【注意喚起】DEITY THEOS(B帯)はユーザーが罪に問われる可能性大!正しく理解して使いましょう。
インダビューやロケなどの活動をされている方にとっては、聞き馴染みのあるメーカーではないかと思います。
今回はそのDEITYのTHEOSについて、具体的にはB帯の仕様について不可解な点を纏めましたので、最後まで読んで頂ければ幸いです。
話題のDEITY THEOS
筆者自身、当該製品にそこまで関心はなかったものの、知り合いから相談を受けており情報は少し耳にしている程度でした。そこで気になっていたのが「100kHz刻みらしい」という事。ん?待てよ?そんな数字見た事ないな。。と思いつつ、まあ技適通っているしそういうもんなのかな、くらいしか思わず、認識も欠けておりました。InterBEEにもここ2年ほど出展ありましたし、話題にはなっていましたね。
兎にも角にも確認を
総務省に電話で聞いてみた
DEITY THEOS(B帯)について、総務省に問い合わせをしました。
結論として、既存のチャンネルプランに無い周波数を使用する事は違法となります。
対象は使用者です。
ちょー理不尽ですが、これが現実です。
電波法について
まずは以下の資料をご確認ください。
電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第六条第三項第二号の規定に基づき、特定小電力無線局の用途、電波の型式及び周波数並びに空中線電力を次のように定める。
中略
六 ラジオマイク用
八〇六・一二五MHz以上八〇九・七五MHz以下の周波数であって、八〇六・一二五MHz及び八〇六・一二五MHzに一二五kHzの整数倍を加えたもの
電波法の規定に基づき、“1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金”の罪に問われます。更に、重要な無線局に妨害を与えると、“5年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金”に処せられることになります。
この様に、電波法では125kHz間隔での周波数が指定されております。
その中心周波数から外れた周波数で機器を使用、電波を飛ばしてしまうとこれに引っ掛かりアウト、という事になります。
具体的な問題点と、回避するには?
これは当該製品が100kHzステップである為に起こり得る事故ではありますが、知らずとも違法は違法なので注意が必要です。
チャンネルリストにある周波数、例えば806.5MHzや、807.0MHなど(表の太字)を選択すれば問題ありません。
簡単な表を作ってみたので、参考にしてみてください。(画像参照)
販売、レンタルは?
また、販売、レンタルに関しては違法という事には当たりません。(技適は何故か通っているので。あくまで罪に問われるのは使用者なのです。)
技適通過の理由に関しては、関連機関に具体的な確認を行うには時間と手間が相当掛かると予想されますので、今回は関係各所(主に販売代理店と総務省)に可能な範囲で委ねました。
あくまで個人予想だと、700kHzという帯域幅が幸か不幸かギリギリ通せてしまっている要因なんじゃないかなと思っております。(他の正当な要素が思い当たらない)
面白い製品ではあるものの…
DEITY THEOSはグローバル展開を念頭に置いた製品なのだと思いますが、筆者は海外の電波事情までは把握はしておりません。なので何故この様な縛り(100kHzステップ)なのかまでは想像も出来ておりません。
しかしながら、スマホアプリと連携して各国での仕様にローカライズさせる仕組み自体は面白いなと思っております。
ここでのローカライズは、現時点ではあくまで
・周波数範囲の制限(806.2MHz~809.7MHz)
・電波強度の制限(OFF又は10mW)
この2点のみであり、その他の機能は恐らく世界共通だと思います。
仕様の謎。明確なものは…
恐らくというのは、詳細な国内仕様が公開されていない為です。
販売代理店であるシステムファイブさんや、昨日レンタルを開始したパンダスタジオさんのページにあるものは、あくまで本国サイトから抜粋した情報を載せているに過ぎず、国内の法律に準じているのかどうかの判断は出来ない状態です。(2025/09/04現在)
例えばシステムファイブさんの場合、販売開始は2025年5月頃からですが、商品ページにはチャンネル周波数間隔の記載はあるものの、チャンネルステップの記載はありません。(画像参照)
