沖縄伝統の念仏踊り「エイサー」を披露する「沖縄全島エイサーまつり」(12~14日開催)への陸上自衛隊第15旅団エイサー隊の参加に一部市民団体などが反発している問題で、まつりの実行委員会事務局は12日、産経新聞の取材に対し、出演取りやめは要請しないと明らかにした。第15旅団によると、36人の隊員が公務ではなくプライベートで参加し、エイサーの演舞服を身にまとって同日午後7時から出演する。
第15旅団のエイサー隊出演を巡っては「市民感情・県民感情からして許されない」として、市民団体「止めよう辺野古新基地沖縄市民会議」が8日、まつりの実行委員長を務める花城大輔・沖縄市長に対し出演中止を要請。共同代表を務める「オール沖縄」系県議の仲村未央氏は、自衛隊について「無条件に市民生活や地域の行事の中で垣根をなくすということではいけない存在だ」と指摘した。
先の大戦末期の沖縄戦の遺骨収集を続ける市民団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏は「先祖の霊には数多くの戦没者の霊も当然含まれる。沖縄戦における日本軍の存在から県民に対する加害性を払拭することは未だにできない。その日本軍が名前を自衛隊に変えて、全島エイサー祭りに参加するという。戦没者も含む先祖の霊ははたして自衛隊のエイサーを受け入れるだろうか」と訴えていた。
まつりの実行委員会事務局は「エイサーの活動実績がある団体に広く声掛けをした」といい、第15旅団にも参加を提案。第15旅団は「隊員の福利厚生および地域との一体化の観点から、非常にありがたい機会だ」としている。
まつりでは、沖縄本島各地から選抜された青年会などの団体が太鼓を鳴らし、指笛を吹き鳴らしながら練り歩く。(大竹直樹)