メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
時代が変わっても。
世界が変わっても。
人類の生活圏が宇宙に飛び出してもなお、変わらないモノがある。
とんかつ(゚д゚)ウマー
大根おろしの塩ダレとは、なんとまぁオシャレな食べ方をさせてくるじゃないの。ご飯のおかずではなくお酒を呑みながら食べる想定なんだろうな。生憎と俺はアルコールは嗜まないが。メガテン世界で酔っ払うとか常識ねぇのかよ……。
そういえば幼少時代の施設を最後に揚げ物なんてほとんど口にしてねーや。D民時代の引き換えメニューの中にも唐揚げとかあったけど、胃もたれが原因で死んだら笑えないからって交換しなかったんだよね。タンパク質ならお肉以外でも補給できるし。
あぁ、しかし。思い出したら施設でソースだぼだぼにしてメシと一緒に食べた喜びも一緒に湧き出てきたな。そのうち探してみるか、幸いにして給金はそれなりにあるからとんかつ定食ぐらい食えないこともないだろう。
「わざわざ高い飯を食わせてやっているのに正直なことを言う。まぁ、その気持ちは理解してやれるが。戦闘員でなかろうと、軍人でなかろうと、ソースのベッタリと口に残る味わいが嫌いな男子などそう多くはあるまい」
あら意外。大佐殿もそういったモノをお召し上がりになったことが?
「確かにガキの時分は身体作りのために色々と食える権利があった。だがBクラス帝国市民だろうと軍隊教育が始まれば徹底的に絞られる。仲間と金を出し合ってソースのボトルを購入してな、乾パンに垂らしてかじったものだ。
その様子が余程憐れだったのか、教育係の伍長殿が少ない給料でこっそりと串カツを差し入れして下さった。長ネギに薄い鶏肉が巻かれたものが串にひとつだけの安い代物だったが……まぁ、ワシも仲間たちも大喜びで食ったことは未だに忘れられん」
これはただの偏見だが、サガミ大佐は信用できる男のような気がする。あとBクラス帝国市民でも国家貢献の義務はそれなりに過酷なようだ。
日本帝国全体がそうなのか、それともAクラス帝国市民からは変わったりするのか。こーゆーコトも覚えておけばどこかで役に立つかもしれん。ついさっき知識をひけらかして墓穴掘ったばっかりだけどな!
んで。
自分の任務についての話でありますが。
「あぁ、そうだ。最初は本当に戦闘任務ではなかったのだ。貴様はDクラスの産まれを巧く便利使いしているようだが、書類上はCクラス帝国市民であることを忘れたか? それで片腕と片目が不自由な兵士をわざわざ戦場送りにする理由があるならワシのほうが教えて欲しいぐらいだ」
仮に生徒たちに語って聞かせる内容が定まらなくても、教練をしている横で睨みを利かせているだけでもよい……と。なるほど、当初の予定通りに事が進んでいれば片手でも役目は果たせたワケだ。
「だがそれも鶴の一声で全てひっくり返った。先に余計なことを言い出したのは鶴の御方のほうではなく羽毛に引っ付いた羽虫のほうだがな。阿呆どもが、指揮官という形であれば戦闘に巻き込まれることはないと本気で信じているから
それは実に参考になるご意見であります。もしも任務中にヨモツイクサに襲われたならば、俺は指揮官だぞお辞儀をしろとでも怒鳴りつけてみましょうか。
「……クッ! ハッハッハッ! そいつはいいなッ! 万が一に備えてワシもその台詞は覚えておくとしようッ! まぁ、とにかくタイミングが悪かった。御三家の御当主代行の御三方による改革が進んでいたこと、そしてコロニー浄化作戦に賛同する将校が過半数に達したこと。良かったな少尉、晴れて貴様はシキガミ使いの精兵を指揮する威力偵察部隊の隊長だ」
精兵と評価されるほどならば、偵察部隊ではなく本命の攻略部隊に組み込むべきなのでは?
「少尉、貴様、召喚器の適性アリと判定されて今日までなにかと特別扱いされてきた莫迦どもが、いまさら方陣を組んでライフル構えて迎撃用意ッ! なんて素直に待てると思うか?」
ただの厄介払いじゃねーかコノヤロウ。
しかし実力だけは認められているから前に出さないワケにもいかない、と。ソウゴ少年とイヌガミ(仮)のコンビネーションは戦闘ナメてんのかと言いたくなるほどお粗末だったが、部隊運用するなら人数でフォローできないこともない……か?