https://www.system5.jp/products/n_1195118
国内正規代理店としての代表格であるシステムファイブさんの掲載情報ですが、それ以上のソースをユーザーが得る事は非常に困難です。
(独占代理店契約だと思っておりましたが、他にも代理店があるとの事でした。
2025/09/05現在、販売ページからの購入は出来なくなっておりました。恐らく問い合わせに対する応急処置と思われます。迅速な対応感謝します。)
また、パンダスタジオさんに至っては、海外仕様をそのままを掲載しているのか不明ですが、国内で使用出来ない或いは機器自体の仕様に誤認がある数値ですので誤解を招きかねません。(画像参照。他にもあれば気付いた方コメントください。)
※2025/09/09追記 どうやらAIに書かせた情報をそのまま出していたとの事でした。チェックの有無に関しては不十分だったとの事ですが、未だ全ての修正はして頂けておりませんでした。まさか過ぎる回答で、絶句とはこの事か…とにかく利用者は、ページに記載された情報を鵜呑みにしてはならないという良い例と言いますか、反面教師として受け取るのが良さそうです。
(夜、再度連絡頂きました。現時点で当該製品の販売・レンタルは停止しているとの事でした。
ご対応ありがとうございます。しかしながら頂いた内容とは異なり、販売は継続中でした。。)
https://rental.pandastudio.tv/products/detail/13402
では国内仕様が100kHzである事はどの様に判明したのか、或いはする事になるのか。
それは実際、利用者が手にして電源を入れて確認するまで分からないのです。(筆者自身も直接操作する事で確認を取りました)
その上で電波法を理解し、任意の周波数をひとつひとつ指定し、運用をしなくてはなりません。
何故なら使用者が違法となるからです。(理不尽)
ここでネックとなるのが700kHzという帯域幅です。
これは占有帯域幅ではなく、安全に運用する為にメーカーが定めた帯域幅だと認識しております。(周波数帯幅は192kHz)
ここに関しては公式の情報ですのでそれに従うのが運用としては正解。という事になるのですが、
冒頭で述べた通り、100kHzステップ且つ125kHzステップで選択可能な周波数は以下の通りとなります。
1, 806.5MHz
2, 807.0MHz
3, 807.5MHz
4, 808.0MHz
5, 808.5MHz
6, 809.0MHz
7, 809.5MHz
日本のB帯チャンネルリストは全30chありますが、DEITY THEOSはスタート時点で7chまで減ります。
更に700kHzの間隔をあける必要があるので、最大プランは理論上以下の様になる筈です。
1, 806.5MHz
3, 807.5MHz
5, 808.5MHz
7, 809.5MHz
つまり実質1MHzの間隔が必要、という事です。
その際の、同時最大使用可能数は4波のみとなります。(理論上)
控えめに言って、これは現場では使えるとは言い難いですね。
裏技というか何というか
ここからは非公式な情報です。
この記事を書くにあたり、知り合いを通じてレンタルして頂き、外部に迷惑の掛からない閉鎖空間で独自の検証を行いました。
その際、500kHz間隔であっても一応問題はなさそうでした。(400kHz間隔でも行けなくはなかった。尚法律では以下略)
しかしながらこれは非公式な検証であり、2つのトランスミッターでのみの検証ですので、何の担保もない使用方法です。
実運用については自己責任の上、ご自身の環境で十分検証してから現場投入される事を強くお薦めします。
私の結論
オートスキャンも試しましたが、100kHzステップでのみ選択可能な周波数を避けてはくれないので、マニュアルでの設定は必須となります。
マニュアルでも100kHzステップで選択、送波出来てしまう状態でした。
記事を投稿する前にDEITY Microphones JAPANという、DEITY JAPAN公式アカウントへのコンタクトも試みましたが、残念ながら無回答でした。
https://x.com/deitymicro_jp
酷評しか書けないのが残念ではありますが、こんな特殊な事考えなくてはいけない時点で、筆者自身は絶対に選びません。
知人や友人と意見交換をよくするのですが、「そもそも無線従事者の資格がなくてもユーザーが電波吹く上で違法にならないようにするのが工事設計認証(技適)なのに」と言われ、確かにその通り過ぎて、この問題の根深さを考えるとめまいがしてしまいます。
