続けている。
また我々が観測していた全てのフィールドにおいて時間を含めたあらゆる物理量が消失を開始し、我々情報統合思念体の存在基盤である情報そのものも消失を始めている。
他の時空間と通信した結果、全ての時空間で同様の現象が発生している模様。
これらの現象は、その発生過程から天蓋領域による侵略行為であると推測できるが、天蓋領域の存在もしくは活動との因果関係を我々が認識することは不可能である。
当課題について他時空間の同胞と共に解決案を模索したが、認識不可能な領域からの認識不可能な攻撃を防ぐことは論理的に不可能な行為である、と結論が出され、我々は静観を余儀なくされた。
苦痛を感じるが、出来る事は何も無い。
我々は、敗北したのだ。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:05:57.31 ID:
tseoDptW0 _
\ヽ, ,、
`''|/ノ
_ | 涼
\`ヽ、|
\, V 宮
`L,,_
|ヽ、) ハ
ノ ,、
.| ル ヽYノ
.| r''ヽ、.|.、
| . `ー-ヽ|ィ
| ヒ .`|
ヽ, .|
ヽ ノ
_,,i - ― イ - . .、 の
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/::.::.:/::./ イ´: :: : : : : : `ヽ|:ヽ: !
/::.::ィ/、:_!: :/:./: |::_::_-‐_ヘノ:l:l
!::./ ,ト..十:T:ハ: |: : : l::..:.. l: : :|: :ト〉 ┼ヽ -|r‐、. レ |
|::`メ|::.::.|:..,|:| l lヽ: : ト、:: |: :|:レ| d⌒) ./| _ノ __ノ
|::.:/| |::.:..|:廾ト、 ヽ \:| ,.斗l-:l:.,1:!
l.::.L|{1::.:.l:.ト十::テ ー ' イォ:卞l/イ |:|
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!:|:l::.::.:l::..ト、 , -、 イ::l:..:イ:! 憂
lム|:.|::.:ト:..l |\ ´ ̄` /7:/、/ノ′
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