それにしても、まさかディストピア風味の世界の軍隊で特別扱いとはねぇ。主人公ポジション? というか主人公パーティ? たぶん御三家の誰かしらが入れ込んでるんだろうな。
真面目に働いている大人の苦労なんて知ったこっちゃないと言わんばかりに主人公パーティを特別扱いとかRPGならテンプレだし。自分がプレイヤーやってるときはご都合主義wwぐらいだったけど、いざ振り回される側に立ってみるとギリ苦笑いが出るか出ないかレベルで面倒クセェ。
やだなぁ、コレ。偵察任務が無事に終れば陸軍で特務中尉に昇格するらしいけど、リュウドウ様はもちろん他の当主代行たちにも変な責任押し付けられそう。と、いうか。3人とも若手の当主“代行”なのね。しかも階級だけはご立派に中将て。な〜んて芳ばしい香りなんでしょ☆
軍の命令と私的な頼み事の区別が曖昧で、しかも本人の自覚無しに優先順位を塗り潰せる権力を持った戦闘を知らない若い人間が3人かぁ。知らなかったな、別に油物とか大量に食わなくても胃もたれって起きるんだね。
「……貴様は要領が良いほうであるし、必要ないとは思うが。一応釘を刺しておくが、リュウドウ閣下はもちろん他の御二人も状況改善のために尽力なさっておられるのは間違いない。DクラスやCクラスの戦闘員候補たちの損失が大きく減ったことは事実だからな」
しかし、人が人を管理し動かす以上は理想通りの完璧な運用は難しいものでありましょう。まして、それが御一人によるものではなく多人数によるものであれば尚更のことです。
「本当に貴様は良く言葉を選べるな。学徒の莫迦どもに大真面目に教員として指導を頼みたいと思ってきたぞ。あぁ、そうだ。選ばれた巫女様だけが行使できたシキガミの力を解放なされたのは良いが、召喚器に選ばれた者が自由を得た代わりに選ばれなかった者が居場所を失った。
軍隊はそれなりに使える凡人を鍛えて大勢並べて悪知恵を働かせてヨモツイクサと戦うための組織だ。だからこそ落ちこぼれのケツを蹴り上げることはあっても置き去りにすることはない。だがシキガミの力を使う戦い方ではそうはいかん。
異能の力であればワシも多少は使えるが……召喚器を使えない以上、お役御免となる日もそう遠くはあるまい。むしろ余計な仕事に気を取られずヨモツイクサとの戦いに専念できるなら有り難いぐらいだがな」
ほーん。
御三家の改革とやらでシキガミの力を使えるようになってそれなりの自由な立場を手に入れた奴がいる反面、力を使えない人間はどんどん肩身が狭くなったと。
だけど軍隊としては弱者も含めて秩序を保つことで組織として運営してきたのだから、好き勝手な戦い方を是とされたのでは困ると。
なーほーね?
言ってしまえば御三家は力による個人の自由を認めるような方針であり、陸軍としては天才も凡人もそれぞれの役目を果たせるような秩序を保つ方針である、と。
ほーん。
なーほーね?
アライメント分岐だコレェェェェェェェェッ!!!!
いや〜びっくらこいた。驚き過ぎて鼻から生体マグネタイト噴出するかと思った。日本帝国なんて呼び名から海軍と陸軍の仲がアレなのはそんなもんだと納得していたけれど、まさか陸軍内部でも思想的対立が起きてるとは思わなかったわ。
これがサガミ大佐の個人的感情、という線は薄いだろう。そうでなければソーマの護送任務であれだけの失態を“無かったこと”にはしないはずだ。都合の悪い情報はなんでもナイナイして秩序維持を優先するのはロウ勢力なら息をするようにやるだろ。
ならば御三家がシキガミの力を解放することに大きく反発しそうだが、八葉家という特別枠の中でもさらに上澄み扱いされている御三家を相手に真っ向からそれはない。何故なら、そんなことをすれば自ら秩序の在り方を否定することになるから。
カオス勢力ならばともかく、ロウ勢力は表立ってそんなことはしないだろう。まずは大義名分のための裏工作が先にくるんじゃないかな。例えば、これから始まるコロニー浄化作戦で大規模な被害を出すようなことになれば御三家の当主代行たちの発言力をまとめてすり潰せるし自動的に俺も巻き込まれてすり潰されますねぇッ!
はいクソーww 2度とやらんわこんなクソゲーww 全力でステータスオープンって絶叫したらログアウトのコマンド出てこないかな……。
「そうだ、少尉。もうひとつ貴様に教えておくことがある」
え、ここからさらに厄ネタをッ!?
さすがにそれはないか。
「ワシにとっては無意味な情報でも、貴様であればもしかしたら有効活用できるかもしれん。人生、なにが役立つかわからんからな。ワシらが戦闘区域と呼称しているエリアのさらに奥の方についてだが、どうやら帝国魔導院のオカルト屋どもはそこを“暴食界”などと名付けているようだ」
もしかして陸軍では情報の暴力で殴るのが流行ってたりする?
女神転生的には飽食界なのでセーフ。