今回の件が何事もなく過ぎ去るのであれば、技適というのが一体何の為に存在するのか、本当に不可解でなりません。
この記事が誰かのお役に泣てれば幸いです。
参考
技適詳細
Deity DBTX Bodypack Transmitter
https://giteki.lang-ship.com/219-249140
219-249140_02_003.pdf
DXTX Plug-On Transmitter [THEOS DXTX, DXTX]
https://giteki.lang-ship.com/210-246341
210-246341_02_001.pdf
D-UHF 3-Pin Lemo Transmitter [DLTX, Theos DLTX]
https://giteki.lang-ship.com/210-246248
210-246248_02_001.pdf
具体的な罰則規定
電波法第百十条一
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000131#Mp-Ch_9-At_110
電波法第四条三
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000131#Mp-Ch_2-Se_1-At_4
検証時の写真など
左は他社のデジタルB帯製品。右がDBTX。
(2025/09/05)初稿
(2025/09/06)追記
5日夜、システムファイブ様より追加の連絡がありました。
遅くまでありがとうございます。。
現段階で確認が取れた情報や、今後の対応含めての混み入った内容でしたので詳しくは割愛させて頂きますが、週明け(2025/09/08)以降に再度連絡頂けるとの事です。
決して小さな話ではないという認識で動いて頂けているのが伝わってきており、とても安心しております。
引き続き宜しくお願い致します。
6日朝、パンダスタジオ様より最初の回答がありました。
内容としては、商品掲載ページの内容一部修正(こちらが指摘した点)と、技適書類の掲載をして頂きました。(RF出力に関してはそのまま)
但し、レンタルについては総務省に問い合わせた上で問題無いとし、当該機材のレンタルは継続中でした。
せめて注意書きだけでもあると良いのですが、、残念です。
技適書類についてもリンクURLの掲載は見当たりませんでした。
技術基準適合証明番号は、
222-255716 DLTX
222-255717 DXTX
との事でしたが、総務省のページに未掲載の物かもしれません。(こちらで検索しましたがヒットしなかった。というかDBTXは…?)
引き続き、改善していただける様働きかけて行きます。
(2025/09/08)追記
8日夕方、システムファイブ様より再度ご連絡頂きました。
総務省からの回答はまだ時間が掛かる旨と、追加の情報頂きました。
毎回丁寧なご対応ありがとうございます。
(2025/09/09)追記
9日朝、パンダスタジオ様より再度回答が来ました。
内容は正直呆れる内容でした。
また、注意喚起については一切触れて頂けておりません。
(2025/09/09)公開
ひとまず「使用者が罪に問われる可能性」については議論の余地が無く、現段階での確認事項はあくまで機器に対する技適の正当性などですので、主目的である注意喚起の為に公開する事としました。
こぼれ話
※調べながら書いていたのですが、途中あることに気付いてしまい再度総務省へ電話しました。
DBTXの技適資料には“Channel Separation 100kHz”と“Channel Number: 36”という記載が確認出来ます。
総務省の方が言うには(あくまで個人の解釈としてお話して頂きました)、「何かの間違いかと…」との事でした。
具体的には、記載ミスか、チェックミス、あるいは試験そのもの…という話になりましたが、あくまで現時点では憶測に過ぎません。
つまり「100kHzステップな上に36ch仕様である時点で、本来であれば弾かれる筈である。」というのが総務省の方の見解でした。(2025/09/05確認)
この件につきましては、システムファイブ様含めて現在調査を進めて頂いている最中です。情報がまとまり次第発信して行こうと思います。
参考
https://x.com/magicarchtec/status/1940279436794040387



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