メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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VS偽典信者:3

「私のこの剣が気になるかね? よかろう、これから死に逝く者への手向けとして語ってやるのも一興というものだ。

 これは私のように優良種たる日本帝国民の中でも特に優れた者だけが手にすることが許された特別な品でね。キミのような痴れ者から不相応な過ぎたる力を取り上げ吸収することが可能なのだよ。

 光栄だろう? 私のような選ばれし人間に命と力の両方を一度に捧げ、より高みへと至るための糧となることができるのだから。キミたちDクラス帝国市民にとってはこれ以上ない名誉だろう。クックック……ッ!」

 

 

 はい確定。アレで仲魔を斬られたらゲームオーバーです本当にありがとうございません。

 

 吸収ということは、単に消滅させられるだけじゃなくて奪われるってことだ。心当たりがあるんだよねぇ、悪魔を素材にして強化できる剣ってヤツにさ。

 しかも自慢話の内容から察するに量産されてるくさいな? パッと思いつく使い道としては……ヨモツイクサその他との戦いで力をつけたDクラス帝国市民を『収穫』している、とか。

 

「さて……このままキミを斬り殺すのは簡単だが。その前に私を足蹴にした罰を受けてもらうとしようかァッ!!」

 

 ガード……ッ! だがボロボロのデモニカスーツではぬぉぉぉぉッ!? 

 

 

 どっふッ!?!? 

 

 

 いってぇ……キックで飛ばされて壁にめり込むとか、アクション映画のやられ役にでもなった気分だわ……。

 もしもグチャグチャになった金属で身体を貫かれてたら、デモニカスーツが無ければ即死だったな。デモニカスーツそのものは完全にお亡くなりになってしまったけど。

 

 さぁて、どうする? 諦めて大人しく首を差し出すのは論外としても、仲魔を呼び出すことそのものがリスクっていうのが俺にはハードモード過ぎるんだよなぁ。俺のイベント戦闘だけなんかレベルデザインがバグってない? 

 頼れる仲間もマハガルーラのダメージが大きいのか、俺が壁をブチ抜いて瓦礫に埋もれてることにもノーリアクションだし。幸いにして将校殿は俺をロックオンしているが……周囲の天プラたちが黙って放置してくれるほど現実は甘くないだろう。

 

 

 ……おや。いまの衝撃でもソーマの容器は無事だったか。ここは勿体ぶらずに飲むべき場面なのはそうなんだが、飲んだとしてどうやって現状を打開する? 

 とりあえずその辺から生えてる鉄パイプでも装備してみようか。将校殿が持っているサーベルの正体が悪魔と合体させることでパワーアップする『練気の剣』だった場合、打ち合いなんて無謀そのものだが素手よりは全然マシとも──むむッ!? 

 

 これは……あぁ、そういえば工作兵の人も言ってたような気がするが……やってみるか? リスクは高いが現在進行形でリスクなんてストップ高してるし、これ以上なにやったって状況が悪化するこたァねぇべよ。

 

 

 よし、いっちょやってみるか! 

 

 ウェンディゴッ! 

 

(ケケッ! 反動で気ィ失わねェように食いしばれよ? ──マハブフーラァッ!!)

 

 イッポンダタラッ! 

 

(ウォォォォッ! ヒィィィィトォォッ! ウェェェェイブゥゥッ!!)

 

 

「ぬッ!? 氷が砕けて……ッ! 目眩ましのつもりかッ! えぇいッ! こんな子供騙しで、往生際の悪い真似をッ!」

 

 

 ピクシーさんッ! 

 

(スクカジャ! スクカジャ! おまけにもうひとつスクカジャッ!)

 

 

「フンッ! 玉砕覚悟で向かってくるか。ならば望み通り両断してやろうッ!! きぇぇぇぇいッ!!」

 

 

 うん、速い。

 

 アレの直撃は練気の剣じゃなかったとしても普通に死ぬわ。

 

 でも~? 

 

 

 

 

 

 

「な……ニィッ!?」

 

 ヒュー↑↑ さすが要塞補修用の流体金属だ、なんともないぜぇッ!! 

 

 

 

 

 

 

 まさか左腕を丸ごと金属でコーティングして盾にするとは思わなかっただろう? 俺もできればこんな捨て身な戦法なんて使いたくなかったよ? 

 だが過酷な宇宙空間に浮かべる要塞の補修に使うヤツだけあって、なんとか攻撃を受け止めることには成功したぞ!

 

 あ、でもコレ腕がダメになるヤツだわ。単純に重いし乾いて固まった金属が骨までギシギシ締め付けてくるし、なんなら腕の中まで肉を突き破ってなんか根っこみたいなの伸ばして浸蝕してきてる感触があってホントにコレ金属なんですかぁ~? 

 

 

 …………やるしか、ないのか。

 

 

 えぇい、腕の一本なら命よりは安いッ! いや安くないけど死ななきゃ安いと思い込むしかねぇッ! 

 

 

 ピクシーさぁぁぁぁんッ!! 

 

(あとで文句言わないでよねッ! ジオッ!)

 

 さらば我が左腕ェェェェッ!!!! 

 

 

 うぁ……キツい……これは辛い……。

 

 なにが悲しくて自分で自分の左腕を破壊しなきゃならんのだ……。

 

 アドレナリンの効果があるのか痛みなんか感じないし、死ぬ恐怖に比べれば……いや冗談で自分を誤魔化すときと違って本気で吐きそう。不快感エグいわ……。

 

 

 チクショォォォォッ!!!! 歯ァ食いしばれ俺ェェェェッ!!!! ここまでやったんだ、なにがなんでも生き残ってやるからなコラァァァァッ!!!! 

 

 

 ゼロ距離ッ!! この距離なら片手で構えても弾丸は外さないッ!! 

 

「小癪なッ! そんな玩具が救世主の力に目覚めた私に通用するとでも──」

 

 そうだな、確かに効果のほうは未知数だよ。

 

 秘匿された人ならざるモノを殺すために存在する人造超力兵が持ち歩いている拳銃が、そんな人外由来の力に染まったテメェにどの程度効果があるのかはなァッ!!

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