監督、作品、主演男優賞などアカデミー賞8部門受賞の“マハートマー”ガンディーの伝記映画。彼に扮したベン・キングズレーは少し逞し過ぎて品格が足りな
いと思うが、存在感は十分ある。映画は狂信者に暗殺されるシーンから始まり、次は南アフリカ時代に飛ぶ。
タダ乗りでなくちゃんと切符を買い乗車しているガンディーが、有色人種は一等車両に乗るべからず、と白人の車掌から荷物ごと駅に叩き出され るシーンは印象的。20世紀初頭だからこのような差別がまかり通ったと思いきや、現代でもイギリスでは「インド人お断り」の張り紙をしたパブがあると、大 阪在住のインド人がTV「ここがヘンだよ、日本人」で証言していた。さすが伝統を重んじる英国気質は健在。
インド版天安門事件とも言うべきアムリッツァーの虐殺は迫力だ。第一次世界大戦中、インドの独立を公約したイギリス政府は戦後約束を履行せず、かえってローラット弾圧法(裁判手続きを経ずにインド人を投獄する)を制定。1919年4月、国民会議派はアムリッツァーに大会を開き、ローラット法反対デモを行う。この時イギリスのダイヤー将軍はジャリアンワーラー広場で無武装の群集を捕捉し、銃撃を加え多数の男女を殺傷させた。379名が死亡、1200人もが負傷したといわれる。もちろん、イギリスは謝罪など一切しない。
他国の人権状況を鬼の首を取ったように責めながら、自国の行為は恩恵を施したと喧伝する厚顔無恥は中国といい勝負だ。東の漢族、西のアングロサクソンといったとこか。
ガンディーはじめ民族運動家たちの目指す独立を果したのはよいが、各地で宗教対立が頻発、夥しい死者と難民を出す。暴動の起きた所にガン ディー自ら出向き怒りを静めようとするものの、激昂した人々は「ガンディーを殺せ!」と罵声まで浴びせる始末。群衆の中から一人の男が進み出て、「どうせ 俺は地獄落ちだ。ムスリムの子供を殺した。壁に頭を叩きつけて」と告白する。「何故?」と静かに問うガンディーに、男は「息子がムスリムに殺されたのだ」 と叫ぶように言った。ガンディーは答える。「では、救える方法を教えよう。孤児になったムスリムの少年を育てるのだ。ちゃんとムスリムとして育てるように」。男は泣いてひれ伏す。
生前からインド国内ではガンディーに対し様々な批判があった。彼の不可触民やムスリムへの対応は保守派を怒らせたし、知識人からも「自分自 身を劇的に演出するのに長けていた」「オルガナイザーとして大衆の心理を読みつくし、効果的に操作した」などの見方も。私も「カーストは神の定めしもの」 と容認した彼の姿勢に疑問も感じるが、カースト、人種、宗教の異なる数億のインドの民をまとめ上げた力量だけでも偉人という他ない。
ガンディーを“マハートマー”の尊称で言うのはどうも外国人ばかりのようで、一般大衆は彼を“バプージー(親父さんの意)”と呼んでいたそうだ。'80年代初めインド旅行した妹尾河童氏によると、現地人は「このじいさんなら・・・」と言っていたとか。
1947年の誕生日に際して、「ヒンドゥーとでも、ムスリムとでも自称しようが、野蛮人に成り下った人間による殺戮の、無力な目撃者になる よりも、この『涙の谷間』から連れ去ってくれるように、全能の神の助けを祈願する」と彼は嘆いた。その翌年1月の死は救いだったのだろうか。「へー、ラーマ(おお、神よ)」が最後の言葉だった。
現代、彼の故郷である西部グジャラート州はヒンドゥー至上主義者の牙城となっている。
タダ乗りでなくちゃんと切符を買い乗車しているガンディーが、有色人種は一等車両に乗るべからず、と白人の車掌から荷物ごと駅に叩き出され るシーンは印象的。20世紀初頭だからこのような差別がまかり通ったと思いきや、現代でもイギリスでは「インド人お断り」の張り紙をしたパブがあると、大 阪在住のインド人がTV「ここがヘンだよ、日本人」で証言していた。さすが伝統を重んじる英国気質は健在。
インド版天安門事件とも言うべきアムリッツァーの虐殺は迫力だ。第一次世界大戦中、インドの独立を公約したイギリス政府は戦後約束を履行せず、かえってローラット弾圧法(裁判手続きを経ずにインド人を投獄する)を制定。1919年4月、国民会議派はアムリッツァーに大会を開き、ローラット法反対デモを行う。この時イギリスのダイヤー将軍はジャリアンワーラー広場で無武装の群集を捕捉し、銃撃を加え多数の男女を殺傷させた。379名が死亡、1200人もが負傷したといわれる。もちろん、イギリスは謝罪など一切しない。
他国の人権状況を鬼の首を取ったように責めながら、自国の行為は恩恵を施したと喧伝する厚顔無恥は中国といい勝負だ。東の漢族、西のアングロサクソンといったとこか。
