メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
(そういえばMAGパッケージの中からドロッドロの憎しみと狂ったような喜びの感情がグチャグチャになって溢れ出てたって話はしたっけ?)
どうしてそんな酷いことを言うのですか? 貴女には人の心というものはないのですかッ! 悪魔だし妖精なんだからあるワケないですねッ! ならば仕方ありませんッ! ヨシッ!
感情を激しく動かして効率よく生体マグネタイトを搾り取るための措置だろうな。薬物か電気信号か、はたまた悪魔の力や魔法を利用した精神汚染か。良い夢と悪い夢を強制的に交互に見せられるとか真・女神転生のカオスヒーローを百倍悪意で煮詰めたようなヤツらが量産されている、ってコトォッ!?
うん、左腕の再生治療は絶対に断ろう。なんかそれっぽい言い訳を死に物狂いで考えるしかねぇッ! 大丈夫ダイジョーブ、人間ガチの死ぬ気で事に当たればなんとかなるものデ~ス! 失敗したら? そのときは死ぬだけ……だったら救いがあるのがメガテンだぜッ! ヤッタネ♪
さて、勝手知ったる間柄ではあるものの外では階級の差が邪魔で気楽に情報を交換することもできない。陸軍の色が濃いエリアだから海軍なんて~とはならんのだ。だって俺も陸軍の特務少尉だから。なのでサクサクっと宿舎に案内してもらい、尉官用に用意された部屋で5人仲良く内緒話を始めることにしよう。
「それで、幼年学校の学生とやらはどの程度使える連中なんだ? 異能の力は使えるのか、そもそもヨモツイクサとの実戦経験はあるのか……まさか短銃の扱い方から教えなければならない、などということはないだろうな?」
「あ~。能力そのものは悪くない……と、思う。ただ、授業や実技の時間が足りてないっつーか」
「生粋のDクラスから始まった俺たちとは別格の待遇ってヤツさ。稼働日5日間、休息日2日のサイクルでじっくりのんびり大事に育てられている。なぁに、それが良いことなのか悪いことなのかは俺たちが判断することじゃないさ」
「つまり期待はしないほうが気持ちが楽になる、ということですか。そして幼年学校に通う戦闘員候補生がそうであるならば、区画全体の雰囲気が妙に穏やかなのも僕の気のせいではなさそうですね?」
オレ、知ッテル。コレ、教官モ生徒モ、戦争シテル自覚、無イぱたーん。
さらに詳しく話を聞いてみれば、コチラの区画のDクラス帝国市民は幼年学校に“優先的に入学できる”のであって“強制的に戦わされる”というワケではないそうだ。へぇ、ちゃんと人間扱いされてんじゃん? ここまで大きく違うとなれば、どうやら甘ちゃん思考で管理してんのはさっきの若様だけじゃなさそうだな。もしかすると八葉家とやらは俺が想像するのと違って足並みが乱れまくってるのかもしれんぞ?
あとは……ほうほう、ヨモツイクサとの戦闘も基本は軍人が担当して学生たちは月に1度か2度の実戦訓練として指定されたエリアで戦うと。しかも自然発生したヤツではなく巫女さんが結界なるものを使って区切った釣り堀モドキのような感覚なんだって? そりゃいいや、実に安全に配慮した戦争体験でございますな! 少なくとも教官たちは目の前で学生たちに死なれるリスクは低いワケだからストレスはほとんど無いだろうよ。卒業して部隊に配属されてしまえばそこで責任は果たしたことになるだろうし。
いやはや、区画がひとつ違うだけでいきなり春が青そうな学園ファンタジー要素が出てくるじゃん? 世界観がもっとまともだったら羨ましいなチクショウと嫉妬していたことだろう。
さて、考えろ。悪魔の力を利用する側の視点として、緩い環境で学生たちを育てる意味はなんだ? 宇宙全体の国家事情はどうなのか想像もできないが、日本帝国に限って言えば上の連中が管理したいモノの中心は間違いなく悪魔であって、人間はそれを滞りなく実行するためのツールに過ぎない。道具は目的があり用途があって生産されるのだから、まさか人間性を考慮してなんて甘い考えしてるワケねぇよなァ?
わざわざ貴重な人的資源であろう巫女に結界を張らせて狩場を設定して育てるぐらいなんだから、コストに見合うだけの利益が無ければ──うん? なぁピクシーさん、リュウドウ様のお屋敷には巫女の気配、というかシキガミの気配はなかったんだよね?
(そうね~。あのニンゲンがいた建物にも、ここに来るまでも、シキガミの気配ぜ~んぜん感じなかったわ)
(そりゃまったく不思議だナァ~? あのニンゲンはここじゃあかなり偉いんだろ? なのになぁ~んで近くに巫女どもが見当たらねぇんだろうナァ~? ケケッ!)
ふ~~~~む。
巫女の立ち位置というか、立場的な重要性というか、そーゆーヤツ。よくわからんな……? よくわからないときは敵、もしくは敵対的な中立ぐらいに位置付けておくのが安心だってばよ! 味方と仮定して不意打ちを食らうぐらいなら、イチャモンつけて先手でブン殴るほうが精神衛生にとてもよろしい。
ソーマ輸送のときのアレコレとか、ユウコ女史の性格がまともだったから気にしてなかったけど……いうて永い年月かけて悪魔を封じて力だけを利用してきた連中だ、デビルサマナーとしての実力は推して知るべし。俺の全力が向こうの小手調べ以下の可能性なんて全然あるで?
よしッ! 警戒しつつ、対面したら全力で媚びようッ! これだな。正面衝突は愚の骨頂、浅知恵の奇襲など本物の地獄を知る相手には無効、ならば土下座からの靴裏テイスティングのコンボをかましてでも生き残りたいという覚悟を示すのが男の意地ってもんよォッ! 頭がお花畑の善良な巫女だったら? そんな危機感よわよわなヤツなんて適当に相手しときゃええやろ。
(でもアンタ、そんなお花畑してるニンゲンの命令でも逆らっちゃダメなんでしょ?)
ソ~ナンス☆