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ボランティア熱心で、高齢者介護にも関心を持っていた--。香田証生さんのことを、高校時代からの友人はそう語る。周囲に「いつかは青年海外協力隊に参加したい」と話していた。
占部貴史さん(25)と小嶋亮さん(24)は、東海大五高(福岡県宗像市)の同級生で8年来の親友という。2人によると、香田さんは3年前の冬、キリスト教系の団体が北九州市内で主催した、ホームレスのための炊き出しに友人を誘って参加した。防寒用古着を並べ、弁当を配り、みそ汁をよそって回るなど熱心に働いていた。
祖母を介護した経験から、高齢者介護の問題に関心を持つようになり、病院で介護のアルバイトをしたこともあった。「困っている人を放っておけない性格だった」
今年1月、香田さんは現地で働くことができるワーキングホリデービザでニュージーランドに渡った。占部さんは7月ごろ国際電話を受けた。「英語がしゃべれないから仕事がなかなか見つからない」と話していた。それが最後の会話になった。「金がなくて国際電話もなかなかできず、イラクの人質事件をよく知らなかったのでは」
イラク戦争に憤っていた。米軍の爆撃で子供たちが死んでいることに、「悪くない人まで巻き込むのはおかしい」と語っていた。
小嶋さんは「イラクに行く前に電話をくれていたら意地でも止めていた。誰にでも優しくて素直で、汚れていない男だった。世界中の人にバカと非難されてもいいから、顔を見せてほしかった」。占部さんは「香田に殺される理由はない。無事に帰ってきてほしかった」と声を詰まらせた。
(11/01 06:59)
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