台湾が日本産食品の輸入規制を撤廃する流れとなった。台湾衛生福利部が8月下旬、「輸入検査停止とする日本産食品の品目およびその生産・製造地域」の撤廃案を公表した。60日の予告期間を設けており、各界からの意見を募集している。
今回の撤廃案により、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県の食品に義務付けられていた放射性物質検査報告書と、全ての日本産食品に対する産地証明書の添付が不要となる。
台湾衛生部によれば、2011年に起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故後、この14年間で日本から台湾への輸入時に26万3千ロット以上の放射性物質検査を実施した結果、全て台湾と日本、双方の基準に適合していることが確認されているという。つまり不合格率は0%であり、これまで台湾が規制していたのは不思議といえる。
なお、日本産食品に対して管理措置を取った53の国と地域のうち、49の国・地域が完全に解除しており、輸入停止や放射性物質・産地証明を義務付けているのは、中国(香港・マカオを含む)、ロシア、韓国、台湾だけだった。
さすがに今の世界情勢を考えたときに、中国、ロシア、韓国というグループに台湾が入るのはまずいという常識的な判断があったのだろう。遅きに失したが、日本としては歓迎したい。
本コラムで9月3日の中ロ朝の3首脳が初集結したことを取り上げた。中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記が中国・北京の天安門に集結した。中国が3日に行った抗日戦争勝利80年記念式典に出席し、人民解放軍のパレードを観覧した。
そもそも、中華人民共和国が建国されたのは、戦後の1949年10月である。中国国内で日本軍と戦ったのは、人民解放軍ではなく国民政府軍(中国国民党の軍隊)だ。
日本が降伏を受諾した、45年のポツダム宣言には、米国のトルーマン大統領、英国のチャーチル首相、中華民国の蔣介石主席が署名した。いずれにしても、今の中国に抗日戦争勝利80年を記念する資格はない。
なお、ソ連はポツダム宣言には日ソ中立条約が有効であったため形式的には署名していない。しかし、その前のヤルタ会談は米国のルーズベルト大統領、英国のチャーチル首相、ソ連のスターリン首相が参加している。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)