佐賀県唐津市、重度心身障害者の女性に10年間にわたり計345万円の医療費を誤って助成…職員ミス重なる
佐賀県唐津市は12日、市内の重度心身障害者の女性(40歳代)に対して10年間にわたり計約345万円の医療費を誤って助成していた、と明らかにした。市は職員の確認ミスや根拠の法令の判断ミスなどが複合的に重なった、と理由を説明している。 【写真】佐賀県唐津市の公式HPが9年ぶりリニューアル…風景や食べ物などの投稿画像、1時間に60枚
発表によると、女性と家族は、市重度心身障害者医療助成条例に基づき、毎月の医療費の助成を申請していた。しかし2014年7月に条件が適合せず、助成対象としての資格を喪失していた。本来ならその時点で担当職員が女性側に資格喪失届を提出させるべきだったが、怠っていた。さらに女性の所得を毎年確認していながら、資格喪失を見過ごしていた。
昨年7月、当時の担当者が女性の資格喪失に気づき、障がい者支援課が事態を把握した。当時の課長らは翌8月、女性側にミスを謝罪し、「間違って支払っていたので、返してもらう必要がある」と口頭で説明した。ところが課長は、市条例の「偽りや不正行為により助成された場合は返還させる」との条文解釈を誤り、同年11月に文書で「返還は求めない」と女性側に伝えていた。上司の部長もその判断を了承していた。
6月末にこの問題を知る職員が現在の課長に相談し、発覚した。当時の課長の判断は「資格のない人に助成しており、誤りだった」と決定。女性側に12日、全額の返還を求める説明を行った。女性側は「すぐには受け止められない」と困惑しているという。
市は今後、県への返還金などを補正予算案で対応する。福祉こども部の楠田美佐部長は「チェックを徹底し、法令の理解に努めるよう意識向上を図る」と陳謝した。