メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
落ち着け俺。こういうとき、慌てたほうが負けるって偉い人も言ってるに違いない。
ダメージ云々はともかく動きが鈍っているのは目に見えて明らか。ならば体勢を崩しているいまのうちに──蹴っ飛ばすッ!
「ぎゃあッ!?」
アレ? 普通に効果あるぞ? ボンボンが情けない悲鳴をあげて尻餅ついちゃった。蹴ったときの感触というか、固さは人間のソレじゃなかったけど……ふむ、装備の豪華さと体幹の強さは別物ってことか。
しかし、なんで斧が折れた? ついに物理反射が現れたか? 人間相手なら可能性は低いと甘く考えていたが、本来なら相手にいくはずのダメージが斧に跳ね返ってきたとか。
だがそれなら蹴りが有効だったのはおかしいな? どうする、拳銃使って追撃してみるか──いや、打撃が通るなら無理にほかの手段を試す必要もない。拳銃が無効化されるだけならまだしも、こっちに跳ね返ってくるリスクはさすがに無視できんわ。
チッ。前世の知識に助けられているのは事実だが、こういうときはプラスとマイナスのどっちに働いてんのかワカランな。弾丸を脳天に撃ち込めばそれで決着になるかもしれないものを。
そして床をチラリ。
ボンボンが落としたサーベルがある。う~ん、あんまり触りたくないなぁ。
ピクシーさんも俺はほかの人間とはMAGの適用ルールが違うかもって言ってたし、手に持った瞬間ゴリゴリっとMAG吸われて干からびるとかなったらイヤだしなぁ。
どれだけ人間にとって不都合で不条理で理不尽な効果を発揮するアイテムも、女神転生ならあり得るってのがまた。なけるぜ。
とにかく、己の肉体を用いたケルナグールは使えるものと判断してオッケーなんだ。だったらボンボンが冷静さを取り戻す前にボッコボコにするしか生き残る道はねぇッ!
オラァッ! もう一発ッ!!
「ヒィッ!?」
────あ?
「……は? こ、これは……ッ!!」
「おぉ……皆、見ろッ! 目覚めだッ! また新たな救世主様がお目覚めになったぞッ!」
「なんて美しく雄大な翼なのかしら……やはり我らテンプルナイトに伝わる伝説は正しかったのね……ッ!」
あーはいはい。またこのパティーンねー。知ってた知ってた、そんなことだろうとはずっと思ってたけどねー。
相変わらずこのメシテロ肉天どもは生肉系ウィングを生やすのが大好きなようで。
しかし盾みたいにして蹴りを受け止められたのはちと厄介で────。
いや、違う。
コイツはいま、MAG結晶体を吸収してなかった。
どういうことだ、連中の変身はMAG結晶体の中に封印されてるっぽい天使や悪魔の力を利用したものじゃないのか?
いや、考察はいまやるべきことじゃない。優先順位を間違えると死ぬぞ。ボンボンがこれが救世主の力だヒャッハーッ! と高笑いしている間に心を鎮めて呼吸を整えろ。
「さぁッ! たっぷりと教育してやるぞムシケラがぁッ! 新時代の救世主たる私に触れた罪は重いぞォォッ!!」
えぇいッ! もともとステータス差で負けてたから当たり前だが速いなチクショウッ!
スクカジャの補助があっても反応がギリギリ──ダメだ、間に合わ──拳ッ!? ならイチバチ受けるしかねぇッ!!
…………ッ!?
が、は……ッ! 芯に……響く……ッ!! デモニカ、スーツと……MAGコートの、防御力アリで……これ、かよ……ッ!?
「リーダーッ! 気合いで避けてくれッ! マハラギオンッ!!」
掩護射撃ナイスゥッ! って範囲魔法かよ魔法の名前で発動してパワーアップしたからか火力がアカン巻き込まれたら俺まで黒焦げになるぞコレぇぇぇぇッ!?
どうせなら単体攻撃のアギラオでアシストして欲しかったかなァッ!? でもホノカは天プラどもの発音を真似してるだけだからアギラオなんて知らないかァッ! じゃあしょうがないねェッ!!
うぉぉぉぉッ!! ローリングッ! ローリングッ!! ローリングゥッ!!!
カッコ悪くたっていい、生きているだけで偉いんだ華麗な回避なんざどうでもいいんだよデモニカスーツのせいで背中がメッチャ痛ェよもぉぉぉぉんッ!!
ふぅ、ふぅ、よし。生きてるから結果オーライ。で、肝心の将校殿は……軍服は燃え尽きてMAGコートだけ残ってるせいで人修羅、いやナホビノ? 翼も含めるとペルソナでイメチェンしたロキのように見えなくもないが、とりあえずダメージはほとんど入ってなさそう。
「フッ……ハハッ! ハハハハハッ!! 弱いッ! 弱すぎるッ! いいだろう、救世主として覚醒した私が本当の奇跡の力の使い方を教えてやるッ! ──マハガルーラァッ!!」
あばばばばばッ!? 削れるッ! デモニカスーツの装甲が風の刃でゴリゴリ削れていやそれよりも音が中で反響してうるせぇ耳痛ぇぇッ!!
耐えろッ! 全身のMAGを全力で滾らせて耐えろ俺ぇぇぇぇッ!! 少しでもマハガルーラの威力を相殺してデモニカスーツの消耗を防がないと挽肉になるぞぉぉぉぉッ!!
はぁ……。
はぁ……。
た、耐えたぁ……ッ!!
点に力が集中する物理攻撃よりは踏ん張りが利くが、フロアそのものにMAGが満ちてるせいか威力がエグいにもほどがある。
もしかしてデモニカスーツよりMAGコートで受けたほうが楽だったり? しかしそれを試すには勇気が足りない。
……ハッ!? MAGパッケージはッ!?
無傷ッ! 壊れてないッ!
ヨッシャァァァァッ!! この状況で中身がボロンしたらほぼ確実にマモルとホノカが精神的ダメージで行動不能になっちゃうところだったぜッ!
そうだよねぇ、一般人に知られたら困るようなモノが入ってる器が簡単に壊れたりしないよねぇ! 帝国魔導院、良い仕事してるねぇ!
やはり持っている……ッ! 持っている側の転生者……それが、俺……ッ! ご都合主義バンザイ……ッ!
あ。
マハガルーラで死にかけてる間に、せっかく弾き飛ばしたサーベル拾われちゃった。
基本的にかなり格上の相手に殺されそうになりながらの戦闘なせいで主人公に考察と解説をさせる余裕がないという不具合。