メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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コンシーダー:3

 修羅の世界で必要なモノはなにか? 

 

 ①権力

 

 ②財力

 

 ③暴力

 

 シリンダーで培養された使い捨て前提であろうDクラス帝国市民、それが俺。なら自動的に①と②は選択肢から外れるものとして考えるべきか。

 イミナ中佐からは『使える駒』として特務少尉という肩書きを士官教育をすっ飛ばして与えられているが、陸軍に出張に行ったときの士官候補生たちの様子から家柄その他の要素が重要っぽい雰囲気だったし。

 

 と、いうか。

 

 コレ、出世したほうがリスク高いよな? 普通のファンタジー異世界転生と違って。人間を『人材』じゃなくて『資材』として扱ってる世界の上層部とか仲良くなりたくねぇわ。それもテロリスト集団と呼ばれてるような連中とも繋がってるオマケ付きときたもんだ。

 しかもメシアの系譜を受け継いで……受け継いでんのかアレ? この世界のテンプルナイトたちが掲げてる救世主の定義ってどんな形になってんのかな……。会話が成立しない辺りは実に頭メシアなんだけど、なんか違和感というか……。

 

 

 いやいや、頭の中をとッ散らかすんじゃないよ俺。思考をそっちに飛ばすのはいまじゃない。

 

 

 まずは自己分析からだ。

 

 暴力を育てるために俺ができることはふたつ。MAG結晶体をとりこんで自分自身のステータスを強化することと、悪魔が封印されたMAG結晶体を砕いて仲魔を増やすこと。

 残念だが俺自身が魔法を使えるようになる可能性は排除するのが妥当だな。ピクシーさんも俺は他人とはMAGの流れが違うって言ってたし。

 

 つまり生き残るためには生体マグネタイトを貪欲に集め続ける必要があるということで……なんかもう俺自身が悪魔になった気分だな、これだと。

 優先するのはクソ不味いこと以外は特にリスクのないステータス強化だろう。内包できる仲魔の人数を増やすためにも積極的に食べていきたいところだ。とりあえずマモルとホノカの前では遠慮する必要もないし。ヒーホーちゃんことコレオ伍長とテッセン曹長もセーフだけど、あのふたりは所属が違うからなぁ。

 

 悪魔を仲魔にすることについては……うーん。普通の悪魔はともかく、ミノタウロスと同格の悪魔は呼び出すだけでも命懸けなのが困りものだわ。でも向こうもMAG結晶体の内側から俺を認識しているっぽいし、見つけたからには解放しないワケにいかんよ? だって後が怖すぎるもん。

 

 

 次。左腕どうしよう? 

 

(うぉれがァ、つく、つくって、作ってやってもいいぞぉぉぉぉッ! 素材ィッ! 特別な、イイヤツをよこせば気合い入れてぇぇぇぇ造ってやるやるぞぉぉぉぉッ! それ、とぉッ! とびっきりのヒ、ヒ、ひ、火をッ! 火をよこせぇぇぇぇッ!!)

 

 えッ!? マジでッ!? 

 

 イッポンダタラが作ってくれる義手とか絶対いらん機能もついてくるけどメッチャ優秀な仕上がりを期待できるヤツじゃん! D民上がりの俺が急にそんなもの装着してたら100パー尋問されるし特別な素材と火をどうやって手に入れればいいのかサッパリわからないことに眼を瞑ればアリよりのムリだねッ!

 

(それだとアタシがディアラハンを使えるようになっても同じなんじゃないの? むしろ、義手よりずっと怪しまれそうだけど)

 

 あー、うん……。

 

 この世界の再生治療がどんなもんかは知らないが、まさか太陽系を飛び出すほどの科学力があって手足が治せないってことはないだろう。ならば手足の欠損だって魔法で治しても誤魔化しようがあるかもしれないが……ここでもDクラス出身ってのが枷になるよなぁ。

 どうだろうな? いうて労働力、あるいは戦力として使えるようになるまでの時間とコストを考えればギリギリまで有効活用したいだろうし、案外そういう治療も望めば受けられたりすんのかな? 名前が番号のままだから自分でも実感ないし周囲からも基本Dクラス帝国市民として認識されているけれど、書類上は一応Cクラスに昇格してるワケだし。もちろんそれ相応の対価というか、治療してやってもいいと思わせるだけの価値を示す必要はあるだろうけど。

 

 現時点で世話をしてもらえれば儲けもの、基本的な方針としては右腕だけの戦いに適応するのが現実的なプランだろうか? 仲魔を遠慮なく呼び出せる環境なら極端に戦闘力が低下することもないし、脳筋タイプのモブキャラでしかない俺はそもそも真向勝負を仕掛けるべきじゃないし。なんなら戦闘より普段の生活のほうが深刻だし。

 

 

 結論。

 

 戦わなければ生き残れないッ!! 

 

 

 …………普通だなッ!! 

 

 

 そういう意味では下手に上流階級で転生するより好都合だったかもしれん。緩めのファンタジー作品の気分で魔法の力が使えるぞスゲー! とか言って平和ボケしてるところに乙型ヨモツイクサみたいなのがドーン☆ と襲撃してきてたらあっという間に食べられちゃってたんじゃないかな? 

 兵士という立場だからこそ、こっちから希望しなくてもヨモツイクサなりテンプルナイトなりとの戦いに駆り出される。ならば俺は素直にご命令とあらば~って戦場に向かえばいいだけの簡単なお仕事だ。できれば勝っても負けても面倒でしかない対人戦よりは弱肉強食で全て完結する化物退治のほうが好みなんだけど、まぁ選択の自由なんてあるワケがないよね! 

 

 しかし、それはそれとして軍との距離感も少し考えんといかんなぁ。さすがに裏切るのはマイナスがでかすぎるので論外としても、誰をどの程度信じるか距離感を考えて──おや? 

 

 どうぞ、開いてますよ~。

 

 

 

 

「邪魔するよ少尉。上官の見舞いなど心休まるものではないのは経験として知っているが、高貴な姫君の頭並みに清楚が過ぎるライスカレーでは物足りないだろうと思ってね。こうして稲荷寿司など持参してみたところだ」

 

 

 

 

 わ~い♪ おすしだ~♪ 

 

 考え事なんて後回しでいいんだよ。いまは目の前のお寿司のほうが最優先だから。だってよ、上官からの差し入れだぜ? 無心になって食べなきゃ失礼だよ。

 自分より圧倒的に知性のステータスが高い相手の目の前で企み事なんてできるワケないだろいい加減にしろッ! 

 

 ところで中佐殿、せっかくいただいた差し入れはじっくり丁寧に味わいたい所存であり、なにより食事中は静かに感謝の気持ちを胸に黙ってお行儀よく食べるべきであると──え? 怪我人がそんなことを気にしなくていいから、世間話でもしながら食べようじゃないかって? アッ、ハイ。

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