ガンディーはじめ民族運動家たちの目指す独立を果したのはよいが、各地で宗教対立が頻発、夥しい死者と難民を出す。暴動の起きた所にガン ディー自ら出向き怒りを静めようとするものの、激昂した人々は「ガンディーを殺せ!」と罵声まで浴びせる始末。群衆の中から一人の男が進み出て、「どうせ 俺は地獄落ちだ。ムスリムの子供を殺した。壁に頭を叩きつけて」と告白する。「何故?」と静かに問うガンディーに、男は「息子がムスリムに殺されたのだ」 と叫ぶように言った。ガンディーは答える。「では、救える方法を教えよう。孤児になったムスリムの少年を育てるのだ。ちゃんとムスリムとして育てるように」。男は泣いてひれ伏す。
生前からインド国内ではガンディーに対し様々な批判があった。彼の不可触民やムスリムへの対応は保守派を怒らせたし、知識人からも「自分自 身を劇的に演出するのに長けていた」「オルガナイザーとして大衆の心理を読みつくし、効果的に操作した」などの見方も。私も「カーストは神の定めしもの」 と容認した彼の姿勢に疑問も感じるが、カースト、人種、宗教の異なる数億のインドの民をまとめ上げた力量だけでも偉人という他ない。
ガンディーを“マハートマー”の尊称で言うのはどうも外国人ばかりのようで、一般大衆は彼を“バプージー(親父さんの意)”と呼んでいたそうだ。'80年代初めインド旅行した妹尾河童氏によると、現地人は「このじいさんなら・・・」と言っていたとか。
1947年の誕生日に際して、「ヒンドゥーとでも、ムスリムとでも自称しようが、野蛮人に成り下った人間による殺戮の、無力な目撃者になる よりも、この『涙の谷間』から連れ去ってくれるように、全能の神の助けを祈願する」と彼は嘆いた。その翌年1月の死は救いだったのだろうか。「へー、ラーマ(おお、神よ)」が最後の言葉だった。
現代、彼の故郷である西部グジャラート州はヒンドゥー至上主義者の牙城となっている。
昨日はコメントとTBありがとうございました。
mugiさんは宮城県にお住まいなのですね。
私も出身は宮城です。
mugiさんの記事を読み、もう一度「ガンジー」を観たくなりました。
これからちょくちょくお邪魔いたしますので、
よろしくお願いいたします。
出身は宮城だったのですか!
インドに関心を持つ人って、ホントに少ないですよね。変わり者扱いされる傾向もあるし。
あの国の哲学はすごいと思うのですが、日本ではマイナーです
こちらの方こそ、よろしくお願いいたします。
それに荒唐無稽に見えるインド神話とポスターでしょうか(笑)
私は好きなのですが。
私もインド神話とポスター、好きですよ。ギリシア神話顔負けの人間くささと派手派手さ。
特にカーリー女神、すごいですね。なぜ、あのようなキレてる女神を男も崇拝するのか、分かりませんが。
最近、コメントの回数が減って申し訳ないです。
暑い夏も本番。甲子園に、今年は総選挙ですね。
いやがうえにも、暑くなりそうです。
ガンジーに限らず、英雄や逆賊にしても、美化や歪曲はあるでしょう。無抵抗主義者で、独立の父といえど、例外はないと思います(むしろ、ガンジーは、始め、武力による独立を目指していたような。それが、できないからこその、変更だったような(うろ覚えで、申し訳ないです))。
しかし、人間は、人間。本物の神にはなれないものの、神や悪魔に近い存在にはなれます。二面性をもたない人間なんて、本当にいるのでしょうか?
私は、最近、日本は中国でなくインドに学ぶべき点が多いように思われます。むろん、核保有国であり、多くの矛盾も抱えています。しかし、たった一人の、聖人君主による政治より、多くの矛盾の中で何かを見つけるべきだと思います。本当のインドを知らない、日本人だからこそ、いえるのかもしれませんが。
(インドが核を持っていると言う事で非難するのは結構ですが、同様に、それ以上の規模を持ち、日本を狙っている中国を非難していますか、と、問いたくなります)
甲子園で我が県代表が第1戦勝利で安心しました。せめてベスト8まで残ってほしい。
本当に衆議院選挙になるとはサプライズです。でも、民主党も頼りないし、誰に投票すればよいか難しいですね。これだから投票率が下がるのか・・・
映画ではアムリッツァーの虐殺でガンディーはその場に行って、静かに怒りを抑えていましたが、実際はそのすぐ後、農民たちとの会合で「皆さん、イギリス人は我々が戦えないと思って見下しているのです。我々も武器を取って戦いましょう!」と呼びかけてます。ある農民から「非暴力を言い出したのは貴方ではないか」と反論され、軽はずみだったと下痢になるぐらい猛反省したらしいです。
また、イギリス軍にいて板ばさみに悩む青年たちに、「独立後はインドの役に立つので、しっかり学ぶように」と答えます。要するに武装中立論者で、非武装中立などと日本の某野党のように、バカなことは言わない。
ただ、他宗教への寛容さは見事。そのために暗殺されました。しかも、暗殺を狙っていた者は大勢いたとか。
インドも様々な問題を抱えていますが、あれだけ多様性に富む国も珍しい。だから私もインドに関心があります。
あと、インドを非難する人々は大抵は左寄りです。特にキリスト教関係者(背後にいるのは何者?)はカースト制を槍玉に挙げてます。
中国やロシアもちゃんと非難するなら、真の良識者ですが。