メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
善は急げ悪も急げ、のんびりしていいのは無人の荒野を鼻歌気分で歩くニュートラルだけの特権じゃいッ!
と、いうことで早速タクマ少佐にお願いして通信室にやってきたのだ。ついでに、せっかくなのでカゲツ曹長にも声を掛けて連れてきた。俺の部下に割り当てられることを楽しみだと言っていたのを後悔させてやるからついてこいと命じたら「望むところであります少尉殿ッ!」と元気よく返事されてもーた。ザ・下士官って感じね?
で。
イミナ中佐と通信が繋がったのはいいのだが────人、多くね? 中佐殿、お忙しいようでしたら日を改めますが?
「その必要はないよ少尉。ちょうど会議も一区切りとなって菓子でもつまみながら世間話で気分転換でもしようかというところだ。そもそも忙しいのであれば最初から取り次ぎを許可しないからね」
そりゃそーだ☆
でも画面の一番奥の偉そうな人はこのコロニーの管理責任者である上級大将だから挨拶ぐらいはしておけって? ハッ! 失礼しました閣下ッ! 自分はF8492特務少尉、乳と尻と太股なら尻を選ぶ男でありますッ! え? 具体的には? はい閣下、小官としましてはわざとらしい露出よりもキッチリとした服の上に浮かび上がる曲線こそが美しいと……え? 良い趣味をしている? あとで友好の証に黒糖まんじゅうを差し入れて頂けると。やったー! 上級大将に褒められちゃった〜♪
「キミのその桁外れの度胸は尊敬に値するし上官として頼もしい限りだよ。それで、わざわざ通信設備まで使って連絡を寄越したのはどんな理由なのかな?」
あ、はい中佐殿。
用向きというのは楽な仕事だと騙されてホイホイ陸軍へ出張したら戦闘を含む面倒な任務を強制的に割り当てられたことで自分の飴細工のように繊細で脆いハートが傷付きましたので慰謝料代わりにゲンコツ勝負自信ネキな人造超力兵をひとり副官配置で寄越しやがって下さいますようお願いします。
「うん? わかった、すぐに送ろう。しかし戦艦の装甲より頑丈な心臓をしているキミが心労を訴えるとは、いったいなにがあったのかね?」
あ、はい中佐殿。
実はマッスルのドッキングがスパークしてインフェルノをリベンジャーしたもので…………あッ! イミナ中佐が頭を抱えちゃったッ! 中佐殿もそんなことになるとは想定してなかった、ってコトッ?! それはそれとして、中佐殿がそうやって頭を抱えている姿を拝見しますと、自分も特務少尉として現場に復帰したという実感が湧いてきますなッ! あっはっはッ!
「……キミのその桁外れの活力と前向きさは上官として本当に頼もしい限りだよ。そして後ろの少佐や通信士たちの反応からして事実なのだろうね。いや、しかし……コロニー浄化作戦はまだ理解できなくも……いや、だが、えぇ……?」
珍しい。
イミナ中佐がキャパ超えちゃってら。
「いくら戦闘任務で昇進したからといって、小隊指揮もロクに経験していない少尉に300人……?」
「確かに、戦闘時に限れば中佐相当に近い権限は与えられていますが……」
「いや、それは現場の判断を尊重するための措置であって部隊指揮とはまた話がちげぇだろ……」
「威力偵察ならば、戦闘による戦力評価が前提ですので人数だけならば妥当……でしょうか……?」
「いやいや……陸続きの地表ならともかくコロニーの一区画やで? そんな人数ゼッタイいらんやろ……」
「万が一の撤退支援として殿軍を務める……とか?」
「しかしねぇ……テロリストが相手ならばともかく、ヨモツイクサは勝手が違うのだから……」
「山猿どもめッ! 立花山防衛ステーションの悲劇をもう忘れたかッ!!」
「そもそもの話ですけどぉ〜、なんで陸軍の中将がコロニー全体に影響が出るような戦闘プランを立案しているんですかねぇ〜?」
「それを言うならわざわざ安全に配慮して育てとる最中の戦闘員“候補生”を危険な偵察任務に割り当てるのもだいぶ頭イカれとるじゃろ」
「……それならば……最初から、戦場で……鍛えるべき、だ」
「もしかしたら同じコロニー内部にあっても彼らの区画だけ原因不明の酸欠などが発生しているのかもしれませんわね。後ほど気候管理局に確認しておきますわ」
おー、おー。モニターの向こう側がずいぶん愉快なことになってらぁ。俺よりずっと階級が上の軍人たちが揃いも揃って眉間にシワを寄せてるとか……ハハッ、ウケるww
「まぁ、F8492特務少尉の話は理解した。いやコロニーの管理を任されている立場としては全く以て理解したくないが、御三家の御方々による方針決定だというのであれば下手に反発するワケにもいかんだろう。
それで、特務少尉。貴様は先ほどイミナ中佐に人造超力兵を強請ったが、それだけで足りるのかね? 星の海の理解度が足りていない連中に好き勝手な真似をさせるワケにもいかんのだ、必要な物がほかにあれば遠慮なく────いや、必要になる物を全て教えろ。これは帝国海軍上級大将としての命令である」
ほかに必要な物、ねぇ?
タクマ少佐殿、威力偵察部隊へ志願している戦闘員候補生たちの詳しい人数をご存知でしたら教えて頂きたいのですが。
「僕が受けた最後の報告では347人。あくまで、僕が受けた最後の報告の話だからねぇ。まず間違いなく志願者は増えているはずだよ」
なるほど。
もうひとつ、候補生たちはMAGコートの着用などは?
「召喚器に適性アリと判定された候補生の中でも、特に
なんでやねん。巫女に結界を張らせて安全な狩り場を用意するほど甘やかしてるならMAGコートも良いヤツ揃えてやれよ。いや、ソウゴ少年が普通に魔法スキル使ってたし、ディア系やラクカジャなんかも普通に使えるなら防具に頼らなくても大丈夫って判断したか? だとしても痛いもんは痛いだろーに。
だがこれで決まりだな。
では閣下、まずは対物理に優れたMAGコートの上等な物を400人分ほどお願いできますでしょうか?
「良かろう。おい」
「ハッ!」
「それで特務少尉、いったいどんな悪戯を始めるつもりなのかね?」
用途を確認してから手配するのではなく、手配してから用途を確認するのか……? いくらなんでも判断が早すぎるだろ、これには流石の鱗滝ジッジも少しは落ち着けってストップ掛けてくるわ。
ま、いいや。都合を付けてくれるなら企み事は全部吐いておいたほうがなにかと動きやすいだろう。はい閣下、自分はなにか特別なことを実行しようとしているのではありません。ただ指揮官としての働きを期待されているということでありますので、部下となる予定である学徒たちがどの程度の動きができるのか確認するだけのことであります。
────元Dクラス帝国市民流の実戦形式にて。