経験則上、面白い人や、カッコいい人は、すぐに決める。すぐに選ぶ。著名人とか本当にそう。迷いがない。どんどん決めて、どんどん間違う。破天荒だし、大胆だ。それでいて、繊細でもある。パッパッパッ。心地よい速度で、どんどん進む。面白い人や、カッコいい人は、早い。なまぬるい速度でやっていると、あっという間に置いて行かれる。逆に言えば、早く動くほどいいねとなる。

女性Ｓ様から「怒りを出して、内臓から血を噴き出すくらい怒りたいので、一緒に叫んで欲しい。お酒を飲んで、大きな声で叫ぶので、もっと怒れと合いの手を入れてほしいです」とご連絡をいただいた。Ｓ様は「ファミレスに行きましょう」と言った。安く酒が飲めるらしい。五億年ぶりに入ったファミレスは、私の空気感に合わなかった。全体的にチープで、食器もチープで、食べたいものが何一つなかった。だが、そんなことはどうでもいい。大事なことは、Ｓ様が酔っ払うことだ。

Ｓ様は「怒りを出したいと思ったが、坂爪さんが本当に来てくれると思ったら、嬉しくなってしまって怒りが消えた。だけど、せっかくの機会だから怒りたい」と言った。酒を飲むペースが異常に早く、あ、アル中だなと思った。私は「こんなことを言っちゃあれだけど、Ｓ様は、怒ることよりも叫ぶことよりも喜ぶことなんじゃないのかな」と言った。溜め込みすぎた怒りは、もはや、怒りではなく、憎しみになる。瞬間瞬間に爆発させる怒りは愛だが、溜め込んだ怒りは憎しみになる。

Ｓ様は「でも」と言って私の話をさえぎり、酒を浴び、テーブルに向かって独り言を言い続け、私の存在と私が駆け付けた喜びを傍に置き、呪詛のような不平不満を吐き続けた。こういう時の私は容赦ない。ちょっといいですかと断りを入れて、あなたは私の話を聞かなかった、話を聞かない人とは一緒にいられないと真実を告げ、退散した。退散する速度が速ければ速いほど、引きずる感情も少ない。こちらとしては、言いたいことは言ったからスッキリである。悔恨はない。自分がいたくない場所に自分をいさせた罪は重い。長居をしたら、私も憎しみの化け物になっていたと思う。

面白ければ留まる。面白くなければ離れる。パッと決めて、パッと動く。失敗してもいいから、すぐに決める練習をした方がいいと思う。早く間違えれば、早く修正できる。選ぶ精度も高くなる。すぐに決めないと、怒りを溜め込み病気になる。責任を持って、自分で決める。自分で選ぶ。この世の全部は自業自得なのだと腹を括り、だったら自分で全部を変えていけるじゃないかと発想を転換して、変えられない他人と過去に固執するのではなく、変えていける自分と未来に集中をする。面白い人や、カッコいい人と、一緒にいたいと思うのなら、自分も面白い人になる。自分もカッコいい人になる。面白い人や、カッコいい人には、くさくさしたものに付き合っている時間なんかない。爆発。バイタリティーを爆発させて生きる。