メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
「まずは腕だッ! そして次に足ッ! 身体の端から順番に細切れに切り刻んでやるッ! 安心したまえ、頭は最後まで残してやる……キサマの身体が削られていく様子を絶望とともに存分に楽しめるようになッ!!」
う~ん。
脅し文句としてはギリギリ及第点ってところか? 典型的な悪役ボスキャラという意味ではわかりやすくて私、嫌いじゃないわ!
問題は将校殿の能力が単なるやられ役の雑魚ではないってことだ。この手のボンボンキャラってのは見かけ倒しで戦えないことが多いのだが、そこまで甘くはなかったらしい。
動きは単調。何故か自然な流れでマモルとホノカが周囲のメシテローブ集団を牽制して俺が将校殿とタイマンする形になったので、ちゃんと動きを見てれば回避も余裕のよっちゃんである。
しかし一撃の速さと重さがパネェ厳しいンだわ。そりゃ俺みたいな一般市民でさえMAG結晶体モグモグするだけで悪魔──じゃねぇや、ヨモツイクサなんて化物相手に有利に戦えるんだ。上の立場の人間なんて、多種多様な使い道をよぉ~~くご存知なんでしょ。
「そぉらァッ!!」
当たらないよ~だww
それはそれとして、だ。あのボンボンが振り回してるサーベル、普通の武器じゃないな?
根拠はなにひとつとして無いのだが、それでもアレでまともに斬られたら危険だと俺の生存本能が告げている。
そしてだいたい自分にとって都合の悪い予測は外れないのがお約束ってね。神話要素モリモリの女神転生には神聖でありがたい剣もあれば人間が近寄るだけで危ないような魔剣もあるからなおさら油断ならん。
せめてもの救いはメシテローブどもをマモルとホノカが牽制してくれていることか。
肉盛り状態には変化してないし、よほどのことがない限りあのふたりなら大丈夫だと信じるしかないな。
……うん?
◇◆◇◆
「衝撃よ、薙ぎ倒せッ!」
「フンッ! 愚かな……マハザンマッ!!」
「く……ッ!?」
「バカめッ! 聖句も知らないキサマら帝国の駒どもに奇跡の力を使いこなせるものかッ!」
「せい、く……だと……?」
「名は力であるッ! 自らを定義する権利さえ放棄したキサマらと我ら『テンプルナイト』では、同じ衝撃波でも威力を比較することすら烏滸がましいというものだッ!!」
「この異能の力に……そんな、秘密があったとは……そうですか。──ご教授、感謝しますよ……ッ!」
「なに?」
「大気よ爆ぜろッ! マハ、ザンマッ!!」
「なッ!? バカなッ!! ──ゲハァッ!!!!」
「なるほど、確かに手応えがまるで違いますね。周囲に漂うMAGの輝きも僕を手伝ってくれている……これならッ!」
「マモルが異能を使いこなしているのに、まさか私は無理だなどという泣き言は許されないだろうさ。──焼き尽くせッ! マハ、ラギオンッ!!」
「ウソでしょッ!? なんでッ!? アンタたちみたいな
「ほぅ? どうやらローブの下にMAGコートを着用していたようだが……蒸し焼きならば関係ないようだな? 感謝しよう、貴様らが聖句とやらを教えてくれたおかげで私の炎はより強力なモノへ進化したよ」
◇◆◇◆
テレッテッテー♪
マモル、ホノカ、レベルアップー♪
マモルはともかくホノカのセリフが完璧に悪役なんだよなぁ……。
よそ見する余裕がないから表情はわからないが、たぶんメッチャ楽しそうにしてる雰囲気。
あとテンプルナイトとかいうあまり聞きたくない固有名詞が聞こえたのは空耳だと思い込みたい。
だがしかぁしッ! これはもしかしなくてもピクシーさんも自由にマハジオンガを使えるようになるパターンじゃね!?
(ムリ)
ばんなそかなッ!?
(アタシとアンタじゃ、ほかのニンゲンとはMAGの流れが違うもの。きっと魔法を使うのにも違うルールが適用されてるんじゃないの? MAGはタップリあるし、マハジオなら何十発でも撃てそうだけど)
がーん、だな。
まいったなぁ、ピンときたんだけどなぁ。マハジオかぁ、それでもいいんだけど──いや、良くないな。俺がサーベルで斬られたらイヤな予感がするってことは、仲魔もサーベルで斬られたら危険な可能性があるってことじゃね?
たまに忘れそうになるけど、仲魔は見えてなくても実体はあるからな。ブンブン振り回すだけの雑な攻撃でも、魔法を撃とうとしたタイミングでフィジカル任せに突っ込んでこられたら普通にアウトだよ。
残念だが攻撃魔法はお預けだな。マハジオで感電狙いで動きを止められたら楽できたんだが、どのみちボンボンは高級MAGコートっぽいの着てるし期待できたかは微妙か。ならばッ!
ピクシーさんッ!
イッポンダタラッ!
(スクカジャッ!)
(タァルカジャァァッ!)
メガテンはなぁッ! 物理反射以外はタルカジャで火力ブーストして殴ればだいたい解決するんだよぉッ!
MAGコートそのものが頑丈でもダメージは下まで届くことは腹パン大尉殿のおかげで知ってんだよぉッ!
ありがとう大尉、なんだかんだ困ったときはいつもお世話になってますッ!
男は根性ッ! サーベルで斬られる恐怖を乗り越えて懐に飛び込め俺ェェェェッ!!
「なにッ!?」
ボディが、お留守だぜッ! お前もホルモンカレー特盛にしてやらぁッ! こちとらコロニーでのDクラス業務でグロ生産なんざ経験済みなんだ、加減なんかきかねぇぞォォッ!
そぉいッ!!
「が……ッ!?」
はぁーはっはっはッ!!
どうだ、ボンボンの軍服は見事に破れて俺のアックスはポッキリ折れやがったぜどんなもんよォッ!! あるぇー????